脅されて高校生に買われています

キスのご褒美で中学生の成績を上げていますから続いていますが、単体でも読めると思います。

 アパートの壁が薄いから、声をなるべく発してしまわないように、両手で口を押さえて必死で耐えている。
 くちゅり、くちゃり、と時折小さく音を立てているのは自身の肛門からで、今日は束ねてゴムを被せたペンが出入りしているはずだ。
 結局何本入れられているのか、増やすたびに実況する声だけは耳に届いていたが、とてもじゃないが覚えていられない。その場所がどんな風に拡がり緩んでいくかもつぶさに語ってくるので、そんなものは知りたくないし聞きたくなかった。だから、相手の声は音として耳に入っても、なるべく聞き取らないようにしていた。
 彼にとって自分のこの体は、単なるオモチャでしかない。
 彼には、こちらの性対象が男であることも、抱かれる側になる方が圧倒的に多いことも、知られている。知られたその時にさっさと逃げて、彼との縁を切ってしまわなかったことが本当に悔やまれる。
 あの時彼はまだ中学生で、家庭教師先の教え子だった。待遇の良さなどもあって、彼という生徒を手放したくないと思ってしまったのが敗因だ。
 興味の対象が自分に向いているのをわかっていて、成績向上と引き換えにキスを許したりするべきじゃなかった。最初は相手からキスすることを許しただけだったはずのそれは、少しずつエスカレートして、請われて手で慰めてやったのが決定打だった。まさか盗撮なんて真似をしているとは思っていなかった。
 それを証拠として出されたら、自分は簡単に犯罪者の烙印を押されていただろう。ゲイであることすら普段は極力隠して生活していたから、少年相手に淫行罪だなんて最悪の事態だ。
 こちらのそんな事情ももちろんしっかり把握されていて、証拠動画をたてに要求されるいろいろを断りきれなかった。そうして、彼の手には証拠動画が積み上がっていくという悪循環にはまってしまった。
 それでも、彼が中学を卒業するまでは、行為自体はここまで酷くなかった。中学生の教え子へ手を出す家庭教師、という証拠動画を撮影するため、どちらかと言うと彼への奉仕が主だったからだ。
 どう言いくるめたのか知らないが、彼の高校入学を機に彼の家へ通うのではなく、彼がこちらに通うようになった。目的はわかりきっていたが、当然こちらに拒否権などはない。
 すでに勉強なんてほぼ教えていなかったが、彼が通ってくるようになってから、一緒に教科書を開いたことは一度だってなかった。この部屋で開くのはいつだってこの体だけだ。
 持ち前の知性と駆使した情報とであっさりこの体を攻略した彼は、旺盛な好奇心で現在は更なる開発に取り組んでいる。
 体も心もこの異様な関係に慣らされきって、入れられているのはペンだとわかっているのに、無機質でゴリゴリとしたそれらの束を、揺すられ軽く前後に動かされるだけで、足の先から頭の上まで緩くしびれるような感覚が走ってたまらない。どれだけ声を飲み込んでも熱い息は抑えきれず、時折たまらず甘く鼻を鳴らして、より強い刺激を求めてしまう。
「腰揺れてきてるよ、センセイ。キモチイイんだね。こんなんでもちゃんとイけそうだ」
 嫌だと示すように首をゆるく横に振ってはみるが、やはり止めてはもらえない。
「今日はどこまでなら拡げても感じられるか確かめたいって言ったよね。センセイがイくたび、ペンの数増やしてくつもりだからさ。おしりでなら何度イッてもいいからね」
 耳に届く声は甘やかで楽しげだ。
「だいぶ慣れてきたみたいだし、ちょっと一度これでイッてみようか。センセイのイイトコ、いっぱい突いてあげる」
「ふぁっ、ぁあっ、んあぁぁっ」
 動きが大きくなり、中の弱い部分に押し付けるように擦られると、両手で口を覆っていてさえ歓喜の声があふれてしまう。
「声漏れちゃってるよセンセイ。俺はいいけど、声、隣に聞こえちゃったらマズイんでしょ?」
 ほら頑張ってこらえてと囁く声も、やはり楽しくてたまらない様子だった。
「ぐうっ、……ううっ、ん……ん、んっ!」
 必死で声を飲み込むのに合わせるようにグイグイと刺激されて、体は昂ぶりきって、そのままドライでオーガズムを迎えてしまう。ギュウときつく閉じた瞳からでもボロリボロリと涙がこぼれ落ちていった。
「泣くほど気持ちよかった? もう少ししたら、少し本数増やそうね」
 ふふっと笑う気配は残酷だ。ゆるやかな刺激は続いている。
 心のなかは絶望で満ちているのに、より強い快楽を約束された体は期待に昂ったままで、それがますます心に暗い影を落としていく。
 泣き顔を晒したって相手は喜ぶばかりだとわかっているのに、涙は止まりそうになかった。

 

 唯一の救いは、およそのプレイ時間に決まりがあることだろうか。勉強など一切教えては居ないが、一応これは家庭教師の延長上にあって、彼がここに滞在するのは決まった曜日の決まった時間だけだった。
 しかしそれと同時に、救いようのない状態に追い込まれてもいる。売りはしていないと言っているのに、学校では教わらないことを教わってるからと言って、彼が月謝という名のお金を置いていくからだ。
 力関係がはっきりしきっている現在、それを突っ返すだけの勇気はなく、結果仕方なく受け取り続けている。
 いくつも年下の高校生に脅された上、金で体を自由にされていると思うと、どうしようもなく情けなくて、彼の去った部屋に深いため息が満ちた。

続きました→

 
 
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キスのご褒美で中学生の成績を上げています

 頬は紅潮し、時折こぼれる吐息からはあからさまな興奮が感じ取れる。閉じられた目元、かすかに睫毛が震えているようだ。
 差し込まれた舌の拙い動きに惰性で応じながら、やっぱりこれはマズイよなぁと、どうにかなかったことに出来ないか必死で考える。
 今キスを仕掛けてきている相手は、家庭教師先の教え子で、しかも義務教育中の中学生だ。身長は自分と変わらないくらいあるし、変声期も終えてはいるようだが、まだまだ顔つきも仕草も子どもだと思う。
 未成年に手を出したら同意の上でも犯罪。という朧げな知識はあるが、キスくらいなら犯罪にはならないだろうか?
 というかそもそもこれは手を出されているのであって、断じて手を出しているわけではない。けれどそんな言い訳が通じるはずもないことは明白だ。年齢差から言っても関係性から言っても、知られた時に悪者になるのは自分のほうだとわかりきっている。
 男と恋愛できるタイプの人間だと知られたあの時に、潔く家庭教師のバイトを辞めればよかったのだ。ということもわかってはいた。ただ、いくつか掛け持つバイト先でも、ここは一番のお気に入りだったから手放すのが惜しかった。お気に入りというか、美味しいお茶菓子が当たり前でたまに食事まで出てくる待遇の良さと、成績の悪い原因は明らかに本人のやる気の無さというか計算のうちで、頭の出来そのものは良く授業内容はしっかり理解していたから楽だったのだ。
 今遊ばなきゃエスカレーター式の私立中学に入った意味がない。と豪語する相手は、暗記項目にひたすら手を抜いている。そこにやる気を出させるのが家庭教師の本分とわかっていつつも、理解はできているがテストで良い点を取るために必死で頑張る理由がないと言われれば、それもそうだとつい思ってしまう。
 家庭教師に来ている手前、少しは成績上がってくれないと困るよと言ったら、気持ち成績を上げてくれるという、ひねくれているんだか素直なんだかわからない対応をされたりもしたが、楽な仕事場という点では間違いなくダントツだ。
 そんな中、どうやら彼の遊びの対象に、自分が入ってしまったらしい。
 男とホテルに入っていくの見ちゃったよと笑った相手は、その時点で既にかなりこちらの状況を把握していた。家庭教師として訪れる以外で彼と会ったことなどなかったから油断していたのもあるけれど、互いの行動範囲を考えれば外で互いを見かけることがあっても不思議じゃない。
「同じ相手じゃないみたいだから恋人ってわけじゃないんでしょ? どうやって相手探すの? 売春? 公園でキスされてるのも見たけど、先生はネコなの?」
 次々こぼれ落ちる問いかけに、あまりに焦って思わず一部を認めてしまったのは大失態だと言えるだろう。特定の恋人はいないし、基本ネコだ。
「お金払ったら俺にもさせてくれる?」
 などと言い出した相手に、必死で売りはしていないと断り、ちょっと大人ぶって、好奇心で男に手を出そうなんて絶対間違ってると説いてみたりもした。仮に男が恋愛対象なのだとしても、そういうことは好きな相手とするもんだ。なんてありきたりのセリフは、不特定の相手との関係を見られている以上まるで説得力がなく、鼻で笑われただけだったけれど。
「じゃあさ、キスだけでも教えてよ。ね、センセイ」
 そんなおねだりを始めた相手に、軽い気持ちでまずは成績を上げてからと返したのは迂闊だった。彼が本気で試験に取り組んだら、いともたやすく成績なんて上げられる。
 彼の親には大層感謝されたが、口が裂けても、ご褒美にちょっとキスをぶら下げてやっただけですよ、だなんて言わるわけもない。そしてきっちり結果を出してきた相手に、約束を反故にすることも出来なかった。
 それでもまだ諦め悪く、自分からキスを教えるなんて状況を避けるようにして、まずはどれくらい出来るのか見せてみろと彼のしたいようにさせている。
 必死な感じは可愛くもあるが、やっぱり相手は子どもで、基本ネコの自分に年下趣味はなく、要するに一切感じない。まぁ教え子の中学生にキスされて感じてたら相当ヤバイので、ホッと胸を撫で下ろすものの、顔を離した相手はやはり不満気だ。
「下手くそって言いたいんでしょ?」
「いや別にそんなことは」
「いいよ別に。でもすぐ上手くなるから覚悟してよね」
「覚悟?」
「今回限りでなんて言わせないから。センセイのお陰で成績上がって、親が随分喜んでたし、少しは時給上がったりもするんじゃない? 良かったね。でももし辞めるなんて言い出したら、今後家庭教師のバイト一切できないようにするくらいわけないから、そのつもりで」
 どうやって。なんて聞けなかったけれど、本気だというのは伝わってきたし、多分きっとそう出来るだけの自信も何かしらの根拠もあるんだろう。
「だからこれからも、良い点取れたらご褒美にキスさせてよね、センセイ」
 にこりと笑う顔は爽やかですらあるのに、背筋を冷たいものが伝う気がした。

続きました→

 
 
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あの人の声だけでイッてしまう

 耳元に甘く響く「好き」の言葉。演技掛かって多少大げさに感じることもあるけれど、まごうことなきあの人の声だ。
 怒って、拗ねて、甘えて、キスをねだる。そんな姿を実際に見せてもらったことはない。
 自分の知るあの人は、豪快に笑う顔がいつもキラキラで、手を引いてくれる背中がいつも眩しくて、怒った時はめちゃくちゃ怖いのに、こちらが落ち込んだり泣いている時はとことん優しい。同じ目線まで腰を落としながら頭を撫でてくれるのがわかっていたから、子供の頃の自分は今思うと恥ずかしいくらいに泣き虫だった。
 記憶の中で彼の姿が鮮明なのは、彼が高校へ上る前頃までだろうか。彼が中学の頃はまだ、夕方や週末に遊んでもらっていた記憶がある。
 少し年の離れた幼なじみと、同じ学校へ通えたのは小学校だけだった。自分が中学へ入学できる頃には、彼はもう高校生で、自分が高校へ通い出す前に大学生となってこの町を出てしまった。
 その彼が声優になったと知ったのは、彼の母親が自分の母親へ愚痴っているのをたまたま聞いてしまったためだ。ちゃんとした企業に勤めて貰いたかったと、彼の母親はかなり落ち込んでいる様子だった。
 懐かしさもあって、すぐに彼の名前を検索した。本名そのままではなかったけれど、見つけるのは簡単だった。
 最初はちょっとした好奇心。それでも、彼の関わった作品を見たり聞いたりするようになって、もう随分経つ気がする。最初の頃は名前の無いキャラも多かったのに、最近は役に名前がないことなんてほとんどない。
 自分がそんな風に彼が出た作品を追いかけていることなど、当然彼は知らないだろう。親ですら息子の興味の矛先が、作品そのものではなくそこに出演している幼なじみの彼だなんてことは多分わかっていない。
 BLCDという存在も、彼の出演をキッカケにして知った。予備知識ほぼなしで聞いてしまったそれは衝撃的で、彼が脇役だったことにひどく安堵したのを覚えている。しかし次の作品は主役の片方で、当然のように濡れ場もあった。そうだろうとわかっていたから、最初買うのを躊躇いはしたけれど、結局買わずにはいられなかった。
 もちろん演技だということはわかっている。原作でのキャラのイメージ画像もちゃんとある。それでも、アニメと違い声だけだと、あの人の姿で想像してしまう。
 目を閉じて、イヤホンから響く彼の甘い吐息に感じ入る。
 あッあッと少し高く響く声は時折掠れて、そのざらつきが耳の奥を撫でるようでゾクリとする。
 CDのストーリーなど既に頭には入ってこない。物語の中で彼を抱く男の声すらどうでもいい。耳はただただあの人の声だけを拾い、想像の中、あの人を抱いているのは自分だった。
「だめっ…ぁ、いっちゃういっちゃうっからっ」
 そんな甘ったるい声をあげる想像の中のあの人は、今の自分よりも確実に幼い。一緒に遊んでいた頃の彼だからだ。喘ぐ声の高さや掠れが、声変わりの頃を思い出させるのかもしれない。
「やぁあんっ、きもちぃ、だめっだめぇ」
 切羽詰まって身をよじる彼を押さえて、ひたすら突き上げる。
 実際に見たことなどないのに、快楽にとろけるあの人の顔だって、いともたやすく想像できる。遊んでくれるから大好きだったはずのあの人の、顔や表情も好きだったのかもしれない。あれこれと細かな表情も、かなり覚えている自分の記憶力がありがたい。
「やだやだああぁぁっんんー」
 極まってヒクヒクと蠢く穴を想いながら、自身をしごきたてる手の中に精を放つ。
 イッた後の心地よい脱力感はあるが、熱が去ってしまえば、一体自分は何をしているんだと、恥じ入る気持ちも押し寄せる。いくらもう顔を合わせることはほぼないとはいえ、昔お世話になりまくった相手に酷い妄想をしている。
 自覚はあるし、罪悪感がないわけでもない。けれど体の中に熱がたまると、結局また、あの人の声を求めてしまう。

続きました→

 
 
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トキメキの行方 目次

同じチームに所属するプロサッカー選手である遠井遙と神崎太一の話。
8つの歳の差がある先輩(遠井)と後輩(神埼)。
ある日の飲み会で潰れた神埼は、翌朝遠井のベッドで目を覚ます。その際寝ぼけて抱きしめられたせいで、遠井を意識しだしてしまう。
遠井には神埼と同じ年の妹が居て、元々弟のように可愛がっていたのだが、神埼に意識されたことで手を出してしまう。
エロ描写はそこそあるのですが、行為は控えめで挿入はしていません。
視点はシーンによって変わります。目次にのみどちらの視点かわかるよう表示しました。

1話 酔いつぶれ(遠井)
2話 連れ帰り(遠井)
3話 翌朝の動揺(神埼)
4話 意識される(遠井)
5話 迷い(神埼)
6話 来訪(遠井)
7話 触れる(遠井)
8話 弄る(遠井)
9話 寝室へ(遠井)
10話 感じ合う(遠井)
11話 覚悟を決める(神埼)

 
 
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電ア少年 家教と生徒の場合

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「ナツ先生、電気アンマの刑って、知ってます?」
 予定された授業時間の半分が過ぎた頃だろうか。今日はめずらしくソワソワしていると思っていた教え子の青治が、意を決した様子でそう口にした。
「電気アンマの刑?」
 つい先ほどまで青治が挑戦していたミニテストの解答を赤ペン片手にチェックしていた夏至は、答案用紙から目を離さないままで聞き返す。
「そう、です。あの、今、クラスで流行ってるんですけど、先生が小学生の頃も、ありましたか?」
「ああ、そういえば、そんなのが流行った事もあったかな」
「本当ですか? 先生も、したり、されたり、したんですか?」
 チェックを終えて顔をあげれば、真っ赤になりながらも真剣な表情で夏至を見詰める青治と目が合った。随分と興奮している。
「どうしたの?」
 本当に珍しいと思いながら、柔らかな声で問い掛ければ、教えて欲しいんです、なんて言葉が返ってきて、さすがの夏至も驚いた。しかし、表情には出さない。それくらいのポーカーフェイスはお手の物で、やはり柔らかな表情を崩さないまま、再度問い掛けの言葉を口にする。
 今度はもう少し、詳しい話を聞くために。
「僕は家庭教師だから、教えてくれと頼まれれば、教科外だろうと知ってることは教えてあげようと思うけれど、クラスで流行ってるなら、今更何を教えて欲しいと言っているんだろうね? 青治は」
「それは、あの……」
「はっきり言ってくれないと、何を教わりたいのかわからないよ?」
「されたこと、ないんです。もちろん、したことも。別にそれでクラスの友達から仲間はずれにされてるわけでもないんですけど。僕がその刑をされそうな雰囲気になると、なぜか途中で止まっちゃうんです。みんな、僕にはしたがらない。だから僕だけ、流行ってるのに一度も経験した事がない」
 夏至は目の前の少年の顎に手を添えると、不躾にジロジロとその顔を眺め見る。青治の優しく整った面立ちを、クラスメイトの男の子たちが、電気アンマなどという遊びで歪ませたくないと思うだろうことは容易に想像がついた。
「それは、みんなが青治の事を大好きってことだろう?」
「どういう意味ですか?」
「痛い事、したくないんだよ。青治には。例え遊びでもね」
「でも、僕だって……」
「されてみたい?」
 コクリと頷く顔は上気している。変な頼みごとをしているという自覚からか、それとも行為への期待からか、どちらにしろ面白そうだと思った。
「いいよ」
「本当ですか!?」
 答えれば、目を輝かせて夏至を仰ぎ見る。内心では、この綺麗な顔を苦痛に歪ませても構わないなんて、飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのことだなどと思いながらも、夏至は柔らかな笑顔を湛えたまま頷いて見せた。
「ああ。このミニテスト、一問もミスがなかったご褒美にね」
 言いながら青治の手を取り立ち上がった夏至は、青治のズボンのポケットから、ハンカチをスルリと抜き取った。
「口を開けて、青治」
「え?」
「これからすることが痛みを伴うと言うことは知っているんだろう? 叫ばれてお家の方が飛んできたら、家庭教師をクビになってしまうからね。コレを噛んで、声を出すのは我慢しなさい」
「はい」
 素直に開かれた青治の口に、夏至は丸めたハンカチを押し込める。小さな口からはみ出したハンカチに、それだけでも、酷く嗜虐心を煽られた。
 そうしてから、青治の身体をベッドの上ではなく、あえて床上へと横たえる。両足首を掴みあげて見下ろせば、既に潤んだ瞳が期待の熱を孕んで見詰め返した。やはり行為への興奮なのかと思うと、笑ってしまいそうになるのを堪えるのが、いささか大変だった。まさか青治に、こんな素質があるとは思っていなかった。
「いい? するよ?」
 それでもまだ、優しい家庭教師の仮面を被ったまま、問い掛ける。ただし、頷くのを待って、股間を踏みにじる足に、容赦はしなかった。
「んんーっ……!!」
 ハンカチに吸われ、くぐもった悲鳴。
 ハンカチを吐き出したらその時点で終了するつもりだったが、青治はギュッとそれを噛み締め耐えている。痛みに身悶え、嫌々と首を振るのに合わせて、溢れた涙が散る姿が愛おしいと思った。
 もっとずっと眺めていたい気持ちを押さえ込んで開放した後は、グッタリと身体の力を抜いた青治の脇へと膝を付き、その身体をゆっくりと起こし、口からはハンカチを抜き取ってやる。
「大丈夫?」
 そう言って覗き込んだ、涙で濡れた瞳の中、興奮は去っていなかった。期待通りの反応に、嬉しさがこみあげる。
「痛かっただろう?」
 返事を待たずに、股間に手を伸ばしてそっと撫でてやった。確かめるように握りこんだ小さな膨らみは、硬く手の平を押し返す。
「痛いのに、感じてた?」
 さすがに恥ずかしいのか、赤くした顔を逸らそうとする。その顎を捕まえて、顔をジッと覗き込んだ。
「正直に言えたら、もっと手伝ってあげるよ」
「えっ……」
「こんな状態だったら、イきたいだろう?」
 再度、足で踏まれて感じたのかと問えば、困ったように頷いてみせる。
「本当は、最初から、こうなることがわかってて、誘ったの? それとも本当に、試してみたかっただけ?」
「それはっ、本当に、こんなになるなんて思わなくてっ」
 誘ったのならお仕置と言いたいところだったが、無自覚だったと言うのなら、それはそれでも構わない。
「ずいぶんいやらしい身体をしてるね、青治は。踏まれて痛い思いをしたのに、それでもここはこんなに硬くなってる」
「あ、あっ、ごめんなさい。先生、ダメっ、触らないでっ」
 少し強めに揉み込んでやれば、小さな悲鳴が甘く響いた。
「どうして? 痛いのが気持ちいいんだろう? ちゃんと、もっと手伝ってあげるよ?」
「でもっ」
「それならどうして欲しい? 青治が自分でするのを見ていてあげようか? それとも、もう一度、足で踏んであげようか?」
 見詰める顔に浮かぶ期待の色に、夏至はうっすらと笑みを浮かべた。
「足でイかせて欲しいなら、今度は下着も全部脱ぎなさい。下着が汚れたら困るだろう? 先生も靴下を脱いで、今度は直接、踏んであげるよ」
 逡巡はそう長くは掛からず、青治はズボンのボタンに自ら手を伸ばす。ズボンと下着とを脱ぎ捨てた青治の口に、再度ハンカチを押し込んだ夏至は、ハンカチを咥えるその口にそっと口付けた。
「さっきよりずっとイヤラシイ格好だよ、青治。可愛くて、うんと泣かせてあげたくなる」
 驚きに目を見張る青治に、いままで見せた事のない笑顔を湛えながら、先ほどと同じように両足首を掴んで持ち上げる。剥きだしの股間の中心では、小さな性器がそれでも頭をもたげながら、刺激を待ちわび震えていた。
 もちろん、簡単にイかせてやるつもりなどなかったが、達してしまわない程度に、まずはゆっくりと足の裏で捏ね回してやる。
「んーっ、んっ、んっ……」
 身体を震わせ、夏至の与える快楽に素直に身悶える青治を見ながら、この子供の持つマゾヒストとしての素質を、自らの手で開花させてやりたいと思った。

 
 
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電ア少年 従兄弟の場合

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 高校受験を控えた中学3年の夏休み。朝から塾の夏期講習に参加した美里は、帰宅後、一休みとばかりに自室のベッドに転がった。
 どれくらいの時間眠っていたのだろう?
 ベッドのスプリングが軋む振動に続いて足に触れる人肌。
「……ん、何?」
 未だ半分以上眠りの国に身を任せたまま、美里はもっと寝かせておいて欲しいという気持ちを込めつつ、ボソボソと問い掛ける。相手は母親だと思い込んでいた。
「夕飯なら後で食うから」
 そう告げて、身をよじり壁に向かおうとする美里の足は、思いがけず強い力で持ち上げられた。予想外の行為にムリヤリ意識を浮上させられ、不機嫌そうに瞼を上げた美里の目に映ったのは、勝ち気に笑う少年だった。
「雅善!?」
「くらえっ、電気アンマ!!」
 驚き問い掛けた美里の言葉と少年の発した声が重なり、次には股間に激しい振動が送られてくる。寝起きの頭と身体には強すぎる刺激だった。
「ぐあぁっ……」
 美里はベッドの上で悶絶する。
 時間にして多分数十秒。足はあっさりと下ろされた。
「どうや、まいったか!」
 勝ち誇ったように告げた少年は、疲れたと言わんばかりに足を抱えていた両腕を振っている。それを目の端に捕らえながら、尚暫くの間ベッドの上で荒く息を吐いていた美里は、何故目の前に遠方に住んでるはずの従兄弟がいるのかを思い出していた。
 西方雅善という名の少年は、関西へと嫁いだ母の妹の息子で、美里より5歳年下の小学5年生だ。
 元々仲の良い姉妹で、どうやら一緒に出掛けたいらしく、夏休み中に1日子守をしてくれと頼まれたのを覚えている。
 すっかり忘れていた。
「俺が子守のバイトするのは、明日のハズだろ……」
 ぼやきながら上半身を起こせば、雅善は不思議そうに首を傾げる。
「何の話や?」
「いや、なんでもない」
 そうだ。前日から我が家に泊まって、明日は朝から出掛けると言っていた。明日は一日、この雅善のお守りをするのかと思うと、今から溜息が出そうだった。
「なーなー。それより、どうやった?」
「どうって、何が?」
「電気アンマ。結構効いたやろ?」
 クラスで流行ってる遊びなんだと笑う雅善に、そういや昔、同じように流行った事があったなと思う。あれは小学校に入ってすぐくらいだったろうか。地域差なのかリバイバルブームなのか、随分時差があるなと思いながら、美里はニヤリと笑い返した。
「たいした事ないな」
「嘘吐け。ぐわぁ~とか叫んどったやないか」
「寝起きだったからさ」
「そんなん強がりやん」
 もう一回思い知らせてやると膝に掛かった手を、美里はやんわり捕まえる。
「待てよ。今度は俺の番だろ?」
「え?」
「やられたらやり返す。こういうのはそうやって遊ぶのがルールじゃないのか?」
 少なくとも、自分のクラスではそうだった。
 掴んだ手を勢い良く引けば、バランスを崩して倒れこんでくる小さな身体。軽々と受け止めてベッドの上に転がすと、すばやく立ち上がって体勢を整えた。
「わっ、ちょっ、待っ」
「待たない」
「うぁっ、あっ、ああああーっはっはっは、や、やめっ!」
 さすがに子供相手にパワー全開はまずいかと、力を加減したせいだろうか。雅善は半ば笑いながら、悶えている。
 自由になる上半身をバタつかせて逃げようとするが、美里はがっしりと捕まえた両足を放すことはない。体格差は充分で、雅善の足の重みなどほとんど気にならなかった。数十秒で美里の足を放った雅善との差はここにある。
「ほらほら、参ったなら参ったって言えよ?」
「だ、誰がっ、あっ、ははっああんっ、んっ」
 負けず嫌いな所があるのか、それとも笑っているくらいだからやはり力加減が甘いのか。
「仕方ないな。んじゃ、レベルアップ」
 言いながら、美里は足に込める力を少しばかり強くした。
「うあぁ、ああああああ!!」
 ギュッとのけぞる身体に、しまったなと思う。やはり力を入れすぎたかも知れない。
「おい、大丈夫か?」
 慌てて開放すると、美里は膝をつき、暴れた興奮からか紅潮している雅善の顔を覗きこんだ。潤んだ目を隠すようにそっぽを向いてしまった雅善は、キュッと唇を結んで頑に美里のことを拒んでいるようだった。
「ホント、悪かったよ」
 仕掛けてきたのはお前だろう、とか。これでも手加減してたんだ、とか。言いたいことは山ほどあったが、美里は謝罪の言葉だけを告げて、困ったように目の前の小さな頭をそっと撫でる。
「ぁっ……」
 ピクリと震える身体と、小さく零れる吐息。雅善は耳まで真っ赤に染めて、モジモジと膝をすり合わせている。
「お、前……」
 もしかして、感じてた、とか?
 言葉に出せず躊躇う美里の気配に、雅善も気付かれた事を悟ったのだろう。
「ヨシノリのアホ! カス! イケズ!」
 どけと言わんばかりに突っぱねられた腕を取り、それを片手でまとめて拘束すると、美里は確かめるようにそっと、雅善の股間にもう片方の手の平を当てた。軽く揉み込むようにしてみても、その手を押し返す弾力はない。
「やっ……!」
 急に大人しくなって、雅善は緊張で身体を固めている。
「イっちゃった、とか?」
 やはり困惑気味に問い掛けた美里に返されたのは、大きな瞳から零れ落ちる涙だった。両腕を拘束されて拭くことのできない涙が、次から次へと溢れては流れ落ちていく。
「うー……っ」
 雅善は悔しそうに唇を噛み締めていた。
 酷く申し訳ない気持ちになって、美里は雅善の身体を引き起こすとそっと抱きしめ、宥めるようにその背を軽く叩いてやる。
「ゴメン、本当に悪かった。母さん達にはバレないように、ちゃんと始末してやるから。だから泣くなよ、な」
「ど、やって……?」
「あー……」
 部屋の中に視線を巡らせた美里は、先ほど塾から持ち帰り、机の上に置いていたペットボトルに目を止める。
「うん、大丈夫。ちょっといいか?」
 雅善をベッドへ置いて立ち上がった美里は、ペットボトルを取ってくると、雅善の視線の高さにそれを掲げて見せた。レモンティーのラベルがついたそのペットボトルの中には、数センチ分の飲み残しが入っている。
 雅善が不安げに見守る中、その蓋を開けた美里は、一瞬の躊躇いも見せずに雅善へ向かってそのボトルを傾けた。琥珀の液体を胸のあたりから被った雅善は、驚きに言葉をなくして、ただただ美里を見つめている。
「よし、じゃあ、行くか」
 ニコリと笑った美里は、雅善の手に空になったペットボトルを握らせると、ヒョイとその身体を抱き上げた。
「ど、どこへ!?」
「風呂場。汚れた服も、洗わないとな」
 俺達はふざけてて、置いてたペットボトルを倒したんだ。
 美里の告げた理由に、雅善は至極真面目な表情でわかったと呟き頷いてみせる。それを目の端に捕らえながら、明日もこれくらいしおらしくしててくれればいいなと思った。

 
 
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