聞きたいことは色々63

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 彼にイイトコロを擦られて蕩けた顔を見せるお兄さんと、その後ろで満足気に笑う彼を見上げながら、これは仕返し的なものなのか、当初の予定通りなのか、どっちだろうと思う。
 煽られてもわかりやすく拗ねるくらいしか出来ないのかも、って思ったばかりだから、当初の予定通り、の方だろうか。
 なんてことをあれこれ考えていられるのは、お兄さんの腰がガッツリ固定されていて、彼の突きこむ衝撃がこちらにあまり伝わっていないからだ。
 お尻締めて気持ちよくしてあげてって言われてるし、あまり伝わらないってだけで多少は動かれているし、締めた中を擦られる気持ちよさは当然あるんだけど。でもイイトコ狙って動かれてるわけじゃないから全然余裕。
 お兄さんが気持ちよさそうにお尻でイク姿は何度も見てるし、お兄さん相手に腰を振ることも多少覚えたけど。でもまだ狙ってイイとこを擦るのは難しいし、自分自身のお尻に玩具を入れられた状態なのも変わってないしで、結局自分ばっかり気持ちよくなってしまうから、自分の腰使いでお兄さんを気持ちよく蕩けさせたことはない。
 普段自分がどんな顔をしているかなんてわからないし、気持ちよく喘がされてる時はこんな顔をするんだなぁという純粋な興味と好奇心で見つめてしまえば、その視線に気づいたお兄さんが、へにょっと困ったように笑う。
「やじゃ、ない?」
 何がとは聞かなくてもわかっている。
 恋人が他の男を抱くとこなんて絶対見たくないって思ってたし、それをお兄さんに言ったことがあるし、それを気にしてくれてるのがわかる発言は多かった。
 立場を変えたいって言い出したのはこっちなのに。大丈夫と思ってても目の前で実際に見るのは違う、とか考えてくれてるのかも知れない。
「ぜんぜん」
 即答すれば良かったと安堵の息を吐く。
「大好きな人が、大好きな人に気持ちよくして貰ってる。て思ったら、愛しいばっかりです。俺じゃこんなかわいい顔、させられないっすもん」
 再度、可愛いですよと繰り返しながら、手を伸ばして髪を梳く。今までいっぱい貰ってきた「可愛い」を、ここぞとばかりに返してみたら嬉しそうに照れていて、ますます可愛いくなった。
「ますます可愛い」
「なぁ、こっち向いて俺にも見せて?」
 思ったまま口に出したら、彼の興味を引いたらしい。
 甘やかな声にねだられて、お兄さんが楽しげに笑う。
「ん、ふふ、お前も、かわいぃ、って、言ってくれんの?」
「言われたいならいくらでも」
「じゃあ、言って」
 お兄さんが後ろを向くのを見ながら、こんな甘えた声を出すのは珍しいなと思う。でもそこまで驚きがないから、あれだけ蕩けてたら当然かも、って気持ちがあるんだろう。
 気持ちよくしてくれる人に甘えたくなる気持ちはよくわかる。
「可愛い」
「っふ、もっと、本気で」
「可愛い」
「全然足りな、ぁっ……ん、ぁ……ぁあ……」
 振り向いたお兄さんの顔を支えるように手を添えて、彼がゆっくり腰を振りはじめたから、お兄さんは少し苦しげに喘ぎだす。
 さっきみたいに気持ちよく蕩けた声ではないけど、彼は可愛いと繰り返している。しかも随分と柔らかな表情で。
 楽しそうってより……
 愛しそう、と思ってしまったその瞬間から派手に鼓動が跳ねて、彼から目が離せない。
「かわいい」
「ぁ、……あぅっ、も、いい。も、じゅうぶん」
 顔に添えられた手をぺちぺちと叩いて外させたお兄さんと目があって、また困った様子でへにょりと笑われてしまったから、お兄さんも彼の変化に気づいたんだろう。

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聞きたいことは色々62

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 自分に覆いかぶさるお兄さんを見上げながら、自分のときと全然違う、と思う。
 真ん中慣れてないって言ってたから、お兄さんに縋られて、お兄さんがヒンヒン泣き喘ぐのに合わせて自分も喘がされるんだ、って思ってたのに。
 そもそも彼が腰を振ってないのが、なんで? って思う。自分が真ん中の時は、容赦なく前立腺を擦られてしまうことが多いのに。
 イキたくなって自分のペニスをお兄さんの中に一生懸命擦り付けてしまうのと、彼が突いてくるのに合わせて腰が押し出されてしまうのとが交ざって、わけがわからない気持ちよさの波に飲み込まれるまま喘ぐ。ってのが、自分が真ん中のときのセックスなんだけど。
 普通に抱かれているその背後に彼の姿が見えてるだけ、みたいな状況に頭の中は疑問符でいっぱいだった。
「納得行ってない顔」
 激しく動かれてないから、んふふと笑うお兄さんに、「だって」と応じる余裕も充分にある。
「全然違うじゃないすか。俺ん時と」
「だっていきなりガツガツやられたら堪能できないでしょ」
 せっかくの真ん中なわけだし、と続いた言葉に、思ってたより全然乗り気だったことを知る。
「今度試してみてもいいけど、俺を気持ちよくすることより、自分が気持ちよくなるのに夢中になっちゃう君には、あまり魅力的なプレイじゃないと思うよ」
 最後はいつもの俺みたいになると思うけど、その前にちょっと趣向を変えたプレイにも付き合って、だそうで。別に嫌なわけじゃないけど、何する気なのかは教えてほしい。
「俺が真ん中で、二人を同時に気持ちよくしてあげるだけ」
 激しくは動けないけどキモチイイとこじっくり捏ねてあげる。の言葉通りに、既に知られたいい場所をゆるゆると擦られてたまらない。
「ぁ……はぁ……」
「気持ちぃね」
 可愛いよ大好きだよって甘い声が降ってきて、愛し気に見つめてくれる瞳と視線が絡んで、頷きながら嬉しくてニヤけてしまう。二人きりで抱かれる側のときはこんなふうにゆったり愛してくれることも多いけど、なんだかんだで抱く側になることや3人ですることが増えて、ちょっと久々だったから余計に嬉しい。
 なんて思っていたら。
「ぁあっ」
「んぁっ」
 お兄さんから少し高めの声が漏れて、体がビクッと震えたその振動がこちらにも響いて、予期せぬ刺激に自分も小さな悲鳴を漏らした。
「こらっ、嫉妬しない」
 軽く後ろを振り返ってそう口にする先には、少し不機嫌そうな彼が居る。いや、不機嫌っていうよりは拗ねている。少し頬を膨らませてむくれているから、わかりやすいけどわざとらしい。
「お前もちゃんと気持ちぃでしょ」
 確かに、お兄さん越しに彼が熱い息を吐くのが見えていた。
 ゆるやかな腰の動きは、こちらを突くのと彼のペニスをお尻で扱くのとを両立させていたから、というのが大きいのもわかっていた。
 器用すぎるし、魅力的なプレイ云々の前に、こんなの絶対真似できない。
「あーもう。はいはい。お前も可愛い可愛い」
「雑すぎるだろ」
「だってわざとらしいんだもん」
「ん、ふふっ」
 まんまと指摘されてるのがおかしくて思わず笑ってしまえば、二人の視線が自分に向けられる。
「俺も、わざとらしいなって、思ってて」
「ほらぁ」
 言いながらまた笑ってしまえば、お兄さんがほらみろと呆れた声を上げる。
「でもちょっと可愛かった、かも」
 怒ってるわけじゃなくて拗ねてる、というのを実感するようになってから、彼に対する愛しさは間違いなく増したと思う。彼が不機嫌なのにお兄さんがニコニコ楽しそうにするのも、わかった気がする。
「もっと素直に、仲間に入れてって言えばいいのにねぇ」
 俺もこの子もいくらでも本気の好きをお前にあげるのに、と続いた言葉には頷くしかない。
「ですねぇ」
 気まずそうな顔をするのは、未だプレイ的な好きしか口に出来ない自覚があるからなんだろう。
 愛しい気持ちが溢れて、と感じるような「好き」だったり「可愛い」だったりは貰えないけど。こっちが勝手に溢れさせる想いを、嬉しそうに愛しそうに受け取ってはくれないけど。でも、受け取ってくれてるのはわかるから。
 最近はもうそれでいいというか、全然気にならなくなっている。プレイで貰う「好き」だって、彼が楽しそうで嬉しいって方向に気持ちが変わって、虚しさなんて感じなくなっている。
 お兄さんもそんなこちらの気持ちを汲んでか、最近はもうあんまり、ポンコツだのなんだのは言わなくなったしわざと煽るような真似も多分しなくなった。
 まぁ3人ですることが増えてるし、お兄さんとは彼が居ても居なくても関係なくプレイじゃない「好き」を言い合ってしまうから、わざと煽らなくたって勝手に煽られてくれるって理由も間違いなくある。
 ただ、煽られた彼にちょっとしつこく責められる、というのがいつものパターンなんだけど。
 と思ったところで、今日は彼が突っ込んでるのがお兄さんだからか、と思い至る。お兄さん相手じゃ、わかりやすく拗ねるくらいしか出来ないのかもしれない。

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聞きたいことは色々61

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 二人の間に挟まって抱くのと抱かれるのを同時にこなすには、どうしたって彼には後ろから挿入されることになる。そしてお兄さんの方は顔が見たいし抱きしめたいと言って正面から抱かれることを好むから、お兄さんに抱きつき抱き返されながら喘ぐ羽目になるのだけど、少し慣れた最近は、必死にしがみつかなくても快感をやり過ごせるようになった。
 そうして気づいたのは、自分のペニスを受け入れてくれているお兄さんが、自分を通り越して彼を見つめていることがそこそこの頻度であることと、その瞳が愛し気なことだ。
 自分自身、お兄さんからは可愛い愛しい大好きって気持ちをたくさん貰っているから、間違いないと思う。
 一緒に愛を注ごうね、なんて言いながらも、普段そんな目で彼を見ていることはなくて、楽しげに言い争う姿のほうが馴染み深いんだけど。
 ベッドの上で、自分を挟んで、自分越しに彼に喘がされているような状態で、そうなるんだって、妙な納得感がある。かつては間に挟まる彼越しに、旦那さんを愛し気に見つめていたんだろうなって思ってしまう。
 そこそこの頻度でとはいっても、今現在の恋人は自分だから、お兄さんの意識はほとんど間に挟まれて必死に喘ぐ自分の方に向けられているし、可愛い愛しい大好きってヨシヨシされてるんだけど。でも旦那さんがいた頃、間に挟まって喘がされる彼に、こんな態度はとってなかったはずだというのもわかっている。
 彼は今、間に挟まる恋人越しにこんな愛し気に見つめられることを、どう思っているんだろう。間に挟まってヨシヨシされてる自分は、どう見えているんだろう。
 今、どんな顔をしているんだろう。
 そう思ったら、背後からしか抱いて貰えないのが残念だなと思うようになったし、彼に直接抱かれるお兄さんを見てみたいとも思うようになってしまった。
 お兄さんと場所を入れ替えたら、自分を抱くお兄さんとそのお兄さんを抱く彼の両方が見れるんだってことにも、気づいてしまった。
「本気で?」
「本気で」
 前に、そういう欲求が湧かない限りは試さなくていいと思っている話は聞いたけど、だったら、そういう欲求が湧いたら試してもいいってことだろう。
「ダメ、ではないんだけど」
「ないんだけど?」
「慣れてないんだよな、真ん中」
 言い淀むの珍しいなと思ったら、横から彼が答えをくれた。
「そう。だってこいつが俺に抱かれてくれたの、2回だけだからね」
「一番下ってそんなしんどいんですか?」
 お兄さんが余裕をなくして喘いでしまうくらいには、一番下も大変そうではあるんだけど。
「俺にとっては」
 肉体的にというより精神的な方と言われて、そんなにお兄さんに突っ込まれるのが嫌だったのかと思ったら、後ろから突っ込むのでいいならもうちょっと応じても良かったとか言い出して、どうやら自分を抱く相手の顔を見てたくないって話らしかった。
 しかもお兄さん越しに叔父さんとも見つめ合うことになるというのが、二重に辛かったらしい。
 一番下になったら二人の顔がちゃんと見れる、と気づいて試したくなった自分とは真逆だ。
「後ろからするんじゃダメだったんですか?」
「だって顔みたいじゃん」
「それ、恋人とか特別な相手以外でもなんですね」
「いや、こいつも特別枠。というか家族枠だね」
「悪趣味すぎるんだよ。こいつも、あの人も」
「お前も人のこと言えないような過去いっぱい持ってるだろ。まぁ、嫌々応じてるのが丸わかりで良かった、って面がないわけじゃないから悪趣味なのは認める。お前は3人同時に繋がるプレイそのものが嫌いで、真ん中やってるときも嫌々だったけど」
 あの顔は俺しか知らないって思うとちょっと優越感ある、と言ってお兄さんが笑う。
「後ろから突っ込むならあり、だったら」
「絶対やらない」
 絶対ないと思っていた「彼が真ん中」の可能性が、と思ってみたものの、口に出したら最後まで言わせても貰えなかった。ですよね。

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聞きたいことは色々60

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 1度してから先はは、3人でデートした日の夜には当然そのまま3人でするようになったけれど、彼を交えたデートはだいたい3週に1度で、どうやら以前と同じペースを意図的に保っているらしい。
 でもお兄さんとは相変わらずほぼほぼ毎週末顔を合わせているし、会えば大概セックスもしてしまうから、除け者にされている彼は相当不満を持っているようだった。といっても、あからさまに不機嫌な様子を見せることはかなり減った。
 代わりに、口説かれている。
 以前よりはっきり口説かれていると感じるのは、好きって言わせたからというか、そういうプレイ得意なんでしょって言ってしまったせいかもしれない。
 デートの頻度を決めてるのはお兄さんの方なんだからそっちに頼んでって思うんだけど。もちろんそう言ったんだけど。彼が言うには、こちらが本気で頼めばお兄さんが応じるだろってことらしい。
 つまり、もっと3人デートの頻度を上げてってお兄さんに頼ませたようとしている。
 というのを、お兄さん本人が目の前にいる状態でやりとりするのだから、なんていうか、そういうプレイなんだなぁと思ってしまうわけだけど。
 甘ったるくねだられるのには弱いし、イカセてもらえない状態で焦らされるのは辛いしで、彼が請うままお兄さんにお願いして却下されるまでが一つのプレイで、それが毎回のように繰り返されている。
 そういうプレイで不満を解消してる、って可能性もある。というかお兄さんはそういう認識をしている。
 正直に言えば、本気で3人デートの頻度をあげたいとは思ってないので、不満解消でやってるだけなら安堵してしまうんだけど。もし不満を募らせてしんどい思いを抱えさせているなら申し訳ないなとも思う。
 だって、言わされてるうちはないって言われてるから、3人デートの頻度を増やすかはお兄さんではなく自分に決定権が移ってしまっている。彼が言うように、お兄さんには本気で頼めば応じる気がある。
 3人デートも3人でするのも。抵抗感は相当薄れたし、彼を好きな気持ちが自分の中にしっかり残ってるのも事実だし、彼から貰う「好き」はプレイで構わないって思うようにもなったけど、やっぱり一度に二人を相手にするのは大変だなと実感してもいる。
 もう無理って泣いて頼むような目にはあわなくても。お兄さんと二人きりのセックスだってそれなりにプレイと呼ぶような行為をしてるけど。
 二人がかりだと強い快感に振り回されて、どうしたって疲れ方が違う。肉体的にも、精神的にも。
 二人の間に挟まって抱くのと抱かれるのを同時にこなすセックスも経験済みだけど、お尻に玩具をはめた状態でお兄さんに突っ込んでイクのと、お兄さんに突っ込んだ状態で容赦なく前立腺をゴリゴリ刺激されるのは全然違った。
 最初は騎乗位でお兄さんが好き勝手に気持ちよくなることが多かったけど、最近はお兄さん相手に腰を振ることもしてたのに。そんな真似はかけらも出来なくて、お兄さんに縋って喘ぎながら、彼に突かれるままお兄さんのお尻を突いてしまった。
 そういうもん、らしいけど。
 お兄さんのあんなに切羽詰まった姿を見るのは初めてで結構びっくりしたけど、それもやっぱりそういうものというか、お兄さん的にはむしろ懐かしむような慣れた感覚で、久々に堪能したと満足げだったから更に驚きだった。

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聞きたいことは色々59

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「好きって言わせちゃったの、失敗でしたかね。ずっと3人でするのが目標で、やっと3人で出来たのに、あんま楽しめなかったのかな。というかもしかしてずっとかなり苛ついてました?」
「ずっと、ではないけどそれなりに不満はあったんじゃない。といっても主に俺のせいで、だけど」
 落ち込む必要はないよと頭を撫でてくれる。
「あと、好きって言わせたのは多分正解。俺とだけ好き好き言い合ってたら絶対拗ねたし」
 不機嫌な態度で抱かれるよりは、プレイでもにこやかに好き好き言われながら抱かれる方がマシじゃない? と言われればもちろんそうなんだけど。好きと言い合っても、それがプレイでも、今回は特にしんどくなってないから尚更そう。
 しんどくならなかったのはそこにお兄さんも一緒に居てくれたからだし、彼がくれる「好き」に多少虚しくなったとしても、お兄さんがくれる「好き」が即座にその隙間を埋めにきてくれたからだ。という部分も、3人でしてみて良かった点かも知れない。
「あの、時々不機嫌になるあれって、拗ねてるんですか? というか拗ねるというのがイマイチわからなくて」
 怒ってるとかじゃなくて? と聞いてみたら、怒って不機嫌てよりは拗ねて不機嫌だと思ってるよと返された。
「君がアイツを恋人として扱ったら機嫌良くなってたし、君と俺が仲良くイチャイチャしすぎるから疎外感とか感じてるんじゃない?」
「疎外感」
「そう」
「でもだからって俺とイチャイチャしたいわけじゃない、ですよね?」
 もちろん、お兄さんとイチャイチャしたいって方でもないだろう。多分。
「何?」
「あなたとイチャイチャしたい可能性とか」
「うん、ない」
 見つめてしまえば何かを感じ取った様子で聞かれてしまったので、正直に答えてみたら、やっぱりあっさり否定が返る。
「少なくともそういう素振りは見せられてないね。むしろ正しく俺を嫌がってると思うよ」
「正しく嫌がってる?」
「君とのイチャイチャをわざと見せつけて煽ってる自覚あるし、向こうもそれに反応して不快に思ってる部分はかなりあるはず。って話」
 だから本当に気に病む必要はないよと言われたところで、きっとこれからも、不機嫌な態度を見せられたら怯んでしまうと思うけど。
「ちなみになんでそんなことを?」
「いい加減好きを認めるんじゃないかと思って?」
 さすがにもう自覚あると思うんだけどなぁと続いた言葉に首を傾げる。
「自覚、ですか?」
「そう。アイツさえその気になれば、今の俺の立場はアイツのものだったわけ。というのは多分もうわかってると思うんだよね。でもって俺と君がイチャつくのが不快で、俺に嫉妬してるように見えることが増えてるから、あともうちょっとかなぁ、みたいな期待はしちゃうよね」
 もしかして、彼がプレイじゃなく好きって言ってくれる日がくるかも、って話だろうか。以前から時々それっぽいことを言ってるけれど、こちらとしてはあまり実感がない。
「本当にそれ、期待できます?」
「多分」
「たぶん……」
「だって単に俺の煽るような態度が不快なだけなら、俺に対して何か言ってきそうだもん。でも俺にってより君の俺への態度に思うところがありそうだし、君が俺よりアイツを優先したら機嫌いいし」
 意識してやってみたらきっとわかるよと言われたけど、多分それは必要がない。だって言われてみたらそうかもって思ってしまった。
「でもそれが俺を好きってことになります? というか好きを理解しないポンコツ、って散々言ってたじゃないすか」
「それはそうなんだけど、変わる気があるかもと思わないこともないというか、変わらなかった場合の未来はわかってるはずというか」
「変わらなかった場合の未来?」
「俺が君を奪いきって、アイツはセックスに刺激が欲しいなって時に呼ばれる部外者扱い、だね。端的に言えば、旦那とのセックスに混じってたときと似たような状況かな」
 一旦別れたってことにせず、他に恋人を作る気のない今の彼に、その未来を受け入れる気はないだろう。だそうで。
「もし彼が俺を好きって思うようになったら、あなたはどうするんです?」
 良かったね。もう大丈夫だね。とか言って、あっさり恋人を解消されて、彼の元へ戻されてしまうんだろうか。
 なんて不安はどうやら必要がなかった。
「君から手を引くかって話なら、手を引く気はないよ。大丈夫だから、安心して俺のことも好きで居て。てかそもそも俺が目指してるのは、アイツを仲間はずれにしないセックスをすることだからね」
 一緒に愛を注ごうねって言ったでしょと言われて、そういや言われたなと思い出す。
「好きを理解するようになったら愛しがいも増すよね、くらいの気持ち」
 なるほど、と思わずには居られなかったし、もちろんそう口に出した。

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聞きたいことは色々58

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 土曜の昼前から泊まりで出かけると週末に済ませたい家の色々が溜まってしまうので、以前もデートの翌日はそこまで長居せずに起きてご飯を食べたら帰ってたし、それはお兄さん相手でも変わることはなかったんだけど。お願いされて、彼の家から自宅に帰るのではなく、お兄さんの家に移動してベッドの上でゴロゴロしていた。
 昨夜も今朝もあれこれ譲ったからイチャイチャし足りてないと言われたら、断る気になれなかったからだ。抱いたり抱かれたり、二人だけでのセックスがしたいわけじゃなくて、本当にイチャイチャしたいだけって言われたのも大きい。
 一晩寝てそこそこ復活してるから、やれないこともなさそうだけど。一応そう申告してみたら若いなぁって笑われてしまったし、やれなくないってだけでしたいわけじゃないから、言葉通りにただただイチャついた。
 とはいえ、どうしたって昨日のアレコレが話題に上がる。
「3人でするのどうだった?」
 二人がかりで気持ちよくされるの凄かったでしょと言われて、たしかに凄かったけど、あれが良かったかどうかはやっぱ微妙な気がする。
「俺だけ休憩できないの、あまりに不利でした」
「でもああいうの、二人を相手にしてるっての実感しない?」
 俺だけじゃあそこまで追い詰められないし、もうむりって泣いてるの可愛かったよ。なんて愛しげに見つめられながら言われたら、まぁいいかと思ってしまうところはあるから、多分このイチャイチャはそうやって昨夜の小さな不満を聞き取って解消するためのものでもあるんだろう。
「結局好きって言い合うプレイしてたけど、そっちは?」
 しんどくなってないか聞かれて、大丈夫ですと返す。
「だってあれ、言わされたってより言わせた方ですし」
「だよねぇ。俺はかなり面白かった」
 お兄さんと交際開始する直前、好きって言い合うセックスはもうしたくないって言ったのを律儀に守って、好きだと言ったり言わせたりする気がなさそうだった相手に、自分から好きだと繰り返して好きって言ってとねだってしまった。
 最初、納得がいかない様子は見せてたけど。プレイでいいから言ってくれと頼んで、そういうの本当は得意って聞いてるって言ったら、嫌そうにため息を吐いた後で、ガラッと態度を変えてきたから、あれは確かにちょっと面白かった。
「好きって言わせなかったら、最後の俺だけ見とけの延長線ってなかったと思います? てかあれってありなんですか?」
「ありなんですか、ってどういう意味?」
 ありだったからやったんでしょと言われたらそれはそうなんだけど。
「3人でしよって話だったのに、最後あなたの存在消えてたから。良かったのかなって」
「それは君がちゃんとアイツだけ見てたからそう感じるだけで、俺は引いたけどあの場には居たんだし、ちゃんと二人のこと見てたよ?」
 絶対嫌がるから逆はやらなかっただけで、あれも一種のプレイ。と言われてしまうとそういうものなのかと思うしかない。どっちがより相手を可愛く喘がせられるかとか、夢中にさせるかとか、なんか色々あるっぽい?
「つまりあれは本当に久々でやり足りなかっただけの、よくあるプレイの一つ?」
 好きって言い合うプレイをした結果、自分だけ見とけなんて発想になった可能性を考えていた。あと、好きって言わせた腹いせの可能性とか。正直に言えば、腹いせで、もう無理って言ったのに解放してくれなかった可能性が高いのかなと思ってた。
「ではないね。続けたいなら君を一度休ませるって方が現実的」
 もう無理って泣いたのに付き合えって言われて素直に付き合うと思ってなかったと言われて、慣れてるからと返したら嫌そうな顔をされてしまったけど。でも多少強引にアレコレ進められてしまうことには、間違いなく慣れてると思う。
 本気で嫌がれば止まってくれるのもわかってるし、翌日足腰が立たないだとかの肉体的なダメージを負わされたことはない、という信頼もある。
「いやでもかなり加減してくれてたっていうか、ゆるく気持ちぃみたいにしてくれたから。俺だけ見とけ、なんて甘いこと言ってたけど、内心怒ってるかなとか思ってたのもあったし」
 態度の急変は面白かったけど、プレイ用の顔になってしまって不機嫌がわかりにくくなったのは失敗だった気がする。いやでも不機嫌を隠さず出されると、それはそれで気を遣うというか若干怯えてしまう部分があるので難しい。
 お兄さんは彼の不機嫌を楽しげに見ていることが多いけど、そんなの絶対真似できそうにない。
「ああ、好きって言い合うの禁止って言っておきながら好きって言わせるプレイけしかけたから、怒らせたかもとか思ってた?」
「多少」
「もし怒ってたとしたら俺にだから、そこは間違えないようにしてね」
「え?」
「プレイでいいから好きって言って、なんて言葉が君から出たのは俺のせい。って思ってるはずだし、まぁ事実そうだろうし、確かに苛ついてはいたからね」
 じゃなきゃアレコレ譲ってないしと言われて、お兄さんも感じていたんだなと思う。

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