別れた男の弟が気になって仕方がない12

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 胸の苦しさも気持ちの悪い感情も悟られないように気をつけつつ、増やした指を前後させて更に中を探る。探りながらゆっくりとその場所を拡げていく。
「くっ……ぅ……ぁ゛っ……やっ、ぁ」
 全く開発されていない前立腺を捏ねられるのは苦しい様子で、時折嫌だとわかる声が混じっている。
「入り口はある程度気持ち良くなれるみたいだけど、中はまだまだキツそうだな。今触ってるのが前立腺なんだけど、ここが慣れたら、ここ弄られるだけでも射精出来るくらい気持ち良くなれる、って知識はある?」
 聞けば何度も首を縦に振るから、知識そのものはあるようだ。
「じゃあもうちょっと弄るけど、無理させたいわけじゃないから、どうしても耐えられないってなったら教えて。もう止めてって、お願い、して?」
 お願いって言われたらそれ以上はしないから、これ限定のストップワードねと告げて、相手が頷くのを待ってから再度そこを中心に触れていく。未開発なのはわかりきっていたので、同時にペニスを握って扱いてやれば、快感と苦痛とが混じって混乱した様子で、先程よりはっきり嫌だと漏らすようになった。けれど、その口からお願いという単語が告げられることはない。
 やがてペニスが十分に育ち、尖端からトロリトロリと透明な蜜を吐き出し、相変わらずヤダヤダと混じるものの苦しそうな声が甘く響くようになるのを待って、一度指を引き抜いた。
「かなり柔らかくなったし、ちょっと一回休憩しようか」
 ホッとした様子を隠しもせずこちらを窺う相手の瞳がゆらゆらと揺れている。いっぱい我慢できていい子だねと笑えばその揺れが大きくなり、自覚があるのか酷く困った様子ですぐに視線を逸らされてしまった。
 そんな戸惑いすら全てが可愛いと思うのに、可愛いねと告げてキスを降らすのを躊躇ってしまうのは何故なのだろう。彼の口から直接、叶わない想いを抱える相手がいるから代わりに抱いて欲しいとも、失恋が辛いから慰めてとも、言われたわけではないからだろうか。飽くまでもこれは、誰でもいいからとにかく早く抱いてほしいという彼の要望に、応えているだけの行為だ。
 聞いてしまえばいいのかもしれない。兄の恋人となった男を、彼もまた好きだったのだろうと、確かめてしまえばいいのかもしれない。
 なのにやはり、そこにまで踏み込むのを躊躇っていた。その事に触れたら、きっと泣かせてしまうだろう予感がしている。自分から傷を見せて辛いと泣く子をあやすのも甘やかすのも好きだけれど、自分の手で傷を抉って泣かせた相手を慰め楽しむ趣味はなかった。
「さて、じゃあ、休憩とは言ってもその状態で放置もキツいだろうし、次は一回イかせてあげような」
 これ使って気持ちよくしてあげると言いながら取り上げたのは、ペニスに装着して使用するタイプのデンタルダムだ。これを着けてやるための休憩だったといっても過言じゃない。
「ほんとに、使うんですか……」
「そりゃあ使うよ。お前これ使うのNGって言わなかったし。まぁせっかくあるんだし、色々経験しておきな」
 諦めたようにわかりましたお願いしますと言う相手に、素直でいい子と笑えば、今度は嫌そうに眉を寄せられてしまった。
「何度も言いますが、子供扱いされたくないしいい子じゃないです」
「俺も何度だって言うけど、十代なんて十分子供だしお前はいい子だよ」
 最初にいい子と告げた時から、これは何度か繰り返されたやりとりだ。
 すぐに二十歳になりますと不貞腐れたように続いたけれど、短な休憩中にほとんど萎えずにいたペニスを握ればそれ以上は口を閉ざす。ひっそりと息を呑みながら、デンタルダムを装着されるのを見守っている。
「じゃあさっきみたいに足開いて」
「えっ?」
 こちらも新しく開封したコンドームを、今度は最初から二本の指に被せながら告げれば、驚いたような声があがった。一回イかせてあげるの言葉を、フェラのみでと思っていたようだ。
「ああ、先にに少し口だけでしてあげた方がいいかな。でもイくのは前立腺弄られながらだよ」
 訂正を込めて告げながら、屹立したペニスに頭を寄せていく。
「んぁあっっ」
 ペニスだけへ、しかも薄い膜越しとはいえ多分初めてだろう口を使った刺激に、はっきりと歓喜の声があがる。
 暫くそうして口と添えた手での愛撫を施し、鋭くも甘い声を存分に上げさせてから、開かせた足の間に指先を伸ばした。
 先程たっぷり使用したローションは当然まだぬるついているし、押し当てた指先を飲み込もうとヒク付いている。口での愛撫を少し緩めて入り口に押し当てた指先をそっと揺らした。
「んっ、ふぅ……ァ……んぁっ……」
 そのまま浅い場所をクチクチとくじってやれば、甘やかな吐息がこぼれ落ちる。
「そろそろ挿れるよ。どうしても無理なら、お願い、してね」
 先程告げたストップワードはまだ有効だと知らせた後、返事は待たずに、ゆっくりと指先を埋めて行った。

続きました→

 
 
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