夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい・その後の二人の久々H4(終)

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 小分けのローションひとつでは簡単に弄る程度のこと以上は無理かもしれないと思っていたし、どれだけねだられたって颯真の体を傷つけてまで応じる気はなかったのだけれど、これなら本当に、このままこの場所で繋がってしまうことも出来そうだ。
 言葉以上に、早く翔と繋がりたくてたまらないのだと、体で訴えられているようでたまらない気持ちになる。
「んぁっ、はぁ、翔さんの、指ぃ」
 更に甘えた声で喜ばれてしまえば、煽られて気持ちがせいていく。
「気持ちいい?」
「ん、あ、きもちぃ。きもち、いい」
「なら良かった」
「翔さんにして貰うの、ずっと、ほんと、待ってた。一人でするの、気持よくなれても、寂しいの、どーしようもなくて」
 だから今、翔の指で弄られ気持ちいいのが凄く嬉しいのだと、そう訴える声は少しばかり涙声だ。恋人にはなるが卒業するまではもう抱かないという約束は、思っていた以上に颯真を追い詰めていたのかも知れない。
 してくれないのわかってるから、誘って困らせて断られて、それで落ち込むくらいなら誘わない。その代わり卒業したらちゃんと抱いてねと笑う顔に曇りがなく、あっけらかんとしていたから、気付けずに居たようだ。
「颯真、すごく上手に、解れてる」
「ん、がんば、ったから、ぁ、だから」
「うん。颯真の中、入っていい?」
 小さな頷きの後、はやくきてとねだられた。こちらは一切服を脱いでいない状態だが、幸いなことに走りに出る予定で上下ともランニングウエアだ。手早く下着ごとズボンを下げて、取り出したペニスを颯真の尻の狭間に押し当てた。
 既に充分硬く育っていることを知らせるように数度擦り付けてから、入るよと声を掛けてゆっくりと挿入していく。
「ぁ、ぁぁあ、んんっっ」
 途中でまずいと思ったのか、上がる声は噛まれてしまった。しかし声を殺し慣れていないせいか、快感を逃し損ねて背中がわなないている。繋がる中も連動してぎゅうぎゅうと締め付けてくるから、さすがにこちらも動きを止めた。
 颯真の呼吸が多少落ち着くのを待ってから、その耳元に口を寄せる。
「立ったままも、声を気にするのも。思ってた以上に辛いなら、今から寝室に移動してもいい。けど、ここで首を横に振るなら、俺ももう止まらないよ」
 どうする? と問えば、小さいながらもはっきりとした声音で、ここで、と返ってきた。
「わかった。じゃあ、イカせるつもりで動くから、頑張って。そこまで防音性がないわけじゃないから、多少は声出ちゃっても大丈夫だから」
 その言葉に安堵したのか、体の緊張が解けていく。それに合わせて、ゆっくりと挿入を再開すれば、今度は颯真も呼吸を合わせてくる。
「ぁ……、は、ぁぁ……」
 噛み殺さない喘ぎが、それでも控えめに漏らされるのが、やはり新鮮だった。
 きっちり準備がされているのもあるが、翔との行為がない間、一人でする時に相当弄っていたのだろう。久々だと思えないくらいに柔らかに包み込まれ、更には慣れない体勢のせいか、それとも興奮のせいか、締め付け蠢く動きも激しい。それをゴムを付けずに直に感じ取っているのだから、与えられる刺激を耐えるのもなかなかに大変だ。
 正直に言えば、弱いところをガツガツと抉って、あられもない声を上げて善がる姿を見ながら、すぐにでも果ててしまいたい。
 我慢しきれず玄関先で盛っちゃう感じがいい、なんてことを言っていたくらいだから、もしそれを実行しても、まず間違いなく、颯真の機嫌を損ねることはない。それでも、まずはゆっくりと馴染ませるように腰を使う。
 この様子なら、颯真だってそう長くは保たないとわかっているからだ。
 案の定、そう待たずして、颯真の口からはイキたいだとかイッちゃうだとかの言葉がこぼれだす。合間合間に、何度も名前を呼んでくれるのが、あざといと思うこともあるものの、たまらなく愛おしい。
 前に回した手で、颯真のペニスの先端を包み込む。
「ぁあっっ」
「なるべく汚さないように、今日は、俺の手に出そうな」
 ペニスに一切触れないまま前立腺の刺激だけで射精したり、射精を伴わずに中の刺激だけで絶頂するドライオーガズムはまだ無理だけれど、握って上下に扱き射精を促してやる必要はない。手のひらで先端を緩く刺激しながら、前立腺を狙って責めてやれば、あっという間に上り詰めていく。
「ぁ、あぁっ、翔さん、ぁ、翔さんもっ」
「もちろん、一緒に行くよ」
「あ、あ、ぁああ、イッ」
 吐き出されてくる白濁を手のひらで受け止めてやりながら、収縮する腸壁を堪能するように、更に数度中を擦って自身も果てた。
 心地よい疲労感と快感の余韻の中、目の前の体を緩く抱きしめ、髪や耳や首筋にチュッチュと唇を落としていく。
 中に出してしまったのだから、なるべく早いうちに後処理をするべきだというのはわかっているが、それでももう暫く、颯真とこのまま繋がっていたかった。
 そんな翔の気持ちが伝わっているのか、それとも同じ気持ちで居てくれるのか、何も言わずに顔だけ振り向いて、視線と口元だけでキスをねだってくるから。
「好きだよ、颯真」
 言葉にして愛しさを伝え、嬉しげに頬を緩ませた颯真が俺も好きですと返してくれるのを待ってから、その唇にキスを落とした。

<終>

 
 
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生きる喜びおすそ分け36

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 それなら良かったと言われて、またゆっくりとペニスが前後しだす。といっても長いストロークではなく、弱い場所を狙って擦りあげたり突き上げたりする動きでもなく、深いところをゆるやかにグッグッとこねられている。お腹の深い所から、じんわりと熱が生まれてくるのがわかる。
「奥、痛くない?」
「だいじょぶ、です」
 はぁはぁと熱い息は溢れ続けているけれど、どうしようもなくアンアン喘ぐような強い刺激ではないので、口は覆っていない。
「じゃあもう少し、ここ、させて」
 もちろん嫌だなんて言うはずがない。前立腺みたいにはっきり気持ちがいいと感じるわけではないけれど、じんわりと滲み出す熱がジクジクと疼く感じは、この後の快感を期待させる。前立腺だって、初めて弄られた時はキモチイイより違和感の方が強かった。
「おく、きもちぃ、です、か? それとも、おれの、ため?」
「君のためって?」
「おく、開発して、そこでもキモチ良くなれるように、みたいな」
「なれそうな感じ、ある?」
「たぶん。おなかのなか、熱い、し、なんか、じくじくして、もどかしい、から」
「そうか。それは楽しみだな。ここで感じるようになったら、どんな風におちんちん締め付けてくれるんだろうね。今も充分気持ちいいから、凄いことになりそう」
「今も、きもちいい」
「うん。きもちぃよ。ゴムがないせいだろうけど、おちんちんの先に吸い付かれるみたいな感覚が、昨日よりずっとリアル」
 相手の言葉を拾って、良かったとホッとすれば、すぐにもう一度肯定をくれる。しかもそれだけじゃなく、どんな風に気持ちがいいのかまで解説されて、少しばかり恥ずかしい。
「おちんちんに、吸い付く……」
「動きが小さいからわかりにくいかな」
 ちょっとごめんねと言われて、背後から回された相手の手に口元を覆われる。えっ、と思う間に、素早く腰を引かれて仰け反った。
「ふんんんっっ」」
 押し込む動きは緩やかに、けれどズルっとペニスを引き抜く動きは素早く、というのを数度繰り返されて、ビクビクと体を震わせる。引き抜かれるたび、出ていかないでと追いかけるみたいにキュウウとお腹の中が絞られるような感じがしたし、押し込まれて戻ってきたペニスを、喜ぶみたいにグニグニと締め付けてしまうのもわかった。
「先っぽどころか、全部に吸い付かれてるみたいになっちゃったけど、ちょっとは君にも感じられた?」
 何度もうんうんと頷けば、またグッグッと緩やかに奥だけをこねてくれる。でも一度強く反応してしまったせいか、彼のペニスに纏わりついて締め付ける自身のお腹の動きが止まらない。
「んっんっ、んっ、んっ」
 口を開放されたら甘やかに声を上げてしまうのが、きっと相手もわかっているんだろう。口を押さえられているせいか、お腹の奥から湧き上がる熱のせいか、もしくは足だけとは言えお湯に浸かり続けてのぼせてきたのか、次第に頭がぼんやりと霞みだす。
 腕が震えて体を支えていられず、目の前の岩に身を伏せれば、こちらの限界を感じ取ったらしい相手が、口を押さえているのと反対の手を腰から前に回してくる。また完全に勃起しきっているこちらのペニスを、がっちり掴んで扱き出す。
「んんっっ」
 相手も射精するための腰使いになっているが、昨日みたいに弱い場所を狙って激しく擦りあげるのではなく、そのまま奥をガツガツ突かれて目の前に火花が散った。さすがに少し痛くて、でも、ジクジクとしたもどかしさが快感に結びつき始める。気持ちがいいのは握って扱かれているペニスで、錯覚混じりかもしれないけれど、それでも間違いなく、お腹の奥がキモチイイ。
「んっ、ん゛っ、ん゛ぅっ」
「きつそうだけど、もうちょっとだけ付き合って。一緒に、イッて?」
 必死に頷きながら、相手の手に高められるままビュクビュクと白濁を吐き出せば、痙攣するお腹の中で、相手のペニスもドクドクと脈打っている。お腹の中にじゅわっと熱が広がっていくような気がした。きっとそれが、中に直接吐き出された、彼の精液なんだろう。

続きました→

 
 
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兄は疲れ切っている34

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 中の反応が治まって、甘えるみたいにくたりと寄りかかってくる体を、抱きしめ続けていた腕を解いてそっと撫でてみる。
「んっ……」
「やじゃない?」
 甘やかに鼻を鳴らされ、大丈夫そうかなと思いながらも問いかけた。相当敏感になっているだろう肌へ触れている自覚はある。
「ん、きもちぃ、よ」
「そう」
 もっと、と言われるまでもなく、さわさわとあちこちを撫で擦れば、また蕩ける声が溢れだす。もぞりと微かに揺すられた腰にねだられた気持ちになって、再度小さな動きで奥を突いてみたが、嫌がる素振りはなかった。
「ぁ……ぁあ……」
「気持ちよさそな声、ほんと、可愛い。ここ、そんないいの? さっきドライでイッたの、わかってる?」
 射精してなかったよと言えば、うん、と頷かれたから、本人の自覚もあるらしい。
「射精無しでイクの覚えたら、連続でイケるようにもなるらしいよ」
 コツコツ続けたらもっかいドライでイッちゃうねと続けても、うん、と頷かれてしまったから、これはもう、そうしてくれって言われているのと同義だろう。多分。
「じゃあずーっとコツコツ続けてあげる。俺以外誰にも触れさせない、兄貴の奥のとこ、愛し続けてあげる。だから兄貴の体力続くまで、何度だってイッて見せて」
 抱き潰すよという宣言にまで、うん、とうっとり頷かれて多少心配になったけれど、好きだよと告げた言葉に俺もと返ってきたから、きっと意識はちゃんとある。だから宣言通り、ゆっくり優しく奥の壁を突き続けた。
 ぎゅっとしてと頼まれたのは二回目の絶頂前くらいで、ぎゅうと抱きしめたまま、イッてる最中もずっとコツコツ続けてやれば、そこから先はもう、意味のある単語は殆ど兄の口からこぼれなくなる。いい、とも、イク、とも、来る、とも言わず、ただただ甘やかな吐息を零し続ける。
 声の調子と体の反応から、何度か大きな絶頂の波が訪れたのはわかったが、実際のところ、何度イッたのかはわからない。
 ゆっくりとした腰の動きでも、兄の痴態と絶頂時の蠢動に、すでに二度射精した後であっても、だんだんと我慢が効かなくなる。すでにこちらの言葉などどこまで届いているか怪しいものの、それでも、イキそうだと兄に告げた。
「ね、俺も、いきそ。ちょっとだけ、強くするね。でもまたすぐ、ゆっくりコツコツ、してあげるから」
 三発目を終えてもなお、すぐに奥を突けるほどの復活を果たすかは微妙だったが、でもまぁきっと、この兄を前に反応しないということはないだろう。
「ぁあああ、ひぃっ、あっあっあっ」
 大きめのストロークで、引いた腰をズンと勢いよく突きこむ動作を繰り返せば、甘やかに蕩けるばかりだった声が高く響く。
「ごめん、ちょっとだけ、だからっ」
「ぁ、ぁっ、あっ、いいっ、あ、いいっ、すごっ」
 聞こえていないかもと思いながらも、宥めるように発した謝罪だった。しかし、強い刺激に触発でもされたのか、兄がはっきりイイと応じてくる。
「はっ、まじで」
 それならばと、更にグッと奥まで強く突きこんだら、今までは押し上げるだけだった奥の壁が開き、ぐぽりと亀頭が飲み込まれるのがわかって焦った。
「ぁあああああ」
「ご、ごめっ」
 暴れかける体をとっさに押さえつけて、慌てて腰を引いたのは多分失敗だった。
「んひぁああやあああ」
 嵌ったものが抜かれる感覚に、兄が悲鳴をあげる。しかし、その頃には最初の焦りが引いて、何が起きたのかは理解できていた。偶然なのか、さんざん優しく捏ね回した結果なのか、あの一瞬ですら、開かれた先に先端を咥えこまれた快感を忘れられない。
「ごめん、ほんと、ごめん」
 謝りながらも、今度は狙って奥の壁を開かせる。やっぱり悲鳴みたいな声を上げてがくがく震える体を抱きしめながら、亀頭に吸い付かれるような快感の中で射精した。

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兄は疲れ切っている32

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 過ぎる快感に掠れかけの悲鳴を上げてもがく体を押さえつけ、蠢きギュウと絡みつく内壁の抵抗を押しのけるようにして、一気にぐうっと奥まで押しこんだ。ペニスの先にコツンと当たるのは、結腸の入り口なんだろう。
「この先にちんぽ入れさせて、とは言わないけど、この先にまで、俺のザーメン、たっぷり注いでやるから」
 そう宣言しながら、ペニスの先端を擦り付けるみたいにして、何度もグッグッと押し上げる。こみ上げる射精感に身を任せるまま、ズンと一層深くまで届くようにと腰を突き出した。
「っは、出る。出すよ。兄貴の腹ん中、俺ので汚して、ここはもう俺だけのもんだって、マーキングすっから」
「ぁ、ぁああ、でて、でてる、ぁあっ」
 二発目だからそこまで量も勢いもないと思うのだけど、本当にわかるものなのかなんて事は重要じゃない。
「ああ、出てるよ。ビュービューたっぷり注いで、ちゃんと、ちんぽでも届かない奥の奥まで、俺ので汚してやったからな」
 自信満々に言い切ってやれば、んふっと小さな笑いが溢れた。
「マーキング?」
「そう。マーキング」
「お前、以外に、誰にも触らせたりしないけど、ね」
「知ってる。じゃなくて、兄貴の体に、腹の中の奥の奥まで全部俺のものになったんだぞって事を、刻みたい感じ」
「ああ、そっか」
 嬉しいなと言ってはにかむ姿が可愛くてたまらない。
「ね、ぎゅってしたい。し、して、欲しい」
 さすがにこのまま三発目頑張ったりしないよね、と確認されて、出来なくないけどと返しながらもゆっくりとペニスを引き抜いた。ホッと大きく安堵の息を吐かれたけれど、休憩すると言ったわけでもない。まぁ、抱き潰してもいいと言われていても、さすがにそう連続でガツガツ揺する気もないけれど。
 簡単にドロドロにぬれた互いの股間と、兄の腹に散った二回分の精液を拭った後は、兄の隣に寝転がって、まずは要望通り、ぎゅうと互いに抱きしめあった。ただし、背を抱く手はすぐに腰から臀部を辿り、割れ目へ差し込んだ指先が繋がりを解いたばかりの穴へと触れる。
「ぁ、んんっ」
 体勢的にあまり深くまで指を突き込めるわけではないので、浅い場所をクチクチとくじってやれば、甘い吐息がこぼれだす。
「ちょ、あんま弄らない、で」
 休まらないよと言うので、休憩するとは言ってないと返してやる。
「えっ……」
「激しくはしないから、後はゆっくり感じて、気持ちよくなろ。とろとろに感じて貰えるように頑張るから、気持ちよ〜くイケたらさ、うっとり甘える顔、見せて」
 えええと更に戸惑われたけれど、今度はゆっくり愛し合おうよと誘えば、そんな事言われたらヤダって言えないだろと困ったように笑われた。

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雷が怖いので46

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 誰に気持ちよくさせられているのか、イきたくてたまらないほど気持ち良くなっている自分にイく許可を与えられるのが誰なのか。今、泣きながらイくのを耐えているのでさえも、自分が彼のものだからなのだと、丁寧に教えるように一つ一つ言葉を刻み込まれていく。同時に、彼がペニスを突き立て気持ちよさを与えるのは、自分ただ一人なのだと宣言する言葉も甘やかに刻まれていく。
「ほら、ここが最奥。お前のこんな深い場所に入っていいのは俺だけだね?」
 もう言葉なんて出なくて、必死で頷きながら彼の首に縋り付く腕に力を込める。
 最奥へ到達されても、痛みはない。苦しさはあるが、イかせて貰えない方の苦しさが圧倒的で、奥へ入り込まれた苦しさは良くわからなかった。
「じゃあ、今からこの一番深い場所も、俺だけのものになろうな。俺をたくさん擦り付けて、俺の吐き出すもので汚して、俺の全部をお前の深くに刻み込んであげるから」
 意識は保ってろよと言われて、震えそうになりながらもやっぱり必死で頷いた。
 意識を保てというのは、イくなと言われているのと同義だ。だってここまで焦らされてたら、まともな意識を保ったまま達することなんてきっとできない。
 いや、そもそもこの状態で、奥を突かれてどうなるのか想像がつかない。だって一度も中イきしてない状態で、ここまで入り込まれたことがそもそも初めてだ。中イきしてたって快感が足りなければ痛かったり苦しかったりするのに。だから動かれたらやっぱり痛みや苦しさに圧倒されて、イきたくてたまらない気持ちなんて霧散するかもしれない。
「ああ、大丈夫」
 こちらの不安にはやはり気づいたらしく、優しい声が宥めてくる。
「ゆっくりやるし、お前もちゃんと気持ちよくなれるから」
 お前も一緒にイくんだよと言われて、無理だと首を横に振る。彼が言うからには、このまま突かれても気持ちよくはなれるのかもしれないけれど、そうしたら意識を保っていられない。
「何がダメ? 気持ちよくなれそうにない?」
 今、痛くないだろ? と確認されて頷けば、気持ちよくなれるし気持ちよくしてあげるから大丈夫だと、甘やかな声が脳を揺さぶった。この体も心も、彼の声で気持ちよくしてあげると言われたら、期待で興奮が増してしまうように作られている。
 そしてそれを証明でもするように、奥深くをゆっくりと突かれて揺すられる。痛くはないが強烈な快感が走るわけでもなく、じわじわとした熱が広がるみたいにゆっくりとキモチイイも広がっていく。
「ぁ、ぁっ、……だ、めっ」
「どうして? もう、気持ちよくなり始めてる」
「イ、ったら、……飛ん、じゃ」
 こちらの感情はかなり読み取ってくれるけれど、なにもかも見透かされているわけじゃないから、言わなければ伝わらないこともあると知っている。だから言葉をむりやりに絞り出した。
「ああ、意識を保てない不安だったのか」
 やっぱり甘やかな声が、大丈夫だと繰り返す。
「気持ちよさで頭の中が焼ききれるような、そんな激しい動きはしない。そういう抱き方は、今日は、しない。ゆっくり擦られながらじわじわ上り詰めるのも、浅いとこでなら出来るだろ? それと一緒。ここでそうするのは初めてだから、ちょっと時間かかるかもしれないし、焦らしまくったからどこまでキモチイイってなるかはわからないけど、でも、もしお前が何も考えられなくなったとしても、その前にはきっと、俺は全部お前のものになってるよ」
「きっと、じゃ、やだっ」
「わかったわかった。じゃあ、確実に、お前のものになってる。約束する」
 俺がイくまで絶対にお前をイかせない。なんて言ってちょっと意地悪なニヤリとした笑顔を見せられたけれど、ホッとしつつそれでいいと何度も頷いてみせた。
 ふふっと柔らかに笑われた気配の後、お前は本当に俺が好きだねと、今更過ぎる言葉が落ちてくる。どこまでも貪欲に俺の全部を求めてくれるのが嬉しいよとも続いた。
「すき。だい、すきっ」
「うん。俺も好き」
「ぅえっ?」
「俺も、好きだよ。お前が俺のものになっていくたび、自分の中にボコボコ空いてた隙間に、お前が入り込んで満たされていくみたいな感じがしてる。お前が俺のものになって良かったって、凄く、ホッとしてる」
 認めるよと続いた言葉は苦笑を含んでは居たけれど。
「俺はずっとお前が好きで、お前のことがずっと欲しかった。お前を自分のものにしたかった」
 好きだよ。認める。と繰り返されて、真っ先に反応したのは体だった。
「ぁあっ」
「ホント、可愛くて素直な体だね。お前のここが、早く俺だけのものになりたくて、俺のを注げって絞り込んできてる」
 甘い吐息に混ぜて、お前の中がキモチイイよと告げられて、たまらなくなる。
 めちゃくちゃに突かれて、頭の中が焼ききれるような激しい快感が欲しいとすら思いながら、自分から腰を揺すった。
「あ、あっ、すき、すきっ。して、イッて、きもちく、なって」
「うん。俺も好き。色々待たせてゴメンな」
 一緒にキモチヨクなろうなと言われながら、こちらの動きに合わせて奥を優しく捏ねられる。
「あっ、ああっ、や、あたまっ、しろくなっ」
「ん、いいよ。も、いいから。俺はもう全部、お前のものだよ。お前がイくのと同時に、ちゃんと注いであげるから」
 だからこのままイきなさいの言葉に押し上げられて、じわじわと広がりきっていた快楽に身を委ねた。
「ぁぁぁああ、んああっっあああ」
 頭の中が真っ白になっていても、彼を咥え込むその場所を起点に体が痙攣しているのがわかる。中で脈打つ彼のペニスからビュクビュクと精子が吐き出されているのも、ちゃんと感じることが出来ていた。

続きました→

 
 
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淫魔に取り憑かれてずっと発情期

 壁に手をつき尻を突き出しながら、熱を持った固い楔に尻穴を穿たれると、心に反して自身の熱も昂ぶっていく。発情しきった体は慣れてしまった行為に明確な反応を示すのに、こんなことは望んでいないと反発する気持ちが抑えきれない。
「ぁっ、んぁっ、やぁあっ」
「こんなぐちゃぐちゃのトロトロにして腰振って誘って、何がやぁあだ」
 背後でフンッと鼻で笑った相手は、容赦なくガツガツと尻穴の中をえぐってくる。多少乱暴に突かれても、たまらない快感が体の中を走り抜けていく。なんてイヤラシイ体だと、惨めな気持ちで泣きそうになった。
「何泣いてんだよ。気持ち良すぎってか」
 耐えられず何度かしゃくり上げれば、下卑た笑いが響いて今日の相手はハズレだなと思う。
「すっげ良さそうだもんなぁ」
 淫乱ケツマンコだなどと揶揄い混じりに告げながら、随分と自分勝手に好き放題に腰を振ってくる相手に、こんな体じゃなければ絶対に感じないのにと悔しさがこみ上げた。
「あっ、あッ、もイくっイッちゃう」
 こんな場合はさっさと終わってしまうに限る。
「ほら、イけよ」
「んっ…んっ……あぁっイッてっ……お願い、一緒にイッてぇ」
「はっ、えっろ。だったらもっとケツ締めな」
 パアンと乾いた音が響いてお尻にジンと痺れる痛みが走った。
「はぁんんっっ」
 なのに口からは甘い響きが迸る。実際、痛みと快感は背中合わせに存在している。
「叩かれても感じんのかよ。まじドMだな。おらもっと感じろよ」
 パァンパァンと続けざまに尻を叩かれて、そのたびにあっアッと甘い息を零しながら、相手の望みに応えるように肛門を締めるよう力を込めた。
「はぁっ、良いぞ。イくっ」
 一段と激しい律動の後、体の奥にドロリと熱が広がっていく。結局こちらの熱は置いてきぼりだが目的は達成だ。
 次回を誘う相手の言葉に適当な相槌を愛想よく振りまきながら、この近辺で相手を漁るのはこれで最後かなと思う。自分本位で下手くそなセックスも嫌だが、何より執着されるのが困る。下手な奴ほど執着傾向にあるから、その点から言ってもコイツは要注意人物だ。
 また別の場所を探すのもそれはそれで面倒だが仕方がない。今日のうちにもう一人くらい探したいところだけれど、次はどこへ行ってみようか。
 じゃあねと名残惜しげな相手に別れを告げてその場を後にする。
「おい、居るんだろ」
 歩きながら携帯でハッテン場と呼ばれる場所を検索しつつ、何もない空間に語りかけた。
『居るよぉ』
 声は頭のなかに響いてくる。
「あんま変なの引っ掛けてくんなよ。もうあそこ使えないぞ」
『なんでぇーそんな気にする事なくない?』
「いやアレは面倒なタイプだろどう見ても。だからもっと紳士的でセックス上手いヤツ連れて来いって」
『叩かれて喜んでたくせにぃ』
「何されたって感じる体にしたのお前だろ。あんなのまったくタイプじゃないから」
『ああいうタイプのがさっくり誘われてくれて楽なんだよねぇ。ナマ中出しにも抵抗薄いし』
「だからそこ手ぇぬくなって言ってんの」
『優しくされたらそれはそれで泣いちゃうくせにぃ』
「煩いな。誰のせいでこんな目にあってると思ってんだ」
『ボクのためってわかってるし感謝もしてるよぉ』
 声の主は、100人分の精子を集めるための任務に、女でも男に抱かれたいゲイでもない人間に取り憑いてしまうような、アホでドジで迷惑極まりない自称淫魔だ。100人の相手に中出しされるまで、この体はずっと発情し続けると言われ、実際抜いても抜いても治らない体の熱に、泣きながら初めて男に抱かれたのは二か月近く前だった。
 中出しされるとしばらくの間は体の熱が治まるけれど、それもせいぜい二、三日程度でしかない。おかげで一切そんな性癖がなかった自分が、嫌々ながらも日々男に抱かれて相手の精子を搾り集めている。
 精子を注がれるために発情している体は、男に何をされても基本気持ちが良いと言うのが楽でもあるし、切なく苦しくもあった。
 そんなこんなで、半月くらいはこの現状を呪って泣き暮らしたけれど、そのあとは開き直って積極的に男を漁っている。さっさと100人斬りを達成して、こんな生活とおさらばしたい。
 相手は自称淫魔がその場で適当に見繕ってくれるが、基本アホでドジなので、オカシナ男を連れてくることも多々あった。こんな自分に取り憑いたくらいなので、特に相手の性癖を見抜く力が低いらしい。
 どうやら自分に取り憑くのと似た方法で相手をその気にさせるようだが、その効力は相手が精を吐き出すまでしか持続しないから、ノンケを引っ掛けてきた時は色々と面倒だった。そういう意味では、事後に次の誘いを掛けてきた今日の男は、自称淫魔的には当たりなんだろう。
 わざわざハッテン場まで出向いているのだから、それくらいは当たり前にこなして欲しいし、出来ればこちらへの気遣いもある、セックスの上手い奴を探して連れて来て欲しい。けれどそんな大当たりは、今のところ片手で足りる程度しか記憶に無い。
『ごめんねぇ』
 大きくため息を吐いたら、申し訳無さそうな声音が頭に響いた。
「謝罪はいいから次行くぞ次。次はもっとマシなの引っ掛けてこいよ」
 本当に、早い所100人に抱かれて、こんな日々をさっさと終わりにしようと思った。

お題提供:pic.twitter.com/W8Xk4zsnzHimage

 
 
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