兄は疲れ切っている13

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 兄のフェラに意識を集中するために目を閉じる。拙い舌使いが直接快感を呼ぶことは少ないし、たまに歯が当たるとヒヤリとするけれど、そのぎこちなさも歯を当ててしまって慌てる様子も、間違いなく興奮を呼ぶ。
 あの兄が、自分から積極的に触れてくれると言うだけで嬉しいのに、慣れないながらも一生懸命にこちらをイカせようとしているのだ。しかも口を使って。
 正直、信じられない気持ちも強い。兄が口を開いて飲み込むさまを見てさえ、そう思ってしまう。
「んっ……ふぁ……」
 ぴちゃぴちゃと濡れた音も、それに混じって聞こえる息遣いにも、興奮が加速する。腰を突き上げて、その喉奥を突き荒らしたい衝動をこらえるのが大変だった。
 こちらの吐き出す呼気もだんだんと荒くなっていく。
「んっ、んっ、んぅ、んんっ」
 それに応じるように、兄が頭を上下させる速度を上げる。ペニスに添えられた舌と、パクリと食んだ唇とでぐちゅぐちゅに幹を扱かれる。
「ん、うぐ……ぅっ、ふ……」
「は、それっ」
 喉奥に先端が触れたらしく、思わず気持ちがいいと喘いでしまえば、深くまで飲み込んでくれる回数も増えていく。同時に苦しげな息遣いも増えてしまったが、さすがに構っていられなかった。頭を押さえつけて腰を振らないだけでも、充分に兄を気遣っているつもりでいた。
「あ、イク。も、出る」
 口を離していいというつもりで伝えた言葉に、けれど兄は真逆の行動をとる。つまりは、グッと頭を下げて喉奥に迎え入れた。
「ぐぅっっぅえっ、んぅう」
「ちょ、ばかっ、出るって」
 えづくように震えた喉に締め付けられるのは、間違いなく気持ちが良かった。しかし同時に血の気が失せる。さすがに兄の口中で果てるつもりはなかったのに。しかも間違いなく兄はそれらを飲み下している。
 兄のを口でしてやったことはあるけれど、前戯の一部でしかなかったから、口の中で出されては居ないし、当然飲んでやったこともない。もし口の中に出されたとして、それを飲んでやれるかは微妙だった。
「……けほっ」
 股間から兄の頭がどいて、苦しげな咳が小さく響く。
「んぅ……んんっ、ぐ、……んくっ」
 くぐもった苦しげな呻きに、射精後のダルさを振り払うように上体を起こした。兄は深く俯き、口元を手で覆っている。口の中で吐き出され、それを飲み下した気持ち悪さに、必死で耐えているように見えた。
「あーもー、何やってんだあんた」
 思わず、無理して飲んでくれなくていいのにとぼやけば、苦しげな呻き混じりにゴメンと呟かれて何やってんだは自分の方だなと思う。頑張って飲んでくれたんだろうに、それを責めてどうする。
「あ、いや、謝ることじゃないっつうか、あー……その、嬉しかった、よ」
 気持ちよかったありがとう、と続ければ、兄が僅かに頭を上げてこちらを伺う。多分、本心からの言葉かを確かめたかったんだろうけれど、見えてしまった兄の顔に驚いたなんてもんじゃない。
「ちょっ……」
 息を呑んで見つめてしまえば、しまったとでも言いたげに、また深く俯いてしまう。
 すぐさま兄との距離を詰めて、うつむく頭を両手でがしりと挟みこんだ。嫌がるように頭を降ろうとするのを力任せに上向かせて、その顔を覗き込む。
 真っ赤に腫れた目には今も涙がたまっていて、頬には幾筋も涙が流れたあとがある。いつから泣いていたのかはわからなくても、結構長いこと泣いていたことはわかる。
 なんで、と思う気持ちは、苛立ちだった。

続きました→

 
 
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