これはこれでもちろん興奮するのだけれど、いくら誘い込むような動きをされていようと、さすがにこのまま指を埋め込む訳にはいかない。慣らさないでなんて、言わないほうが良かっただろうか。
「ぁ、……ぁっ……ぁんっ、んっ……」
「ね、ローション、取るから」
縋る力が強くなっていたので声をかければ、ハッとした様子で力が抜けた。
「ごめ……」
「いやいや、謝るの俺の方。慣らすの全部俺にやらせてって頼んだの俺なのに、段取り悪くてゴメン」
最後にチュッと唇を吸ってから身を起こす。兄の脚を更に開かせその間に腰をおろし、たっぷりのローションを手の中でゆるくこねた。兄がそれをじっと見ている。緊張と興奮が混じったような顔だった。
「焦らすつもりはないんだけど、もーちょい待って」
冷たいの嫌だろと言えば、緊張を少し和らげて、わかってると頷いてみせる。
「もしかして嬉しいの?」
じわじわと滲むみたいに兄の頬が緩んでいくから聞いてみた。
「冷たいローションぶちまけたことなんて、今までだってしたことないと思うけど」
「そーなんだけど、だから、余計にっていうか」
またヘラっとした嬉しそうな笑顔で、大事にされてるのはわかってたつもりなんだけど、と続ける。
「でもそういう気遣いって、お前が優しいやつだからって思ってたんだよ。でも、俺が好きで、好きだから俺を大事に扱ってくれるんだって、今のお前見てるとよく分かるからさ」
最初っからずっと、ちゃんとお前に愛されてたんだってわかるの、なんか嬉しくて。
なんてことを、照れくさそうに告げられて、グッと胸が詰まる思いをした。そんな風に思って貰えて、わかって貰えて、嬉しい。可愛い。キスしたい。けれど。
「もーぅっ、なんで今なの!? 俺今、こんな手ぇドロドロにしてんのに」
ローションは両手で捏ねていたから、濡れた両手を兄に見せるようにして、キスできないじゃんと唇を尖らせる。まぁ、本気でキスしようと思ったら、やりようなんて幾らでもあるんだけれど。
しかし、こちらの甘えた要求に気づいた兄が、苦笑交じりに上体を起こしてくる。兄の顔が寄せられて、唇が塞がれた。
兄のキスを受け止めながら、結局、片手のローションをシーツに擦り付けるようにしてざっくり落とした後、兄の腰に腕を回して引き寄せる。腰を持ち上げるような力を掛ければ、察して腰を浮かせてくれたから、脚を開いたまま膝立ちとなった兄の脚の間へ、濡れたままのもう片手を差し込んでいく。
もちろん唇は触れ合わせたままだったので、兄が腰を浮かせるのに合わせて上向く形になった。この体勢はなかなか珍しい。これで深いキスになったら、啜らなくても兄の唾液が口の中に流れ込んでくるなと思って、誘うように舌を出して、ぺろっと兄の唇をなめてやる。
同時に、再度窄んだ窪みに指先を押し当てた。
「んっ……」
甘やかに鼻を鳴らした後で、兄の口が薄く開かれる。招かれるまま舌先を差し込んで口内を探りながら、窪みに押し当てた指先も、奥へと飲み込もうとする動きに合わせてゆっくり侵入させていった。
「ふ、ぅ……んんっ……」
伸ばした舌で口内を、埋めた指で腸内をじっくりと弄りながら、重力に従い口内に流れ込んでくる兄の唾液を飲み下す。けれどさすがにそう長くは続かなかった。
こんな体勢で後ろを慣らしたことはないのだから当然だろう。
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