大学生になったら親友にも彼氏が出来たかも知れない2(終)

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 親友に電話を掛けたら、開口一番「やっぱ筒抜けなんだな」と笑われた。
「俺に聞かれちゃまずかった?」
『んなことないよ。でもお前に聞く話でもないかと思ってさ』
「てか、俺を喜ばせるテクなんて、そんなの聞いてどうすんだよ」
 男の恋人ができたと言われるのかと、多少ドキドキしながら聞いてみる。
『知っといたら役に立つかなと思って?』
 あんま参考になんなかったけどと言った相手は、更に、もっと具体的な話が聞きたかったんだけどなと続ける。
『この際お前でも良いや。ちょっと昔を思い出して、初めての時どんな事されて気持ち良かったか詳細教えない?』
 何言い出してんだよ。やだよ。と即答しそうになるのを堪えて、結局自分から真相へ触れに行く。
「あのさ、もしかして恋人できた?」
『男の?』
 楽しげな声に、悪戯を仕掛ける時の相手の顔が脳内に浮かんだ。こちらが何を気にして電話を掛けたかは、きっと相手もわかっているんだろう。
「そう」
『出来てないよ』
 あっさり否定されて、じゃあなんでとますます思う。
「じゃあ……」
『うん、でも、気になってる相手はいる』
 もちろん男でと言われて、やっぱりそうなのかと少しだけ複雑な気持ちになった。
『ゴメンな』
「なんで謝るの?」
『なんとなく?』
 明言は避けるものの、でもきっと彼の言いたいことはわかっている。なぜ彼に気になる男が居ると言われて気持ちが騒いでしまうのかも。
「いいよ。今、幸せだし」
 親友が彼女を作らなければ、ただのクラスメイトだった男に抱かれる事もなく、その男に恋をすることもなかった。それがなければ、今の幸せな日々はないのだ。
 親友が男を恋愛対象に出来ると知っていたら、きっと自分は親友への気持ちを捨てられずにいただろう。他の男に抱かれるなんて真似も絶対にしなかった。
『うん。知ってる』
 優しい声に、胸の中が温まる。こいつが親友で、本当に良かった。
 結局その後、親友が気になっているという男の話を少し聞いて、最後に、もし付き合う事になったらいつかダブルデートしようと言って電話を切った。脈は多分あると言っていたから、そんな日がいつか本当に来るかもしれない。
 電話を終えた後、寝る支度を整えて寝室へ向かえば、既に相手はベッドに入っていた。とは言っても寝てはおらず、部屋の電気も点いている。
 すぐにこちらに気付いた相手は、手元の携帯をあっさりスタンドに戻しながら、なぜかお帰りと言った。
 電話の中で、親友を好きだった過去を少しだけ思い出してしまったからだろうか。親友から目の前の彼へと想いが帰るような気持ちで、素直にただいまと返しながら、軽く上げられた掛け布団の中へと滑りこむ。
 同棲に浮かれて購入してしまったダブルベッドのおかげで、友人はもとより親兄弟も入れられない家になってしまったが、後悔なんてものはない。エッチなことをしない夜も、隣に彼の気配があるまま眠れるのは嬉しいと思う。
「楽しい話は聞けたか?」
「うん。恋人じゃないけど、気になる男は居るって」
「そうか」
 慰めるようにそっと頭を撫でられて、幸せなのとおかしいのとで思わず笑う。
「あいつにも言ったんだけどさ、お前を好きになって、俺は今、すごく幸せだよ?」
「そうか」
 セリフだけなら同じだけれど、声音から彼の安堵と喜びが伝わってくる。
 胸にあふれるような愛しさで、顔を寄せてその唇を塞いだ。誘うまでもなく、すぐに薄く開かれたそこから差し出された舌に、自らの舌を絡ませる。
 自ら仕掛ける深いキスであっさり昂ぶった股間を相手の腰に軽く当てれば、相手の腕が腰に回って引き寄せられて、相手の手によって相手の腰に強く押し付ける事になった昂ぶりを、腰を揺すってグリグリと刺激してくるからたまらない。
「んああっっ」
 とてもキスを続けられずに、のけぞって声を上げた。
「一応聞くが、お前の中に入っても?」
「あ、アっ、ん、して。俺の中、お前で、ああ…いっぱいにっ、んぁあ」
 刺激を止めてくれないままなので、言葉を紡ぐのが大変だ。そして了承を告げた後も、暫くはそのまま腰を揺すられ喘ぎ続ける。
 もちろん、一緒に暮らすようになってそこそこ経つので、もっと手軽にあっさり触れ合って終わる日だってあるけれど、今日はじっくり抱かれたい。だから彼を制止するような言葉は吐かなかった。
 そうすることで彼にもこちらの、しっかり抱かれたい気持ちが伝わることを知っている。
 充分すぎるほどに昂ぶって、早くイきたいと思うようになってからがスタートだ。
 彼から離れられないように、よりたくさんの快楽をこの体に刻みこんでやるという宣言通り随分と開発されてしまった体は、焦らすようにゆっくりと快感を煽られ期待に満ちている。
 甘い吐息を積極的に吐き出しながら、彼の与えてくれる全てが幸せで酔いしれた。

頂いたリクエストは「親友と彼女のてん末」「二人のイチャイチャ」「二人で過ごす日常」でした。
彼らの続きが読みたいというリクエスト、どうもありがとうございました(*^_^*)

 
 
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大学生になったら親友にも彼氏が出来たかも知れない1

親友に彼女ができたらクラスメイトに抱かれることになったの少し未来のお話です。

 学部学科は違うものの、同じ大学に進学して、ルームシェアという名の同棲を始めておよそ1年と半年。それなりに二人暮らしも板につき、相変わらずあれこれと甘やかすのが上手い相手に導かれて、めきめきと料理の腕を上げてきた本日の夕飯は、ひき肉から自分で作ったハンバーグだった。
 家事は当然分担していて、料理は確実に相手が作ったほうが美味しいので、基本的には相手の担当だ。けれど学年が上がった春頃から、彼がバイトで帰宅が遅くなる火曜と土曜の夕飯は自分が作るようになった。
 毎度律儀に今から帰るという連絡を入れてくれるので、彼の帰宅時間に合うように焼き上げたハンバーグはテーブルの上で湯気を立てている。
「おまたせ。ああ、美味そうに焼けてるな」
 荷物をおいて手洗いを済ませてきた相手が席に着きながら、まずは見た目を褒めてくれた。比較的表情が少ないこの男は、それを補って余りあるほど言葉を惜しまない。
 同時に頂きますを告げたものの、つい相手の反応が気になって、相手が食べるのを見つめてしまう。それを相手もわかっているからか、彼は真っ先にハンバーグを口に運ぶ。
「凄く美味しい。また腕を上げたな」
 最初の一口を飲み込んだ後、目元を緩めながら告げられた言葉に、ホッとして嬉しくなる。
 感情表現が控えめで表情が少なくたって、柔らかな瞳は雄弁だった。
 お前が愛しい。
 そんな気持ちが伝わって来るようで、なんだか照れ臭くもある。もちろんベッドの中では直接言葉で伝えてくれるし、その時には自分も想いを言葉にして返すけれど、たまにこうしてふいに読み取ってしまう事には、さすがに頻度が低くてまだあまり慣れていない。
「どうした?」
「嬉しいだけ。美味しいなら良かった」
 表情が乏しい事を自覚している彼は、表情から感情を読まれる事に関しては無頓着だ。と言うよりも、こちらが読み取っている事に多分気付いていない。
 気持ちを切り替えるように笑って、自分も食事を開始する。自分で食べてみても、ハンバーグはなかなかの美味しさだった。
「そういや今日、珍しい男から電話があったぞ」
 食事をしながら一日の出来事を報告する事は多いが、「珍しい男」などという少々思わせぶりな言い方がらしくない。聞いたらこちらが驚くような相手からなのかと思いながら口を開く。
「俺の知ってるヤツ?」
「ああ」
 肯定とともに返された名前に、確かに驚いた。
 告げられた親友の名前に、なんで自分ではなく彼に連絡をとったのだろうという疑問がわく。先程弄っていた携帯には、彼からの電話もメールも来ていない。自分に連絡がつかなくて仕方なく、という可能性は薄そうだ。
「なんでお前に?」
「お前がメロメロになったテクを教えろだそうだ」
「は?」
「俺とのセックスが良くて付き合ってる、というような事をあいつに言ったのか?」
「やー……どうだったかな……」
「言ったんだな」
 断定されてしまって、ごまかすようにフヘヘと笑う。
 自分たちが恋人として付き合っている事を知っているのは親友だけだったから、まだ高校に通っていた頃は、惚気のようなものを聞かせてしまったことが何度かあった。相手が上手いのか体の相性が良いのか、男同士のセックスでもキモチイ思いしかしたことがない。と言ったことが確かあったはずだ。
「セックス目当てで付き合ってる、とまでは言ってないけど」
「別に咎めたわけじゃない」
 事実だしなと続いた言葉に思わず口をとがらせる。
「セックスだけじゃなく、お前が好きで付き合ってるよ?」
「そうだな。すまん」
「まぁでも、セックス気持ち良いかは重要だよね。恋人になれなくてもいいからお前に抱かれてたい、とか思ってたくらいだし」
 まだそう昔のことでもないのに、あの頃のことが既に懐かしい。
「けっこう酷い始まり方だったからな。お前がそう言い出した時、丁寧に慣らしたかいがあったと思ったよ」
「それ、前も聞いたかも。で、あいつには何をどこまで教えたの?」
「相手のペースを見て強引に事を進めようとしなければなんとかなるんじゃないか、とは言っておいた。それだけかと不満そうだったがな」
「てかそんなの聞いてどうすんだ、あいつ」
「また恋人ができた、とは考えないのか?」
「あー……そっか、もう1年半以上経ってるもんな」
 小柄で笑顔の可愛かった彼女と親友は、結局卒業する少し前には別れてしまった。
 体育館裏で自分たちが抱き合うシーンを見られた時の誤解は早々に解いたようだし、実際自分が付き合いを開始したのは親友ではなく目の前に居るこの男なのだが、さすがに男同士で付き合って居ることなどは公言できず、自分と親友とその彼女との三角関係をネタにした噂はなかなか消えずに燻っていた。
 周りの噂なんかに振り回されてしまうのは可哀想ではあったが、周りに不安を煽られた彼女と、親友との仲が少しずつ冷めていくのは自分も感じていた。
 自分も関わって親友が恋人と揉めているのは申し訳がない。なので親友との距離を置いてみたりもしたのだが、それは彼女にも周りの噂的にもわざとらしいと逆効果だった。
 最後の手段として彼女にも真実を知らせるダブルデート案なども出してみたが、そちらは不安要素が大きすぎると親友の方から却下された。男同士で付き合っているというのを親友の彼女がどう捉えるか想像が付かないし、男が恋愛対象だと知られることで余計に疑いが深くなる可能性もあると言われてしまえばお手上げだ。
 親友がお前はお前の恋を頑張れと言ってくれたことや、大学受験などもあって、なんとなく状況がわからないまま、気づけば二人は別れていたという感じだった。
「またちっさくて可愛い感じの子かな?」
「何も聞いてないのか?」
「聞いてない。お前は? 何か聞いたの?」
「聞いてはいないが想像はつく。なぜわざわざ俺に電話を掛けてきたかを考えれば、相手はきっと男だろう」
「は? えっ、ちょっ、そんな……いやでも、ありうる……のか??」
 衝撃の発言に混乱していたら、珍しく声を立てて笑われたから、どうやら揶揄われたらしい。
「なんだよ。冗談かよっ!」
「いや。割と本気でそう思ってはいる。もし真相が違っていたら教えてくれ」
 電話するんだろとこの後の自分行動を言い当てられて頷いた。
 いったい親友の口からどんな真相が聞かされるのか気になって、せっかく美味しく出来たハンバーグなのに、いつの間にか食べ終えてしまったのが少しばかり悔やまれる。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった(目次)

日々投稿する小ネタのつもりで書いたもので、正直こんなに長く書く予定がまるでなかったものなので、キャラの名前は一切出てきません。途中けっこう後悔しました。でも名前つけて出すタイミングがわかりませんでした。
彼だのあいつだのが誰を指すのか、わかりにくい可能性があります。読みにくかったらすみません。
 
登場人物は 視点の主・親友・クラスメイト の3人です。
親友に彼女が出来たさい、親友に片思いしている主にクラスメイトが、やらせるなら慰めてやると代理セックスのお誘い。
行為を重ねるうちに主の気持ちは親友からクラスメイトへ移っていくが、好きになったとはいえずに親友が好きな振りを続けてしまう。
そんな主ですが、最終的にはクラスメイトと恋人になります。

下記タイトルは内容に合わせたものを簡単に付けてあります。
なお、シリーズに移すにあたって、「色々コネタ」「R-18コネタ」のカテゴリは外しました。「R-18コネタ」で投稿したものに関しては、タイトル横に(R-18)と記載してあります。
タグもこの目次頁に一括して載せ、各頁のものは外してあります。

12月31日追記。
続編「大学生になったら親友にも彼氏ができたかもしれない」(全2話)追加しました。

1話 おかしな誘いに応じる
2話 始める前の確認
3話 キスだけでもう気持ちが良い
4話 手と口で(R-18)
5話 重ねる行為に情がわく(R-18)
6話 親友に気付かれて話し合い
7話 親友の応援
8話 クラスメイトからの告白
9話 気持ちの確認
10話 恋人同士のH(R-18)

< 続編 >
大学生になったら親友にも彼氏が出来たかもしれない1
大学生になったら親友にも彼氏が出来たかもしれない2(終)

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった10(終)

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 今までも可愛いと言われながら触れられることは多々あって、恋人になったからといって、その言葉や響きに大きな変化があったわけじゃない。変わってしまったのはその言葉を受け取る自分自身だ。
「ん……、ふっぁ…ぁ……」
 薄いインナーシャツの上から両胸の先をいじられるだけでも、熱い吐息が抑えられない。胸の先がしびれるように疼いて、連動するように、触れられても居ないペニスの先まで疼いてしまう。
「胸だけでそんなに感じて、相変わらず可愛いな」
 少し楽しげに、そしてどこか嬉しげに笑む顔は優しい。この表情だって、前とそんなに変わったわけじゃない。ただ、気づけることが増えたのだ。
 そういえば、最初は楽しげだとか嬉しげだとかという表情だって、読み取れはしなかった。こちらにそんな余裕がなかったのもあるが、目の前の男はあまり感情表現が豊かではないせいが大きい。
 なのに今はどうだろう。可愛いという言葉の響きの中に、柔らかに笑む瞳の中に、愛しくてたまらないといった彼の感情が溢れているのを感じるようになった。パッとはわかりにくい彼の感情表現にも、ずいぶんと慣れてきたたようだ。
 嬉しくて、けれどまだ少し恥ずかしい。顔が熱くなるのを感じるから、きっと赤面しているんだろう。
「いや、最近はますます可愛くなったか」
「だ、って、お前が……」
「俺が?」
「俺のこと、すごく好きって、わかるから」
「隠すのをやめたからな」
 好きだよと続く言葉に、やはり嬉しさ半分照れくささ半分。
「ねぇ、前は、本当に隠してた?」
「どういう意味だ?」
「好きって言ってくれるようになった以外、実はそんなに変わってない。気もして」
 気づこうとしなかっただけで、前からずっと、愛しいという気持ちで触れてくれていたに違いない。それを「優しい」という一括りにして、目をそらしていただけなんだろう。そのほうが都合が良くて、なにより彼と向き合うのを怖がっていたから。
「まぁ、最初からお前が好きで誘ったし、途中で気持ちが変わったわけではないからな」
「ずっと、気付かなくてゴメン。お前だって辛かったろ?」
 別の相手を好きだと言い続ける相手を、ずっと優しい態度で抱き続けてきたのだ。
「それを気にされると困るな。人がいいのもお前の魅力の一つではあるが、俺はお前の弱みに付け込んだだけだぞ」
 感度の良さと快楽への弱さは嬉しい誤算だったが、と続けながらシャツをまくり上げられ、胸の先を直に摘まれて捏ねられた。
「ぁああっっ」
 油断して上げてしまった大きな声が恥ずかしいが、相手はしてやったりと満足気だ。
 そのまま胸の先を緩急をつけつつクリクリと摘まれ続ければ、既に張り詰めたペニスの先から、トロリとこぼれる先走りを感じてしまう。
「ぁっ、あっ、ダメぇっ」
 その訴えに、彼はちらりと視線を下腹部へ落とす。
 シワになるからと制服のズボンは最初に脱いでいたので、きっと下着に広がる先走りのシミを見られてしまった。そう思うと体の熱が更に上がっていくのがわかる。自分で自分を追い詰めるような悪循環だった。
「このままイッてみないか?」
「ヤぁ、だっ」
「替えの下着はあるんだろう?」
 まだ恋人関係になる前、一度下着の中で果ててしまって以降は、確かに一応持参している。ただ、あの時は下着の上から握られ擦られたのが原因で、胸を弄られるだけでイきたくなんてなかった。
 両親共働きで案外家事スキルの高い相手は、汚してもまたウチで洗ってやるぞと言いながら刺激を強めてくるから困る。
「やっ、やぁっ、ダメ、ムリっ、むりだっ…て」
「仕方ないな」
 やめてもらえると思ってホッと息を吐いたその瞬間。
「あぁあっだめぇっっ」
 股間の膨らみをグリっと圧迫される刺激に、たまらず声を上げて果ててしまった。何が起きたかわからなくて呆然としていたら、汚れた下着を脱がされる。
「奥、触るぞ」
「今、何したの?」
「ん? ああ、膝で押した」
「ひざ……」
 そうか、あれは膝の刺激なのか。
「やだって言ったのに」
「だから胸だけでイかせるのは諦めた」
「ずるい……」
「言っただろう。もっとたくさんの快楽を刻みこんでやると」
 いつか胸の刺激だけでもイけるようになって貰うと宣言されて、今は触れられていない胸の先が、先ほどの刺激を思い出して疼いてしまうのだから、きっとそんな日もそう遠くなく訪れそうだ。
「お前から離れられないように?」
「そうだ」
「とっく、んあぁっ」
 とっくにそうなってる。と告げるより先に、ローションをまぶし終わった彼の指先に入口を掻かれて、別の声があがってしまう。
「お前が思うより、きっと俺は欲深い。この場所も、もっともっと気持ち良くしてやりたいが、しかし恋人になったことを後悔してる、などと言われるのも困るな」
「言わねーよ」
 即答したら、彼にしては珍しいほど、随分と嬉しげに笑われてマイッタなと思う。だって恋人になったら、なんだかだんだん相手が可愛くなってしまった。正確には、可愛いと感じるようになってしまった。
 だから、ぬるりと入り込んできた彼の指が与えてくれる、まだ緩やかな刺激に甘い吐息をこぼしながら。
「お前が好きだよ。お前こそ、もっともっと欲深く俺を求めて、俺なしじゃいられなくなればいいよ」
 告げたら中を弄る指の動きが止まった。驚いた様子でこちらを見下ろす呆然とした顔に笑いそうになる。というか笑った。
「本気だよ」
 笑いながらもダメ押しとばかりに本気を伝えれば、うっすらと相手の頬が色づいていくから困る。照れる彼なんて初めて見た。
 可愛いなぁという気持ちはどうやらそのままこぼれたらしく、ますます驚き照れさせてしまったので、彼が持ち直して行為が再開するまで少しばかり待たされたけれど、こんな風にまだ知らない彼を、これから先もたくさん知ることになるのだろうと思うと楽しみで仕方がない。この男と、恋人という関係に進めてほんとうに良かったと思った。

< 終 >
数話で終わるつもりだったのに、長々とお付き合いどうもありがとうございました。

続編ができました。続編を読む→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった9

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 勢いで立ち上がってしまった後、落ち着くように言われて再度座り直し、そこから更にいろいろと話し合った。もちろん、互いの想いについてが主な話題だった。
 こちらの気持ちの変化はなんとなく感じていたものの、親友が好きだという態度を崩さなかったので、ずっと気づいていないふりをしてくれていたらしい。しかも、いつから好きだったのか聞いたら、あっさり声をかけた最初からだがと返ってきてなんとも言えない気持ちになった。彼はこちらの負担にならないようにと、ずっと自分の気持ちを隠していたようだ。
 確かに初めて触れられた時、あまりの優しさに好かれている可能性を考えた。最初に感じたあれは、どうやら間違いではなかったらしい。
 いつだって自分の都合のいいように解釈し、彼の気持ちを一度も確かめることをしなかったのは自分だ。なんてバカバカしい話だ。もっと早く確かめればよかった。
「お前を好きになったなんて言ったら、気持ちよさに気持ちが引きずられてるだけってか、こんな関係にあるからとか言われるんじゃって思ってた。関係解消したらそんな気持ちはなくなるだろうって言うかなって」
「実際それは間違ってないんじゃないのか?」
「それはそうかもだけど。だってこんな関係になってなかったら好きになりようがないだろ」
「そうだな」
「俺はさ、お前に好きって言えないことより、この関係をやめるって言われるのが嫌だった。気持ち隠してでも、お前に抱かれていたかった。臆病でごめん」
「いや、気持ちを隠していたのも、相手の気持を確かめずに居たのも、お互い様だろう」
「最初から俺を好きだったのに、俺の変化感じても俺の気持ち、確かめようとは思わなかったの?」
「確信があったわけではないからな」
 お前とそう変わらない臆病者で、それどころか、相手の弱みに付け込んで抱こうと考えるような下衆だと続けて、彼は自嘲気味に笑う。
「でもお前はずっと優しかったよ。無茶しなかったし、キモチイばっかだったもん」
「それも、無茶して嫌われたくなかっただけだ」
「じゃあさ、いつ、確信したの?」
 聞いたらあからさまに動揺されて、あまり感情を表に出さない彼にしては珍しくて驚いた。
「え、何? なんかヤバイこと聞いた?」
「あ、いや……それは、なんというか、少し後ろめたい事情が……」
 聞かれたくないことには触れないほうがいいのかとも思ったが、口ごもるというのもやはり珍しくてますます興味が湧いてしまう。
「なにそれめっちゃ気になる」
 彼は少し迷った後、わかったと言って立ち上がった。それからリビングの窓を開けて、こっちへ来いと誘う。
 促されてベランダに出れば、彼は手すりの向こうを指さして、わかるかと言った。そこにあったのは先日親友と話しこんだ公園だ。ここが2階というのもあってか想像以上に近い。
 マンション脇の公園というのは当然認識していたが、彼の家の位置などは頭になかった。しかも彼の部屋はリビングと反対側にあり、部屋から見える位置に公園はないのだ。

「え、嘘。俺らの声、聞こえた?」
「全部が聞こえていたわけじゃないが、それなりに」
 すまないと言って彼は律儀に深々と頭を下げる。
 怒る気にはならなかったが、それでもやはり、なんとなく恥ずかしい。あの日の会話を聞いて確信を持ったというなら、彼への想いを吐露した部分は聞かれているに違いないのだ。
「時々、お前が切なそうに泣いている理由が自分にあるとも、そこまで気持ちが育っているとも思ってなかった。だから俺も色々考えたんだ。お前があいつを好きだと言い続ける限り、このまま知らないふりを続けたほうがいいかどうか」
「そういうプレイかもしれないし?」
「完全に自覚があって、しかも既に抱きあう仲だというのに、好きだと言わない理由がわからなかったんだ。さっきまでは」
「けっこーくだらない理由で安心した?」
 彼とのエッチが気持ちよすぎて、自分の心よりも体の快楽を優先した結果だなんて、なんともしょうもない理由だという自覚はあって、照れ隠しに笑ってみせた。
「丁寧に慣らしたかいがあったな。とは正直少し思ったが、理由を知って逆に不安になったこともある」
「不安?」
「これから先も気持ちが良い思いはさせてやれるが、俺自身はさっきも言ったように、弱みに付け込んででも好きな相手に触れようとするゲスな面もあれば、こうして盗み聞きだってするような男だからな。こんな男はお前の本来のタイプとはだいぶ違うだろう?」
 確かに、親友と目の前の彼とでは随分と違う。似ているところがあるとすれば、自分に優しいところくらいだが、その優しさの表現はやはりだいぶ違っている。けれどどんな理由にしろ、好きだと思ってしまった気持ちは、いまさら変えようがないのだ。
「こんな話を聞いた後でも、まだ俺を好きだと言えるか?」
「言えるよ。好きだよ」
「お前の気持ちが肉体的快楽に引きずられたものである可能性が高くても、お前の想像とは真逆で、関係解消なんて欠片も考えないどころか、これから先もっとたくさんの快楽を刻みこんでやろうとか、それでますます俺から離れられなくなればいい。なんてことを考えていても?」
 もっとたくさんの快楽を刻み込んで、なんてセリフだけで、期待にドキドキしてしまう。それくらい、既にこちらの体は、彼によってイヤラシく作り変えられた後なのだ。
「いー、よ」
「では、もう一度言うが、お前が好きだ。恋人として付き合ってもらえるか?」
 今度はもちろん、嘘だなんて言わずに頷いてみせた。

続きました→

 
 
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親友に彼女が出来たらクラスメイトに抱かれる事になった8

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 その日だけで何人に真相を尋ねられただろうか。聞かれたものには正直に、自分たちの関係は変わらず親友だと返したけれど、憶測と噂はやはりじわりと広がっているようだった。
 彼女を追いかけていった親友が、そのまま彼女と険悪気味になっているらしいことも、聞いても居ないのに知らされた。それを、むしろチャンスじゃないかと囃し立てる、外野の気持ちはさっぱりわからない。自分のことで親友が彼女と揉めるだなんて、申し訳ない気持ちしかないのに。
 それとも、アイツが気づいていたように、親友を好きだった気持ちは周りにも知られていたって事だろうか?
 そんな不安がよぎりつつも、親友とその彼女は似合いのカップルだと思っているし、自分自身、恋人は居なくても好きな相手はいると告げてみた。しかし結局、無理はしなくていいだとか、その好きな相手ってのが親友なんだろうとか言われて辟易する。
 ついでに言えば、二人が付き合っても応援するだとか、男同士に偏見ないよだとか、実はあれだけ好き好き言ってて彼女を作った親友を許せないと思ってたとか、ここぞとばかりに寄せられる意見には苦笑するしかなかった。
 他人の言葉は無責任に自分勝手で、この状況を面白がられていることだけは確かだ。
 そんな中、アイツは何も言ってはこなかった。最近は教室内でもそこそこ一緒に居ることが増えていたのに、スッと距離を置かれた気がして内心焦る。
 放課後、話したいことがあるから一緒に帰ろうと誘えば、断られることはなく、しかも当たり前のように彼の自宅へ招かれた。けれど通されたのは彼の部屋ではなくリビングだ。
 なんとなくの成り行きで一緒に食事をしたこともあるので、リビングに入ったことがないとは言わないが、最初からずっと当たり前のように彼の部屋に直行だった分、それだけでもショックを受けている自分に気づいて泣きそうになる。この関係を終えたくはなかった。
 4人がけのダイニングテーブル向い合って座ると、その距離感がなんとも寂しい。二人の間のテーブルが、まるで彼の拒絶のようで、彼の顔を見ていられずに軽くうつむき話し始める。
「あいつとの噂のことなんだけど……」
「ただの噂で、親友は親友のまま、なんだろう?」
 誤解されているわけではなさそうでホッとする。
「そうだよ。だから俺らの関係、終わりにしようとか言わないで」
「あいつへの想いを紛らわせるために、これからも慰め続けて欲しいと」
「うん、そう」
「本当にそれでいいのか?」
「いいよ」
 即答したものの、どういう意味だと不安になった。
「てかさ、お前もチャンスだとか、思ってる?」
「まぁ、いい機会だという気はしている」
「でも俺、あいつと彼女の邪魔する気、一切ないよ」
 こわごわと尋ねてみたら肯定されて、返す声は震えてしまった。
「何の話だ」
「だから、チャンスだよ。あいつが彼女と揉めてるうちに、彼女からあいつを奪い返せって。奪い返すも何も、もともと親友で、今も親友なんだから、何も奪われてないのにさぁ」
「ああ……そういえばそんな話も聞こえていたような気がするな」
 机の位置はあまり近くないけれど、同じクラスなのだから、こちらの会話が届いていてもおかしくはない。しかしだとしたら、彼の言う機会とは何をさすんだろう?
「皆随分と好き勝手言っていたな」
「だよな。ホント、まいった」
「しかし的を得ていた言葉もあったろう」
「え、どれ?」
「好きなら好きだと本人にきちんと伝えないと意味が無い」
 確かに半分説教じみた感じに言われた記憶はある。たしか、恋人は居なくても好きな相手は居る、という話の時だっただろうか。
「それが言えてたら、そもそもお前に抱かれるような目にあってないだろ」
 苦笑しつつちらりと見てしまった彼の顔が、思いの外真剣でなんだか落ち着かない。彼の視線から逃げるように、ずっとややうつむき気味でいたのに、ますます頭が下がってしまう。
「顔を上げてくれないか」
 ビクリと体が震えるのがわかった。腿の上でぎゅっと拳を握りしめれば、優しく名前を呼ばれる。促されてゆっくりと顔をあげるものの、やはり真剣な彼の顔を直視できない。
 彼は困った様子で、わずかばかり苦笑したようだった。
「いまの俺達の関係を、本当にこのままの状態で続けたいか?」
「ダメ?」
「ダメではないが、辛くないのか」
「そりゃ辛いよ。言えるなら好きだってちゃんと本人に伝えたいし、恋人になれるなら恋人にだってなりたい」
 それは紛れもない本心で、けれど伝えたい相手はもちろん親友ではない。好きだと伝えたいのは目の前に居る彼だった。けれどそれを隠すための言葉を続ける。
「でも、仕方ないだろ。あいつは彼女が居て、俺はそれを邪魔したいわけじゃない」
「そういうプレイが燃える。などと言うなら黙っていたほうがいいかと迷っていたんだが、恋人になれるならなりたいとまで思っているなら、正直に言ってくれてもいいんじゃないか?」
「は? プレイ? 燃える? てか正直に言えって……」
 あれ? もしかして気持ちバレてる? などと焦るなか、彼は更にとんでもないことを言い出した。
「本当に好きな相手とは出来ないから、仕方なく好きでもない相手に抱かれる。というシチュエーションが気に入っているのかと……」
「えっ、いやいやいや。なんだそれっ」
「どうやら少し誤解していたらしい。恋人になりたい気持ちがあるなら、何もお前から言わせる必要もないな」
 俺から言おうと続けた後。
「お前が好きだ。誰かの代わりではなく、今度は恋人として、お前との関係を作り直したい」
「嘘だっ!」
 勢い良く立ち上がりながら叫べば、やはり酷く真剣な顔で、嘘じゃないと返された。

続きました→

 
 
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