兄は疲れ切っている27

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 あっさり指を引き抜いておきながらも、いいのかと口頭でも聞けば、いいよと言いながら抱きつく腕を解いて隣にぺたりと腰をおろす。
「てかそこまで気、遣わなくても普通に入るだろ。も、かなり慣れてる、し」
 それより、と言って差し出された手の意味がわからない。
「なに、この手」
 手の平を上にして差し出されていたから、反射的にその手の平の上に自分の手を乗せてしまえば、犬みたいと笑われてしまった。
「お手じゃなくて、ゴム」
「ゴム?」
「スキン。またはコンドーム」
「え、何すんの」
「何って、お前に着けてやろうと思って」
「何そのサービス」
「嫌?」
「いや、じゃ、ない」
 けど、と続きそうになった言葉を慌てて飲み込んだ。これが恋人になったからしてくれるサービスだってなら、兄は彼女にこういうことをして貰ってた、ってことなのかと一瞬考えてしまったせいだ。さすがにこういう場面で元カノの、しかも行為の内容に触れる話題がマズイのはわかっている。
「ほら、出して」
 ゴムを渡せばさっさとそれを開封しながら急かしてくるが、ムードも恥じらいもないらしい。いやまぁそんなの今更かと思いながら、下着を脱いでそこらに放った。
「がちがち」
「そりゃあ、ね」
「先に口で少しする?」
「俺シャワーしてないけど」
「知ってるけど。というか前回だってそうだったろ」
 お腹の中を洗うという行為が必要な兄は事前にもシャワー必須みたいなところがあるけれど、さっきも断られた通り手伝わせては貰えないので、自分が事前にシャワーを使うということはほとんどない。
 兄からシャワーを浴びてからにしてくれと言われたことなんてなかったし、準備を終えた兄を部屋に残してバスルームへ向かうのが、なんとなく不安だったというのもある。帰ってしまうとまでは思わなかったけれど、一人にしたら泣くかもとは思っていた。だって不安そうな顔をしていることが多かった。まぁ、一人にしなくたって、抱いてる途中で泣かれることは多々あったわけだけれど。
「嫌じゃないの? てか一応聞くけど、もしかして、したかったりする、の?」
「あ、もしかして引かれてる?」
「引く、っつーか、なんでここでその選択肢? とは思うというか、なんで口でしようかって言葉が出てくるのか、割と謎ではある」
「あー……じゃあ、恋人になったお前には知ってて欲しいんだけど、俺、好きな子には割と奉仕的なの。あと同じ男だからかな。過去に自分がして貰って気持ちよかったこととか、して貰えなかったけど興味あったこととか、お前に色々してやりたいなぁって思ってる」
 フェラはともかくとして、これを口で着けるのはしてみたい、なんて言いながら摘んだゴムを掲げられて、知らなかったなと思う。サービスめいた喘ぎ声を聞かされ続けてきたから、奉仕的ってのはわからなくもないんだけど。でも恋人になった兄は、思っていたよりずっと積極的なチャレンジャーだったらしい。
「えっと、汚れたちんぽしゃぶると興奮する、みたいな性癖持ちの可能性については?」
「さすがにそれはない。とは思う」
「とは、思う……」
「それはさ、お前に汚れたちんぽ舐めさせるのが最高に興奮するって性癖あったら、うっかり引きずられて、お前が興奮するの嬉しくて俺も興奮する、みたいなのはあるかもだけど、現状、お前にそういう性癖ないだろって」
「ないね。てか俺の性癖に引きずられて慣らされる気満々とか、さりげなくエロ可愛い要素ぶっこんでくんのヤメテ」
「お前の性癖に慣らされる気満々、とまでは言ってない。多分」
 そう言いながらも、最後に多分、と付け加えてしまう辺り、言ったも同然だという自覚はあるんだろう。

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兄は疲れ切っている26

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 もう無理と言いたげに一度顔をあげた兄は、すぐにもっと前屈みになって、すり寄るみたいに肩口に顎を乗せてくる。抱きつくように背に回された腕にも、ぎゅっと力が込められた。
「ぁ、……ぁっ……ぁあ……」
 激しくイイトコロを責め立てているわけではないからか、充分な呼気が確保されて幾分楽にはなったのかもしれない。抱きつく腕の力はそう変わらないものの、必死にしがみつかれているという感じはなく、漏れる声音も幾分甘く蕩けている。
 キスは兄の意思で中断されてしまったが、体勢が辛いとか嫌だとかの不満は未だ一切ない。嫌だと言えないような関係ではないはずだから、きっと大丈夫ってことなんだろうけれど、いつもみたいにベッドに仰向けに転がっていたほうが絶対楽だろうとは思う。思うけれど、嫌がられないならこのまま続けていたいとも思う。
 だって甘えるみたいに抱きつかれて、耳元で甘やかな声を蕩かせて貰ったことなんて、ない。そもそも媚びた演技みたいじゃない声そのものが初めてだけど、あのサービス的な声ですら、この近さで聞いたことはなかった。
「ぁ、そこ、」
 膨らんだ前立腺を、指先に少しずつ力を入れながら、ぐぐっと押しこんでいく。
「うん。兄貴のきもちいとこ、な」
 指の力を抜いて、押し戻された膨らみをなだめるように何度かクルクルと撫でてから、もう一度指先に力を掛けて、今度は軽く揺すってやった。
「ひぅ、ぁあ、あああ」
「きもちぃ? 辛くない?」
「ぁ、ぁうっ、きも、ちぃいっ」
「ん、じゃあ、もうちょっと弄るけど、もう無理ってなったら言って」
 意地悪しないしちゃんと止めてあげるからと告げて、前立腺を中心に、兄のイイトコロを少しずつ強めに刺激していく。
「ぁっ、ぁあ、ああん、ぃいっ、きもちぃ、ぁ、あっ、そこぉ」
 気持ちがいいところを弄られたら、素直に気持ちがいいと伝える、というのが兄の中ですっかり習慣づいているのかもしれない。作られた甘い声というよりは、我慢できずに漏れ出てしまう、という感じがするから、以前とは全然違って聞こえるし嬉しくてたまらない。
「うん、ここな。クリクリされんのきもちぃな」
「ん、ぅん、きもち、ぃ、きもちい、からぁ」
 もっと、という訴えに、埋め込む指を2本から3本へと増やした。その場所を拡げるみたいに根本近くまで押し込めば、腰がわななき腿が震える。
「んぁあああ」
「キツイ?」
 寝転がるかと声を掛ければ、首が振られる気配がした後、やだ、と確かな否定の声があがった。離れない意思表示なのか、抱きつく腕にまた力がこもる。
「へ、き、だから。このまま、して」
 思わずなんでと聞き返してしまえば、ためらいがちに、ぎゅってしてたいから、と甘えた声音で返され胸が熱い。後ろを慣らす間、この近さが初めてなのは当然相手も同じで、でも、相手もそれが嬉しいんだなんてことまで、頭が回っていなかった。
「ね、まだちょっと早いかも、だけど、兄貴の中、入りたい」
 慣らすの全部やらせて、なんて言ってしまったことをまたしても後悔しながら、ゆっくりするからと頼み込む。頼みながらも、少しでも挿入が楽なようにと、埋めた指でぐじゅぐじゅとその場所をかき回して、3本分の太さを早急に馴染ませていく。
「ぁ、ばか、指、ぬけっ」
 入れんだろと言われて、ずるりと指を引き抜いた。

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兄は疲れ切っている25

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 これはこれでもちろん興奮するのだけれど、いくら誘い込むような動きをされていようと、さすがにこのまま指を埋め込む訳にはいかない。慣らさないでなんて、言わないほうが良かっただろうか。
「ぁ、……ぁっ……ぁんっ、んっ……」
「ね、ローション、取るから」
 縋る力が強くなっていたので声をかければ、ハッとした様子で力が抜けた。
「ごめ……」
「いやいや、謝るの俺の方。慣らすの全部俺にやらせてって頼んだの俺なのに、段取り悪くてゴメン」
 最後にチュッと唇を吸ってから身を起こす。兄の脚を更に開かせその間に腰をおろし、たっぷりのローションを手の中でゆるくこねた。兄がそれをじっと見ている。緊張と興奮が混じったような顔だった。
「焦らすつもりはないんだけど、もーちょい待って」
 冷たいの嫌だろと言えば、緊張を少し和らげて、わかってると頷いてみせる。
「もしかして嬉しいの?」
 じわじわと滲むみたいに兄の頬が緩んでいくから聞いてみた。
「冷たいローションぶちまけたことなんて、今までだってしたことないと思うけど」
「そーなんだけど、だから、余計にっていうか」
 またヘラっとした嬉しそうな笑顔で、大事にされてるのはわかってたつもりなんだけど、と続ける。
「でもそういう気遣いって、お前が優しいやつだからって思ってたんだよ。でも、俺が好きで、好きだから俺を大事に扱ってくれるんだって、今のお前見てるとよく分かるからさ」
 最初っからずっと、ちゃんとお前に愛されてたんだってわかるの、なんか嬉しくて。
 なんてことを、照れくさそうに告げられて、グッと胸が詰まる思いをした。そんな風に思って貰えて、わかって貰えて、嬉しい。可愛い。キスしたい。けれど。
「もーぅっ、なんで今なの!? 俺今、こんな手ぇドロドロにしてんのに」
 ローションは両手で捏ねていたから、濡れた両手を兄に見せるようにして、キスできないじゃんと唇を尖らせる。まぁ、本気でキスしようと思ったら、やりようなんて幾らでもあるんだけれど。
 しかし、こちらの甘えた要求に気づいた兄が、苦笑交じりに上体を起こしてくる。兄の顔が寄せられて、唇が塞がれた。
 兄のキスを受け止めながら、結局、片手のローションをシーツに擦り付けるようにしてざっくり落とした後、兄の腰に腕を回して引き寄せる。腰を持ち上げるような力を掛ければ、察して腰を浮かせてくれたから、脚を開いたまま膝立ちとなった兄の脚の間へ、濡れたままのもう片手を差し込んでいく。
 もちろん唇は触れ合わせたままだったので、兄が腰を浮かせるのに合わせて上向く形になった。この体勢はなかなか珍しい。これで深いキスになったら、啜らなくても兄の唾液が口の中に流れ込んでくるなと思って、誘うように舌を出して、ぺろっと兄の唇をなめてやる。
 同時に、再度窄んだ窪みに指先を押し当てた。
「んっ……」
 甘やかに鼻を鳴らした後で、兄の口が薄く開かれる。招かれるまま舌先を差し込んで口内を探りながら、窪みに押し当てた指先も、奥へと飲み込もうとする動きに合わせてゆっくり侵入させていった。
「ふ、ぅ……んんっ……」
 伸ばした舌で口内を、埋めた指で腸内をじっくりと弄りながら、重力に従い口内に流れ込んでくる兄の唾液を飲み下す。けれどさすがにそう長くは続かなかった。
 こんな体勢で後ろを慣らしたことはないのだから当然だろう。

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兄は疲れ切っている24

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「お前まで照れるなよ」
 照れくさそうに言われて、無茶言うなと思う。というか言った。
「無茶言うな。てか本当に、いいんだな?」
「ん、いいよ。抱き潰すにしろ、そこまで酷くはされないって、信じてるし?」
「なるほど。そーやって釘は刺す、と」
「本音を言えば、ちょっとは怖い」
 そりゃそうだろう。抱かれる側の負担を訴える、一回イケばもう充分みたいな兄からすれば、イカせまくるだの抱き潰すだ言われて不安がないはずがない。でも、ちょっと、なんだ?
「ちょっと?」
「ん、ちょっと、だよ」
 性欲発散に付き合わされるわけじゃないってわかってるから大丈夫、と続いた言葉に、ああ、そうか、性欲発散って思ってたのか、と思う。辛うじて女代わりになるお気に入りのオモチャを使って、性欲を発散していると、思われていた。
 はっきり言葉にされなければ、オモチャ扱いと言われただけじゃ、そこまで思い至れない自分自身の思慮の浅さにガッカリする。抱かれる側の負担というのは、体のことだけじゃなく、心への負担もきっと含まれていたんだろう。
 両手で顔を覆ってしまった時にこちらは体を起こして傍らに座っていたけれど、顔を覆うのを止めた手は今、だらりと垂らされていた。その手に兄の手が伸びてくる。ゆるっと包み込んで、それからキュッと力を込める。
「今、嬉しくて仕方ないって、言ったろ」
 ヘラヘラふわふわというよりは、優しい顔で笑う兄に、ゴメンと出そうになる言葉を飲み込んだ。謝って欲しいわけじゃないって、その顔を見ればわかったから。
「泣かした分の償い込みで、いっぱい、愛してくれるんだよな?」
 もちろんそのつもりだと頷けば、優しい笑顔をさらに花開かせて、俺たちが両想いなんだって思い知るようなセックスをするんだろと、握られた手を、早くとでも言うように引かれてしまった。
 誘われるまま顔を寄せて、角度を変えながら何度も繰り返し優しく唇を塞ぐ。キスの合間に好きだよと囁けば、兄が嬉しそうに笑って、俺も、と囁き返してくれる。幸せだった。
 キスを深いものへ変えながら片手を下肢へとすべらせて、まだ萎えきっていないペニスは軽く撫でる程度にして、脚の間に差し込んでいく。触れやすいようにと軽く脚を開いてくれるのがわかって、喉の奥で小さく笑ってしまえば、抗議するみたいに開かれた脚がギュッと閉じてしまう。
「嬉しかっただけだって。ね、もっかい脚開いて。俺と繋がる場所、触らせて」
 キスを中断して、けれど顔はほとんど上げずに間近で頼み込めば、もう、と呆れと甘えと照れとほんのちょっとの怒りを混ぜたみたいな声を出しながらも、素直に脚が開かれる。しかも、先程よりもやや広く。
 キスは再開しないまま、奥に伸ばした指先で窄んだ窪みに指先を押し当てる。
「ぁ……」
 ふるりと兄が身震いし、キスの途中で背に回されていた兄の手に、僅かに力がこもったのがわかった。兄が準備をしている間にこちらは下着以外は脱いでいたので、直接肌に圧が掛かってわかりやすい。
 触れた場所はしっとりとしているが、約束通りローションを仕込んではいないらしく、ぬるつき滑る感触はなかった。けれど、指の腹で優しく撫でて軽く押し込むように力を加えて揺すってやれば、慣れた体は指先を飲み込もうとする動きを見せる。まるで指先に吸い付かれるみたいだった。

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兄は疲れ切っている23

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 顔を覆ってしまったので兄の顔は見えていないが、おかしそうに笑っている気配は伝わっている。もしかして遊ばれているんだろうか、と思いながらソロリと顔を覆う手を外した。そんなこちらの恐る恐るな動きが、また兄の笑いを誘ったらしい。
「お前も、今日、ちょっと可愛いな」
「何言ってんの。てか誰のせいだと」
「んー……俺?」
 ヘラっと笑うのすら可愛くてなんだか悔しい。
「自覚あるなら自重して」
「何を?」
「可愛いのを」
 ふははと楽しげに笑ったかと思うと、それは無理かな、なんて返してくるから、コノヤロウと思ってしまう。やっと恋人になれて、自分たちが両想いだって確かめ合うようなセックスをしようって話なのに、このままだとうっかり襲いかかってしまいそうだ。惨めにさせないのは当然にしても、無理を強いるつもりだってないのに。
「想定以上に可愛くなりすぎてて、抑えきかなくなりそうなんだけど」
「抑えきかないとどーなんの?」
「イッちゃうからヤダも、もーむりも無視して、イカせまくって抱き潰す」
 そんな忠告混じりの言葉にすら、ふはっと笑って、情熱的だ、なんて感心したみたいに返してくるのはなんなんだ。ずっとしんどそうな顔ばかり見てきたから、笑っていてくれるのは間違いなく嬉しい。惨めだと思ってないのがわかるから、安心だってする。だけど。
 両袖は通ったままだけれど、前を大きく開かれて肌を晒した身を投げ出すように寝転がって、ツンと尖らせた胸の先は舐め吸われた片側が濡れているし、もう片側だって指で弄りまくったせいかいつもより色が濃いし、元から下着など履いていなかった下半身だって、イキそうだと訴えていた股間のペニスはまだ萎えていないし、先走りをまぶすみたいにぐしゅぐしゅと扱いてやったせいで全体的に濡れたままなのに。そんな姿で、ヘラヘラふわふわ笑いを振りまかれているこっちの身にもなって欲しい。目に毒すぎて困る。
「いいのかよ、そんな笑ってて」
 襲うぞって言ったら、だって、とようやく少し困ったような顔をする。
「お前が俺をちゃんと好きで、俺を恋人って思ってて、しかもその恋人が可愛くて仕方ないって思ってて、めいっぱい可愛がりたいって思ってんの、わかっちゃったらさ、嬉しくて、笑うの我慢できないよ」
 やっぱりヘラっと笑われて、襲ってもいいけどお手柔らかに、なんて言われたら、やっぱり叫ばずにいられなかった。
「もぉおお! ねぇ、ちょっと、ホント頼むから少しくらい自重して。今の聞いて、お手柔らかにが俺に可能とか、本気で思ってんの?」
「んー……」
 閉じた口の中でも笑っているらしく、んふふとこもった音を漏らしながらしばし逡巡した後。
「あのな、」
「なに?」
「お前煽った自覚、ある」
 つまり、手加減なしにイカせまくって抱き潰しても構わないって、そういう意味でいいんだよな? とは思ったものの、さすがにちょっと信じられないというか、あまりに都合が良すぎて不安になる。
「え、で、つまり……?」
「つまり、あー……その、うんと情熱的に可愛がってよ、みたいな?」
 いやこれさすがに恥ずかしいんだけど、だの、何言わせんだ、だの、頬をじわっと赤くしながらへニョへニョに緩んだ顔で言い募る兄を見つめる自分の顔も、じわじわと熱を持っていくのがわかった。

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兄は疲れ切っている22

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 備え付けの部屋着で戻ってきた兄をベッドに押し倒し、キスを繰り返しながらあちこち撫で擦る。着たばかりの筈の部屋着をはだけて胸元に手を差し入れ、直接その肌に触れれば、戸惑うように視線が揺れるのがわかった。
「楽しくないなんて嘘だから、嫌がんないで?」
 指先で捉えた小さな突起をそっと撫でながら告げれば、触れた瞬間に詰めた息をゆるっと吐き出した後、でも、と躊躇ってみせる。
「胸、俺に弄られたら感じるようになっちゃうんだろ? もう二度と、惨めになんてさせないから、感じるようになってよ。ホントはずっと、ここも可愛がってあげたかったんだ」
 バカ、と溢された声は甘くて、照れ笑うような顔が本当に可愛い。たまらず口を塞いで、指先に触れる突起を捏ねながら、手の平と残りの指を使って薄い胸筋を撫でて揉む。
「ふぁぁ、ァ……ぁふ……んぅ」
 キスの合間に溢れる声が甘えるみたいに響くから、興奮すると言うよりもいっそ感動する。嬉しくて、なのになんだか泣きそうだ。泣く気なんてサラサラないものの、万が一泣き顔なんて見られたら困るので、スススと顔を胸元へ向けて下げていく。
「ぁっ、……ぁんっ……」
 顎にも喉にも鎖骨にも、ちゅっちゅと悪戯に音を立てて、柔く喰んで、吸い上げれば、その度にピクッと体を震わせ小さな声を上げる。
「ぁあああ」
 辿り着いたもう片方の胸の先にしゃぶりつけば、一際高い声が上がってもぞりと腰が揺れた。そのまま両乳首を同時にじっくり責め立てる。甘く響く声が耳に心地いい。
「あ、ぁあ、それっ、ぁっ、ぁん、んんっ、ぁ、だめっ、あっ、やっ、だめっ」
 拒絶されるような気配はないものの、やだ、だめ、と言われてしまえば中断せざるをえない。
「何がダメ? 気持ちよくない?」
「ダメ……て、いうか、そのっ」
 もぞもぞと腰を揺らすから、もしかしてと思いながら片手を下腹へ向かって滑らせれば案の定、すぐに硬くなったペニスが手に触れた。
「あ、がちがち」
 ついでに言うなら、先走りで既にかなり濡れている。
「確かにこれ放置じゃ辛かったよな」
 握って軽く扱いてやれば、微かに安堵の混じった吐息をこぼす。
「じゃ、ここも一緒に気持ちくなろうか」
「えっ?」
 驚くようなことじゃないだろと思いながら、言葉は返さず再度胸元に頭を寄せた。片手と口とで両乳首を、もう片手でペニスを、三点責めだな、なんて思いながら弄ってやれば、兄はすぐにまた嫌だダメだと口にする。でもやっぱり拒絶と言うよりは甘えた感じの声だから、今度はそのまま様子見だ。
「やぁあ、ああ、だめっ、イッちゃう、イッちゃう、からぁ」
 切羽詰まった感じになって、イクのが嫌だと訴えだすから迷う。ずっと胸を弄られるのを拒否していた兄が、このまま両乳首を苛められながら果てるところが見てみたい、と思う気持ちはもちろんあった。
 射精したら賢者タイムが来るのはわかっているし、出してスッキリした体を更に弄られ、突っ込まれて揺すられるのが辛いのも知っている。だから兄だけ先にイかせてしまわないよう気をつけるようになった経緯を思い出せば、どう考えたってこのままイかせるべきじゃない。
 仕方なく、一旦頭を上げて手を離す。一切の刺激が止んでホッとしたらしく、粗い息を吐きながら兄がぼんやりとしている。
「だいじょぶ?」
 声を掛ければ、視線だけがこちらを捉えて、それからふにゃっと口元が歪んだ。
「びっくり、な、気持ちよさ」
 だった、と続く声に被せるように、ちょっとぉと叫びながら両手で顔を覆ってしまう。兄が可愛すぎて、いつも通り双方一回イッたら終わり、なんて、絶対にムリだろと思った。

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