童貞が二人 5(終)

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 お前の中に入りたいなんてセリフを、懇願混じりに告げてくるのはズルい。だってなんだかんだ言っても相手のことが好きで、だから男同士なのに恋人って関係になって、体を繋げたいなんて気持ちにさえなっているんだから。
 仕方がないので、握っていた手の力を緩めて、相手を追い立てるような行為はやめた。
 代わりに、相手の手に意識を集中する。慣れた手つきでこちらの快感を煽っていくのに、散りそうになる気持ちを合わせていく。
 ペニスを弄られて気持ち良さで体に力が入るたび、後ろの穴に入れられた指を締め付けてしまって、最初はどうもいつものように集中は出来なかったけれど、だんだんと気持ちよさが連動していくのがわかる。アナルを収縮させて中の指を締め付けることが、なんだか気持ちが良いような気がしてくる。
「なぁ、中、ちょっとは気持ちよくなって来た?」
 どうやら相手も気付いたようだが、いちいち指摘されるのはなんとも恥ずかしい。
「言うなっ」
「だって気になるし。な、少し、動かしていい?」
 期待と興奮とが混ざる声に頷けば、ペニスを握ってこするリズムに合わせて、中の指も小さく前後し始めた。
「ぅあっ、ぁっ、ぁ、っ……んっ…」
 まさか自分の口からこんな声が漏れ出るとは思わず、気付いてすぐに唇を噛みしめる。
「声、噛むなよ」
「や、…ぁ、ぁあっ、だっ」
 嫌だと言うために口を開いただけで、余計なものまで漏れでてしまった。本当に恥ずかしい。
「ふはっ、かっわいい」
 お前の顔赤くなってると、わざわざ指摘してくるのはもっと照れさせたいからだろう。それがわかっていても、どうすることも出来ない。顔が熱いから、相手の思惑通りますます顔を赤らめたに違いない。
「ね、お前の中に、入れさせて」
 興奮する相手の目が少しギラついている。
「ん。いい、よ」
 とっくに逃げられないことは悟っていた。小さく頷けば明らかにホッと安堵の息を吐いて、相手は埋めていた指をゆっくりと引き抜いていく。
「正常位でいいよな?」
 聞かれたのは横になっていた体を起こした相手に、ガバリと足を開かれた後だった。行動に言葉が追いついていないようだ。
「好きにしろ。でもその前に、ちゃんとゴム着けろよ」
「あ、そうだった」
 慌ててコンドームに手を伸ばす相手を見ながら、こっそり深呼吸を繰り返す。それなりに覚悟は出来ているが、やはり緊張もしている。
「はい、準備完了」
 装着したコンドームの上にローションを垂らして少しなじませた後、相手は再度真剣な顔を向けてきた。
「で、そっちの心の準備は?」
「うん、まぁ、多分大丈夫」
 言えば嬉しそうににこりと笑われて、相手の顔が近づいてくる。本当にキスが好きだなと思いながら唇を触れ合わせ、好きの言葉に俺も好きだと返した。
「じゃ、入れるから」
「いちいち宣言しなくていいって」
「怖がりさんには必要だろ」
「もう怖くない」
「なら良かった」
 その言葉とともに相手の熱がグッと押し付けられて、それがゆっくりと腸壁を押し広げて奥へ進んでいく。痛みはなかったがやはり苦しい。
「んんっっ、くっ……」
「息して、息。あと、声、聞かせて。マジで」
「んぁっ、あっ、キツっ……」
「痛い?」
「イタ、く、なっ、ああっっ」
「じゃもーちょい我慢な」
 こっちも必死だったが、相手もそうとう必死な顔をしている。
 やがて全部を埋めることが出来たようで、相手が動きを止めて大きく息を吐いた。
「童貞卒業、おめでとう」
「ははっ、ありがと。お前も、」
「それは言わないで」
「だよな」
 アナル処女喪失なんて嬉しさの欠片もないので、そこには触れずにいて欲しい。
「でさ、俺ちょっと持ちそうにないから、急かして悪いけどお前の弄らせて。出来ればさっきみたいにキモチクなって?」
 どういう意味かと思ったら、相手の手がペニスを握って扱き始めた。挿入される衝撃にやはり少し萎えていたそれは、またすぐに張り詰めていく。
 今度は指ではなくて、入っているのは相手のペニスだ。そう思うと、体だけじゃなくて心にも、ゾクリとした満足感に似た快感が走る。
「うぁっ、あああ、あぁ、キモチぃ……かも」
「俺も、きもちぃ」
 ゴメン動くという切羽詰まった声と共に、少し乱雑に突かれてビックリしたが、でも痛みはなかったし確かに相手が達するまでの時間も短かった。一旦放置されてしまったこちらも、相手が動きを止めた後にすぐまた扱いてくれたので、追いかけるように相手の手の中に精を吐きだす。
 イく瞬間に体内に相手を感じたままというのは、そう悪い感覚でもなかった。
 息を整えてから体の繋がりを解き、それでもまだすぐには動きたくなくて、二人とも気だるげにベッドの上で横たわっている。
「またしたい。って言ったら、どうする?」
「別にいいけど」
「本当かよ。またお前が抱かれる側でも?」
「あー……まぁ、一度やったら二度目渋る意味もない、気はする」
 痛くなかったし、ちょっとは気持ち良かったし。二度と嫌だと拒否するような理由がない。
「でも俺も童貞卒業はしたい。出来ればお前で」
「え、何言ってんの。俺以外で卒業とかやめて欲しいんだけど」
 まぁそれはそうか。もし今日抱く側になったのが自分だったとして、抱けなかったから別の相手で童貞捨ててくるなんて言われたら、確かにちょっと待てって事になるだろう。
「じゃあ、今度は俺にもお前抱かせて」
 優しくしてねの裏声にクスリと小さく笑いながら、できるだけ頑張ると返し目を閉じた。
 ふわふわとした柔らかな睡魔に襲われている。きっといい夢が見れそうだと思った。

 
 
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「童貞が二人 5(終)」への2件のフィードバック

  1. パソコンが、いきなりグレードアップしたので、ちょっともたついてましたー。。

    やー、うまく合体できて、ともかく二人ともイイ気持ちになれて・・、おめでとう!!
    ピロートークも甘めだったけど、受け俺くんはやはり疲れたようですね。しょうがないか(笑)。

    これからは二人で勉強もするのかしら? そうそう、若いからと言って、やりすぎはダメよーー!

  2. mさん、コメント有難うございます(*^_^*)
    普段使っているものがグレードアップにしろ変わってしまうと、最初は何かと手間取りますよね。

    なんとか無事に挿入まで出来て本当に良かったです。
    この二人は今後もいろいろ話し合ったり二人で情報収集したりしつつ、楽しく気持ちいいセックスを覚えていくんだろうなって感じがしますね(笑)

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