スライム+聖水=ローション

 お使いの帰り道、上方から名前を呼ばれて振り仰げば、年上の幼馴染が柔らかな笑顔を振りまきながら、お土産あるから上がっておいでと誘う。帰ってたんだと嬉しく思いながら、すぐ行くと返して小走りに玄関へと向かった。
 小さな町で子供も少ないから、幼い頃は本当に良く一緒に遊んで貰っていた。年の差がそこそこあるので、さすがに最近は一緒に遊ぶ事も殆どないし、そもそも相手はもうこの町を出ている。今は少し離れたところにある街で、薬師の見習いだかなんだかをやっているらしい。
 町民全員顔見知りなこの町で、在宅している日中に鍵を掛けている家は少ない。一応ドアを開けた最初にお邪魔しますと声を掛けたが、あとは勝手知ったるとばかりに、ずんずんと家の奥へと進んで階段を上がった。階段を上がって一番手前のドアが、先程彼が顔を出していた部屋のもので、ドアも叩かず勢いよく部屋の中に飛び込んだ。
「久しぶり!」
「うん、久しぶり。大きくなったね」
「なんで居るの? 仕事は?」
 さすがに辞めたのか聞くのは憚られて、でも、聞かずにはいられなかった。
「全然こっち帰れなかったくらい忙しかったのが少し落ち着いたから、店主が長めにお休みくれたの。一週間はこっち居る予定」
「本当に? また遊びに来ていい?」
「うん。どうせ家に居てもヒマしてると思うし、こっちいる間はいつでも遊びにおいで」
 やったと両手をあげて喜べば、相手も嬉しそうにニコニコしたまま、懐から何かが詰まった小瓶を取り出してみせる。
「何ソレ?」
「さっき言ってたお土産」
「何入ってるの? 食べ物? というか飲み物?」
 青みがかった液体のようにも見えるけれど、でも液体にしては揺れがないようにも見えた。
「食べても毒はないけど、食べたり飲んだりするものではないかなぁ」
 そう言った彼は、スライムのカケラだよと言葉を続ける。
「は? え? スライム?」
「そう。お前もそろそろ町の外出るの解禁になるだろ?」
 一番最初に出会うモンスターが多分コレと言いながら、彼は瓶の蓋を開けてそれを手の平に向けて傾けている。ドロリというかボトッといった感じで瓶の中から落ちてきたそれは、彼の手の平の上に乗ってプルンプルンと揺れている。
「どうしたの、これ」
「ここ帰る途中で見つけたのを、一部持ち帰ってきただけ」
「おみやげとして?」
「そうそう。怖くないから手を出して。両手でお椀作る感じに」
 言われるまま突き出した両手の中に、やっぱりボトリとスライムが移される。それは見た目通り、少しひんやりしていて弾力があった。
「うひっ」
「初めて触る?」
「うん。てかカケラだからって、町中入れていいの、コレ」
 町の中にモンスターを持ち込まないルールは徹底されている。いくら最弱モンスターと言ったって、スライムも例外ではないはずだ。
「あまり良くないかもね。だから内緒だよ。これからすることも全部」
「すること? これを俺にくれるって話じゃないの?」
「違う違う。こんなの持ってるのバレたら、お前が怒られちゃうだろ」
「じゃあ、どうすんのさ」
「それを今から見せてあげるんだって」
 これなーんだ、と言って、さっきの瓶よりもさらに小さく細長い瓶を取り出して掲げて見せる。今度の中身は間違いなく、無色透明の液体だった。
「水?」
「ただの水じゃないよ。聖水」
「って教会の?」
「そう。それ。これをスライムに垂らすの。スライムそれしかないから落とさないでよ」
 傾けられた瓶の口から聖水が数滴、スライムの上にこぼれ落ちる。その瞬間、プルンプルンだったスライムがドロっと溶け出し驚いた。なにこれ気持ち悪い。
「うわっっ」
「大丈夫だから落とさないで」
 再度強めに落とすなと言われ、気持ち悪いと思いながらも、手の平から溢れてしまわにように力を入れる。
「え、でもどうすんの。溶けてるよ、これ。なんかヌルヌルして気持ち悪い」
「手をこすり合わせるみたいにして、手も指もヌルヌルまみれにしておいて。お前の手の熱が移って、だんだん暖かくなるから」
「ええええ。やだー」
「俺は他の準備があるの。どうしても無理ならそのまま持ってるだけでいいよ」
 そう言った彼はその場にしゃがみ込むと、こちらのズボンのベルトに手を伸ばしてくる。
「ちょ、ちょ、準備って何。何しようとしてんの」
「お前のズボン脱がそうとしてる」
「だからなんで!」
「わかるだろ。お前にチンコ弄るとキモチイイって教えてやったの、誰だよ」
 性的なことの多くを彼から学んだのは確かだ。体が大人に近づくとちんちんから白い液が出るようになるとか、定期的にその白いのを自分の手で出さないとダメだとか、そのやり方とか。その白い液がなんなのかとか、子供の作り方とか。
「そ、だけど、今更恥ずかしいってば」
「それこそ今更隠すような仲じゃないだろ。お前の可愛い子供おちんちん、どーなったか見せてよ」
 そろそろムケた? なんてデリカシーの欠片もない発言に体の熱が上昇する。優しげな相貌と甘い声音に騙されがちだけれど、いたずら好きの愉快犯ってことも、言いだしたら聞かない頑固者だってことも、身を持って知っている。
「ねぇ、まさかと思うけど、このスライムをチンコに塗って扱くとキモチイイとかって話なの?」
「その通りだけど、なんでまさかなの。ヌルヌルめちゃくちゃキモチイイから、楽しみにしてな?」
 そう言った本人の顔が既にめちゃくちゃ楽しそうだった。

この年上の幼馴染とスライムローション使った兜合わせがやりたかったはずだったのに辿り着くまえに力尽きた。そのうち気が向いたら続くかも。
続きました→

 
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スライムに種付けされたかもしれない

 たかがスライムなどと侮っていたのは認める。次から次へとどこからともなく集まってきた彼らの圧倒的な数と量とに屈するのは早かった。
 体中を彼らに包まれ身動きが取れない。辛うじてまだ、口と鼻は覆われていないため呼吸が出来ているが、それもきっとすぐに塞がれてしまうだろう。こんな所でスライム相手に窒息死だなんて情けないにも程がある。
 きつく閉じた瞼の隙間から悔しさに滲み出る涙は、目元を覆ってうごめく彼らのせいで流れ落ちることはなかった。
 そんな中、突如頭の中に声が響く。流暢とは言い難くノイズ混じりではあったが、その声は確かに、死にたくないか、まだ生きたいかを問う声だった。
「死にたくない。死にたく、ないっっ」
 近くに誰かがいるのかも知れない。もしかしたら助けてくれるのかもしれない。そう思って、必死に声を張り上げた。
『では……お前の、ナカ、を頂くが……それで、いいか』
 意味がわからなかった。ナカってなんだ。
 けれど迷う時間はない。それでいいから助けてくれと再度声を張り上げれば、体を覆っていたスライムたちの動きが変わった。けれどそれは、誰かが自分からスライムを引き剥がしてくれるといったような、期待していたものとは全く違う動きだった。
 服や防具の隙間を縫って、直接肌の上を這い出したスライムの感触に怖気がたつ。
「う、あっ、ぁあ……、な、なに、」
 戸惑い漏れる声に、ナカを頂くと言っただろうという声が頭に響いて、声の主が誰だったのかようやく気づいた。
 しかし気付いても、その現実をすぐには受け入れられない。スライムが人語を操るなんて聞いたことが無い。こいつらは最下等のモンスターで、いくら数が集まったってスライムは所詮スライムだろう。
 そんな風に混乱している内にも、スライムは次々服の下に入り込んでいて、体中を舐めるように這い回りながら広がっていく。ひたすらに気持ちが悪い。
「待てっ! まて、そこはっ」
 下着の中に侵入された段階で予想はできていたものの、とうとう尻穴にまでスライムが到着し、しかもグッグッと揉み込むように圧を掛けてくるから慌てた。とは言っても、拘束されきった体が動くはずもなく、必死で静止を望む声を上げる。
 もちろん、相手はこちらをすぐにでも殺せる状態にあるモンスターだ。こちらの意思などおかまいなしに、好き勝手出来る状況だ。
『心配、する、な』
 だからそんな言葉が掛けられるとは思っても見なかった。
『ナカに入れるのは、先だけ、だ、……お前を、壊すことは、しな、い』
 続いた言葉に諦めて体の力を抜いた。その言葉が本当でも、嘘でも、今更こちらに出来ることなんて何もないのだと、思い出してしまった。
 そうだ。ギリギリ生かされているだけのこの身に出来ることなんて何もない。受け入れるしかない。
 それでもやはり、黙って耐えることなんて出来なかった。
「あーっ、あーっっ、嘘、つきぃっっ、壊れ、っ、こわれ、るっ」
 このゲル状の生き物に「先」なんてあるわけがなかった。頭の中に響いた声によれば、先だけというのは一部だけという意味合いだったようだ。体全体を覆うほどに集まっている彼らにすれば、確かに「ほんの先っぽ一部分」なのかもしれないが、受け入れるこちらは既に限界を超えている。
 腹の奥深くまでパンパンに入り込まれて、それらがグニグニと腸内で蠢いているのが苦しくて気持ち悪い。
「むりっ、それ以上はむりぃっっ」
 奥の奥まで拡げるようにナカを揺すられ突かれ、鈍い痛みが広がっていく。
 痛い痛いと喚いて、もう無理だと泣いても、彼らの動きが緩むことはなかった。けれど、痛みを散らすように、ペニスへと纏わりついている彼らの一部が、快楽を送り込むべくそこを擦りあげてくる。腸内の一部も、同時に中から前立腺を捏ねていた。
「あーっ……あああっっ、イクっ、でるっっ」
 あっけなく頭の中が白く爆ぜる。けれどもちろん、それで終わりだなんてことはなかった。
 結局、何度イカされたかわからない。最終的には、尻の中を捏ねられる鈍い痛みすら快楽に取って代わられ、頭では依然として苦しくて気持ちが悪いと思っているのに、快楽にとろけた体はペニスを弄られることなく絶頂を繰り返していたように思う。
 曖昧なのは、最後の方には意識を飛ばしている時間も多かったせいだ。完全に意識を失くした後、いつまで続けられていたかはさっぱりわからない。
 意識を取り戻したときには周りにスライムの気配は皆無で、服の布地は幾分湿ったままではあったが、肌のベタつきなどは皆無だった。服も防具も多少の乱れは残るもののしっかりと纏ったままで、スライムに尻穴を犯されたなんて、随分とたちの悪い夢を見たと思えたなら良かったのに。
 あれが夢ではなかったことは、体が覚えている。腹の奥に、甘く鈍く疼くような感覚が残っていた。
 それでも、やがて記憶は薄れていくだろうと思っていた。
 もちろん、二度とあそこには近寄らないし、スライムだからと油断することだってしない。けれど何をされたかまで記憶にとどめる必要はない。
 なのに、自分の体の変化に、否が応でもあの日のことを繰り返し思い出す。ナカを頂くの意味も、どうやら尻穴を犯すなどという単純な話ではなかったらしい。
 あれ以来、一切便意がない。そして少しづつ腹の奥で何かの質量が増している。しかもそれは時折かすかに蠢き、あの甘く鈍く疼く感覚を引きおこした。
 自分腹の中で、たぶんきっと、あの日のスライムの欠片が育っている。

お題箱から<先っぽだけと言われて少しだけ中にはいるのを許したら最後まで突っ込まれて食べられちゃう話>
お題箱に頂いていたお題はこれで最後です。全6個、どれも楽しく書かせていただきました。どうもありがとうございました〜

 
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淫魔に取り憑かれてずっと発情期

 壁に手をつき尻を突き出しながら、熱を持った固い楔に尻穴を穿たれると、心に反して自身の熱も昂ぶっていく。発情しきった体は慣れてしまった行為に明確な反応を示すのに、こんなことは望んでいないと反発する気持ちが抑えきれない。
「ぁっ、んぁっ、やぁあっ」
「こんなぐちゃぐちゃのトロトロにして腰振って誘って、何がやぁあだ」
 背後でフンッと鼻で笑った相手は、容赦なくガツガツと尻穴の中をえぐってくる。多少乱暴に突かれても、たまらない快感が体の中を走り抜けていく。なんてイヤラシイ体だと、惨めな気持ちで泣きそうになった。
「何泣いてんだよ。気持ち良すぎってか」
 耐えられず何度かしゃくり上げれば、下卑た笑いが響いて今日の相手はハズレだなと思う。
「すっげ良さそうだもんなぁ」
 淫乱ケツマンコだなどと揶揄い混じりに告げながら、随分と自分勝手に好き放題に腰を振ってくる相手に、こんな体じゃなければ絶対に感じないのにと悔しさがこみ上げた。
「あっ、あッ、もイくっイッちゃう」
 こんな場合はさっさと終わってしまうに限る。
「ほら、イけよ」
「んっ…んっ……あぁっイッてっ……お願い、一緒にイッてぇ」
「はっ、えっろ。だったらもっとケツ締めな」
 パアンと乾いた音が響いてお尻にジンと痺れる痛みが走った。
「はぁんんっっ」
 なのに口からは甘い響きが迸る。実際、痛みと快感は背中合わせに存在している。
「叩かれても感じんのかよ。まじドMだな。おらもっと感じろよ」
 パァンパァンと続けざまに尻を叩かれて、そのたびにあっアッと甘い息を零しながら、相手の望みに応えるように肛門を締めるよう力を込めた。
「はぁっ、良いぞ。イくっ」
 一段と激しい律動の後、体の奥にドロリと熱が広がっていく。結局こちらの熱は置いてきぼりだが目的は達成だ。
 次回を誘う相手の言葉に適当な相槌を愛想よく振りまきながら、この近辺で相手を漁るのはこれで最後かなと思う。自分本位で下手くそなセックスも嫌だが、何より執着されるのが困る。下手な奴ほど執着傾向にあるから、その点から言ってもコイツは要注意人物だ。
 また別の場所を探すのもそれはそれで面倒だが仕方がない。今日のうちにもう一人くらい探したいところだけれど、次はどこへ行ってみようか。
 じゃあねと名残惜しげな相手に別れを告げてその場を後にする。
「おい、居るんだろ」
 歩きながら携帯でハッテン場と呼ばれる場所を検索しつつ、何もない空間に語りかけた。
『居るよぉ』
 声は頭のなかに響いてくる。
「あんま変なの引っ掛けてくんなよ。もうあそこ使えないぞ」
『なんでぇーそんな気にする事なくない?』
「いやアレは面倒なタイプだろどう見ても。だからもっと紳士的でセックス上手いヤツ連れて来いって」
『叩かれて喜んでたくせにぃ』
「何されたって感じる体にしたのお前だろ。あんなのまったくタイプじゃないから」
『ああいうタイプのがさっくり誘われてくれて楽なんだよねぇ。ナマ中出しにも抵抗薄いし』
「だからそこ手ぇぬくなって言ってんの」
『優しくされたらそれはそれで泣いちゃうくせにぃ』
「煩いな。誰のせいでこんな目にあってると思ってんだ」
『ボクのためってわかってるし感謝もしてるよぉ』
 声の主は、100人分の精子を集めるための任務に、女でも男に抱かれたいゲイでもない人間に取り憑いてしまうような、アホでドジで迷惑極まりない自称淫魔だ。100人の相手に中出しされるまで、この体はずっと発情し続けると言われ、実際抜いても抜いても治らない体の熱に、泣きながら初めて男に抱かれたのは二か月近く前だった。
 中出しされるとしばらくの間は体の熱が治まるけれど、それもせいぜい二、三日程度でしかない。おかげで一切そんな性癖がなかった自分が、嫌々ながらも日々男に抱かれて相手の精子を搾り集めている。
 精子を注がれるために発情している体は、男に何をされても基本気持ちが良いと言うのが楽でもあるし、切なく苦しくもあった。
 そんなこんなで、半月くらいはこの現状を呪って泣き暮らしたけれど、そのあとは開き直って積極的に男を漁っている。さっさと100人斬りを達成して、こんな生活とおさらばしたい。
 相手は自称淫魔がその場で適当に見繕ってくれるが、基本アホでドジなので、オカシナ男を連れてくることも多々あった。こんな自分に取り憑いたくらいなので、特に相手の性癖を見抜く力が低いらしい。
 どうやら自分に取り憑くのと似た方法で相手をその気にさせるようだが、その効力は相手が精を吐き出すまでしか持続しないから、ノンケを引っ掛けてきた時は色々と面倒だった。そういう意味では、事後に次の誘いを掛けてきた今日の男は、自称淫魔的には当たりなんだろう。
 わざわざハッテン場まで出向いているのだから、それくらいは当たり前にこなして欲しいし、出来ればこちらへの気遣いもある、セックスの上手い奴を探して連れて来て欲しい。けれどそんな大当たりは、今のところ片手で足りる程度しか記憶に無い。
『ごめんねぇ』
 大きくため息を吐いたら、申し訳無さそうな声音が頭に響いた。
「謝罪はいいから次行くぞ次。次はもっとマシなの引っ掛けてこいよ」
 本当に、早い所100人に抱かれて、こんな日々をさっさと終わりにしようと思った。

お題提供:pic.twitter.com/W8Xk4zsnzHimage

 
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獣の子1

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 目の前の重厚なドアをノックし、返答を待ってからゆっくりと開く。
 久しぶりに踏み込んだ父の部屋は、やはりいいようのない厳格な空気が満ちていて、ビリーは緊張で息を飲む。
「暫く見ない間に、随分と大きくなったな」
 笑顔のない言葉は胸を打つことなく素通りし、ビリーも形式どおりの謝辞を述べるだけにとどめた。
「ところで、大事なお話があると伺って来たのですが……」
 ビリーの視線は、言いながら部屋の隅で存在を主張する檻の中へと向かう。
 中には自分と同じくらいか一回り小柄な子供が一人、怯えと敵意を含む瞳でジッとビリーを見つめていた。
 注目すべきはその耳と尻尾の毛の色だろう。服を纏っていないので、その尻尾が本物であることは疑いようがない。
 この小さな国で、黒い毛皮を纏うのはビリーと今目の前にいる父の二人だけだ。
 兄弟姉妹は多々いるが、黒い毛色の遺伝子を受け取ったのはビリーだけで、だからこその特別待遇と期待に、ビリー自身は辟易している。
 父は既にこれ以上の子をなすことを諦めてしまったようだが、後2・3人くらいは頑張って欲しいと常々思っていた。
 ただ、檻の中の子供が、父の子供でないのは明白だ。黒い毛を持つ父の子を、檻に閉じ込めるようなことは絶対に起こらない。
 では、目の前の子供は一体何物なのだろう?
「猫の子、だ。お前にやろうと思って連れてきた」
 ビリーの思考を読んだように、父の声がかかる。
「猫……? なぜ、猫族がこんな場所へ?」
「さあな。ただ迷い込んだだけかも知れないが、それにしても、本来ならこんな場所まで踏み込むことはしないだろう。どちらにしろ話したがらないからわからんな」
「そんな得体の知れない相手を、俺に任せてもいいんですか?」
「殺すには惜しい毛色をしているからな」
 その言葉に含まれた父の気持ちを正確に理解できたとは思えないが、ビリーは黙って頷いてみせた。
「ただし、条件はある」
「条件……?」
「そうだ。一つ目は、檻の中から出さないか、もしくは鎖に繋いで飼うこと。もう一つは、一生この国からは出さないこと」
 似たような姿形をしていても、相手が猫族である以上、扱いはペット以上のものにはならないのだろう。
 それが守られなければ、殺すことになる。そう続けられた言葉に、ビリーは慎重にわかりましたと返す。
 檻の中の子供がどこまで二人の会話を理解しているのか、猫族についてはその存在を知っているという程度にしか知らないビリーには検討もつかない。
 一体どんな言葉をしゃべるのだろう?
 意思の疎通が出来るような相手なのだろうか?
 たとえ種族は違っても、同じ毛色を持つ自分よりも小さな生き物を、殺させなどしない。キツイ光彩を放つ瞳を見つめ返しながら、ビリーはこれからどうするかを考える。
「檻は後でお前の部屋に運ばせよう」
 それは話の終了と退室を促すものだった。
「わかりました。それでは失礼します」
 一旦思考を中断したビリーは、父へと一礼してその部屋を後にした。

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RPG風 シーフ×プリースト

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 持ち前のすばやさを発揮したビリーは、ガイが呪文を唱え終わるよりも先に、伸ばした手でその口を塞いでしまう。
「ん~~!」
 その手を振り解こうともがくガイを、そのまま羽交い絞めたビリーは耳元で。
「そう嫌がるなよ。別に悪いようにはしないぜ?」
 ちょっと一緒に気持ち良くなろうってだけじゃないか。
 その囁きにゾワリと肌が粟立ってしまうのは、内容のおぞましさに対する嫌悪か、耳朶をくすぐる暖かな風に呼ばれた快楽の兆しか。
 どちらにしろ、素直に頷き身体をあずけるような態度を取れるはずがなかった。
 けれど口を塞がれている以上、呪文の詠唱は不可能なのが現実で。素の状態では素早さも体力も、ガイはビリーに敵わない。
 そんな焦りの中で、状況はどんどんガイを追い詰めていくようだ。
 なんとか逃れようと身じろぐガイをものともせずに、ビリーは確実にガイの着衣を乱していく。
 やがて、シャツの下に潜り込んだビリーの、皮手袋に包まれた指先が胸の先をかすめ、ガイの身体はビクリと大きく跳ねた。
(あぁっ……) 
 ビリーの片手は相変わらずガイの口を押さえていたので、その嬌声が音となって漏れる事はなかったが、ガイの身体が示した快楽の証に、ビリーの口角がわずかにあがる。
「思った通り、感じやすいんだな」
 否定するようにガイは首を振って見せたが、普段見せる理詰めの戦略家とは思えぬほど、説得力がない。
 さて、どうやって落としてやろうか。
 まっさらに違いない身体を腕の中に抱いて、ビリーは楽しげに笑んで見せた。

 
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プリンスメーカー 目次

こんなゲームがあったらいいなv な妄想から生まれた、実は王子なビリーを拾ったガイの話。
年下攻 。視点はガイ。

1話 プロローグ
2話 1年目 冬
3話 2年目 春
4話 4年目 冬1
5話 4年目 冬2
6話 7年目 春
7話 7年目 夏
8話 エピローグ

 
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