生きる喜びおすそ分け22

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 全然似てないですよねと確かめるように聞いてしまえば、方向性が違うからと返された。
「方向性……」
「君は器用さが興味の幅に繋がってるタイプ。俺は器用さが虚しさに繋がってるタイプ」
 昔はもう少しあれこれ興味を持ててたんだけどと言ったあと、ふいにニヤリと笑って、君もいつかこの虚しさを身を持って理解する日がくる可能性が、なんて言い出すから怖くなる。だってその可能性を、一瞬自分も考えた。
「冗談だからそんな顔しないで。君は俺のようにはならないよ」
「なんでそう言い切れるんですか」
「興味の幅は今より断然あったけど、だからって君のように、生きてて良かった、だとか、このために生きてた、なんて思ったことがなかったからだね。君のそれは器用さとは別の、一つの才能だよ」
 俺にはそっちの才能はないと言って苦笑する顔が寄せられて、唇をチュッと吸っていく。
「さて、こっちも準備できたんだけど、入って平気?」
 会話をしながら相手がコンドームを装着していたのはもちろん見ていた。構わないと頷いて見せてから、よつばいの姿勢で相手に尻を差し出した。
「後ろからがいい?」
「えっ?」
 思わず背後を振り返ってしまったが、相手は何かを思い悩んでいる。
「あの……」
「後ろからのが挿入が楽だとか言うのは読んだけど、前から抱かれた経験は? ある?」
「な、くはない、です、けど」
「後ろからされる方が断然気持ちよかった?」
「え、と、」
 後ろからされたほうが気持ちいいかどうかは正直良くわからない。つまり、後ろからされた方が断然気持ちよかった、と言えるほどの差なんてない。
 単純に、過去の数回ほどの経験全て、最初の挿入が後ろからだった、というだけだ。相手が一人なのだから、手順もだいたい同じで、つまりは過去の男の影響を思いっきり見せつけてしまったに過ぎない。
 その事実に気づいて焦る。
「あ、いや、その」
「あー、過去の経験なんか聞かれたくないよね。つい余計なこと聞いたね、ごめん。でも、どうしても後ろから挿れてってわけじゃないなら、出来れば前から抱きたいんだけど、だめかな?」
「だめ、じゃない、です。いいです。大丈夫」
 慌てたまま体勢を仰向けに変えて足を開いたが、そんなに慌てなくてもと苦笑されて、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「後ろからのが楽ってのは挿入する角度の問題だろうから、腰の下にちょっと枕入れとこう」
「っはい」
「もしかして前からのが緊張しちゃう?」
「うっ、まぁ、その、初めて、なんで……」
「え、初めてって?」
 さっき前から抱かれた経験あるって言ったのに、と思っているのがありありとわかって、しどろもどろに、最初っから向き合って挿れられた経験がないことを説明した。
「ああ、そういうことか。抱かれたことはあっても抱かれ慣れてはいない、ってのはわかってるのに、すぐに気付けなくてごめんよ。多分前からでもそんなキツイ思いさせないとは思うんだけど、苦しいとか痛いとか辛いとか、あればすぐに教えてね」
 そう言いながらも、アナルに触れたのは彼の指で、ゴムを被せたペニスの先端じゃない。
「ぁん、っぁ、な、んで」
 またぬるっと指を、多分二本ほど挿入されてゆるゆるぬるぬると出し入れされる。
「ぁ、…っああ……ぁんんっ、なんでぇ」
 戸惑いながらも気持ちよさに喘いでしまえば、緊張してたらおちんちんで気持ちよくなるの難しいでしょと笑われた後、それに言って欲しい気持ちもあるしと続いた。
「いう? って?」
「お願いだからもうイカせて、とか、お願いだからおちんちん挿れて、とか?」
「言っ、たら、張り切って、うんと、気持ちよく?」
「うん。してあげる」
 つまりこれは、さっき言ったことを、早速実行してくれているらしい。余裕そうに見えていようが、本人的には余裕なんて無いのだと言っていたから、無理って意味かと思っていた。

続きました→

 
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