バレたら終わりと思ってた(目次)

キャラ名ありません。
彼女が出来たつもりでいた(攻め視点)4話+バレたら終わりと思ってた(受け視点)13話の計17話。
社会人×女装大学生。

「彼女が出来たつもりでいた」は電車通勤で一目惚れしたと言ってきた女性と交際してたら、実は以前痴漢から助けたことがある男子大学生だった。という事実に驚きつつも、別れようとは全く思わなかった社会人男性の話。
続編の「バレたら終わりと思ってた」は受け視点で男とバレたあとの初デートがメインの話です。
一応18禁かなとは思うんですが、描写はかなり控えめ。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的描写がある話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

彼女が出来たつもりでいた
1話 久々の彼女
2話 女装だった
3話 あのときの男の子
4話 新しく始めよう
バレたら終わりと思ってた
1話 救世主
2話 男バレ
3話 やっぱり女装で
4話 このあとの予定
5話 普通のホテル
6話 女装のままのが(R-18)
7話 やり方を学ぶ
8話 どこに惚れてるか
9話 男の自分に自身がない
10話 無理はしないで欲しい
11話 崩れたメイク(R-18)
12話 狸寝入りの理由
13話 どうか、覚えていて

 
 
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バレたら終わりと思ってた13(終)

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 先に寝落ちしたからか、目覚めるのも先だった。
 結局同じベッドで眠っていたようだけれど、さすがに寝落ちる直前のように抱きしめられたままではなかったので、相手を起こしてしまわないようにそっとベッドを降りる。けれどトイレを済ませるついでに顔を洗ってバスルームを出たら、相手もベッドの上に身を起こしていた。
「おはよう」
「お、はよう、ございます」
「どうしたの?」
「え?」
 朝の挨拶を交わしただけなのに、いったい何を聞かれているのかわからない。
「いやなんか、ぎこちないっていうか、なんだろ、なにか後ろめたいことでもあるような?」
「そ、んなに……?」
 ちょっとギクッとしてしまうのは、相手が寝てる間に着替えもメイクも済ませてしまいたいと思っていたせいだ。
「あー、俺が気にし過ぎて疑心暗鬼になってる部分もあるかも。というか、なにか気になること抱えてるなら、一緒に解決したい。って気持ちが強すぎるのかも?」
 何も無いならいいんだよ。疑り深くてごめんね。なんて謝られてしまったら、自覚があるだけになんだか申し訳ない。
「あ、や、その」
「やっぱ何か抱えてる?」
「えー……と、その、あなたが寝てる間に、支度を済ませちゃいたかったな、って思ってただけ、です」
「支度……ってメイク?」
「そうです。あと着替えも」
 そっか、と言って黙ってしまった相手は、何かを考え込んでいる。
「え、えと、バスルームでメイクしてくるので、ダイジョブ、です」
 ちょっと狭いけど出来ないことはないだろう。ただ普段以上に時間がかかるかもしれない点と、3点ユニットバスなのでトイレを占拠してしまう点が問題かもしれない。
「なのでトイレ使うなら先にどうぞ」
「興味あるな、それ」
「えっ?」
「俺が見てたらダメな感じ?」
「な、なんで!?」
 会話が噛み合わない返答に疑問符を投げれば、もっと意味がわからない応えが返って困惑する。
「君が俺好みの女の子に変身するところを見ておきたい。っていう単純な興味かな。あと、男の子の君とのデートに慣れたら女装は必要なくなるはずだから、今のうちに堪能しておきたいなっていう気持ち」
「女装デート、やっぱ減らしたほうが嬉しいですか?」
「女の子の君とのデートももちろん楽しいけど、男同士のカップルより男女のカップルっぽく見えたほうが世間的には都合がいい場面が多いこともわかってるけど、女の子の格好で出歩くのが心底楽しいってわけじゃないなら必要ないって思ってる。女装に掛かるお金と時間を、もっと別のことに使ってほしいよ。学業とバイトと俺とのデートだけ、みたいな生活じゃなくて、残りの学生生活をもっと楽しんで欲しいというかさ」
 友達とも遊びに行ってほしいけど週末デートは譲りたくないエゴもある、なんて苦笑されて、ちょっとウルッと泣きかけた。
 この人がいなかったら、あの時助けて貰えなかったら、どのみち大学には通えなくなっていた可能性が高いのに。でも助けてもらえて、好きになって、大学をやめて実家に戻るなんて考えられなくなって、必死に日々を送っていたら少しずつ友だちって言えるような関係が増えて、今は大学に通うのも結構楽しくなっている。
 この人が優先順位不動の1位だから、恋人って立場を維持するために、他の何を犠牲にしたって辛いことなんて何も無いって思ってたけど。でも、学生生活をもっと楽しんで欲しいって言われて泣きそうになるほど嬉しいのは、友人の誘いをバイトやデートで断ってしまうのを惜しむ気持ちが少なからずあるせいなんだろう。
「じゃ、じゃあ、あなたのために目一杯可愛くなるので、見てて欲しい、です」
 どうか、覚えていて欲しい。
「うん。しっかり見とく。心に刻むよ」
 その言葉通り、ずっと後ろに立って鏡に映るメイク過程を真剣な目で見続けてくれた。鏡越しにチラチラと目があって、そのたびにほんのり微笑んでくれるのが、ちょっと恥ずかしくて、嬉しい。
「どう、ですか」
 手にした道具を置いて、鏡の中の相手に問いかける。
「うん。凄く、可愛い」
 こっち向いての言葉に振り向けば、優しいキスが降ってきた。

<終>

リクエストは「男バレ後の初デートに女装で来ちゃう受け」「女装するところを見たがる攻め」「男の子のままデートとイチャイチャエッチ」でした。
男の子のままデートの描写は入れられなかったのですが、次週は攻めが買ってくれた服を着てお家デートが確定しているので、彼らのイチャイチャお家デートをぜひ色々と想像してあげてください。

1ヶ月ほどお休みして、7月29日から「酔った勢いで兄に乗ってしまった話」の乗られちゃってる時の兄視点を書く予定です。これは多分1話かせいぜい数話で終わるはずなので、そこから先は短い話を幾つか書けたらいいなと思ってます。

 
 
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バレたら終わりと思ってた12

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 バスルームから出てきた相手の、もう寝ちゃった? という問いかけを無視したら、相手がベッドの中に潜り込んできて背後からゆるっと抱きしめられる。消えてなくなりたいような気持ちを持て余して、ベッドの壁側に身を寄せるように縮こまっていたのがあだとなった。
「狸寝入りかな。もし本当に寝ちゃってるんだとしても起きてもらうつもりなんだけど、起きてるなら返事して?」
 ビックリして硬直してたし、起きてるのは絶対相手にも伝わったと思っていたけど、やはりそのまま寝かせてはくれないらしい。
「おきて、ます」
「うん。バスルームで何があったのか聞かせてくれる?」
「何があった、って……」
「立って動いたら痛いとこが出てきたとか、気持ち悪くなったとか、そういう体調不良、隠してないよな?」
「だ、ダイジョブ、です」
 様子がおかしいと感じて、まっさきに心配してくれるのはこちらの体調だっていうのは、なんとも彼らしいんだけど。果たして、メイクがドロドロだったから落ち込んでる、なんて言って、相手にこの遣る瀬無さが伝わるんだろうか。
 説明してって言われても、上手く相手に伝えられるとは全く思えなかった。
 そもそも相手はずっと可愛いって言い続けてくれたんだから、メイクだのウィッグだのの崩れを気にしているのは自分だけという可能性も高い。
 ただ、優しい人だから、どこまで本心から可愛いって言ってたのかわからないなと思ってしまうだけで。優しい人だから、ドロドロな顔を笑ったりせに、可愛いって言葉で濁してくれただけかもしれない。
 そんな事を考えて黙り込んでいたら、背後で相手が、ため息になり損ねたみたいな息を小さく吐いた。
「なら、俺に抱かれたの、後悔してる?」
「は? えぇっ、なんで!?」
 驚きすぎて素っ頓狂な声を上げてしまえば、相手が笑う気配のあと、抱きしめる腕にキュッと力がこもる。小さな声が、良かった、って言ったような気がした。
「じゃあなんで寝たふりしてたの?」
「なんで、って……」
「俺としては、シャワーしてさっぱりした後、もう無理眠いってなるまでベッドでゴロゴロイチャイチャして過ごしたかったんだけど」
 シャワー行かせずあのままイチャイチャするべきだったかな、と言った後、でも寝る前はさすがにメイク落としたいだろうしなぁ、などと続けて、どうやら口に出しながら自問自答しているらしい。
「あ、メイク?」
 メイクを落としたいだろう、という部分に体が反応した自覚はあった。でもやっぱりメイクが崩れて落ち込んでる、なんてのは想定外なんだろう。
「まさか、男の子に戻ったから俺に顔見せたくない、とか言わないよね?」
「そういのじゃなくて、多分、もの凄く下らないことで落ち込んでるだけです」
「下らないことなの?」
「その、俺のこと、本当に可愛いって、思ってました?」
「もちろん思ってたよ」
「最後の最後まで?」
「むしろ最後の最後が最高に可愛かったけど」
 即答されて、その言葉に嘘はなさそうだった。
「でも、いっぱい泣いたからメイクなんてドロドロだったし、ウィッグだってズレてたのに?」
 嘘は言われてないって思うのに、でもどうしても信じきれずに聞いてしまう。
「ああ、気にしてたのってそれ?」
「そ、です」
「そんなのちっとも気にならなかった。ってわけじゃないけど、それも含めて可愛かったし、嬉しいなとも思ってたよ」
 気にならなかったわけじゃない、って言われてやっぱりって思ったのに、でも引っかかったのは最後の言葉だった。
「え? 嬉しい?」
「メイク崩れるとかウィッグずれるとか、気にしてられないくらい、俺とのセックスに夢中になってくれてると思ってたからかな」
 初めて貰えるのめちゃくちゃ嬉しいと思ってる、って言ったのを覚えているか聞かれて、もちろん覚えていると返す。
「終わった後のメイクの崩れ見てショック受けるくらい、こういう経験してきてないってことじゃないの。って思えるのは嬉しいよ」
 今この瞬間も、嬉しいって思ってるし、可愛いなとも愛しいなとも思ってる。って言われた後、耳の後ろでチュッと小さなリップ音が弾けた。
「あ、あの、そっち向いても……?」
 相手の顔が見たくなってお願いすれば、もちろんと弾んだ声が返って、抱きしめる腕の力が弱くなる。その腕の中でくるりと身を返せば、優しい笑顔が嬉しそうに迎えてくれた。
「素顔もやっぱり可愛いな。目元まだちょっと赤いけど、痛くない? 冷やさなくて平気?」
「へいき、です」
「なら良かった」
 キスしても? に頷いてそっと目を伏せれば、すすっと顔が寄ってチュッと唇を吸っていく。
「明日、君の服買いに行くのが楽しみだよ。来週、今度は俺のベッドの上で、素のままの君を抱かせてくれる?」
 そんなの、こちらだってもちろんそのつもりでいる。
「俺も、楽しみ、です」
「男の子の姿でも女の子の姿でも、メイクがあってもなくても、そんなの君が好きって気持ちにはあまり関係ないって、きっとわかって貰えるんじゃないかな。少なくとも、そういうセックスが出来たらいいなって、思ってるよ」
 そんなの頑張ってくれなくてもいいんだけどな。と思ってしまうのは、もうわかってるから、という理由が一番ではあるけれど。
「もうメイクしたまましたいとか言わないですから、素のままの俺でも抱いて貰えるってわかれば充分ですよ」
「そうなの?」
「だって次はもう、メイク崩れてないかとか気にしちゃいそうですもん」
「確かにそうか。残念だけどそれは仕方ないよね」
 そこ気にして気持ちいいのに集中して貰えないのは俺も嫌だなと言われて、残念とか言っちゃうくらい、ドロドロに崩れたメイクもズレたウィッグも、この人には有りなんだって思うとなんだかおかしくなって笑ってしまう。
 どうやら本当に、かなり下らないことで落ち込んでいたらしい。可愛いって言ってくれた相手の言葉だけ、信じておけばいいだけだった。
「あなたを好きになって、本当に、良かった」
 言えば、それは俺のセリフだよと返される。
「俺を好きになってくれて、本当に、良かった。性別なんて関係ないなって思えるくらい君を好きになって、君を引き止められて、本当に、良かった」
 何度も繰り返される優しいキスを、目を閉じてうっとりと受け入れているうちに、ゆるやかな眠りに落ちていった。

続きました→

 
 
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バレたら終わりと思ってた11

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 結論から言えば、女装はやっぱり解いておくべきだった。
 女の子の姿の方が手を出しやすいかもとか、顔だけ女の子のがむしろ萎えるかもとか、相手がどう思うかって部分とは全く別にして、メイクなんかしてない方が多分色々マシだった。
 だって汗とか涙で顔はドロドロぐちゃぐちゃになったし、結構しっかり固定出来てたはずのウィッグは、外れはしなかったけどちょっとズレたしボサボサだ。
 だって女の子相手のセックス経験もない童貞だから、セックスがこんなに大変だって知らなかった。
 始める前に、彼が参考にしたというアナルセックスのやり方サイトを一通り読んでおいて本当に良かった。あれを読んでなかったら、途中もっと焦ったと思うし、もっと落ち込んでいたとも思う。
 出すのと挿れるのじゃ大違いで、お尻の穴を慣らして広げるのにあんなに手間と時間がかかるなんて思ってなかったせいだ。これは相手が、痛い思いをさせたくないからって、かなりしつこかったせいも大きい気がするけど。
 足を開いて相手の前に全部晒すってだけでも結構恥ずかしいのに、たっぷりのローションでヌルヌルにされた穴にクチュクチュと音を鳴らしながら何度も相手の指が出入りするのを、真剣な顔で観察される恥ずかしさと言ったらない。
 部屋の明かりはかなり落としてくれたけど、でも見られてるのはわかってたし、気配だけでなく真剣な表情そのものが、時折こちらからも見えていた。
 それが相手の思いやりで、優しさだってわかってても。必要な準備だってわかってても。このあとへの期待よりも、今を耐えるしんどさの方が勝ってしまって、ちょっとくらい痛くてもいいから、さっさと次に進んでほしかった。早く相手と繋がりたかった。
 なのに、もうヤダ早く挿れてって頼んでも聞いてくれなくて、結果、女の子の体だったら良かったのにと悲しくなってしまった。女の子の体なら、もっと簡単に相手を迎え入れられたはずで、こんなに恥ずかしい苦労をしなくて済んだはずだと思わずに居られなかった。
 結構派手に泣いてしまって相手を焦らせたけど、もし女の子の体だって初めてってわかってたらいっぱい時間かけて慣らすから一緒って言われて、初めてを貰えるのが嬉しいって喜んでもくれた。恥ずかしいの耐えて頑張ってくれてるのはわかってるし、愛しくて仕方がないし、むしろ下手でゴメンと謝られたりもした。
 相手もアナルセックスは初めてで、だから上手にリード出来てないし、時間も掛かっちゃうし、辛いの耐えさせて結局無理させてるよね。なんて言われたら、もうちょっとなら耐えられそうって思えてしまう。というよりも、相手も初めてって部分が、自分もちょっと嬉しかったんだと思う。
 だからちゃんと体を繋げられた時にも、今度は良かったって安堵でまた泣いた。
 痛いとか苦しいとかで泣いてるわけじゃないと伝わってたからだろう。相手は焦ったり困ったりした様子は見せず、約束守れて良かったって、嬉しさが滲むような優しい笑顔をくれた。
 そんな笑顔を向けられながら、そういや簡単に諦めない約束をしてたなって思い出したら、更に泣けてしまうのも仕方がないと思う。
 諦めずに続けてくれたから、もうちょっとなら耐えられそうって思わせてくれたから、今、体の中に相手を感じられてるって思ったら、嬉しさとか感謝とか好きだって気持ちが胸の中に溢れて絡み合って、胸の中に収まりきらないそれらが涙になって流れていくみたいだった。
 相手はちゃんとこの体を抱いてイッてくれたし、お尻の中を突かれながらおちんちんを扱かれて、気づけば自分もあっさり吐き出していた。というか最後の方はちょっとわけがわかんないくらい気持ちよくなっちゃって、頭の中が白く爆ぜるみたいだったのを覚えている。
 ちゃんと準備すればお尻で気持ちよくなれる、というのは嘘じゃなかった。
 しかし正直、やってる最中は必死過ぎて、自分がどんな状態なのか考えるような余裕はなかった。メイクした状態で泣くような経験が初めてだったから、イメージしにくかったのもあるかもしれない。更に言うなら、相手からは可愛いって繰り返されていたから、その言葉を信じて安心しきってた。
 大惨事に気づいたのは、疲れてるだろうけど体動くならシャワーをしておいでとバスルームに送り出された直後のことだ。つまり、明かりを絞った部屋から明るいバスルームに移動して、そこにあった鏡と対面した時だ。
 メイクはドロドロだし、ウィッグはズレてボサボサだし、可愛さの欠片もない姿を前にしばらく呆然と立ち尽くした。いつまで経ってもシャワーの水温が聞こえないことに気づいた相手が、心配してドアを叩いてくるまで立ち尽くしたあと、ようやくノロノロとメイクを落としていく。
 ウィッグも外して素の自分に戻ったけれど、散々泣いた目元は赤いままだし、気持ちよくセックスできた喜びの余韻なんか当然吹っ飛んでいて、気落ちした暗い表情はとても相手に見せられる顔じゃないと思った。
 シャワーを浴びれば少しは気持ちが落ち着いたり上向いたりするかなと思ったけれど、全然そんなことはなくて、むしろどんどん気持ちが落ちていく気がする。だから、バスルームを出たあとは無理やり笑顔を作って、交代だと相手をバスルームに押し込んだあと、自分はさっさとベッドに潜り込んでギュッと目を閉じる。
 できれば相手が出てくる前に眠ってしまいたかったし、もし眠れなくても、疲れて眠ってしまったと思わせたかった。

続きました→

 
 
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バレたら終わりと思ってた10

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 途中、やっぱりちょっと不安になって、メイクは落とさなくていいのと聞いたら、どっちの格好でも君は君だろと返される。女の子の顔なのに男の体で萎えたりしない? とも聞いてみたけど、新しい扉を開きそうだけど萎えたりはしないから大丈夫って笑われてしまった。
 新しい扉ってなんだろうと思ったら、そういうジャンルがあるんだよって言われたけど、そのジャンルについてはあまり詳しく教えてくれなかった。でも、そんな不安にならないでって言いながらたくさんキスをくれて、ちゃんと興奮してるよって言いながら勃起したおちんちんを触らせてもくれた。
 ただし、そのまま握って扱いてイカせようとしたのは、すぐに止められてしまったけど。
 気持ちよくさせたいし、イッて欲しいし、自分だって相手がイクとこが見てみたい。という訴えには、お尻に入らなかった時はぜひその手を貸してと苦笑されて、これから抱かれるんだったってことを思い出す。
「そ、でした」
「だって前回、イかせるだけで終わりにしちゃったの、ずっと気になってたんだもんな。それに俺にも、君の手で気持ちよくされて、今すぐイきたいって気持ちはあるよ」
「そ、なんですか」
「そりゃそうだろ。君が積極的に触れてくれるの、嬉しくないわけない。ただ、それよりもっと、今は君と一つに繋がりたいって気持ちが強いだけ」
「わ、私も、です」
「うん。良かった。ただ、無理をさせたいとも思ってないから、辛かったらちゃんと教えてね。痛いの我慢とかしないでよ?」
「でも、ちょっとくらいなら、無理してでも抱かれたい、です」
 やっぱり、抱いて貰った、っていう事実が早く欲しいと思う。もしかしたら、素の自分を全部晒したところで、この人は好きって言い続けてくれるのかもしれないけど。すぐに女装がバレて終わると思ってたのに、女装がバレてもこうして恋人のまま居られるみたいに。
「なんで? さっき一緒に見たサイト、ちゃんと準備すればアナルセックスで気持ちよくなれるって書いてあったろ。もし無理して気持ちよくなれないセックスしちゃって、もうしたくない、ってなるほうが俺は困るよ」
「そんなのならない、です」
「もし痛くて苦しいばっかりのセックスでも、また俺に抱かれたいって言ってくれるってこと?」
「はい」
「じゃあ尚更、そんなセックス出来ないな」
「え、なんで?」
「痛くて苦しいの我慢しながら抱かれてくれる君を見たら、自分を許せなくなりそうだから。そんなセックスをされても怒ったり幻滅したりしないで、また抱かれたいなんて言われるのかもって思ったら、そんな状態で抱くのは絶対ダメだってなるのは当然だろ」
「で、でも、早くあなたに抱かれたい、です。男の体でもちゃんと抱いて貰えるって、安心したい」
「あー……そういう……」
 ホロリと漏れてしまった本音に、相手は言葉を止めてまた何か考え始めてしまう。
「あ、いや、無理して欲しいわけじゃ、」
「それ、俺が君に言ったのとほぼ同じセリフね」
 慌てて無理はしないで欲しい気持ちを伝えれば、今度は苦笑されてしまった。確かに、抱く側と抱かれる側で立場は違うけれど、二人とも、早く相手と体を繋げるセックスがしたくて、でも相手に無理はして欲しくないとか、無理をさせたくないって思っている。
「ううっ」
 その通りだと唸ってしまえば、相手はふふっと息を吐くように小さく笑った。二人の間で張り詰めていた空気が、はっきりと緩むのがわかる。
「どこまで気持ちよくなれるかはわからないけど、時間かけてゆっくり慣らして広げれば、多分、痛いのとか苦しいのはかなり軽減できるはずだからさ」
 簡単に諦めてまた今度、なんてことは言わないって約束するから、それで妥協してくれる? という提案に、もちろん嫌だなんて返すはずがなかった。

続きました→

 
 
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バレたら終わりと思ってた9

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 相手はそんな自分に、やっぱり全然知らなかったよねと言って苦笑する。
「男の子だって知る前もさ、なんていうか、一生懸命なとこがいいなって思ってたよ。全力でデート楽しんでます、みたいなの。隣でそうやってデート楽しんでくれたらさ、俺だって楽しいし、嬉しいし、安心だってするよね」
 手放せないなって思ったし、今も同じように思ってるよと告げた相手は、男の子だからってそういう本質的な部分は変わらなでしょと続けた。同意を促されてる気配があったけれど、でも、それに頷くことは出来そうにない。
「全力でデート楽しんでたのは事実だし、一緒にいる時間を楽しく過ごせるように頑張ってたのも事実ですけど、でもそれ、女装してたから、ですもん。男の俺とデートして、同じように楽しいか、楽しいって思ってもらえるか、わからないし、自信もない、です」
「今日のデートも楽しかったけど」
「今日も女装、してたじゃないですか」
「でもそれ、女装してたほうが外で手を繋ぎやすいとか、ラブホに入りやすいとか、そういうの考えてくれた結果でしょ?」
 そういうとこに惚れてるって繰り返されたけれど、それだけが理由で女装してたわけでもないので、なんだか余計に心苦しい。
「でもそれだけじゃない、し」
「それだけじゃない、って言うのは?」
「その、女装してるときって、自分であって自分じゃないみたいなとこあるっていうか、素の自分とはやっぱ違うんです、よ。男の俺は服なんか最低限あればいいやって思ってるし、友達だって少ないし、魅力的なとこ、多分あんまない、です」
「もし俺が男の子の君とどうしてもデートしたいって言ったら、どうする?」
「えと、来週はちょっと無理、ですけど、再来週なら……」
「えっ!?」
「え……?」
 あまりに驚かれて、こちらも驚く。というか困惑する。何か変なことを言ってしまっただろうか。
「あー……ごめん。想定外すぎる返答だった。というか、来週と再来週の間に何があるか全くわからないんだけど」
「えと、給料日……?」
「給料日!? ってバイトの?」
「そ、です」
「まじ、か……」
 また盛大に驚かれたあと、肯定すれば唖然としている。
「え、えと……何か、変なこと」
「あー、いやいやいや」
 変なことを言った自覚が全く無くて、相手の反応にどうしていいかわからない。焦るこちらに、相手は否定だけを返して、でもちょっと待ってと続けた。頭の整理させて、と言われてしまえば口を噤んで待つしかない。
「正直に言って欲しいんだけど、その女装、もしかしなくてもめちゃくちゃお金掛かってる、よね?」
 やがて意を決した様子で口を開いた相手が聞いてきたのはそんなことで、さっきの会話からなんでこの質問なのか、やっぱりイマイチ意味がわからない。
「そりゃ、多少は。でも仕送りとバイトで出来る範囲でしかやってないし、えと、ちゃんと学校も行ってるし、食事だって摂ってます、よ。あ、あと、借金とかも手ぇ出してないです」
 何を心配されているのかわからなくて、とりあえず思いついたことは否定しておく。
「でも男物の服は最低限で、友達と遊ぶためにお金使うのも避けてる。とか言わない?」
「友達はどっちかというと遊ぶ時間がない、方だと思いますけど」
「あー、平日にバイト詰め込んでて、週末は俺とデートしてるから?」
「そう、です」
「ねぇ、君にプレゼント、贈っていい?」
 誕生日でも何かのイベントでもないけどと言われて首を傾げる。
「なんです、突然」
「明日、君の男物の服、一緒に買いに行きたい。だから次はそれ着てデートして。って言ったら、俺のお願い、叶えてくれる?」
 プレゼントのお礼は男の子の君とのデートがいいんだけど、と言われて、そこまでして男の自分とデートがしたいのかと驚く。
「それはいいですけど、えと、さすがに男の格好で今日みたいなデートするのは、人の目が気になりそう、です」
「そうだね。ならお家デートしようよ」
 俺の家に招待しても、もう来てくれるでしょ。と言われて、それはちょっと楽しみだと思う。
「行きたいです!」
 楽しみだという気持ちがちょっと出すぎて食い気味になってしまったら、相手はどこかホッとした様子で、嬉しそうに笑った。
「やっぱり、本質的なとこは一緒だよ」
「え?」
「素のままの、男の子の格好した君とのデートだって、絶対楽しい。自信ないなんて言わないでよ。俺は、俺と恋人になりたくて女装までしちゃう、頑張り屋で努力家な君に惚れてるし、君から貰う大好きを手放したくないって思ってる」
 大好きだよと言って寄せられる顔に慌てて目を閉じれば、何度か軽く触れ合うキスのあとでそっと押し倒される。唇を舐められてゆるく口を開けば、すぐに相手の舌が入り込んできた。

続きました→

 
 
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