就職を機に逃げたけれど本当は

キスのご褒美で中学生の成績を上げています → 脅されて高校生に買われています からの続きです。

 代引きで通販という手を覚えた彼が、アパートの住所宛にあれこれとアダルト商品を通販し始めたのは、彼が高校1年の終わり頃だった。
 就職が決まって引っ越しをする時にそれらのグッズは全て廃棄したけれど、結局、頻繁に使用されていたいくつかを、今度は自分の意志で購入してしまった。

 床に取り付けた吸盤付きディルドをまたいで、ゆっくりと腰を落としていく。準備はしてあるが、敢えてあまり解すことをしていない。簡単には飲み込めないそれを、体重をかけることで半ば強引に埋め込んでいく。入り口がめりめりと軋むようで、強い拡張感と圧迫感にあっさり歓喜の声がこぼれ落ちる。
「ふぁっ……んぅ、…は、はふぁああん」
  耳の奥で、ここには居ない彼の声が響いた。
『また声漏れちゃってるよ、センセイ』
 ふふっと笑うかすかな声と気配を思い出しながら、きゅっと唇を噛み締めた。
『さ、じゃあ、少しずつ動いてみよっか。馴染んでないから最初はゆっくりね。はいっ』
 耳の奥に響く手拍子に合わせて、腰を上げて下ろしてを繰り返す。
「ふ、ッ…ぁあっ、…ァっ、アアっ……」
『声、ぜんぜん抑えられてないね。俺に塞いで欲しくてわざとやってるの?』
 首を振って、再度唇を噛み締める。しかしやはりこぼれ落ちてしまう声は、やがて仕方がないなという言葉共に彼の唇で塞がれた。
 口の中を彼の舌でいじられる感触を出来る限り思い出しながら軽く口を開き、彼の舌を辿るように、自らの口内を舌先でくすぐる。
『動きとめちゃダメだよ、センセイ。ほら、さっきのリズム思い出して』
 動きを止めるとキスは中断され、もう一度手拍子が始まった。
 またすぐにあふれだす声を塞がれ、手拍子がやんでも、今度は腰の上げ下げを同じリズムで繰り返す。
 動きが止まってしまったら、キスを中断して手拍子。というのを繰り返すうちに、だんだんとリズムが早くなり、昇りつめるギリギリまで自分を追い込んでいく。
「イくっ、イッちゃう」
『いいよ。でも今日は、おちんちん触って、出しながらイッて?』
 命じられるままにペニスを握り数度上下させただけで、簡単に絶頂はやってきた。
「ぁァアアああ゛あ゛んんっ」
 物理的に塞がれているわけではない口から、抑えることをすっかり忘れた声が迸るが、ここはもう壁の薄いアパートではない。多少大きな声を出した所で、隣に聞こえる心配はなかった。

 後始末をしながら、惨めだ、と思う。あんな関係からどうにか必死で逃げ出したというのに、結局彼とのあれこれを思い出しながら、自分を慰めることが増えている。
 就職活動をする時に、なるべく遠方の会社ばかりを受けた。もちろん、脅されて内定を蹴ることになる可能性もあったが、彼はそんな事はしなかった。あまつさえ、心配の種だった中学生の彼相手に色々致している動画の数々を、就職祝いにと全てプレゼントされた。もちろん複製品が彼の手元に残っている可能性もないわけではないが、これ以上脅して関係を強要する気はないという、彼の意思を示すにはそれで充分だ。
 こちらが驚くほどあっさりと関係を解消した彼は、色々と教わりありがとうございましたという言葉を最後にアパートを訪れなくななり、自分は就職先の近くに部屋を借りて引っ越した。
 彼に、彼以外との交際を制限されたことはなかったが、彼一人で手一杯だったので久々に新たな出会いを求めてみたりもした。しかし結果は散々だった。
 ストライクゾーンは広めで、割りと誰とだって楽しめるタイプだったはずなのに、誰と寝ても物足りない。
 そもそも、特定の相手とあんなに長く関係していたことが初めてだったのだ。しかも旺盛な好奇心で色々なことを試されたし、性感帯をあれこれと開発された自覚も確かにある。しかし彼相手でなければ物足りないほどの影響を受けているとまでは思っていなかった。
 自分の体に彼のプレイが色濃く染み付いている事に絶望するまで、そう時間はかからなかった。
 拭いたばかりの床に、ボタリと大粒の涙が落ちる。
 彼に聞かれたのは就職先の会社名程度で、もちろん新しい住所を聞かれることもなかった。それどころかあの挨拶を最後に、メールもLINEも一切送られてこない。あのあっけなさ同様、こちらの連絡先などとっくに削除済みなんだろう。
 その事実に安心するのではなく、追いかけてもらえないどころか一切気にかけてもらえなかった事に、打ちひしがれている。
 遊ばれているだけだとはわかっていた。自分は彼にとって都合のいい玩具だった。
 その自覚があったのに、重ねる行為に情が湧いてしまった。しかも、自分にだけ。
 彼があっさり引いたのは、もしかしたら、そんなこちらの情に気づいたからかもしれない。その考えが正しいような気がして、ますます気持ちは落ち込んだ。
 惨めだし、寂しいし、悲しいし、胸が痛い。けれどこちらから彼に連絡を取ることなど出来るはずもない。
 一度も好きだと口にすることなく終わった想いは、この先もまだ当分引きずりそうだった。

続きました→

 
 
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彼の恋が終わる日を待っていた

 高校の部活で知り合った先輩たちとは、大学を卒業して社会人となった今でも年に数回飲みに行く程度の付き合いが続いていて、今日は自分が高校2年の時に部長だった男の結婚式だった。
 花嫁さんのお腹の中には既に新しい命が宿っている。
 アイツが親になるなんてと、うっすら目に涙をためながら感慨深げに呟く隣の席の男は、当時副部長を務めていた新郎の親友だ。自分はこの隣の男が、ずっと新郎を想っていた事を知っている。
 応援する気などは一切なかったが、もし仮に二人の仲が友情をこえて発展したら祝ってやろう程度の思いはあった。二人とも、自分の人生においてかなりの影響を与えてくれた大事な先輩たちだからだ。
 ただ、その想いを知っている、ということすら口にしたことはない。
 一歩引いて、無関係を装って、そして機会を窺っていたのだ。二人が付き合うのなら笑ってお幸せにと言える立場を保持しつつ、内心は今日のような日を待ちわびていた。副部長だった彼はモテるくせにのらりくらりと彼女も作らず、かといって他の男と付き合うようなこともせず、そのくせ想いを遂げようとする様子もなくずっと一途に親友を演じていたから、いつかこんな日がくる可能性は高いだろうとも思っていた。

 二次会を終えた帰り際、もう1軒行きませんかと誘えば、副部長だった彼はあっさり了承する。他にも数名、同じ部活のメンバーが披露宴から参加していたが、既に家庭があったり翌日も仕事だとかで帰って行った。もちろん、そうなるだろうことは見越して誘った。
 その辺の店に入ろうとするのを阻止して、行ってみたかった店があると事前調べの雰囲気の良い個室居酒屋に連れ込み、軽いつまみと酒を頼む。ここには居ない本日の主役を祝いながらグラスを合わせれば、目の前に座った男はまた、アイツも父親になるんだなぁと呟く。
「羨ましいですか?」
「いや、羨ましいってより、純粋な感動と不安かな。だってアレが人の親とか、想像できなくて」
 部長はなかなか破天荒な男で、そんな彼をなんだかんだサポートしてきたのが目の前の男なのだから、わからないこともない。自分は高校で知り合ったが、二人は小学校からの付き合いだというし、アイツは子供の頃から変わらないというのがこの男の口癖だから、付き合いの長さの分だけ不安にもなるんだろう。
「そうじゃなくて。花嫁さんが、羨ましくはないですか?」
「は? なんで?」
 明らかな動揺に、畳み掛けるように言葉を続ける。
「部長のこと、ずっと好きでしたよね? 告白しようとは思わなかったんですか?」
「いやお前、いきなり何言いだして……」
「ずっと気になってたんですよ。部長が人の旦那になったんで、そろそろ言ってもいいかと思っただけです」
「わかんねーよ。なんで、今なんだよ。それに、アイツは腐れ縁の親友だけど、それ以上でもそれ以下でもねぇよ」
「腐れ縁の親友も、何かの拍子に恋人に進展するかもしれないじゃないですか。幼なじみの定番ですよ」
「男女の話だろ、それ」
「それだって一緒ですって。何かの拍子に同性でも恋人になるかも知れないじゃないですか。しかも片方が既に恋をしている状態なら尚更」
 男はグッと言葉に詰まる。恋などしていないと否定することはしないらしい。それとも今まで一切触れたことのない話題を投げかけたせいで、動揺してそこまで思考が巡っていないだけだろうか。その可能性が高そうだ。
「だからあなた達の関係がはっきりするまで待ってたんですよ。知られたくなかったし」
「何、を?」
「俺が、あなたの気持ちに気づいてること。それと、俺があなたを好きなこと」
「えっ……」
 さすがに予想外過ぎたようで呆然となる男に、出来る限り柔らかに笑ってみせる。
「ずっと好きでしたよ、先輩。だから、そろそろ俺のものになりませんか?」
 もちろん、嫌だと言っても逃してやる気は毛頭ないけれど。

続きました→

 
 
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優しい笑顔が好きだった

 丁寧に慣らされたアナルは広がりきって、彼の大きなモノを飲み込み、時折グチュリチュプリと湿った音を響かせている。
「あっんアッ、んぃっ、いい、あぁっ」
 焦らすようにゆっくり腰を引かれると、ぞわりと背筋を駆け抜ける快楽に声が押さえられない。
「あっ……はっぁ……」
 ぎりぎりまで引きぬかれて一度動きが止まると、次の衝撃を待って息を整える。もちろん、相手は息が整うのを待ってくれるわけではない。
「ひああぁぁぁっ」
 突き抜ける快感。こちらのタイミングをわざと外して、抜かれる時の焦れったさとは逆に勢い良く突かれれば、漏れ出るのはもはや悲鳴に近い。
 何度か繰り返されてこちらがイきたくてたまらなくなる頃、彼はわざと全ての動きを止める。どうしようもなく刺激を求め、こちらが腰を揺すってしまうのを眺めるためだ。
 わかっていても、自ら腰を揺すって快楽を追うのは躊躇われて、無駄と知りつつ「お願い」と口にする。
「お願い、ね、もう、…いか、せて。動い、て」
 優しい笑みは残酷だ。もう少し楽しもうよなんて言われながら額に張り付く髪をそっと払われただけで、ビクビクと体が跳ねるほどの快感が走る。その痙攣で咥え込んだ彼を意識させられ、そうなるともうダメだった。抑えよう耐えようと思う気持ちを裏切って、体は刺激を求めて動き出してしまう。
「いやらしい体になったね」
 凄く可愛いよと満足気に笑う顔はひどく優しいのに、じわりと視界がぼやけていく。
「どうして泣くの?」
「だって」
「うんと焦らされる方が、ずっと気持良くなれるの知ってるよね?」
 意地悪してるわけじゃないんだよ。と苦笑される気配に、そうじゃないとは言えなかった。
 意地悪だなんて思ったことはない。関係をねだったのは自分で、彼は最初からずっと優しい。男に抱かれて感じられる体になりたい。そんなバカみたいなお願いを、断りきれなかったくらいに優しい人だ。
 彼にとって自分が恋愛対象外なことはわかっていて、それでもどうにか自分に目を向けて欲しくて無茶をした、という自覚はある。誤算は、ここまで自分の体が変わってしまうとは思わなかった点だ。
 一度だけのつもりが、彼の優しさに甘えてずるずると関係を続けてしまった結果がこれだ。
「今日…で、やめる」
 とうとう言った。ボロリと落ちていく涙は、やはり彼の指がやさしく拭っていく。
「それで泣いてるの?」
「だって、好きなんだ」
「だから最初に言ったのに。そんなことしたら情がわくよって」
 情なんて最初から持っている。むしろ、情が湧いてくれたらいいのにと思ってさえいた。
「そっか。でも良かったよ。一緒になって楽しんでた自分が言うのもなんだけど、このままズルズル続けるのも問題だなと思ってた所だし」
 知ってる。なんてことは悔しすぎて言えない。
 数回前から、わかりやすく散らされ始めた所有印。恋人ができたのかどうかは聞いていないが、少なくとも自分には許されていないし、この体に痕を残されたこともないのだから、答えは明白だ。
「ああ、でも、これが最後なら、うんと気持ちよくならないとね」
 泣いたせいで若干散っていた快感を思い出させるように、彼がまたゆっくりと腰を使い出す。
「あっぁアッ」
 すぐにたまらず溢れる声を、いい声だねと褒められる。
 イヤラシイ行為の真っ最中にも、優しく笑っている顔が本当に大好きだった。
 これで最後なのだと思うとやはり胸がキュウと痛んだけれど、それでも精一杯、彼を真似て笑ってみせた。

 

レイへの3つの恋のお題:彼とも、してるんだ?/見える位置に残された痕/優しい笑顔が好きだった
http://shindanmaker.com/125562

 
 
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