無表情トレーナーは変態でした・直後の二人2(終)

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 山瀬正志という男の度量の大きさには何度も驚かされているが、どれだけ想ってくれているのだろうと思うと、感謝と喜びでグッと胸が詰まる。絶対に、手放したくない。
 だから注意深く観察するし、本気で嫌がられていると感じたら、無理を強いるつもりだってなかった。
「それだけじゃないですけどね。でも俺の見立てが違ってたこと、ないでしょう?」
「ん、ない」
「ね、見せてください。そして一緒に見てください。お尻だけで気持ちよくなって絶頂して、空っぽで射精出来ないおちんちん、どうなるでしょうね?」
 出ないのに射精しようとして、小さなお口をクパクパ開閉させて震えるのか。色のない汁をタラタラ零すのか、ピュッピュと飛ばすのか。ビシャビシャに潮吹きしちゃうのか。
 思いつく可能性を口にして並べながら、すごく楽しみですねと笑ってやる。川瀬の言葉に釣られてそれらを想像したのか、山瀬の頬が紅潮を増し、ペニスがピクリと震えて腰が揺れた。
 その期待に応えるように、腰をゆっくり前後させる。中のイイところを余すことなく刺激できるよう、ギリギリまで引き抜いて、奥まで届くように腰を押し出す。
「ぁ……ァっ……ぁ、ぁ、ぁっ、ぁあっ」
 何度か繰り返して甘い声が蕩けたら、今度はイイ場所を集中的にゴリゴリと擦って、ペニスの先端に触れる壁をグイグイ押し上げてやる。最近は、深い場所を多少強く突いても痛いより気持ちがいいようなので、今後に対する期待は強い。いずれはこの先にも、迎え入れて貰えそうだ。
「ひぅ、ひ、ァ、とも、とものり、く」
 すぐに切羽詰まった様子で名前を呼ばれ、どうやら絶頂が近い。
「イケそうですか?」
「ん、ぅん、きちゃう、きちゃ、ぁ、ぁあっ、あっ」
 ラストスパートとばかりに更に腰を強く打ち付ければ、あっという間に上り詰めた体が、腕の中で何度も痙攣する。鏡の中、ゆるい勃起のまま震えるペニスからは、絶頂とともにわかりやすく何かが放たれることはなかった。既になにもかも空っぽですとでもいうように、わずかに透明な雫を滲ませるだけの尿道口が開閉するさまは、なんとも切なげで愛らしかった。
 腸壁もグニグニと蠢動して、包み込むペニスを容赦なく絞り上げてくるので、たまらなく気持ちがいい。しかしそれをじっと堪能するのではなく、振り切るように一度全て引き抜き、山瀬の体を仰向けに転がした。
 両足を抱えるように開かせて、再度繋がる体位は正常位だ。絶頂の余韻を残し、未だ蠢動の収まらない腸内を、今度は自分が果てる目的で激しく穿つ。
「ひ、ぁ、ぁあ゛、ぁ゛ああ」
 苦しそうに藻掻く山瀬が、涙の滲む瞳で必死で川瀬を見つめて、ふにゃりと口元を緩める。川瀬が、山瀬の痴態に煽られて興奮することや、山瀬を抱いて気持ちよくなることが嬉しいらしい。
「お尻だけでイッちゃうの、最高に可愛かったです。めちゃくちゃ興奮しました」
 言葉が発せられるような状況ではなく、口からは苦しげな喘ぎしか出てこないけれど、ますます嬉しそうに口元が緩んでいくのははっきりとわかる。苦しそうに涙を零しながらも笑う姿に、ますます興奮してしまうのさえも、山瀬にはきちんと伝わっているだろう。
「好き、好きです。可愛い。正志さん。大好き」
 好きと可愛いを繰り返しながら激しく穿ち続ければ、苦しげに藻掻き泣く山瀬の、悲鳴のような喘ぎがまた切羽詰まって高まっていく。
 もうすぐこのまま絶頂するのだとわかってしまえば、それを待たずにこちらが果てるわけにはいかない。グッと奥歯を噛み締めて絶頂を耐えながら、山瀬が上り詰めるのに合わせて同時に果てた。
 すぐには繋がりを解かず、顔を寄せてキスを落とす。
「ぎゅ、って」
 何度か繰り返す合間に、掠れた声が小さく漏れ聞こえ、要望通りに背の下に手を突っ込んで、軽く抱き起こすようにして抱きしめた。しかし抱き返されることはなく、それでようやく、もう腕を上げる力もないのだと気づく。抱きしめて欲しいの要望があの短さだったのも、強い疲労のせいなんだろう。
「正志さん、目を閉じて。少し休んでください」
「ぅん」
 すぐさま、素直に目を閉じた相手の重みがずしりと腕に掛かって、あっという間に完全に意識が落ちたことを知る。そっと繋がりを解いても、相手の反応は殆どなかった。
 ここまで疲れ果てさせたのは初めてだが、無理をさせてしまう事は多いので、事後に汚れた体を拭き清めてやるのには慣れている。相手の意識があってもなくても、それは酷く心が満たされる行為だと思う。
 ドロドロに汚すことも、その体を綺麗にして労ることも。今日のように、体に触れられても意識が戻らないほど疲れきるまで抱くことも、自分だけに許されているのだという実感に心が震える。
 目を閉じて眠っていてさえ、その寝顔には疲れが滲み出ていたけれど、それでも口元は満足げに笑んでいる。安心しきってその身を任せてくれているのだと思えば、性的な欲求や興奮とは全く違う、穏やかで暖かな愛しさが胸の中に溢れ出す。
 無理や無茶を強いる気はないのに、無理も無茶も受け止めるからよこせとねだるこの人を、出来る限り大切に、大事にしていきたいと思う。
 いつも以上に念入りに事後のマッサージを施しても眠ったままでいた相手は、全ての明かりを消して隣に潜り込んだタイミングで、どうやら意識が浮上したらしい。
「とものり、くん?」
「布団、ダメにしたんで、今日は一緒に寝させてください」
 不思議そうに名前を呼ばれたので、暗い部屋の中で同じ布団の中に居る現状の説明だけはと真っ先に告げた。
「そ、っか」
 納得したらしい呟きの後、もぞっと動いて、もともと距離など殆どない中、さらに身を寄せてくる。思わずその体に腕を回せば、ふっ、と笑いにも似た満足げな息が漏れた。
「うれし」
 そんな声を最後に再度眠りに落ちたらしい。規則正しく繰り返される寝息を聞きながら、今後は派手に汚しても大丈夫なように色々買い揃えようと思っていたが、二人一緒に眠れる大きな布団も一緒に買うべきかを考えた。

<終>

 
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