エイプリルフールの攻防・エンド直後11

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「おまっ、も、ほんと」
「あああっっ」
 ぐぐっと押し込む圧が増えて、とうとう、ぬぽっと一番大きな部分が通ったのがわかる。しかしホッとする間もなく、そのままローションの滑りを借りてグッグッと奥にまで入り込んでくる。
「ぅあっっ……ぁ、……あ……っく、……ぅ、……」
 強い痛みは感じないけれど、圧迫感はどうしようもない。指では届かなかったその先まで押し込まれると、さすがに少し恐怖した。どこまで入ってくるんだ、これ。
「ぁ、あっ、すごっ。ふか、ぃっ」
 怖いとは言えなくて、言っちゃいけない気がして、でも声はちょっと震えてた気がするし、半泣きだった気もする。
「だぁから、煽んなっ、てぇ」
「んぁあっっ」
 今回のは意図的に煽ったわけじゃないけど、どうやら相手は煽られてしまったらしい。グンッと勢いよく突き込まれて、悲鳴に似た声を上げてしまったし、目尻からは涙が落ちていった。
 それが呼び水となってしまったのか、次々涙が溢れてくる。苦しさはあるけど痛みはないし、悲しいわけじゃないはずなんだけど。
「ちょっ、えっ、どっか痛くしたか?」
 慌てる相手の声が聞こえて、滲む視界の中、相手の顔が寄せられる。
「い、痛く、ないっ、けど」
「けど?」
「お腹、なか、熱くて、お前が俺ん中、いる」
 言ったらお腹の中の相手の存在を、より実感した気がする。
「俺いま、お前と、セックス、してる」
 これもだ。はっきり言葉にすると、実感が増す。
「そうだな。お前がいっぱい準備してくれたから、初めて同士なのに、ちゃんと繋がれたな」
 お前のおかげ。ありがとう。って言われながら、ちゅっちゅと涙の滲む目元に交互に唇が落ちた。
 胸の奥から溢れてくる好きを口に出したら、すぐに、俺も好き、って返ってくるのが嬉しい。
 嬉しくて、ホッとして、なのになんだか余計に泣けてくるから困る。
「ご、ごめっ。ホント、痛いとか、悲しいとか、ってわけじゃない、から」
「いいよ。両想いセックスに感極まって泣かれてんのかと思ったら、嬉しい以外ないだろ。それに焦って肝が冷えたから、三こすり半の即イキも回避できたしな」
 どこまで本気かわからないけど、バキバキに興奮してたペニスを見ているので、あながち嘘ではないのかも知れない。
「ふはっ、お前に即イキされたら、満足できなかったからまたしたい、ってすぐ言いそうだもんな」
 笑ったら、相手が安堵するのがわかったから、やっぱり冗談だったのかもだけど。
「俺としては、気持ちよくて最高に幸せだったからまたしたい、って言わせたいけどな」
「それは、俺も、言わせたい」
「既にもう、好きだ、好きだ、可愛い、愛しい。って気持ちが、胸ん中に溢れて、最高に幸せだし、お前の中、めちゃくちゃ気持ちぃよ。これから先もずっと、お前が嫌がらない限り、何度だってお前を抱きたいって思うよ」
 熱烈な告白にまた少し笑ってしまう。
「お前の言う、ずっと、は重みがすごいよな」
「だろ。だから信じていいぞ」
「うん。嬉しい」
「これに嬉しいって返ってくるのが、もうホント、俺的には奇跡っていうか、そういうお前がたまらなく好きだし、お前のことしつこく好きで、諦めなくて、良かったって思うよ」
 心の底から、なんて付け加えてくるから、やっぱりまた笑いがこみ上げてくる。大げさって思う気持ちと、そこまで想われているという嬉しさや安堵があるからなんだろう。
「涙、止まったな」
「うん」
「体はどうだ? 動いても平気そう?」
「多分、だいじょぶ。けど」
「けど?」
「えと、指が届かない奥の方は、その、ちょっと怖い、かも」
「わかった」
「あと、いっぱい」
「好きっていうよ。何度だって言う」
 更に、可愛いも言うし愛しいも言うと宣言されて、うへへと笑ってしまう。頬が緩んでしまう。

続きます

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後10

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「おかげで痛いくらいだわ」
 こちらの視線が相手の股間に向かっていることに気付いたらしく、おかしそうに笑いながら、薄いゴムを被せた完全勃起ペニスを見せつけてくる。ローションを纏ってテラテラと光るそれは、なんとも卑猥だった。
 さっき一度この手で、握って扱いて射精までさせたのに。でもあれは、同時に自分も相手の手でされていたから、必死だったし、手の中のそれをじっくり見れたわけじゃない。
 今、目の前に突きつけられているペニスは、紛れもない凶器に見えた。
 ガッチリと張り詰め大きく反り勃つそれは、薄い膜越しにでもはっきりと、亀頭を大きく膨らませてあちこち筋を浮かせているのがわかる。まるで、早く気持ちよくなれる穴に入って、快楽を貪りたがっているみたいだった。
 アダルトな動画の中でガツガツと腰を振る男優が脳裏にチラついて、今から自分がされる側になることを意識してしまう。想像してしまう。
 気持ちよく、なれるだろうか。多少の痛みや苦しさは覚悟してるけど、あんまり激しいのはやっぱり怖い。でもお尻もかなり感じるようになったみたいだから、意外と気持ちよくなれてしまうのかもしれない。
 期待と緊張に、ゴクリと喉が鳴った。
「それってどんな感情?」
「えっ?」
「お前に煽られてバキバキになってんの見て、嬉しくて仕方ないって顔には見えないんだよな。けど、バキバキちんこにビビりまくってる、って感じでもないなと」
 怖くない? と聞かれて、首を縦に振った。
「怖くはないけど、緊張は、してる」
「みたいだな」
 深呼吸でもするか? と言われながら、とうとう相手の手が腿裏を支えるように触れる。
 こちらの緊張を探るみたいにジッと見られると、ますます緊張してしまうのに。逃げたくて、でも、相手から視線をそらせない。
「呼吸」
「えっ?」
「ちょっとマジに深呼吸、してみて」
「う、うん」
 促されて深呼吸を始めてみたけど、そう簡単に緊張が解れる感じはなかった。どころか、やっぱりますます緊張する気がする。というか、焦る。
「焦んなくていいから。っつか本当に怖いわけじゃないんだよな?」
 全く欠片も怖くないかと言えば、そりゃ怖い気持ちもあるけど。でもそんな凶悪なペニスでお腹の中を突かれて気持ちよくなれちゃう可能性、ってのに期待してるのも事実で、好きになった相手と体を繋げるセックスを、早く実感したい気持ちもホント。
「あ……」
 ガッツイてるのはどう考えたってこっちの方、という認識だったのに、イヤラシく張り詰めた勃起ペニスを前にして初めて、相手の欲の大きさを突きつけられた気がして狼狽えてしまっただけだ。多分。
 あんなに早く早くと思っていたくせに、その気持ちを忘れていた。
「どうした」
「あの、さ、好き、だよ」
「俺も好きだ」
 即答されて、ホッと体から力が抜けた気がする。良かった。
「好きだ。ずっと、好きだった」
 相手も気付いたらしく、更に2回も好きだと繰り返してくるから、思わず笑ってしまった。笑うともっと、緊張が解けていく。
「好きって言われて緊張解けるとか、お前才能ありすぎだろ」
「なにそれ」
「可愛すぎてめちゃくちゃ煽られるって話。つか大丈夫そうか?」
「うん。もう大丈夫。多分。待たせてごめん。てか待ってくれてありがとう」
 最後に、早くお前と繋がりたいから早く頂戴、と言いながら、両手を相手に向かってのばす。
 まぁ、煽った自覚はある。
 グゥと喉の奥を鳴らしながらも前傾してくれた相手の肩を掴みながら、クスクスと小さく笑い続けてしまえば、相手はわざとらしくため息を吐き出した。
「俺、お前のそういうとこも結構好きなんだよな。思い切りが良いっつうか、とりあえずやってみてから考えるみたいなとことか。あと、的確に俺を煽れるとこもだな。悔しいことに」
「褒められてる気がしないんだけど」
「だって悔しいからな。さっきといい、今といい、お前がエッチに誘ってくるの、全く抗えなかったし、なのに俺がまんまと煽られてんのをお前が、ホッとしたり喜んだりしてんの、めちゃくちゃ可愛いし、たまんないんだっつうの」
「あれ? やっぱ褒められてるかも?」
「どっちかって言うと、お前のことがめちゃくちゃ好きだって言ってる」
「ははっ、確かぁっ……」
 アナルにぴとっと押し当てられた質量に、とうとう来た、と思ってしまって、さすがに呑気に笑い続けてはいられない。
「出来ればそのまま笑ってて」
「む、むりだ、ってぇえっ、ぁあっはいって、る」
 ぐっと押し広げられたアナルに、ミチミチと押し入ってこようとする質量に、先程見た亀頭を思い出してしまう。3本にまとめた指がずっぽり入るくらい広げたはずの穴だけど、それでもやっぱりけっこうキツい。
 張り出した傘の一番太さのある部分が、多分、指3本以上なせいだろうから、そこさえ抜ければ後は楽になる。はず。
「痛い?」
「ん、だいじょぶ、そ、けどぉ」
「けど?」
「やっぱ、お、おっきぃな、って」
「おまっ」
 わざとか! と怒るみたいに言われたから、わざとに決まってんだろ! とやけくそ気味に怒鳴り返した。怒鳴るってほどでかい声も勢いのある声も出なかったけど。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後9

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「あのさ、俺、お前にお尻弄られて、自分で慣らしてたときより確実に感じるようになっちゃったんだけど」
「お、おう」
「お前、俺と付き合う気、あるの?」
「へ? えっ??」
 感じるようになったって話から、付き合う気があるかどうかの問いに繋がりがわからないらしく、相手は明らかに混乱した顔をしている。
「俺達実は両想いだったわけだけど、今後どうなる予定?」
「どうなる、って……え、待て待て、えっ、あー……」
 あわあわと焦りながらも思考は進んでいるようで、恋人になろうだとか付き合おうだとかの話がないまま、お詫びセックスに突入している事実に相手もどうやら気付いたらしい。
「気付いた?」
「まぁ、確かに今後の話はしてなかったな。けど!」
「けど?」
「お前が俺を好きになってくれたのに、恋人にならない未来なんて、こっちは一切考えてなかった」
「そ、そっか」
 言い切られてホッと安堵の息を吐く。
「で、お前は?」
「正直、さっきまでそういうの全く考えてなかった。お前とホントの両想いエッチできる、ってのしか頭になかったっていうか」
「お前、ほんっと、どれだけ……」
 どんだけ抱かれたいんだよ、という指摘は飲み込んでくれたらしい。
 ニヤけそうになるのを堪えてるってわかるから、言われても肯定するだけなんだけど。どころか、言われなくても肯定しちゃうんだけど。
「お前に抱かれたくてがっついてる自覚はあるよ。でもこっちの一番の目的って、お前と嘘の好きをやり取りするの止めることだったっていうか、お前との関係をきっちり切ろうと思って体準備してたわけだからさ。実は両想いだったってわかっても、じゃあこれからどうする、なんてとこまで頭回らないって」
「そういやそうか」
 昨日、エイプリルフールとして押しかけてきた最初に交わした会話を、相手も思い出しているだろうか。
「でも考えてなかっただけで、予定通り、最後にいちど優しく抱かれて終わり、とまでは思ってない。ってことでいいか?」
「うん」
「じゃあ今すぐ俺と付き合ってくれ」
「えっ、今?」
「そう。今すぐ。お前の初めて、ちゃんと恋人って立場で欲しいから。それに、もしお前が今日はここまでって言っても、初めてはいつか絶対俺のものになる、と思えば、まぁ」
「じゃあ、今すぐ恋人になるし、俺の初めてもこのまま貰ってよ」
「いいのか?」
「いいよ。このまま抱かれるかはお前の返答次第でって言ったろ。お前に恋人になる気がないなら、これ以上お尻で気持ちよくなるの嫌だなって思っただけだから」
 次がないのに抱かれる快感なんて知りたくないよと言えば、なるほど、と返ってきたので、理解はしてくれたらしい。
「なら、早くまたしたいって思って貰えるくらい、お前を気持ちよく出来るよう頑張るわ」
「それは楽しみなような怖いような」
「てか疲れたし2回もイッたからもういい、とかは本当にないのか?」
「疲れてるしそこそこスッキリはしちゃってるけど、でも早く、お前とつながってみたいよ」
 こちらは疲れて横になったままだったし、来て、と言いながら両膝を立てて開いて見せる。だけでなく、散々弄られグチュグチュに濡れている穴を晒すように、膝を抱えて腰を突き出した。
「ちょっ、おまっ」
「は、恥ずかしいんだから早くしろっ」
 がっついてる自覚はあるが羞恥心はそれなりに持ち合わせているので、こんな格好で相手を誘うのが恥ずかしくないわけがない。
「言われなくても。つかなんのサービスだよ」
「だってここで終わりって思わせたから、お前ちょっと萎えたろ」
 尻穴を弄られている間も、この会話の間も、常にとは言わないがそこそこの頻度で相手のペニスの状態を確認していた。
 お前も脱げと、相手を全裸にしていたのは正解だった。だって興奮状態がわかりやすい。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後8

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 自分でするのと人にされるのはやっぱり全然違う。端的に言うなら、想定以上に気持ちが良くなれている。
 単純に相手が上手いのかも知れないし、好きな相手からの前戯という、精神的なものが大きく影響しているのかも知れない。
 慣らしていたのは事実だけれど、流血大惨事の回避や相手が萎えるのを避けたくて行っていただけで、正直、戸惑いも凄かった。でもそんなこちらの戸惑いが、相手にとっては嬉しいらしい。
 さっき、初めてが貰えなかったとかなんとか言ってたから、初めての気持ちよさにアタフタする姿が見れて嬉しい的なやつなんだろう。多分。
 相手の気持ちを知らなかったら、みっともない姿を見て笑われてると思って、反発する気持ちが膨らんだと思う。でも相手の言う可愛いも好きだも信じられる今なら、単純に嬉しいのだということも、素直に信じられそうだった。
 さっさと先へ進んで早く体を繋げてみたい気持ちももちろんあるけど、思いの外感じまくっている戸惑いや羞恥もあるけど。楽しそうに、嬉しそうに、愛しそうに、触れてくれる相手の手を拒みたくはない。
 その結果、相手が満足した様子で手を引く頃には、けっこうクタクタに疲れていた。
 本番、これからだってのに。
「なんかもうかなり疲れたんだけど……」
「あんだけ喘いで2回もイッたら、まぁ、そうだろうな」
「てかなんで俺、2回もイカされてんの」
 イッたら冷静になってお尻弄られるのキツくなるだろ、みたいに言われて、イクのお預け食らった記憶があるんだけど。
「ちんこ一緒に弄りながら解すのが良さそう。ってのが思った以上に効果的だったから。と、前立腺弄られて気持ちよさそうにしてんの、めちゃくちゃ可愛かったから」
 最初あんまり感じて無さそうだったけど、感じるようになれて良かったな。と満足げに笑われたけれど、果たしてそれは喜んで良いところなんだろうか。
 知識としては自分だって持ってたけど、自分で弄ってたときは正直場所すらよくわからなかったし、そっちの才能というか抱かれる素質はあまりなさそうだなと思っていた。でもそれで良かったと言うか、そんなところで快感を得て、新たな扉を開きたくはなかった。
 だって最初で最後の抱かれるセックスになるはずだったから。
 そう思ったら、次ってあるのかな、というのが気になってしまった。悪い事したと思ってるなら優しく抱いて、とお願いしたからこうなってるだけで、そういや恋人になりたいだとか付き合おうとか、どちらも口に出してない。
 ジッと相手を見つめてしまえば、相手からもスッと笑顔が消えていく。
「やっぱ出すと冷静になるよな。で、2回もイッて、スッキリしたし疲れたから、ここまでにして。とか言い出す感じか?」
「イッてスッキリしたからが理由じゃないけど、お前の返答次第では、ここまでにしてって言いそうかも知れない」
 正直に伝えれば、相手は盛大にため息を吐き出した。それから何かを言いかけて、でもぱっと口元を覆うと俯いてしまう。
 多分、ここまで来てやめたいってどういうことだよって、めちゃくちゃ詰りたいんだろうと思う。それを言わずに耐えるのは、これがお詫びのセックスだからなんだろうか。
 だったら悲しいな、と思うのを止められない。好きだから、せっかくの両想いを壊したくないから。そう思って耐えてくれてるんだったら、良いんだけど。
「あのさ、」
「悪い。ちょっと待って」
 そう言われてしまったら、こちらも黙って待つしかない。
 最後の部分が強く印象に残って、お前の返答次第でって言った部分が多分頭から抜けてるし、もう止めたいと思ってるわけじゃない事も、出来ればこのまま抱かれたいって思ってることも、きっと気付いて無いはずだから、出来れば早く伝えたいんだけど。
 しばらく待たされて、再度深めのため息が聞こえた後、ようやく相手が顔を上げる。
「で、理由って、聞いていいのか」
「ほらね」
「なんだそれ」
「俺別に、止めたいって言ってないんだけど」
「はぁ!? ぇえっ??」
 言えば相手は思ったとおり、随分と盛大に驚いてくれた。
「いやいやいや、言ったろ。ここまでにしてって言いそうかも、って」
「その前に、お前の返答次第でって言ってるけど、そこ、やっぱ聞こえてなかった?」
「聞いてな……くは、ない、な」
 どうやら記憶に残ってはいるらしい。そこをすっ飛ばして、ここまでにって言われた部分にだけ反応していたことに、ようやく気付いたようだ。
「あー……早とちりであんな態度とって、悪かった。で、俺に聞きたいことって?」
 すんなり謝ってくれたから、ほんのり胸の奥が温かい。さっき素直に謝ってくれるのは進歩だと言ったときに、せっかく両想いになれたから謝らないせいで拗れたくない、みたいに言ってくれたことを忘れてなんか居なかった。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後7

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「抵抗なんかあるわけ無いだろ。だってお前と繋がるための穴だぞ。それに、これからお前の穴弄るってだけでこんなに興奮してんだから、安心して弄られてくれ」
「お前が萎えてないのって、そういうぁふぅっ」
 とうとう指先が窪みを突いて、途中で言葉は途切れてしまう。
「ぁ、……ふ……」
 漏れ出たローションのぬめりを確かめるみたいに指先で穴をくるくると擦られて、ゾワゾワとした擽ったいような気持ちよさに、身を縮めそうになるのを耐えた。なにこれ。自分で触れるのとは全然違う。
「マジでぬるぬるだし、指くらいならスルッと入りそうではあるけど……なぁ、大丈夫か?」
「ぞ、ぞわぞわ凄くて」
「それ感じるって言ってんの?」
 気持ちいい? って聞かれながら今度は歳ほどよりも少し強めに、穴をクニクニと指先に抉らる。
「ぁあっ、やだぁっ」
「あ、悪い」
 思わず口をついて出てしまった「やだ」に反応して、相手がすぐに動きを止めてしまうから慌ててしまう。
「ち、ちがっ、ごめっ、だってなんか、自分でするのと全然違くて」
「ああ、びっくりさせた?」
「そ、そう。あの、だから、本当にやだったわけじゃない、から」
「そ、っか。あー……なるほど、そうか」
「え? えっ?」
 続けていいよ、むしろ早く続けて、って意味で嫌だったわけじゃないって言ったつもりだったのに、相手は一人で何かを納得していて意味がわからない。
「なんかちょっと、安心したわ」
「え、なに、突然」
「一人で慣らして広げたとか言ってても、初めてには違いないんだなぁ、みたいな」
「そ、そんなの当たり前、ってか、それがなんで安心?」
「一応俺も知識はそれなりに詰め込んだけど、誰かとこういうことすんの初めてだから」
「あ、お前も初めて……」
「そりゃお前にこんだけ執着してる自覚あって、他の誰かと、なんて無理に決まってる」
「そ、そか。えと、それは嬉しい、な」
 相手の恋愛経験とか交際経験とか、そういや考えたことがなかった。高校卒業までに相手に恋人らしき影がなかったのは当然知っているし、大学入学後だって、恋人がいるのに毎年律儀にこんなことを繰り返してると思ってなかったのもある。
 でも相手も初めてだってはっきり言われたら、確かに安心するし、自分だけをずっと想い続けてくれたというのはやっぱり嬉しい。自分とはいがみ合ったり反発したりが多かっただけで、相手にだって友人はたくさんいたし、全くモテなかったわけでもないのも知ってるのだから、余計にそう思ってしまうのだと思う。
「嬉しいって思ってくれんのか」
「え、嬉しいよ。ずっと俺だけ好きだったって熱烈な告白、今日何回目だろ」
「ふっ、お前のそういとこ、ほんと、好き」
「そういうとこ?」
 どういうとこが好き、みたいなのも今日は何度も聞かされているけれど、今回のはイマイチ何を指して言ったのかわからず思わず聞き返した。
「俺が童貞なのを、熱烈な告白とか言っちゃうとこ」
「あ、え、童貞気にしてた? え、でも、俺も童貞だし」
 お前はもうすぐ卒業できるだろ、とは続けられなかった。自分が相手の童貞を貰って卒業させるんだってことを、意識してしまったせいだ。
「そうだな。童貞だからお前に良い思いさせてやれなかったらどうしよう、とは思ってたよ。でもお前に自分で弄って広げたとか言われて、安心するより、初めて貰えなかったって気持ちのが実はでかくて」
 だからお前の反応ウブすぎて安心、ってよりはすげぇ嬉しい。なんて言われながら、止まっていた指先がまた動き出す。
「んんっ……んっ……ぁ……」
 軽く穴の周りを撫でた後、また少し強めに抉られて、でも今度は「やだ」とは言わずに済んだ。しかもしばらくそれを続けられて慣れてくると、だんだんお腹の奥がキュンと疼くような焦れったさが湧いてくる。
「ふっ、ふぅ……ねぇ、」
 早く挿れてよとねだるのも、それはそれでなんだか恥ずかしくて、でも焦れったいのは事実で、早く先に進んで欲しい。そんな気持ちで、躊躇いながらも呼びかけた「ねぇ」に、相手はどうやら気づいてくれたらしい。
「そろそろ指、挿れるぞ」
「う、うん、ぁっ、あふっ、ぁああ」
 ぬるると入り込んでくる指は、間違いなく気持ちが良かった。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後6

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「あと可愛いのもホントだって」
 宥めるみたいに囁かれて、頬の肉をきゅっと引き締めた。だってこれでまたへらっと笑ってしまったら、またチョロいって言われるんだろうなと思って。
「変な顔」
「うっさい。てかホントお前は言葉を選べ」
 そういうとこだぞと思うのは、相手のそういう無粋な指摘にカチンときて、拗れた過去が何度もあるからだ。
「だって、チョロすぎて不安になるとは言ったけど、だからって素直に笑ってくれないのもそれはそれで癪だなって思って」
「わがまま〜」
「そうだな。今のは完全に八つ当たりだった。てか悪い。またいつもの癖出た」
「まぁお前がすぐ謝ってくれるのは、かなりの進歩って気はしてる」
 それに、悪い癖って認識してるなら、直してくれる気もあるのかもだし。
「お前が俺を好きって言ってくれたから、気持ちにかなり余裕が出来た気はしてる。せっかく両想いになれたのに、またお前怒らせて拗れるの絶対嫌だって思うしな。あと実は、変な顔もまぁまぁ可愛かった」
「は?」
「変な顔そのものは可愛かったよ」
「だったら癪だなんて言うなよ」
 平然と繰り返すから、何を言ってるんだこいつはと思ってしまうのは仕方がないと思う。今度はこちらが盛大に呆れた声を出してしまった。
「それはだな、俺がチョロすぎて不安って言ったせいで素直に笑えなくなった、って事実に腹が立つんだよ。つまり、あの苛立ちはお前に向かってんじゃなくて自分に向かってる」
 八つ当たりってのはそういう意味だと言われて、なるほど、とは思ってしまったけど。
「お前がもうちょっとそういうとこ素直だったら、こんな無駄な回り道しなかったかもって思うと、ホント惜しいよな」
「素直っていうか、変な八つ当たりしないように心がけてた時期もなくはない」
「あー……お前と比較的穏やかな距離保ててた時期な」
「でも結局それ以上には近づけなかったし、今更友だちになれるって感じでもなかったし、そもそも友達になりたかったわけでもないしな。だから俺には必要な回り道だったけど、でもお前を苦しめたいわけじゃなかったのもホント」
 てわけで、めいっぱい優しくするから尻穴弄っていい? なんてことを真顔で続けられて、そういやセックス真っ最中なんだったと思い出す。いやまぁ、意識的に相手の手元から視線をそらして、セックス中って事実を極力頭から追い出していたのは事実なんだけど。
 だって相手が持参したローションもゴムも未開封だったから、開封作業を見るのだけでも、なんだか妙に恥ずかしかった。
「い、いい、よ」
「なら下着も脱がすぞ」
 うん、と頷いて、相手が脱がせやすいように腰を浮かせて協力する。さっきまでの扱きあいでこちらも一度下着を摺り下げてペニスを露出していたが、手の汚れを拭かれた後にまたしっかり履いてしまっていたからだ。
 相手もその時に履き直しているので、つまりは自分だけ先に真っ裸という状況がやはり少し恥ずかしい。
「お、お前も脱げよ」
 道連れにしてやりたくてそう訴えれば、相手はあっさりわかったと言って下着を脱ぎ捨てる。
「あれ?」
「なんだよ」
「お前出したばっかなのに、俺より萎えてなくない?」
 思わず自身の股間と相手の股間とを見比べてしまったが、お預けを食らって放置された自身のペニスは既に結構落ち着いていた。なのに相手のは、さすがにギンギンに張り詰めてはいないけれど、未だしっかりと上を向いて勃ち上がっている。
「逆にお前は出しても居ないのに萎えてんな」
「ぁんっっ、ちょっ」
「お、でも反応は早い」
「当たり前、っだ!」
 萎えたペニスを掴まれ軽く扱かれれば、お預けされたペニスがすぐさま再度勃起するのなんて当然過ぎる反応だ。
「じゃあ、後ろも触るな。ゴム、使ったほうがいいんだよな?」
「う、うん」
 さっき自分のは風呂場に置きっぱなしと言ったから、指にゴムを着けて解していたのはわかっているんだろう。薄い膜一枚だけど、直接弄られないのはホッとする。
 でもゴムをまとったその指が目的の場所へ向かって伸びてくると、やっぱり安堵よりも緊張が勝って体が強張ってしまう。
「緊張する?」
「そりゃあ。だって、お尻の穴、だし。ゴム使ってるし、洗ってもある、けど」
 本当に抵抗ないの? と聞いてしまえば、お前の不安ってそれなの? となんだか少し驚かれてしまった。

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