憧れを拗らせた後輩にキスを迫られたので1

 放課後のグラウンドから見上げるとある教室。ここ最近、同じ顔が毎日のようにグラウンドを見下ろしていた。教室の位置から考えて、相手は下級生らしい。
 誰を見ているんだろう。
 結構な頻度で目が合う気がするから、もしかして自分を見ているんだろうか?
 さすがに自意識過剰かとも思ったがどうにも気になる。しかも、こちらがあまりに気にするせいで、部活仲間にもあっさりバレてしまった。
 毎日のようにうちの部を見ている奴がいて気になると言ってごまかしたせいか、ちょっとお前勧誘してこいなどという話になり、翌日は部活に直行せずその教室を訪ねてみた。
 教室の扉をガラッと開けたら、中は既に彼一人で、振り向いた相手が驚きに目を瞠る。
「あれ?」
 声を上げたのは自分だ。グラウンドからの距離では気付かなかったが、知っている顔な気がした。しかしどこで会っていたのかは思い出せない。
「あー……あのさ、ちょっと、いいか」
 黙って見つめ合う空間に耐えられなくなったのも自分が先で、取り敢えず勧誘だけはしておくかと声をかけた。
 頷くのを待って、彼が座る窓際の席まで近づいていく。
「あのさ、うちの部、気になるならこんなとこからじゃなくて、もっと近くで見ないか? それでもし興味湧いたら、ちょっと時期外れたけど、今から入部でも俺たち歓迎するしさ」
 相手は少し困ったように軽く俯いて考えこんでしまう。
「あーいや、無理に、とは言わないけど」
「スミマセン……」
「や、謝らなくていいって」
 顔を上げた相手は申し訳無さそうに苦笑していた。
「あの俺、足、ダメなんですよね。怪我で、走れなくて……」
「あー…ああー、ゴメン。そっか、うん、本当ゴメン」
「謝らないで下さい。未練だってのはわかってて、でも、つい、見るの、止めれなくて」
 気にさせてすみませんとまた謝られて、いやいやいやこっちこそ意識しすぎてゴメンと、謝罪合戦を繰り広げたのち、おかしくなって二人一緒に笑ってしまった。
「あのさ、も一個気になる事あるんだけど、ついでに聞いていいかな」
 笑いの衝動が収まってからそう切り出せば、どうぞと落ち着いた声が返される。
「俺たち、どっかで、会ってない?」
「ああ、会ってますよ」
 あっさり肯定が返って驚いた。
「え、どこで?」
「小学生の頃、試合で。その頃は俺の足もまだ大丈夫だったから」
「あ、経験者?」
「だから未練なんですって」
 やっぱり相手は苦笑顔だ。
「あー……」
「それにしても、良く、気づきましたね」
「なんとなく? でもお前は気付いてて、俺を、見てた?」
「はい」
 またしてもあっさり肯定が返ってきたが、今度は驚くというよりもどこか安堵に近い気持ちが湧いた。
「あ、やっぱ俺を見てたんだ。しょっちゅう視線合う気がしたし、熱い視線にもしかして惚れられてる? とまで思ってさ、自意識過剰過ぎだろ俺、とか思ってたわ」
 笑って流しておしまいにするつもりが、思いの外真剣な相手の目とぶち当たってしまって、笑いかけて開いた口を思わず閉じてしまう。
「それ、自意識過剰でも何でもなく、事実ですよ、って言ったら、どうします?」
「えっ?」
「ちょっと憧れの人でもあったんで、俺が覚えてるのは当然なんですよね。というか、この学校受験したのも、半分以上はもう一度貴方に会いたかったからですし」
 憧れ拗らせてなんか恋愛感情っぽくなっちゃって、俺も困ってるんですよと苦笑する顔は、なぜかもう見慣れたものになってしまった。

続きました→

有坂レイさんにオススメのキス題。シチュ:教室、表情:「無表情(or驚いた顔)」、ポイント:「抱き締める」、「相手にキスを迫られている姿」です。 shindanmaker.com/19329

 
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