金に困ってAV出演してみた22

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 数日後、続きの撮影でまず行ったのは、二人きりでの準備だった。
 衣装ではなくバスローブが用意されていて、シャワー後にそれを着て案内されたのはベッドとテレビくらいしかない小さな部屋で、部屋の中には彼一人しか居なかった。
 そしてざっくり編集済みの前回撮影分を一緒になって観る、という何かを思い出させる展開に、思わず部屋の中に隠しカメラがあるのかと疑ってしまったのは仕方がないと思う。けれどそれはあっさり否定されて、気持ちを前回の続きというか、この映像の続きに向けて合わせやすいようにというだけの気遣いらしい。
 前回時系列メチャクチャな撮り方をしたことと、それでこちらが撮影後に混乱から疲労していたこともあって、撮影前の予習が必要だと判断したようだ。ただまぁ、ついでに今日の撮影へ向けて体も慣らして置こうかって言われて、自分がエロいことをされている映像を見ながらお尻を弄られるという、なかなかな羞恥プレイも付属していたけれど。
 だってただただ映像の確認をしながらお尻を慣らされているわけじゃない。彼は画面の中の男同様に生徒としてこちらに接してくるのだ。
 画面の中で彼に弄られている男はやっぱりそこまで馴染みがない姿をしていて、イマイチ自分自身だとは認識しずらいのに、それでも生徒として語りかけられると、自分は彼の家庭教師で、今日は彼に撮られた映像を見せられながらのプレイなんだって思い込んでいく。彼の言葉を聞きながらお尻を弄られていると、一日で撮影したはずの映像なのに、画面の中のストーリーと同じ様に、まるで長い時間を掛けて少しずつ、彼の手でお尻を開発された気にもなってくる。
 もしかしたらこれも、気持ちをこの後の撮影へ向けて整えるというか、体だけじゃなくて心ごと準備を手伝ってくれてるのかもしれない。
 彼がここまでしてくれるのはきっと、彼の思い描く作品を撮るために必要だからなんだろう。素人の演技には期待できないから、まんまこちらを、この物語の家庭教師役に錯覚させてしまえって意図がありそうだと思う。
 実際錯覚は置きているし、ありがたいことなんだろうけれど、なんだか胸の奥が痛かった。だって前回の撮影では気づけなかったことも、この映像には映り込んでいる。
 時系列にそって並べられた映像には、彼の、というよりはこの物語の生徒の想いが、思いの外強く描かれていた。撮影中は焦らされれば焦らされるだけ余裕がなくなって、彼がどんな顔をしていたかなんて思い出せないけれど、時々映される彼の表情が気になってたまらない。
 画面の中の自分に、というよりはこの物語の家庭教師に、錯覚によって気持ちが重なっているから余計に気になる、というのもあると思う。なんせ映像の大半は快感を耐えながらお尻の開発をされている自分が映っているのだ。自分の顔がアップで撮られていることはあっても、彼の顔がアップで映される瞬間なんてない。
 それでも目が画面の端に映り込む彼の姿を探して追いかけるのは、この物語の家庭教師の男として、彼の想いが気になっているから。と考えるのはそう不自然なことではないと思う。もちろん、自分が気持ちよさで喘いでしまうのを耐えまくる映像なんて見たくない、的な気持ちだってないわけじゃないけれど。
「どうだった?」
 やがて映像が終わると、お尻の中から彼の指も抜けていって、同時に感想を尋ねられる。
「思ったより、短かった、かも」
 あんなに時間を掛けて撮影した映像は、思ったよりもギュッと短縮されていた。時間がかかったのは着替えやらで頻繁に休憩が入ったせいでもあるから、こんなもんなのかも知れないけれど。
「確かにね。入れたいシーンはもっと色々あったんだけど、今日の分も足すこと考えたら、結構早送り気味になっちゃったよね」
 いっぱい頑張ってもらったのにごめんねと言われたけれど、別にそれはどうでもい。
「別にそんなのは謝らなくていいけど。それよりさ、これ、最後どうなんの?」
「どうなるのって、どういう意味で?」
 この後のざっくりとした展開は一応聞いている。どんどん過激になる開発に音を上げた家庭教師が中出しセックスを受け入れて、彼のものであることを宣言させられる展開になるらしい。
 もちろん過激になる開発の許容範囲は既に伝えてあるし、中出しに対してもお互いに事前に性病チェック済みだし、さっきも念入りに中を洗ってきた。多くて喜んだギャラは、どうやら内容のハードさに比例したものだったらしい事にも、今はもう気づいている。
 ただ聞かされているのはそれだけで、互いの気持ちについては特に何も知らされていなかった。

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金に困ってAV出演してみた21

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 歯を磨いて戻れば、勉強机の上にグラスが2つ置かれていた。机の横には既にカメラもスタンバイしている。
 この後は先程までのあれこれをネタに脅されて、今後も関係を続けるよう強要されて、それで今日の分の撮影は終わりなはずだ。これまでの流れなら、休憩という名の打ち合わせが入って、その間に軽くお菓子をつまんだりそれこそ水分補給をしていたのに、今回はすぐにも撮影が再開されるらしい。でもどう考えたって、机の上のグラスが水分補給用とは思えない。
 それでも、どうぞと勧められるままグラスを手に取り中身を口にした。
 何かのハーブティーだろうか。爽やかな香りとほんのりとした甘みが、疲れた体に染み渡る。美味しさにあっさり飲み干してしまえば、空になったグラスはすぐに新しいグラスに交換された。しかし、二杯目はただの麦茶らしい。同じものを出してくれればいいのに、少しばかり残念だ。
「さっきのお茶のが良かった?」
「えっ? あ、うん。そうだね。あれ何のお茶なの。飲んだことない味だったけど、美味しかった」
「じゃあ次回はまたあれを用意しておくね。興奮して授業どころじゃなくなって、また、俺と抜き合うことになると思うけど。楽しみだなぁ」
「は? えっ?」
「あれね、エッチな気持ちになるお茶だって。ついでにちょっと、強制的に勃起しちゃう薬もブレンドしてあったりするけど」
 効果抜群だったよねと笑われて、えっ、えっ、と何度も戸惑いの声を上げてしまう。
 いやまぁよくよく考えれば、さっきまで飲んでたのがさっきまで撮影していた冒頭シーンのさらに前に差し込まれる映像で、この麦茶から先が事後の脅され部分用というのはわかるんだけど。さっきのお茶に本当に薬が仕込まれてるわけじゃないのも、わかるんだけど。
 でも、それらを一度に繋げて撮るどころか、事前に薬入りのお茶を飲まされていた設定があったことすら知らされてないので、理解が追いつく前にどんどん話が進んでしまう。
「ずっとね、先生には俺のものになって欲しくて、めちゃくちゃ機会探してた。だからね、俺のことは好きじゃなくてもいいけど、俺のものになってね」
 にっこり笑顔は可愛いのに、しっかりと凶悪な腹黒さが滲み出ていて、頭の中ではただの設定でこれは撮影と思っていてもゾッとした。逃さないからと宣言されれば、もう逃げられないのだと、どこか本気で思いかけている。
「さっきの抜き合いも、先生がしてくれたフェラも、記念撮影はばっちりしてあるから、それ、忘れないで。もし逃げようなんて考えたら、それ使って先生の人生、めちゃくちゃにしてあげるね」
 口から吐き出す言葉は脅迫以外のなにものでもないのに、うっとりと言い募るさまが幸せそうにも見えて、呆気にとられて見つめる以外にない。いやなんか、凄いな。演技力。
「驚いて何も言えない感じ?」
「えっ、あ、いや……なんか、ちょっと、」
「なんかちょっと、何?」
「あー……いや、なんでも、ない」
 さすがに見惚れてたとは言えそうにない。言葉を濁せば、まぁいいけどと相手も流してくれる。
「いきなり先生はもう俺のもの、なんて言われたって、実感湧かないよね。でもこれからじっくり、教えてあげるから」
 とりあえず次回もちゃんと教えてに来てねと言われて、どうやらそこで、本日の撮影は終了したらしい。
 ただ今回はまた後日続きの撮影が有るので、お疲れさまでしたと帰ってしまっていいわけではさそうだ。私服に着替えて帰る用意はしてていいけど待っててと言われて、控室らしき部屋でぼんやりと彼かスタッフが来るのを待っている。
 なんか色々有りすぎて疲れた。色々あったと言うよりは、聞かされているストーリー通りに進んでいかない撮影に、だいぶ頭の中が混乱気味らしい。
「お疲れ様。疲れちゃった?」
 やがてドアが軽く叩かれて、現れたのはスタッフではなく彼自身だった。
「んー、頭が疲れてる、って感じがする」
 散々お尻を弄られはしたけれど、玩具で何度もイカされたわけでも、抱かれたわけでもなく、ただ一度抜き合っただけなので、体の疲れはそんなでもない。
「頭が?」
「俺が演技できないと思って、わざと教えてないこと、いっぱいあるよね?」
「うん。驚いたり戸惑ったり、素の反応貰ってる部分は多いね」
 どうやら相手の思惑通りの反応を返せているようで、凄く助かってると言われてしまえば、下手くそな棒読み演技とかを晒すよりマシかなと思ってしまうのだけど。
「まぁ、それなら、いいんだけど」
「疲れさせちゃってごめんね。多分次も似たような撮影になると思うけど、ああ、でも、今回ほどシーンが前後する撮影はないと思う」
「そうなんだ」
 監督という立場上、相手も色々と忙しいらしい。聞きたいことや確かめたいことが色々とあったような気がするのに、気持ちや思考を整理しながら、雑談交えてゆっくりお喋りなんてしている余裕はなかった。
 結局、次回の大まかな確認だけで解散となってしまったのが、少しばかり残念だった。

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金に困ってAV出演してみた20

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 互いのペニスが擦り合わされる興奮はもちろんあるが、それよりも、やっとイッてもいいんだという安堵が大きい。そして焦らされまくった体は当然のように、あっという間に絶頂した。
 早すぎと笑われて、あっさり終わってしまった時間を惜しまれながらも焦らしすぎたと謝られて、それから約束通り、今度は相手をイカせるためのフェラを開始する。といっても、こちらがイッてから相手のを口にするまでには、一度休憩が入ってたりするのだけれど。
 椅子に腰掛けた相手の開かれた両足の間に座って、目の前に反り立つペニスに頭を寄せていく。
「ねぇ、先生ってやっぱ、俺が好きなんじゃないの。もしくはかなりの変態なのかな? 自分の我慢汁とザーメンまみれのちんこ差し出されて、素直に咥えちゃうって普通じゃないよね?」
 確かに先程、こちらが出した精液を自身のペニスに塗りつける様子を撮らせてはいたけれど、その後の休憩ですっかり拭き取られているし、彼のを口でするのだって初めてじゃない。だから全く抵抗なく口を開いてしまったが、まさかこんな言われ方をするなんて思ってなかった。
 ただ、頭の上で彼が色々と喋る言葉は全部無視していいと事前に言われていたので、黙ってフェラに集中する。
「少なくとも、ノンケじゃないよね。俺が生徒だから好きになっちゃダメだ、みたいに思ってくれてるんならいいのに。まぁ、実は変態、ってのでもいいんだけどさ。それならそれで、楽しめそうだし、ね。ああ、これは嬉しい誤算だなぁ」
 聞きながら、少し不安になってくる。さっきまで散々お尻をいじられるシーンを撮っていたけれど、脅されて仕方なく受け入れている、というだけだと思っていた。
 脅されて弄られているのに感じてしまうのを、変態だねと言われた記憶はない。でも、体は嫌がってないみたいだよとか、もしかしてヤダヤダ言うのを無視されて弄られるのが興奮するのかな、みたいな事は言われていたような気がする。
 あれ? 全く聞いてないけれど、もしかして、変態って設定があったりするんだろうか?
 なんて疑問が頭に浮かぶ頃には、相手がそろそろイキそうだと訴えている。この前は顔に掛けられたけれど、今回は口に出したいと言われて許可済みだから、口の中に出される気持ちの準備をしておく。
 飲む必要はないけれど、なるべく口に留めて欲しいと言われている。口の中に出されたものを撮りたい的な思惑があるんだろうことはわかる。まぁ、もし噎せて吐き出しちゃってもフォローはするから気負わずに、とも言われているんだけど。
「ああ、イク。出すよ。ちゃんと、全部受け止めてよ、先生」
 頭を押さえられて、グッと喉の方まで押し込まれたペニスが口の中でビクビクと脈打っている。息を詰めて喉を締めて、ギュッと目を閉じながら、吐き出されてくる粘液を口の中にためていく。
 口の中で反応する相手のペニスが愛しくて、フェラは嫌いな方ではないのだけれど、さすがに美味しいと思える境地に至った経験はなく、口に出されたりそれを飲まされたりするのはやはりそれなりに苦手ではあるのに、鼻に抜けていく青臭い匂いにほんのりとトキメイているらしいから驚く。
 たぶんきっと、人と性的に触れ合うのが久々なせいだろう。あの盗撮セックス以降、恋人どころか体だけの相手を探す気にもならなくて、すっかりご無沙汰だった。
 ついでに言えば、彼とのセックスを思い出しながら、それをおかずに抜いた事もなくはない。いつか来るはずの撮影依頼を、少しだけ、楽しみにしてもいた。本当に撮影依頼が来るのかは、半信半疑でもあったけれど。
「ねぇ、口開けて。先生の口の中で射精したって、俺に実感させて?」
 出し切ったのかズルリと口からペニスを引き抜いた相手に、うっとりとした声音でねだられて、口を開き精液を乗せた舌を少しばかり突き出して見せる。カメラが寄ってじっくり撮影された後、一度口を閉じて周りを探ってしまったのは、口の中のものを吐き出すにしても、ティッシュなりが欲しいからだ。もし手の平に出した方がいいなら、そう指示が出るはずだとも思う。
 けれど見上げた相手は少し困ったように、何かを迷うようにこちらを見下ろしている。
「ね、それ、飲んでよ。って言ったら、どうする?」
 口の中が空なら、えっ、と声を発していただろう。だってそんな事を言われても、どうすればいいのかわからない。飲まなくていいって言ってたのに。
「俺を好きなら、俺が出したザーメンだって、飲めるんじゃない?」
 試すみたいな言い様に、一瞬、このまま飲んであげたらどうするんだろうと思ってしまう。好きだから勃起したし、好きだから口でしたし、好きだから口に出されたものだって飲めてしまう。という態度を見せたら、既に撮ってしまったお尻を弄られるシーンはどうなるんだろう。
 脅されて開発されていくという基本のストーリーが変わってしまうんじゃないだろうか?
 多分、無理だと首を振って、好きじゃないという否定が欲しいんだろう。そう思うのに、飲めないと首をふることが出来ず、かといって飲み下してしまうことも出来なかった。
「ははっ、凄く困ってる。ごめんね、困らせて。はい、これに吐き出して」
 ティッシュの箱を渡されてホッとしていいはずなのに、口の中のものを吐き出しても、カットの声が掛かって撮影が中断しても、何かが心のなかに引っかかったままだった。

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金に困ってAV出演してみた19

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 これ以上焦らされたくないよという想いを込めながらも、どうすればいいのという気持ちで相手を見つめる。相手は柔らかに笑って小さく頷いてみせた後、ダメ押しとばかりに、もう一度言うよう促してくる。
「言っちゃいなよ。もっとして、って。ね」
 これはもう、言っていいって事なんだろう。
「もっと、して……」
「はい、よく言えました」
 どっちが先生なんだか、と言いたくなるような返答をされつつも、相手の手がフロントボタンに掛かってホッとする。早く触って欲しくて協力してしまえば、先生が乗り気で嬉しいと喜ばれてしまった。
「ああ、下着、もう結構濡れて色が変わっちゃってるね。随分我慢させちゃった? それとも我慢汁、多いタイプかな?」
 もちろん、随分我慢させられているのが正解だ。下着の観察なんてしてないで早く続きを、と思っても居る。
 散々お尻を弄られまくった後とは言え、撮影しているのは冒頭シーンなので、これから初めて触れられるのだという演出的なものだというのはわかっているけれど。
「は、やく」
「ふふっ、そんな我慢してたんだ?」
 もっと早く誘ってあげれば良かったね、だとか、焦らしちゃってごめんね、だとか。そんな言葉を重ねながら、ようやくペニスが引きずり出されて握られる。
「ぁあんっ」
「ああ、ほら声。声は聞かせて欲しいけど、なるべく静かに。ね?」
 わかってると何度も必死に頷けば、じゃあ扱くよと宣言されてペニスを握る手が上下する。ようやく得られる直接的な快感に、腰の奥や頭の中が蕩けていくようだ。
「ぁっ、ぁっ」
「先生のおちんちん、凄く感じやすいんだね。いっぱい我慢汁垂れ流して、すっごいぬるぬるしてる」
「ぁ、ゃあっ」
「太さはあんまりないけど、その分ちょっと長めかな。俺の手でもしっかり握り込めるジャストサイズって感じ。ね、俺の手、気持ちいい?」
「ん、ぅん、きもちぃ」
「あは、素直。少なくとも俺の手との相性は良さそうで嬉しいなぁ。ね、カリの段差、いいよね? 裏筋は好き? 先っぽの穴は? どうされるのがいいか、教えて?」
 ねぇ先生、と甘えるみたいに呼びかけられると弱い。彼とは何度も、もっと気持ちよくしてあげたいから教えて、というのを繰り返してきたというのも影響しているかも知れない。
 こうしてくれたら気持ちいい、と言うのを教えたら、すぐにでもそれを覚えこんで、うんと気持ちよくしてくれるのを経験的に知ってしまっている。
「ぁ、ぁぁっ、ぃいっ、それ、それ、きもちぃ」
 間違いなく気持ちがいいのに、少しだけ物足りない。さっきまで散々弄られていたお尻が疼いていた。でもお尻も一緒に弄って、なんてことはさすがに言えない。
 春に撮ったセックスしないと出られない部屋では、抱かれた経験のあるゲイネコのままで良かったけれど、今回のは教え子に脅迫されて少しずつ開発されていく的ストーリーだ。同性の教え子相手に勃起しているのでノンケを装う必要はないのだけれど、しっかりと未経験は装っている。少なくとも、本物のペニスは受け入れたことがない穴、という設定で撮られていた。
 この物語はフィクションです。嘘だとわかってたって、初めてってのは萌えるし燃えるよね。という事らしい。
「ね、そろそろイキたいよね?」
「ぅん、ぅん、イキたい、イカせて」
「じゃあさ、俺のも、触って? 俺ももう、いい加減ちんこ痛いくらいに勃起してるんだよね。だからさ、まずは先生が、俺を気持ちよくイカせてよ。見本、見せて?」
「えっ……」
 このままイカせて貰えるのかと思っていた。ここでまた焦らされるのかと思ったら、さすがに悲観したくもなる。
「ああ、もう。そんな顔されたら弱いな。じゃあさ、俺がイッてから、ってのはナシにするから、一緒に握っていい? 先生のおちんちんと俺のちんこ、こすり合わせて、俺も一緒に気持ちよくなるならいい?」
 もちろん歓迎する。うんうんと何度も頷いてしまえば、それともう一つ、と更に条件が追加されるらしい。
「もし先生が先にイッちゃったら、俺の、口でしてくれる? 俺もちゃんと最後まで気持ちよくしてくれるなら、先にイッても許してあげる」
 一人だけ気持ちよくなって終わるのは無しだよと言われて、それくらいならと再度頷けば、上機嫌に約束したからねと念を押された後、ようやく行為が再開した。

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金に困ってAV出演してみた18

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 トコロテンも出来れば撮りたいけどそれはまだ先かな、なんて言われて、どうやら限界の訴えは受け入れられた。
 着替えをしながらこれから撮る冒頭シーンについての説明を受ける。といっても素人の演技に期待などされているはずもなく、要するに、流れを把握しておいてってだけなんだけど。
 設定として覚えてて欲しいと言われたのは、もともと顔を知ってる程度にはご近所さんで、いいとこの大学に入ったというのを聞いて半ば無理やり家庭教師をお願いしたことと、どちらかといえば相手の方が一方的に狙ってて、自分はそれには全く気づいていないことだそうだ。それと、生徒に手を出すことなんて全く考えてなかった常識人を装って欲しい、とも言われた。
 正直、逆じゃなくていいのかという驚きが強い。どう考えてたって、見た目的にはこちらから生徒に手を出しそうなのに。
 でもどうやら、この見た目がAV出演用と知られているのもあって、無理してチャラく振る舞う必要はないという、彼なりに気を遣ってくれた設定らしい。なるほど。
 そうしてようやく冒頭シーンの撮影が始まる。問題集やらノートやらが置かれた勉強机に隣り合って座り、相手がこちらをニコニコと笑って見つめていた。
「先生ってさ、俺のこと、好きだったりする?」
「えっ?」
 素で驚いたのは、初っ端からさっき聞いた設定と全く一致していないせいだ。相手が一方的にこちらを狙っているって話だったのに。
「俺のこと、やらしい目で見てるよね」
「そんな、ことは……」
 焦って戸惑うのは、どう反応していいかわからないからだ。
「じゃあなんで、そんな勃起してんの?」
 さっきからバレバレだよと言いながら、相手の手が股間に伸びてきて、躊躇いなくギュッと握り込んでくるから少し大げさなくらいに体が跳ねてしまった。
「ああっっ」
「シー、静かに。騒いだら母さんが驚いて覗きに来ちゃう。ね、俺が抜いてあげよっか」
「ダメだ、よ」
 驚かせたことを詫びるみたいに、今度はヤワヤワと撫で擦られながらの誘惑に、すぐにでも頷きたいくらいだった。それでも、なんとか一応は抵抗してみせる。
「素直になりなよ。めちゃくちゃ期待した目、してるのに」
「それは、だって……」
 散々焦らされた後なんだから仕方がないだろ、という気持ちで恨みがましく相手を見つめてしまえば、相手の手が今度は顔の横に伸びてきて、色の抜けた髪を梳くように弄っていく。
「こんな見た目なのに、思った以上に真面目だよね。あそこの大学に受かったって聞いたときも、結構驚いたけど。でもそのおかげで家庭教師頼めたし、やっと近づける口実が出来たと思って嬉しかったのに」
「あの、なんの話……」
「俺は先生が好きだよ、って話。だからね、俺たち、両想いなんじゃないかって思うんだよね」
 そう思わないかと聞かれても、そうだね両想いだねと言って喜んで良さそうな雰囲気はない。生徒相手にどうこうなんて考えてない常識人設定と言われているし、これはやはり否定しておくべきなんだろう。
「そんなわけ、ない、だろ」
「だよね。知ってる」
「は?」
「今のはね、先生も俺が好きだったら良かったのになぁ〜っていう、願望」
 残念だけど仕方ないよねと言いながらも、股間へ戻った手が何度もそこを擦って刺激してくる。布越しなのに絶妙な力加減で、甘く腰がしびれて息が乱れてしまう。
「でもほら、先生の体は俺を受け入れてくれてるみたい。気持ちいいんでしょう? もっとしてって言ってくれたら、直接触ってあげるけど」
 もっとしてって言いたい。直接触ってほしいし、イカせて欲しい。でも言ってしまっていいのかがわからなかった。

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金に困ってAV出演してみた17

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 彼からの出演依頼は八月が終わる頃に来て、大学の夏休みは九月の半ばまであると告げたらたいそう喜ばれた。最悪、次の春まで待たなきゃならないかもと思いながら連絡してきたらしい。
 しかも今回はいきなり撮影現場に呼ばれるのではなく、事前の打ち合わせというのを体験した。事前に呼ばれたのは内容の確認と、後はどうやら黒髪での登場を期待していたらしい。
 そんなの言っといてくれなきゃわからない。まぁ、言われた所で、髪色は染め替えてから向かっただろうけれど。さすがに普段生活している姿を晒すのは抵抗がある。
 台本は複数用意されていて、好きなのを選んでいいと言われた。中身は相変わらずかなりザックリとしたものだったけれど、色々な玩具を使いたいらしいのと、歪んだ執着愛らしきものが共通しているように思う。それと、複数日に分けて撮影するというのも初めてだし、ギャラもかなりいい。
 どうやら春に撮った三本はどれも好調らしい。近いうちに必ず撮る側になると言っていたけれど、彼自身、思った以上に実現までが早かったと言っていたし、それはあの盗撮風がかなりの高評価を得たからというのも大きいようだ。
 売上がどうとかの事情は良くわからないし、売れたからって追加でお金が貰えるわけでもないけれど、彼の役に立ったらしいことと、今回のギャラが多いのは単純に嬉しかった。
 結局台本は家庭教師と生徒という設定のを選んだけれど、正直、金髪の先生なんて有りなんだろうかという気持ちはある。でも実兄弟設定やらご近所さん設定やらは、拘束される内容が含まれていたから、さすがにそれは嫌だった。
 ちゃんと縄師を呼ぶとか言われたけれど、そういう話じゃない。マゾじゃないんだから縛られたい願望なんてないし、抵抗を奪われて好きなようにされるのなんて普通に怖い。
 そういや「俺が撮りたい俺主役の作品に、相手役で出て」と言われた記憶があるんだけど、こられの台本を見るに監禁とか調教系が好きってことなんだろうか。これはちょっと意外だった。
 そうして始まった実質4本目となるAVの撮影は、下半身だけどころか、基本お尻だけ晒してアナルをあれこれ弄られる感じでスタートした。
 ストーリーの流れとしては、家庭教師中に勃起してるのを見つかって、生徒の誘いに乗って抜きあってしまったら、それをネタに脅されて徐々に開発されていく、というものだったけれど、流れに合わせて撮るのではなく、とりあえずイキたくてたまらなくなるまではお尻を弄るシーンを撮るらしい。
 たまに嫌だとかやめてとか許してとか言って欲しいというのと、階下に母親がいる設定だから感じてもあまり気持ちよく喘がないで、声を出すのはなるべく耐えて欲しいという要望があったくらいで、基本的には彼があれこれ喋るに任せていればいいので楽といえば楽だった。
 しかし、着替えることで別日を演出するらしく、イキたいくらい感じてくると着替え休憩が入るので、さすがに段々と焦らされて辛い。
 そこそこサイズのディルドをズポズポされながら、こんなに広がったら本物ちんこも余裕で入りそうだと言われたり、すっかりお尻で感じる体になったと言われながら、半泣きでもうイカせてと頼んだ。もう嫌だとか、もうやめてとか、もう許してだとかの言葉も、これ以上焦らさないでという意味合いで口にしてしまっている。
 仕方ないなぁと言われて、でも、これでイカせて貰えると安堵なんて出来ない。だってイッていいよって言うのは撮影の中断を意味していて、つまりシーンが代わるだけで、また着替えて体が少し落ち着くのを待って再開するだけだ。
 そんな絶望とともに、休憩を告げられた瞬間に、いい加減限界なんだけどと訴えた。それとも本当は、我慢しきれなくなってトコロテンしてしまう所でも撮りたいんだろうか。

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