今更なのに拒めない7

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 もし今の彼に惚れる事があれば、相手はそれを嬉しいと思ってくれる。というのは確認したものの、彼に向かって惚れただの好きになっただのと伝えてはいなかった。
 好意は間違いなくあるし、彼との行為は気持ちがいいし、今の状況が続いたらいいなと思う気持ちもある。ただそれを恋愛感情と呼ぶのかはよくわからなくて、というよりも多分呼ばない気がして、曖昧に濁したままだった。
 相手も、特に確かめるようなことは言ってこない。ただ、纏う気配がますます甘くなったな、とは思う。とはいえ、彼に惚れる可能性があることでの変化、というよりは、こちらの体が順調に開発されている故の変化、という気もしている。
「ぁ、ぁ、っ、んっ、ぁ」
 決して強く突かれているわけじゃない。小さな動きで優しく奥を、結腸の入り口を、何度も押し上げられているだけだ。
 それでも、お腹の奥を持ち上げられるたびに、あっあっと音の乗った息が、まるでお腹の中から押し出されてくるみたいにこぼれてしまう。
 揺らされるお腹の奥がじわっと熱くて、じんわりと痺れるような感じがして、なんだか凄くもどかしい。多分きっと、もう少しで、それらがキモチイイに転化する気がするのに。
「気持ちよくなれそ?」
「ん、んー……も、ちょっと、」
 何かが足りない。というこちらの訴えに、相手も少しばかり何かを考えた後。
「なぁ、キスでもしてみる?」
「え……?」
「やだ?」
「いや、じゃ、ない。けど、」
 なんで、今更キスなんて。と続けたいはずの言葉を吐き出すより先に、顔が寄せられ唇が塞がれてしまった。
 ちゅっちゅと啄むように軽く吸われる唇の上で小さな快感が弾けて、それがサワワと広がっていく。はぁ、と吐き出す息に熱がこもって、相手が満足げに笑う気配がした。
「口開けて、舌、出せるか?」
 言われるがまま、軽く口を開いて舌を差し出す。
「いいの?」
「ん?」
 何が、と問う前に、差し出した舌をパクリと食まれ、相手の口内で相手の舌と触れ合った。舌先を舐められ吸われ甘噛みされて、ゾクリと背筋を這い登ってくる何かを吐き出そうともっと大きく口を開ければ、差し出す舌の上をなぞるようにして、相手の舌が口内へ侵入してくる。
「んっ、んっ、ふ……ぅ、」
 思えば、される側のキス、というのは初めてだった。過去にいた彼女たちとのキスを思い返しても、相手の口内を探る真似はしたことがあるが、逆の経験はしたことがない。
 いいのかと聞かれたのは、もしかしてその事実に、気づかれていたのかも知れない。もしくは、彼に口内を探らせることを許すのか、という意味だったかも知れないけれど。
 なんせ高校時代、セックスまでするような仲だったくせに、彼とキスをしたことはなかった。求められなかったし、求めなかった。持て余す性欲の発散に、そんなものは必要がなかった。
 気持ちがいい所に相手の舌が触れて、快感に身を震わせれば、見逃すことなく重点的にその場所を責められる。口の中で感じる、という慣れない経験に必死で息を継ぐものの、だんだんと酸欠気味になって頭がぼんやり霞みだす。
 そんな中、動きを止めていたアナルビーズにまたお腹の奥を押し上げられて、何かが一気に溢れ出した。
「んぅ、んんっ、ぁは、」
 慌てるこちらに気づいたようで、顔を離した相手が心配げに見下ろしてくる。同時に、アナルビーズの動きも止めてくれたが、お腹の中が蠢いて勝手にそれを動かしてしまう。
「やぁ、あっ、待って、ぁ」
 何もされていないのに、何を待てと言うんだろう。頭の中ではわかっているのに、口からは泣き言みたいに待って待ってとこぼれ出る。
「もしかして、気持ちよく、なれてる?」
「わか、な。あ、ぁ、でも、くる、きそう、やぁ、あ、」
 大きな波に飲み込まれていきそうな恐怖に、腕を伸ばして眼の前の男の肩を掴んだ。縋るように引き寄せればそのまま体を寄せてくれて、嬉しそうな顔でちゅっと軽いキスを一つ落とした後、もぞっと背中とベッドマットの間に片腕を差し込んでくる。少しだけ背が浮いて、ギュウと抱きしめられたから、こちらもギュウと抱き返せば、なんだか酷く安心した。

続きました→

 
 
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今更なのに拒めない6

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 自己開発用に購入したはずのアナルビーズを使って、まさか他人の手で開発される羽目になるなんて思わなかったけれど、絶対に無茶はしないからやらせてくれと頼まれたら拒否しきれなかった。自分でも色々調べたと言っていたし、参考になりそうな指南書やサイトを教えれば熱心に読み込んでもくれたし、腸の奥を開発する際の危険も十分に理解した上での、絶対に無茶はしないの言葉を、信じられると思ってしまった。
 そんなわけで、週末の遊びは玩具を使ったこちらの体の開発という新たな展開を見せているけれど、相手はそんな新しい遊びを相当楽しんでいる。しかも、男の恋人が居た過去がなく、この体を弄った事がある男はお前だけだ、と伝えたあれをどう捉えたのか、最中に彼が纏う雰囲気が随分と甘くなっても居た。
「ど? 痛くない?」
 結腸の入り口のとこ届いてるだろ、と迷いなく告げてくるくらいには、もう、見えもしないこの体の内側を把握されている。
「ん、へいき、っぽい」
「じゃ、ちょっとこのままにするから、違和感強くなったら言って?」
 わかったと返せば、瞳が柔らかに細められて、いい子だと褒めるみたいに優しい手付きで数度頭を撫でられた。髪を梳いていく指先が気持ちよくて、ほぅと息を吐いて目を閉じる。
 頭を撫でた手は優しい手付きのまま、体のあちこちを撫で擦っていくから、彼の手を追いかけるように、敏感になった肌の上でサワワと小さな快感が弾けていく。
「ふっ……ぁ……」
 腰の括れたところや、お尻の丸みを愛しげに何度も撫でられて、吐き出す息が甘く蕩けてしまう。当然、週末ごとにこちらの体を弄って遊んでいる相手にも、こちらの変化は丸わかりだろう。
「きもちぃ?」
「ぅん」
「中は? 痛くなってない?」
 深い場所に異物が触れ続けているという違和感はもちろんあって、それは決してまだ、気持ちがいいと感じられるようなものではないのだけれど、不快感や痛みや強い違和感に引きずられて湧き出す恐怖や不安はない。
「へ、き」
 言えば、それなら少し中も弄るよと告げられて、埋められたアナルビーズが中で小さく前後する。さすがに違和感が膨らんでいくが、優しく撫で擦ってくれる手がそのまま尻や腰を撫で続けてくれたので、待ったは掛けなかった。なのに。
 奥の壁をゆるゆると突き上げていたはずのアナルビーズが、ぬるると半分近く引き抜かれていく。
「はぁああん」
 手前のイイトコロが擦られる快感に声をあげたけれど、再度そこを擦られながら押し込まれることはなく、中途半端なところでアナルビーズは動きを止めた。
「違和感おっきくなったら、我慢してないで言えよ」
 不満げな声を出されてしまったけれど、だって気づくじゃん、と思った時点でふふっと笑いが溢れてしまう。気づかれることも、気づかれたらそれ以上の無茶はされないことも、当たり前に受け入れている。信じている。
 こんなこと、高校時代にはありえなかった。
「昔、痛いって言ったら、ペニス強く扱かれたり乳首引っ張られたりで意識散らしてはくれたけど、でも途中で止まれるかって言って、痛くてもやめてはくれなかった男と同一人物だなんて思えない」
 変わったねと言えば、だって勃たねぇしと返ってきたし、もちろんそれも原因の一端ではあるのだろうけれど。
「もし勃って俺に突っ込めてたら、痛いって言っても止めてくれないの?」
「それは……あー……まぁ、どうしたらお前が気持ちぃって喘ぐかわかってる今は、痛いなんて言わさない、つもり、だけど」
 悪かったよ、と謝られて何かと思えば、高校時代に自分本意なセックスに付き合わていたことへの謝罪らしかった。
「別に昔のお前を非難したわけじゃないって。高校の頃にこんな風に気遣われるセックスされたら、やばかったし」
「やばいって、何が?」
「アナニーに嵌まるんじゃなくて、ゲイセックスに目覚めて男漁りしてたかも?」
「おっま、そこ、俺に惚れてたかも、とかって話じゃないのかよ」
 期待させんなと続いた言葉に、あれ? と思う。
「もしかして、俺に惚れて欲しかった?」
 都合のいい穴に惚れられたら困ったんじゃないのと聞けば、多分嬉しかったよと返されてさすがに少し驚いた。その通りだと肯定されて、また悪かったよって謝罪の言葉が返ると思っていたからだ。
「あっさり抱かせてくれたけど、でも逆に、お前に俺と恋人になりたいだとかって気がないのもはっきりわかったから、都合よく性欲発散させる相手以上にはなれなかったんだろ」
「まさか、お前が俺に惚れてた?」
「いや、惚れてはなかったけど」
「そこは否定するんだ」
 そんな気配を感じたことはなかったはずなんだけどと思ったら、すぐに否定されてまた笑ってしまう。
「でもお前が俺に惚れてたら、どうなってたかわんねぇよ。まぁ、今のお前見てたら、俺じゃダメだった理由もわかるけどよ」
 あんなセックスする男相手に惚れないよなと自嘲してみせるから、そうだねと肯定を返した後。
「ねぇ、今は?」
「今って?」
「俺がお前に惚れたら、今でも、嬉しいとか思うの?」
 聞けばすぐに、思うよと柔らかな声が返された。

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今更なのに拒めない5

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 アナニーグッズを見られてしまった、という開き直りもあって、躊躇うことなくアナルで感じる姿を晒せば、彼との遊びはあっさり玩具を使った疑似セックスへと変わっていった。
 前立腺マッサージを受ける際に玩具類を使用して貰ったこともあるが、金銭を支払ってサービスを受けている、という意識があるせいか、それを擬似セックスだなどと思ったことはないのに。過去に自分を抱いたことがある相手だからなのか、勃たない代わりと明言されているせいなのか、もしくは金銭が絡んでいないからか、相手が男だからなのか。
 彼と風俗嬢以外に経験がないので、なぜそう感じるかはわからないし、彼の中でこれがどういう扱いかもはっきりしていないけれど、擬似的なものにしろ、昔はさして感じなかった彼とのセックスがたまらなくキモチイイのが、なんとも不思議な気持ちにさせる。
 勃たない彼は自分の快楽を優先した自分本意な動きをしないし、ちゃんとこちらを気遣うだけの余裕があった。まぁそれは勃つ勃たないではなく、重ねた年齢によるものかもしれないけれど。
 彼とのこんな遊びに慣れてしまったら、彼がここを出ていった後、自分はどうなってしまうんだろう。同居生活は五ヶ月目に突入して、彼自身が言い切った半年という期限まで、あと二ヶ月もない。
 いつ出ていくとも、もう少し居させて欲しいとも、言われていないし、聞いてもいなかった。だとしても、とりあえずで始めたバイトだって半年もきっちり週五で働けば、どこかに部屋を借りて新生活を始められる程度の貯蓄は出来るはずだ。家賃として毎月四万ほど貰っているし、それなりに食費も雑費も掛かっているだろうけれど、細々増えた私物の中に高額そうな品はないし、どこかへ遊びに行ったなんて話も聞いたことがない。
 このまま一緒に暮らさないか、なんて誘える広さのある部屋ではないし、そもそも、思いのほか彼との疑似セックスが良くてこの時間を手放したくない、なんて理由があまりに酷すぎる。
 彼との遊びを流されるままに受け入れた自業自得とわかっていつつも、今後をあれこれ考え不安定に気持ちが揺れる。そんな中、これ使ってみたいんだけど、と彼がアナニー用品を入れた箱から持ち出してきたのは、S字結腸の開発に手を出してみようかと思って購入した、全長40センチ超えの細長いアナルビーズだった。
「こんな長いの、ほんとに入るのか試してみたい」
「いや待って。無理」
「開封済みだし、使ってんじゃないの?」
「使ったことはあるけど無理」
「箱の中身、お気に入りの逸品揃いって話は?」
「いや確かに言ったけど。それは別」
「なんで?」
「それはこれから、お気に入りになるかも知れないし、ならないかもしれないヤツ。というか、奥はまだ未開発だから、それ使われても気持ちよくはなれないんだって。どこまで入るか試したいってだけなら、ダメとは言わないけど、でもきっとつまんないよ」
 痛いって言ったら絶対そこで終わりにしてくれるのが条件だけどと言えば、相手は随分と妙な顔をしてみせる。
「奥、気持ちよくないのに、こんなの買ってんの?」
「奥も気持ちよくなれるような体になれないかな、って理由で買ってんの。順番が逆」
「お前今、恋人居ないんだよな?」
「え、なんで今? というか今更それ確認?」
 驚けば、居ないんだよなと再度確認されてしまう。
「居ないよ。で、それが?」
「恋人のが奥にあたって痛いから、自分で慣らそう開発しよう、ってならわからなくないけど、恋人が居ない今、開発する理由って何? 次の恋人が奥に届くような立派なの持ってなかったら、むしろ、そんなとこ開発すんのまずくないの?」
 ちんぽのデカさで恋人選んでんの、と聞かれて、酷い誤解を受けていることに気づいた。
「男の恋人なんて、過去に一人だって居たこと無いんだけど」
「は? え? あー……じゃあ、ハッテン場とか出会い系とかそういう?」
 それとも風俗かと聞かれて、風俗は大きなくくりでは間違いではないけれど、でも彼が想像している風俗とは絶対に違うだろうなと思う。
「違うって。ただの趣味。オナニーの延長で、アナニーしてるの。基本は自分でアナル弄ってるだけ。まぁ、風俗は利用することもあるけど、でも弄ってくれるのは女の子。男で俺の体弄り回したことあるのなんて、お前だけだよ」
 相当驚いたらしく、相手は目を瞠ったまましばし呆然として、それから、嘘だろうと言った。もちろん、わざわざ嘘つく理由がないと返した。

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今更なのに拒めない4

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 土曜の朝は帰宅した彼と一緒に軽く食事をして、その後昼頃までは外で過ごすことが多い。いくら週末はこちらの生活に合わせてくれるとはいっても、夜まで起きっぱなしではさすがに彼も辛いだろうから、午前中くらいは彼が眠れるようにという判断からだ。
 しかし、彼に扱かれイカされるだけの遊びが始まって、三回目の土曜の朝は違った。自分にとっては朝食を、相手にとっては軽い夜食を食べ終え、いつもなら彼が眠る支度をする間に自分は出かける支度をするのだが、着替えの途中で彼が敷いた布団の上に引き倒されしまった。
 狭い部屋を有効的に使うために自分はロフトベッドを使っているが、彼はラグの上に布団を敷いて寝る生活をしている。大学時代には何度か友人を泊めたりもしたが、夜通しゲームだの飲み会だのに部屋を提供していただけだったので、まともな来客用の布団なんて所持していなかった。彼との同居を受け入れるにあたって最初に購入したのがこの布団と言ってもいい。
 ただ、彼との遊びはラグの上でしかしたことがなく、布団の上で触れられたことはなかった。つまりは初めてで驚きも戸惑いも酷い。
「遊んでいい?」
「い、今から?」
「そう。ダメ?」
「けど、眠ったほうがいいだろ?」
「大丈夫だから」
 言いながら既に片手が下着越しに股間を撫でてくる。ちょうどズボンを履き替えようとしていた所だったから、下半身は下着だけだ。
 彼の手に触れられることにあっさり慣れたペニスが、期待で膨らんでしまうのがわかる。小さな溜め息に諦めを乗せてわかったと返せば、相手は嬉しそうにありがとうと言って、早速下着を脱がしに掛かる。
 いつも通り自分だけあっさり裸に剥かれて、あちこち彼の手が肌の上を這って、ところどころ彼の唇が落ちた。簡単に昂ぶっていく体を楽しげに弄っている相手の顔を確認してから、やっぱりいつも通り、快楽に身を委ねるように目を閉じる。
 後は相手の手に任せたまま、気持ちよく上り詰めていけばいい。はずだった。
「ひゃぁぅっ」
 予想外の場所に相手の指が伸ばされ、慌てて妙な声を上げてしまう。
「あ、悪ぃ。驚かせた」
 口だけは謝罪を述べながらも、アナルに触れた指が離れていくことはなかった。
「な、なに、を?」
 混じる期待がないとは言わないけれど、それよりも焦る気持ちのほうが断然強い。
「ここ、もしかして、感じるようになったのかと思って」
「な、んで……」
「んー、ほら、この前、俺の荷物増えてきたから、ちょっとクローゼットに入れさせてって言ったろ」
 確かに言われた。いいよと返した。
「もしかして、み、見つけた?」
 アナニー道具はきっちりしまってあるし、勝手に中に置かれた荷物を漁るような真似はしないと信じていたのだけれど。でも、彼の言葉と気配から、見られたのは確実という気がした。
「ごめん。実は、荷物置くスペース作ろうとして中の箱移動してたら落としちゃって、何か壊してないかって、中、確認したんだわ」
 自分で使う用って思っていいんだろ、という指摘に似た質問に、迷いながらもそうだと肯定を返せば、アナルに当てた指先を軽く揺らされる。
「ぁっ、」
「なぁここ、弄っていい?」
「な、なんで……」
 勃たないならそんな場所をわざわざ弄って広げる理由がないはずだ。高校時代、穴を弄ることそのものへの興味や興奮なんて、彼から感じたことはない。
「なんで、って、ここ弄りながらのが、お前、もっと気持ちよくなれんじゃないの?」
「それは、でも、」
「俺にいじられるの不安なら、お前が一人であれ使ってるとこ、見せてくれるんでもいいけど」
「そんなの見て、楽しいのかよ」
「それはどうだろ? でも俺がする時の参考にはなると思うし」
「するの、確定してる」
「うん。したい。ちんぽ勃たない代わりに、指、入れさせてよ」
 お願い、と頼まれてため息を吐いた。
「本気で言ってんなら、準備するから待って」
 ローションならあるよとポケットから小分けのパウチを出されたけれど、そういう意味じゃない。というかそんなものまで用意済みだったのか。
「中、洗ってくるって意味なんだけど」
「あー……ああ、うん、じゃあ、よろしく」
「本気なんだ?」
 聞けばやっぱり頷かれて、わりと真剣な声で本気だよと返ってきた。

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今更なのに拒めない3

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 高校時代、彼とは好奇心と出来心とでセックスしていた。そこに恋愛感情なんてものは、今思い返してみてもやはりなかったように思う。持て余す性欲を、気が合う相手で解消するだけ、みたいな認識だったし、多分相手だってそう違いはなかったはずだ。
 突っ込まれるのを許していたのだって、彼を好きだから受け入れてやりたかった、なんて甘ったるい気持ちがあったわけではなく、単純にあまり抵抗感がなかっただけでしかない。というか、アナルオナニーだとか、前立腺マッサージだとか、アナルで感じるということに元々多少の興味があった。
 当時、自分はゲイだという認識はまったくなかったし、過去に恋人という関係になった相手は女性だけだったし、今だって、恋愛対象という意味でなら女性を選ぶと思う。久しく恋人なんて作っていないし、過去と同じように女性を抱けるかはわからないけれど、少なくとも気持ちの上では。
 一人でアナニーもすれば、風俗で前立腺マッサージを受けることもあるけれど、施術者に男性を求めたことはないし、男相手の出会い系を試したこともない。別に男に抱かれたい欲求があるわけじゃなかった。
 まぁそれは、高校時代に若さと興味とで致していたセックスが、そこまで気持ちが良かったわけじゃない、というのも大きいかも知れない。もしあの当時、彼とめちゃくちゃに感じまくるようなセックスをしていたら、本物のペニスを求めてゲイセックスに嵌っていった可能性はありそうだと思う。
 つまり、アナニーやら前立腺マッサージやらですっかり開発されきった今のこの体で、再度彼に抱かれるような事が起きたら、そのままゲイセックスに目覚めてしまう可能性もかなり高いと思っていた。が、実際のところ、遊んでくれと押し倒されても、彼に抱かれることにはならなかった。
「ぁ、……はぁ……」
 もどかしさに吐き出す息は熱い。ついでに相手の胸が押し付けられている背中も熱い。服越しにでも、相手の興奮がはっきりと伝わってくる。
「そろそろ、イけそ?」
「んっ」
「じゃ、イッて。イクとこ、見せて」
 耳の後ろから掛かる声に頷けば、興奮がダダ漏れの嬉しげな声がそう促して、ペニスを握って扱く手の動きが早くなる。クチュクチュと濡れた音をわざと大きく響かせるのも、こちらのというよりは、相手の興奮を煽るためのものだろう。とはいえ、そんな卑猥な音を聞かされたら、こちらだって興奮しないわけがない。
「ぁ、ぁあっ、ぁっ」
「きもちぃ? えっろい声、可愛いな」
「んぁっ」
 耳の後ろに唇が押し当てられて、チウと吸われる感覚に、ピクッと肩が跳ねてしまう。ふふっと笑うような息が掛かって、そこからソワワと小さな快感が肌の上を広がっていく。
「ぁっ、あっ、イク、いきそっ」
 その訴えを聞いた相手が、肩越しに覗き込んでくる。欲に塗れた視線をペニスの先端で受け止めながら、いいよイッての声に促されて、びゅくびゅくと白濁を吐き出して見せた。
 大きく息を吐いて、相手の胸に思いっきり凭れ掛かって目を閉じる。
 残滓をしぼり出すように上下していた相手の手がようやくペニスから離れて、多分、吐き出したものをしげしげと眺めて楽しまれている。
 あの日、実は勃たないんだよね、と言った相手に悲壮さはあまりなく、むしろあっけらかんとしていた。そして、だからお前を勃たせてイカせたい、なんてことを平然と言い放った。
 どんな思考回路からその結論なのかは全くわからない。別にわかりたくもないから、聞いても居ないけれど。
 結果、あの日から更に二度ほど週末を重ねているけれど、遊んでよという言葉とともに相手の手で抜かれるという経験を重ねても居た。しかも一発で終わらず休憩して二発目だとか、土曜日曜と連日でとか、回数だけで言えば既に五回ほど彼の手に出している。
 嫌なら休日も予定を入れて出かけてしまえばいい、というのはもちろんわかっている。わかっていて家にいるというのは、彼のその行動を了承しているのと同じだ。
 だって、人の手でイカされるのは、なんだかんだ気持ちがいい。ただ、彼に抱かれていたという過去があるせいか、それともアナニーやら風俗やらで開発してしまった影響か、彼の手に握られ扱かれていると、お尻が疼いて仕方がなかった。

続きました→

 
 
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今更なのに拒めない2

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 大学に入学してから先、ずっと暮らしているアパートは、当然一人暮らし用の小さな部屋だ。いくら高校時代はそれなりに仲が良かった相手とはいえ、六畳程度の洋室に小さなキッチンがあるだけの1Kに二人で暮らすというのは、正直不安しかない。
 それでも、一緒に暮らし始めて三日と経たず、相手がとりあえずの夜間バイトを決めて来たことで、狭い部屋に二人で暮らすストレスは、危惧していたほどには大きくなかった。だいたいこちらが起きだす頃に帰ってきて、こちらが帰宅する頃にはもう出掛けているから、相手と顔を合わすのは、朝の短な時間と週末が殆どだ。
 かなり気を遣われているらしいのはわかっていたし、ひどく不快になるようなことも起こらなかったので、さっさと出て行ってくれないかと言うこともなく、なんとなく彼の存在を受け入れてしまったままの生活も、そろそろ三ヶ月が経とうとしている。
 それは雨の降る日曜の昼過ぎで、週末にこなして置きたい掃除やら洗濯やらは昨日のうちに終えていて、つまりは割と暇を持て余していた。
「お前も暇なの?」
 録画したまま溜まっていくばかりの番組をチェックし、流し見たり削除したりしながら、その作業を隣で見ているだけの男に問いかける。一応一緒に見てはいるようだけれど、つまらないなと思った番組を途中で切り上げて削除するときも、もっと見たいから消すのは待ってくれなどと言ってはこないから、多分テレビが点いてるから見ているだけで、こちら以上に興味がなさそうだった。
 だからといって、なにか別のことをするでもない。多少眠そうな感じはあるが、相手の生活サイクルを考えたら、平日のこの時間帯は睡眠時間だろうから当然だ。共に過ごすことになる週末はなるべくこちらの生活に合わせると言ったって、そんな簡単に週末だけ都合よく、朝起きて夜眠る生活に戻れるはずがない。
「というか、やること無いなら眠っといた方が良いんじゃないの?」
 テレビうるさいならイヤホン使うけどと提案してみれば、別に暇持て余してるわけじゃないから良いよと返ってくる。ちょっとその言葉を信じる気にはなれない。
「明らかに暇そうに見えるんだけど」
「というか、お前もって聞き方するってことは、お前の方こそ暇だったりするの?」
「まぁ、割と」
「テレビの録画整理は?」
「やったほうが良いのはわかってるけど、そこまで切羽詰まってない。どっちかっていったら暇つぶしにチェックしてるだけ」
 正直に言えば、見ないままある程度の期間放置されたものは、そのまま削除でも構わないと思っている。仕事絡みだったりで、どうしても見ておきたい番組類は放置などしないし、とっくに視聴済みだった。
「なんだ。そうなんだ」
「そうだよ」
 肯定すれば、ふーんと暫く考え込んだ後。
「なら、遊んでって言ったら遊んでくれんの?」
「それは遊びの種類によるだろ」
 探せばトランプぐらいは出てくる気がするが、二人で遊べるようなものが家にない。ゲーム機もあるにはあるが、所持しているのは一人でやり込むタイプのソフトが数本だけだし、それらも最近はめっきり起動していない。
「雨降ってるけど、対戦ゲームのソフトでも探しに行ってみる?」
 高校生の頃に二人して結構ハマっていたゲームの新作だったかが、何年か前に出ていたような気がする。
「あー、まぁ、それも悪くはないんだけどさ」
 四つ這いでにじり寄ってくる相手の、なんだか困った様子の顔を不思議に思いながら見つめしまう。なんとなくの予想はついたものの、どうしようか迷ううちに、あっさりラグの上に押し倒されていた。

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