君の口から「好き」って聞きたい2(終)

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 うじうじと後ろ向きな思考に囚われる中、相手から週末の誘いがかかった。場所はめちゃ混みの学食で、今日は向かい合っての席が取れなかったから、横並びで食べている。
「明日って、なんか用事入ってるか?」
「いや、特にはないけど」
「じゃあちょっと付き合って欲しいとこあるんだけど」
「いいよ。買い物? カラオケとか映画とか?」
 これがデートのお誘いならいいのに。でもここは学食だし、恋人になる前のやり取りと何ら変わらないし、きっと期待するだけ無駄だ。そう、思ったのに。
「いや、俺んち」
「は?」
「俺の家、お前、来る気ある?」
「え、え、なんで?」
「なんではこっちのセリフだわ」
 言ってからぐっと顔を寄せてくるから、どうしたってドキドキしてしまう。
「お前、俺と付き合ってる自覚、やっぱないんじゃねぇの」
 耳元でそっと囁かれた言葉に、ああ俺たちってちゃんと付き合ってるんだと、それだけでかなり嬉しくなる。いやまぁ、恋人ごっこ疑惑はまったく晴れてないんだけども。
「それはこっちのセリフですぅ。てかいきなり家に誘うとかある? え、体目当て?」
 相手の顔は寄せられたままなので、こちらも小声で囁き返した。
 だって恋人っぽいやり取りなにもないのに、いきなりセックスとかハードル高すぎない?
「おまっ、ばか、何言ってんだ」
「何言ってるも何も、恋人の家に誘われるってそういうことじゃないの。てかお友達としてはお邪魔したことないんだから、余計に、そういうの意識して当然じゃない?」
 学校を挟んで逆方向にそれなりの距離を通学しているせいで、仲が良い友人でしかなかった時に、互いの家を訪れたことはない。
「あー、一応ちゃんと、意識はしてくれてんのか」
 じゃあ別の場所でもいいかとあっさり翻された上、話は終わりとばかりに相手の顔が離れていくから、慌てて待ったをかけた。
「待って待って」
「なんだよ」
 待ったはかけたが相手の顔は戻ってこなくて、挫けそうになる気持ちと戦いながらも口を開く。
「お前んち、行きたい」
 行ったことがなくて、見たことがない相手の部屋に、興味のある無しで言えばそりゃあるに決まってる。
「おいこらっ」
 呆れるような声だけど、でも怒ってはいない。苦笑するみたいな顔は優しいから、経験的に、このまま押せばOKされるとわかってしまう。
「だってお前の部屋、興味あるもん。ただ、いきなり、……はハードル高いってだけで」
 顔が離れてしまったし、学食でセックスと言葉に出すのもさすがに躊躇われてしまったけれど、相手にはちゃんと通じたようだ。
「そんなんこっちも一緒だっつーの。だいたい、どっちがどっちとかも決まってねぇし」
「どっちがどっちって?」
「だぁからぁ……や、いいわ。続きは明日な」
「え、なに、めっちゃ気になる」
 食い下がったけれど教えては貰えなくて、再度、本当に俺んちでいいのかと聞かれたから、いいよと返した。
 いきなりセックスって展開はないらしいから、そう警戒する必要もないんだろうし。と思うと、逆になんだか残念な気がしてしまうあたり、我ながら我儘なことを考えている自覚はあるんだけど。
 ああ、でも、恋人の部屋で2人きり、って状況になったら、少しは関係が進展したりするのかも?
 その可能性に気づいたのは、昼休憩なんてとっくに終わった後どころか、帰宅した自室でだった。


 相手の家の近くの飲食店で待ち合わせて、昼飯を食べた後で相手の家を目指す。食事中からもう結構色々ダメダメで、というよりも、やっと関係が進展するのかもという期待と不安とで相手を意識しすぎていた。
 グダグダのこちらに、今日は相手からのツッコミもなくて、ただただ楽しそうに眺められている。楽しそうだから、ツッコミ無いのかよというツッコミもしづらくて、結果、グダグダなまま相手の家の前にまで到着してしまった。
「どうぞ」
「あ、うん、オジャマシマス」
 たどたどしく応えて靴を脱ぎ、促されるまま相手の部屋に向かいながら、随分静かだなと思う。うちの親なら、息子の友人見たさに絶対顔を出している。
「ねぇ、家の人は?」
「みんな出かけてる」
「えっ……」
 思わず足を止めたこちらに、相手も立ち止まって体ごと振り向いてきた。だけじゃなくて、伸びてきた手に腕を掴まれてしまった。
「逃げんなよ?」
「え、や、だって、セックス目当てとかじゃない、って……」
「いきなりセックスはこっちもハードル高いけど、下心皆無とまでは言ってねぇよ?」
「え、ええ〜……」
 確かに。確かに言ってはなかったけども。こっちだって、進展するかもって期待はあったけど。
 何をされるんだろう。セックスじゃないにしても、どこまで、されちゃうんだろう。
 不安になって見上げてしまう先で、相手がどうやら笑いをこらえている。
「ちょ!?」
 気づいた瞬間に、腕を掴む相手の手は離れていった。逃げても良い、ってわけじゃなくて、逃げる必要なんて無いと、こちらが理解したことを、多分察している。
「ん、ごめん。お前が俺を意識しまくってんの、嬉しくって」
「嬉しい? 面白いとか楽しいじゃなくて?」
「家に誘っただけでここまで意識されてたら、そりゃ、嬉しいだろ。まぁ、学校ではますます気をつけないと、とは思ったけど」
「学校では?」
「お前が俺を意識しすぎてグダグダになってるとこなんて、学校の奴らに見せたくないよなぁって話。俺が好きってダダ漏れだしさぁ」
 可愛いけど、可愛いから見せたくない。と続いた言葉が嬉しくて、恥ずかしい。
「もしかして、それで恋人になったのに、恋人っぽいことなにもしなかった?」
「それだけで、ってわけじゃないけど。恋人になったはずのお前が、前とぜんぜん変わらないから、どうしようかとは思ってた」
「え、それは俺のセリフなんですけど!?」
「もしかして、待ってた?」
「そりゃあ」
「ちなみに、恋人になった俺と、どんな事したいと思ってた?」
「え、っと、手、繋いだ、っり」
 言った瞬間には手を取られて、ためらいなく指を絡めて握られたから、言ったらしてくれるってことかと思って声が詰まってしまう。
「他は?」
 キスしたり、って言ったらキスされるのかも? と思ったら、言えそうになかった。だから。
「好きって、言って、貰ったり」
 キスよりはハードルが低いだろうと思ったのに、予想と違って、相手から好きだよの言葉は返ってこない。ただ、ショックを受けるには相手の表情が優しすぎて、頭の中が混乱する。
「あの……?」
「お前は?」
「え?」
「好きって言って貰いたいだけで、お前からは言う気無し?」
「あれ?」
 言われて何かが引っかかる。多分、すごく、大事なこと。
「どうした?」
「あ、あの、もしかして俺、お前に好きって、言って、ない?」
「ないな」
「え、えっ、ごめん、好き。好きです」
 慌てて言い募ったら、フッと小さな笑いが漏れて、繋がれた手を引かれたかと思うと同時に相手に抱きしめられていた。
「ごめん。ちょっと意地はってた。俺も、お前が好きだよ」
「よ、かったぁ。お前優しいから、俺に同情して恋人になってくれただけかも、とか、思って」
 最近ちょっと落ち込んでたと言ったら、なんか変なこと考えてんだろうとは思ってたと返される。
「お前って、恋愛方面、かなり奥手だったんだな。意外、っつうか、ちょっと想定外で、それで不安にさせたなら悪かったよ」
「意外?」
「付き合ったら、お前の方からもっとグイグイ来るのかと」
「いけるわけない」
「なんで?」
「そんなの、だって、ドキドキしちゃうから」
 今だってこんなに近くて、凄いドキドキしてる。
「うん、だから、そういうとこ。知らなかったな、って」
 でも家誘われたらセックス想像したりはするし、自分からはグイグイ来れなくても、抱きしめられたら大人しく腕の中に収まってんだよな、って笑うみたいに言われてしまう。
「だって、ドキドキはするけど、やっと恋人っぽいこと出来ててめちゃくちゃ嬉しいし」
 一旦言葉を区切って、繋がれてない側の腕を相手の背に回し、こちらからもギュッと抱きついてやる。
「それに、いきなりはハードル高いけど、お前が俺をちゃんと好きなら、恋人となら、いつかはセックスだってしてみたいよ?」
「それ、一応の確認だけど、俺がお前を抱く側、って思ってていいわけ?」
 ちなみに昨日のどっちがどっちって、セックスの時の役割の話な。と言われて、そんなの考えたことなかったなと思う。
「そこまで具体的に、考えたことなかった」
「だと思った」
「で、でも、お前が抱く側って思ってるなら、それでいいよ」
 相手のが背だって高いし、自分が押し倒すイメージよりも、自分が押し倒される方がイメージしやすいというのもある。相手に押し倒される想像をしてみても、全く違和感はわかなかった。むしろ、押し倒すイメージのが……
「どうした?」
 いっきに加速した鼓動は、相手にも伝わってしまったのかもしれない。
「お前押し倒すの想像したら、めちゃくちゃドキドキしちゃって」
「えっ」
「絶対無理ぃ」
「あ、ああ、そういうことかよ」
 脅かすなよと苦笑された後、まぁどのみちそういうのは当分先だよなぁと言われながら、くっついていた体が離れていく。そして相手の部屋に向かうためだろう。こちらに背を向けて歩き出そうとする相手の服の、裾を掴んで引いて引き止めて。
 キスは早めにしたいと訴えてみたら、せめて部屋入るまで待ってくれと言われて、どうやらこの後すぐ、相手の部屋に着いたらキスをされるらしい。

CPお題ガチャポンのお題「今日の有坂レイのお題は【君の口から「好き」って聞きたい】です。」でした。

 
 
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君の口から「好き」って聞きたい1

秘密の手紙」の逆視点話です。

 高校入学後に知り合って、なんとなく気が合ってツルムようになって、今現在、間違いなく一番仲が良いと言える友人と、先日恋人になった。
 ふとした瞬間に見せる優しい顔に、何故かドキドキするようになったのはもう結構前で、自身の中に湧いた恋情を認めてしまえば、次に胸の中に湧いたのは期待だ。優しい顔は一種類じゃなくて、愛しげという表現が似合いそうな柔らかな時もあれば、どこか憂いを含んで寂しげな時もある。
 もしかして、相手もこちらに対して恋情と呼べるような想いを抱いているんじゃないのか。
 そう考えて当然の態度に思うこともあれば、相手への想いがそう思わせているのではと疑うこともあった。
 相手の気持ちが知りたくて、でも、せっかく築いた友情を壊すのも怖い。そしてそんな葛藤はお構いなしに自身の恋情は膨らんでいくから、だんだん友人で居続けることがキツくなって、追い詰められていたんだと思う。
 だから賭けをするような気持ちで、相手の下駄箱にメモを入れた。
 最初に入れたメモは「お前の想い人を知っている」だ。そのメモそのものは怪文書として捨てられて終わりでも、友人の立場でそのメモの話が聞けるかも知れない。そうしたら、想い人誰だよって、聞けるかも知れない。
 居ないなら居ないでいいし、そこで別の誰かの名前を聞かされたら諦められるかも知れないし、ワンチャン、その流れから告白してもらえるかも知れない。なんていうアホな計画でしか無かったけれど、相手はなんと封筒を自身の下駄箱に置くという方法で返信してきた。
 どうやら脅迫されているとでも思ったらしい。要求は何だ、と書かれた短なメモを前に、想い人が居るのは確定かなと思う。あと、言いふらされたらマズいような相手である可能性も高そうだ。
 これってやっぱり相手は自分なんじゃないの。なんて思って浮かれた結果、「告白すればいいのに」というメモを返したら、その日は朝からずっと何やら思い悩むような顔を見せていた。
 試しに軽く指摘して何があったか聞いたけれど、そのメモの話は教えてくれなかったから、やっぱり想い人って自分じゃないの、という気持ちが強くなる。だって無関係なら、こんなことがあって、って相談してくれるはずだから。
 だから、その想い人とは両想いだよ、とか、告白待ってるんだけど、とか、男同士ってとこで迷ってるなら、今どきそこまでダメって感じでもなくない? とか書き綴って、相手の下駄箱に置いた。その時に、告白すればいいのにの返事を受け取ったけれど、中のメモには「無理」の二文字しかなくて、もし無理な理由が、好きな相手が友人だからとか同性だからとかなら気にせず早く告白してよね、なんて思ってちょっと浮かれてすら居たのに。
 そんな浮かれた気持ちが吹き飛んだのは放課後の、大半の生徒が帰った後の閑散とした昇降口だった。
 用事があるから早く帰るなんて言っておきながら待ち伏せしていた相手が、「やっぱりお前だったんだな」って出てきた時の、呆れと憤りが混ざったような顔に、血の気が引く思いをした。
 相談してくれなかったのは、想い人が自分だったからじゃなくて、このメモが自分の仕業だってわかってたから。という可能性に、その時まで全く思い至っていなかったせいだ。
 きっと両想いだと浮かれて、早く告白してくれないかとワクワクしていた気持ちが一気に萎れて、泣きそうだった。まぁ、泣くことにはならなかったんだけど。
 つまりは予想通り自分たちは両想いで、無事にお付き合いが開始した。のだけれど。
 結局自分たちの関係は恋人である前に友人なのかも知れない。だって恋人になったからって何かが劇的に変わるなんてことはなかった。
 恋人らしいやり取りも、恋人っぽい触れ合いも、ほとんど無い気がする。どころか、もしかしなくても「好き」すら言って貰ってないのでは?
 両想いだと認めていたし、ぜひお付き合いしたいと言ったのは向こうだし、からかってないとも、笑ったのは可愛かっただけだとかも言ってたけど。でもこっちの気持ちを知った相手が、泣きそうになりながら「ふられるの?」なんて聞いたこちらに、同情した可能性はある気がする。
 優しいから、同情して付き合うことにしたなんて言わずに、恋人ごっこをしてくれているだけかも知れない。だから、キスどころか手を繋ぐこともないし、好きとすら明言はしてくれないのかも知れない。

続きました→

 
 
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秘密の手紙

 朝学校へ行ったら、下駄箱の中の上履きの上に一通の手紙が置かれていた。
 超簡素な茶封筒という不穏な気配しか無いそれの中には、ペラっと一枚のメモが入っていて、そこには「お前の想い人を知っている」と短な一文が印刷されていた。
 ザッと血の気が引く思いをしたのは、脅迫されているのだと察したせいだ。
 いつか誰かに気づかれるかも知れない不安は、自身の中に湧いた恋情を認めた瞬間から常に付きまとっていたが、それが現実になったのだと思った。
 この手紙の差出人は誰だ。相手の要求は何だ。
 そんなことばかりを考えながらなんとかその日の授業を終え、大半の生徒が下校した後に、自身の下駄箱に封筒を置いた。朝受け取った茶封筒からメモを抜き、お前は誰だ、要求は何だ、という短なメモを書き綴ったノートの切れ端を入れている。
 蓋のない下駄箱なので、こんな場所でメモのやり取りをしたいとは到底思えないのだが、相手が誰かもわからない状況ではこうするしかない。
 果たして、翌日の朝にはその封筒は消えていた。
 さらにその翌日、また上履きの上に茶封筒が乗っている。中には、「告白すればいいのに」というメモが入っていて首を傾げる。
 誰だ、という問いに答えがないのは想定内だったが、要求は何だという問いへの答えがこれ、というのが良くわからない。
「何かあった? 一昨日もずっと変な顔してたけど、今日もなんか悩んでるよね?」
 休み時間にそう声をかけてきたのはまさに想い人その人で、さすがに詳細を話せるわけがない。
「あー、まぁ、ちょっと」
 色々あってと濁してみたが、相手はそう簡単に引き下がってはくれなかった。
「俺にも話せないようなこと? それとも教室じゃ無理って話?」
「両方」
 正直に答えてしまったのは多分失敗だった。
「え、マジに俺には話せない何か抱えてんの?」
 余計気になると言われても、話せないものは話せない。追求をどうにか誤魔化して、帰りがけには「無理」の二文字だけ書いたメモを入れた封筒を自身の下駄箱に置いた。
 返信は翌々日ではなく翌朝には届いていて、しかも今回の中身は短な一文ではなく、しっかり手紙と呼べるような長い文章が綴られている。まぁ、コピー用紙への印字に茶封筒、というところは変わらないんだけど。
 いわく、二人は両思いだから早く告白してくっつくべきだとか、相手はこちらの告白を待っているだとか、今どき男同士での恋愛はそこまで禁忌ではないだとか。
 なんだか随分と熱心に、告白するよう促されている。
 なんだこれ。と思うと同時に、さすがに差出人の正体を知りたくなってきた。だって随分と相手の心情に対して断定的だ。
「何? 俺の顔に何かついてる?」
 昼休みに一緒に昼飯を食べながら、想い人の顔をマジマジと見つめまくったら、さすがに居心地が悪そうに聞いてくる。
「昨日、お前には話せないって言った悩みについてちょっと考えてて」
「お、やっぱ俺に相談しようかなって思った?」
「そうだな。近日中には、話せるかもな」
「なにそれ?」
「今すぐは話せないってこと」
「は? 勿体ぶってないでさっさと話せよぉ」
 放課後残ろうかと言うので、今日は早く帰るからと断って、その言葉通りに大半の生徒が下校するのを待ったりせず、けれど返信の茶封筒は上履きの上にしっかり乗せて学校を出た。といっても、そのまま学校をくるっと半周して、裏門からこっそり現場へ戻ったのだけれど。
 自身の下駄箱が見える位置に身を潜めて、封筒を手に取る「誰か」を待つ。今日中に現れなかったら、明日は早朝から張り込みだと意気込んでいたけれど、下駄箱周辺の人気がなくなった途端にその「誰か」はあっさり現れた。
 やっぱりと思いながらも、しっかり封筒を手に取るのを待ってから声をかける。
「やっぱお前だったんだ」
「えっ……なん、で」
「なんでもなにも、お前以外にお前の気持ちそこまで断定できるやつに心当たりがなかった」
 これは、少なくとも共通の友人の中には、という意味でしかなく、こちらの知らない友人に相談していたという可能性はある。頼まれて取りに来ただけと言い逃れることだって可能だろう。でも彼からの反論はなく、どうやらあっさり認めてしまうらしい。
 そっか、と力なく返した相手の手の中で、クシャッと茶封筒が握り込まれている。ちなみに、差出人を捕獲する気満々だったのでその封筒に中身はない。
「両想いだってわかってんなら、こんな回りくどいことしてないで、お前から告白するんでも良かったんじゃねぇの?」
「できるわけ、ないだろ」
「なんで?」
「そんなの、お前が俺を本当にそういう意味で好きなのか、なんて、わかんないし」
「はぁ?」
「だって、お前の言動にもしかして? って思うの、俺がそうだったらいいのにって思うせいかも知れないじゃん」
 最後の方は声が震えていて、なんだか虐めてでも居るみたいだ。というか目には涙も滲んでいて、こんな場面なのになんだかドキドキしてしまう。
「で、どうなの?」
「どうなの、って?」
「俺、……ふられる?」
 視線が合ったのは声をかけた最初だけで、ずっと僅かにそらされていたのだけれど、とうとう逃げるように俯かれてしまった。良い返答が貰える自信がないと言わんばかりだ。
「ぜひお付き合いしたいけど」
「マジで!?」
 バッと勢いよく頭を上げた相手の顔は信じられないと言いたげで、でも、泣きそうだった目だけは希望に満ちてキラキラと輝いている。
 その様子の愛らしさに、思わずプッと吹き出してしまったら、からかわれていると思われたようだ。酷くショックを受けた顔をされ、また俯くように頭を下げかける相手に、慌てて謝罪の言葉を投げた。
「ごめん。からかってない。まじで、付き合いたいって思ってる」
 下げかけた頭をグッと上げた相手は、さすがに疑惑の眼差しだ。
「ほんと。本気。さっき笑ったのは、嬉しそうなお前が可愛かっただけ」
 言い募れば、可愛いに反応してか少し照れくさそうにしながらも、信じるぞと脅すみたいな言い方で告げてくるから、やっぱりまた笑いそうだった。

相手側の話を読む→

ChatGTPに出してもらったお題  ”秘密の手紙” – 1人の主人公がもう1人の主人公に秘密の手紙を送ることから始まる物語。を使用しました。

更新再開します。結局小ネタ期間になりましたので、更新期間は1ヶ月ほどになりますがまたよろしくお願いします。

 
 
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捨て猫の世話する不良にギャップ萌え、なんだろうか

 早起きは三文の徳とは言うが、たまの休日は思う存分眠って置きたい。とは思うものの、妙にスッキリとした目覚めによりどうにも二度寝出来そうにはなく、仕方がないので諦めて起き上がる。
 早いと言っても早朝と呼べるほど早い時間ではないが、それでもこんな休日はめったに無いので、いっそ朝の散歩にでも出かけようかと思いたち適当にあちこち歩いてみた後、ファミレスに寄ってモーニングメニューを堪能した。
 睡眠時間確保には失敗したが、なかなか良い出だしだ。などと自己満足で帰路についた途中、珍しい人物が珍しい店舗へと入っていくのを見かけて、とっさにその後を追って同じ店舗へと踏み入ってしまった。
 ご近所さんのその男とは小学生の頃に何度か遊んだことがある。といっても確か5つほど年齢が離れていて、中学も高校も同時期に在籍したことがない。小学生の時に遊んだと言ったって、遊び相手のメインは彼の兄であって、幼い彼はオマケでしかなかった。
 その兄とも、中学くらいまではそれなりに交流があったが、別の高校に進学してからはわざわざ連絡を取り合って遊んだりはしなくなっている。そもそも高校卒業後に実家を出たと聞いた気がするから、弟以上に顔を合わせる機会がない。
 まぁ弟の方だって、姿を見かけることなどなかなかないのだけれど。なんせ母が仕入れてくるしょうもない噂通りなら、せっかく入れた高校を早々に退学になりかけるような、荒れた生活をしているようなので。
 そんな男が、開店まもない書店に入っていくだなんて、ちょっと良からぬ想像が働いてしまうってものだろう。万引の現場を目撃するようなことがあったら、さすがに止めてやろうと思っていた。
 兄とだってさして仲が良かったわけではないが、彼の家庭環境や生活が荒れるに至った事情を漏れ聞いてしまう立場として、同情めいた気持ちがあるのは認める。一緒に遊んでいたころは、素直な一生懸命さで、兄の背を追いかけてくるような子だったのを覚えているせいもある。
 しかし、周りを気にする素振りを見せながら彼が向かった先は、はやりの漫画やらが並んだ棚ではなく、ペット関連の書籍が並んだ一角だった。そのままこっそり盗み見ていれば、どうやら猫の飼い方についてを立ち読みしているらしい。
 随分と真剣な表情で読み進めていく姿を見ていたら、思わず名前を呼びかけていた。
「ひっ……」
 相当驚かせたようで、大きく肩を揺らしながら小さな悲鳴を漏らした相手は、それでもすぐに振り向いて、怖いくらいにこちらを睨みつけてくる。
「誰だ、お前」
 そう聞かれるのも仕方がない。なので名前を告げて、兄の友人だったと伝え、小学生の頃に一緒に遊んでいた話と共に当時のあだ名を教えてみた。どうやら記憶の片隅に引っかかるものがあったようで、一応は名前を知られていることには納得できたらしい。
「で、何の用だよ」
「用、っていうか、気になっちゃって。猫、飼うのか?」
「んなわけねぇだろ」
「じゃあ猫好きなの?」
「うっせ」
 手にしていた本を思い切り平台の上に叩きつけると、早足にその場を去っていく。
「あ、こらっ、売り物だぞ」
 慌ててその本を手に取り、破損がないことを確かめてから元の場所と思しきところへ戻している間に、相手の姿はすっかり見えなくなってしまった。
 そんなことがあってから数日、母親が仕入れてきたしょうもない噂話で、彼が虐待していた子猫が保護された、という話を聞いた。
 あんなに熱心に猫の飼い方を立ち読みしていた男と虐待とが結びつかない。どうせ、猫にかまっている姿を誰かに見られて、あの調子で対応した結果虐待と思われた、とかじゃないのか。
 ありえそうすぎて苦笑するしかない。
 それからなんとなく、猫が保護されたという場所を気にかけるようになって更に数日、ぼんやりと立ち尽くす彼の姿を見つけて、我ながら懲りないなと思いながら名前を呼んでみた。
「またあんたかよ」
 少しうんざりした顔は以前に比べて明らかに元気がない。というよりもなんだか疲れた顔をしている。
「で、今日は何?」
「ここに居た子猫は保護されたって聞いたけど、お前、虐待なんかしてないよな?」
「そ、っか……」
 一瞬驚いた顔をしたけれど、でも何かに思い当たったのか、一つ息を吐き出すとくるりと向きを変えて歩き出す。その腕を思わず掴んで引き止めた。
「あー……虐待したつもりはねぇけど、まぁ、あいつらが無事保護されたってなら、俺が虐待してたんでも別にいーわ」
「もしかして、居なくなった子猫心配して、探してた?」
「うっせ。てか放せよ、腕」
 強引に振りほどくことも出来そうなのに、おとなしく立ち止まっている彼をこのまま放したくないと思ってしまった。
「えっと、……あ、じゃあ、飯でも食いに行く?」
 我ながら、何を言っているんだと思ったけれど、呆れられて仕方がない場面で、なぜか相手はふはっと笑いをこぼす。
「じゃあ、ってなんだよ。てかそれって当然奢りだよな? 金ねーし、奢りなら行ってやってもいいけど?」
「もちろん奢る」
 食い気味に肯定すれば、相手はますますおかしそうに笑い出してしまったが、笑う顔に昔の面影が重なって、なんとも言えない気持ちになった。
 頭の片隅では、これ以上深入りしないほうが良いとわかっているのに、その反面、いっそもっと深く関わってしまいたい気持ちが湧いている。

有坂レイさんは、「朝の書店」で登場人物が「夢中になる」、「猫」という単語を使ったお話を考えて下さい。https://shindanmaker.com/28927

描写ないけど視点の主は高校卒業後就職している社会人です。

 
 
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酔っ払いの戯言と笑い飛ばせなかった

感謝しかないのでの父側の話です。少し未来。

 好きになった女性は片手の指で足りないくらいには年上のバツイチで子供も居たから、結婚する時にはけっこう揉めた。特に自分の親には相当難色を示されていたから、絶縁上等という気持ちで婚姻届を提出してしまった。
 だから妻となった女性が結婚からほんの数年足らずで他界してしまった後、血の繋がらない息子をどうするか、という話になった時に、愛する妻の忘れ形見なのだから当然このまま自分が育てると啖呵を切ってしまったのも、結婚に反対していた奴らのそれみたことかという顔や態度に腹がたって仕方がなかったから、というのが大きい。
 意地を張っていた、という自覚はある。
 幸いにして彼女の残した一人息子は少年ではあったが幼児というほど幼くはなかったし、母子家庭だった時期に彼女によってある程度鍛えられていた家事能力もあり、少々いびつな父子家庭を維持することにも協力的だった。
 そうして気付けば息子も酒が飲める年齢を超えて数年経過し、そろそろ自分が結婚した年齢に近づいている。
 そう気づいてしまえば、いつ、結婚相手を連れてきてもおかしくないのだ、ということにも思い至った。
 どんな女性を連れてくるんだろう、と楽しみ半分寂しさ半分心待ちにしているのだけれど、そっち方面の話題をふるといつの間にやら過去の自分の話をしていて、肝心の彼の恋愛事情や結婚感が聞けていない。親の惚気話なんて聞いて楽しいのかとも思うが、彼にとっては貴重な母親の話、という意味で楽しまれているのかも知れない。
 そんな中、いつもより酔いが回っているらしい相手からようやく聞き出せたのは、今現在お付き合いをしている女性はいない、という話で、更には今のところ結婚願望も全くないという。
「なんで!?」
「なんで、って、言われても」
 驚きで声が大きくなってしまったのを苦笑されながら、今の生活に満足しきってるからかなぁ、などと言われてますます驚いた。
「満足って、お前、こんなおっさんとの生活に満足してちゃダメだろ」
 二人の生活が上手に回せるように互いが努力してきた結果、という意味では誇らしく思う気持ちもないわけではないが、それでは生活に華がなさすぎじゃないのか。というよりも、自分は彼女との結婚生活が楽しくて仕方がなかったし、愛する女性と一緒に暮らす幸せを、彼にも存分に堪能して欲しいと思う。
「もしかして、俺みたいに愛する女に先立たれたら、みたいな心配でもしてる?」
 一緒に酒を飲むようになってからは、酔った勢いで、妻に先立たれて寂しい気持ちを吐露することもあった。
 まぁ、だからお前が居てくれて良かった、的な感謝も告げているのだけど。どちらかというと、酔った勢いで彼と父子として暮らしてきた日々への喜びが溢れてしまうのをごまかすみたいに、彼女との思い出をあれこれ語っている節もあったりするんだけど。
「でも俺は、あのとき強引にでも結婚に踏み切ってよかったって、胸張って言えるぞ?」
 もちろん自分と同じ様に愛する相手に先立たれる可能性もあるけれど、それに怯えて結婚そのものを忌避するのは馬鹿げている。なのに。
「わかってるよ。わかってるから、結婚しなくていっかな、って話」
「いやそれわかってないだろ」
「あー、じゃあ、父さん以上に愛せる誰かを見つけたら、考える」
「え?」
「俺は愛する人と一緒に暮らす生活するなら、相手は父さんがいいから、結婚はしなくていいし、今の生活に満足しきってる」
 ニコリと笑って見せた後、へにゃっと笑み崩れて、そのままヘラヘラと笑い続けている相手を見る限り、冗談だった……
 そう思えたら良かったのだけど。酔っ払いの戯言だと、一蹴するべきなんだろうけれど。
「まぁだから、孫は諦めて貰うしかないけど、一人にはさせないから安心して」
 バカ言ってんなと笑い飛ばすことは出来なくて、頭の片隅にはホッとしている自分も居て、そんな言葉を喜んでしまう自分が情けなくて、なんだか泣きたい気分になった。

有坂レイへのお題は『笑い飛ばしてしまいたかったのに』です。https://shindanmaker.com/392860

 
 
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自棄になってても接触なんてするべきじゃなかった

 夜の相手が欲しい時に利用するその店には、あまり顔を合わせたくない人物も出入りしていて、普段ならその姿が見えた段階で回れ右して別の店を利用するか諦めるかするのだけれど、その日はどうにも自暴自棄になっていて、わざわざ相手の目に留まる様に行動し、そのまま相手を引っ掛けた。
 その段階では、わかってて自分の誘いに乗ったのか覚えていないのか判断がつかなかったけれど、多分、相手は覚えていない。まぁ彼とのいざこざがあったのはもう10年ほど前の話で、あの頃は互いに学生でもあったし、相手はともかく自分の方は減量に成功して見た目もそれなりに変わったから、気づかれなくても納得ではある。
 連れ込んだホテルの一室で、酷くして欲しいと頼んでみたら、相手は平然とした顔で、どういう方向でと問うてくる。罵って欲しいのか、肉体的に痛めつけて欲しいのか、オナホみたいに扱って欲しいのか、それとも快楽責めでもしてあげようか、と。
 この相手に優しくされたくなかっただけで、好きに扱ってくれという意味での酷くして、だったから、一番近いのはきっとオナホ扱いだった。なのにちょっとした好奇心で、快楽責めなんて出来るのかと聞いてしまった。
 興味あるんだ? と意地悪そうに笑う顔に、昔の記憶がチラついてイライラする。だから、そんな自信あるんだ? と煽り気味に返してやった。
 フフンと笑いながらその体で思い知ればと返されて、せいぜい楽しませてくれよと応じたときは、まさか、こんなことになるとは思っていなかった。
 せっかくラブホだしと、室内に置かれたアダルトグッズの自販機から次々と玩具を取り出した相手に、結局そういったものに頼るのかと鼻で笑ってられたのは最初だけだ。結局の所、そんな無機物相手にどこまで感じられるかは、使い手の技量に掛かっている。
 自慰行為に玩具を利用することはあったが、自分の意志で動かすのと、他者の手で使われるのはあまりに違った。酷くしてと頼んで始めた快楽責め、というのも大きいのだろうけれど、弱い場所を的確に探られて、執拗に責め立てられるとどうしようもない。
 最初のうちは比較的緩やかな刺激で何度かイカされ、こんなもんかと思っていたのに。どうやら、こちらの体力がある程度削られるのを、そうして待っていただけらしい。
 強い刺激に逃げ出したくなったころには、相手にがっちりホールドされて、そこからが多分、本当の意味での快楽責めの始まりだった。
「ぁ、ぁ゛あ゛っ、や゛ぁ」
「いいよ、イキなよ」
「も゛、やだぁ、む゛り、ぁ゛、むりぃ」
「だいじょぶだいじょぶ」
 射精できなくなってからが本番だよと笑う相手の手には貫通型のオナホが握られていて、もちろん自身のペニスがそれを貫いている。お尻に突き刺さっているバイブも、相手の手によってしっかり固定され、ウネウネとした動きが前立腺を抉り続けていた。
「ぁ、ぁ゛、ああ゛っ」
 ブルブルと体が痙攣し、絶頂する。お尻の穴もギュウギュウとバイブを締め付けているのに、前立腺を抉る動きはそのままだから、イッても終わらない快感に、いい加減おかしくなりそうだった。

 いつ意識を手放してしまったのかわからない。気づいた時には部屋の中は明かりが落とされていて、相手が隣ですこやかな寝息を立てていた。
 体を起こすとあちこちが痛い。普段使わない筋肉を酷使したせいでの、いわゆる筋肉痛だ。
 どうにかベッドから抜け出してシャワーを浴びに行く。意識を手放した後放置されはしなかったのか、ある程度後始末は済んでそこまでベタついてはいなかったが、だからってそのまま服を着込むのは躊躇われた。
 そうしてバスルームから戻ると、部屋の明かりがついていて、相手がベッドの上にあぐらをかいて座っていた。
「満足できた?」
 こちらの姿を認めるなり掛けられた言葉がそれで、ムッとしながらもおかげさまでと返しておく。想像以上の行為で望み通りなんかではなかったが、相手の言葉通り、快楽責めというものをこの体で思い知ることは出来た。
「じゃあ、俺と付き合う?」
「意味がわからない」
 即答で返せば、だって俺昨日イッてないんだよねと返されて、どうやら昨夜は玩具以外突っ込まれなかったらしい。
「途中で意識飛ばしたのは悪かった。けど、抱かなかったのはそっちの意志だし、お前となんか二度とゴメンだ」
「酷っ。満足したって言ったのに。てか酷くしてっていったのそっちなのに」
 あんなに頑張ったのにと言われたって、もともと一夜限りの相手を探していたのだ。じゃなきゃ、こいつを誘ったりするわけがない。
「お前と恋人とかありえない」
「それってもしかして、昔のこと、まだ引きずってるから?」
「は?」
 認識されていないと思っていたから、突然昔のことと言われて焦った。
「避けられてるなとは思ってたけど、じゃあなんで、昨日は俺を誘ったの?」
「覚えて……ってか俺ってわかってたのか……」
「そりゃあ、好きな子、忘れたりしないだろ」
「は?」
「好きだったんだよ、お前のこと。でも素直にそれを認められなくて、お前にキツくあたってたのは認める」
「はぁ? 好きだったからいじめた、なんてのが通用するわけ無いだろ。俺はお前が大っ嫌いなんだけど」
「だよね! 知ってる!」
 だから今まで声掛けたりしなかったのに、でも昨日は誘ってくれたから期待しちゃったんだよと嘆く相手に、なんとも言えない気持ちになる。
 そして結局、チャンスを頂戴と食い下がる相手に絆された。といっても連絡先を交換しただけだけれど。
 ちょっと仕事で嫌なことが続いて自棄になってたからって、やっぱり誘うべきじゃなかったんだろう。今更知りたくなかった事実と、相手の押しの強さに辟易する。なのに、筋肉痛という副作用はあるものの、意識が落ちるほど強引にイカされまくった体と心は、随分とスッキリしているから困る。

有坂レイへの今夜のお題は『鳴かせる / 大人の玩具 / 唐突な告白』です。https://shindanmaker.com/464476

 
 
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