追いかけて追いかけて22

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 二人一緒に寄り添って、お湯の降り注ぐ下でホッと安堵の息を吐く。顎をすくわれ唇を塞がれれば、それにもやっぱりホッとしてしまうのだけれど、問題は二人の身長差だ。
 降り注ぐシャワーの下で上向かされてのキスなんて、そうそう長くは続かない。すぐに気づいて貰えたから軽く咳き込む程度で済んだけれど、溺れるかと思った。
「溺れるかと思った」
「ふはっ、ごめん」
 そのまま口に出せば、相手が小さく吹き出すように笑う。馴染んだ優しい気配に、またしてもホッと安堵する。相手にもっと近づきたくなって、おずおずと指を伸ばしてみれば、相手の手に触れた瞬間、指を絡め取るみたいに握られてしまった。今度は安堵じゃなくて、ドキッと心臓が跳ねる。しかも相手の顔がまた近づいてくる気配がして、ドキドキは簡単に加速していく。
「ねぇ、待っててって言ったのに、どうして来たの」
 耳の横でしゃべられると、どうしてもゾワリとした何かが背中を走る。反射的に肩を竦めてしまえば、耳が弱いことを思い出したらしい相手がごめんと言って離れていこうとするから、絡んだ指先を引いてしまった。
「こういうの、期待しないでいられないんだけど」
 軽くボヤかれた後で、唇が耳に触れる。
「っぁ……」
 ゾクゾクっとした何かは快感だ。
「きもちぃ」
「うん」
「きも、ち」
「そう」
「ん、ほん、と」
「わかってる」
 自分自身に言い聞かせるみたいに繰り返しても、返るのは優しい相づちばっかりだ。でも耳に響く相手の息遣いや些か乱暴な扱いに、先程よりもずっと相手の興奮を感じ取ることができる。それがなんだか嬉しくて、絡んだままの相手の指を、不器用ながらもそっと撫でた。
 応じるように撫で返されて、今度はそちらからもジワジワと快感が広がっていく。するりと解かれた指が快感を引き連れながら、ゆるりと手首から腕を伝って這い登ってくる。それはやがて耳へと到達した。
「ぁ、あっ、ゃっ、あぁっっ」
 左右同時に耳を弄られて、キモチイイは一気に数倍に跳ね上がった気がする。頭を振って嫌がる素振りはあっさり抑え込まれてしまった。というか左右の耳を顔と手で挟まれて、頭なんて振らせてもらえない。
 逃げかける体も、もう片手が宥めるみたいに背中を撫で降りて、少し強めに腰を抱かれればそれ以上の抵抗は出来なかった。それどころか、彼の手が触れる腰からもジワッと快感が広がっていくのが恐ろしい。だって、手の平も指先も、ただ腰を支えるだけじゃなくサワサワと撫でるみたいに動いている。
「やっ、やぁっ、ぁん、も、だめ」
 思うように動かせない体に、逃せないキモチイイが溜まっていくみたいだった。膝が震えてこのままだとこの場に座り込んでしまいそうだ。そう思う頃には、腰を抱く相手の腕にますます力がこもって、相手とのわずかな距離がなくなった。
「んぁああっっ」
 濡れた部屋着の内側でとっくに勃起しているペニスを相手の体に押し付けることになって、耳を弄られるのとは別種の強い快感が走る。
「ガチガチだね」
 ふふっと笑われて恥ずかしい。
「自分で握って扱ける? それとも揺すってあげたらイケるかな?」
 何を言っているんだと思ったが、次の瞬間には言葉通り腰を抱く腕に体を揺すられ、自分の体と相手の体に挟まれたペニスがズリズリと揉まれて悲鳴を上げた。
「ぁあああ゛あ゛」
 イッていいよの言葉を聞きながら、抗えない快楽に体を震わせる。頭の中は白く爆ぜたが、射精した感覚は薄かった。でも吐精した後の脱力感みたいなものが襲ってきたから、多分きっと射精したんだろう。

続きました→

 
 
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