生きる喜びおすそ分け19

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 先程、感度がいいと言われた時もほんのり感じたが、掛けられる言葉の真意がわかりにくい。こちらを貶めたり非難する気は多分ないはず、と思うのだって、これまでに知ってきた相手への信頼が大きいと思う。
 元々の関係が会社の上司と部下だということもあるし、お付き合いをしてプライベートな顔を見るようになってからも、それなりの期間が過ぎている。気持ちの起伏があまりない、みたいな事を言っていたけれど、確かに感情が見えにくいところは元からあった。それでも、嬉しかったり楽しかったりが見てわかることもなくはないし、申し訳ないとかの謝罪めいた感情は割とわかりやすく見せてくるのに。
 こちらに無駄な期待を持たせるような人ではないから、恋愛感情での好きも、行為そのものを楽しむ気持ちも、なくはないという言葉に嘘はないはずだ。そこを疑う気はないが、だからこそ、なんでだろうとも思ってしまう。
 こうしてベッドの上で向かい合っていると、確かにいつも以上に感情が見えにくいと思う。相手のテクに翻弄されて、こちらに相手の感情を拾う余裕がないというのもあるだろうけれど、それにしたってあまりに熱がなさすぎる。声音にも、表情にも、触れる手にも。
 過去の恋人たちからも同様の感想を貰っているようだから、むしろセックス中はいつも以上に感情をセーブしてるんじゃないのかとすら思う。多分、意図的にと言うよりは無意識に。
「ねぇ、前言撤回してもいいかな」
「えっ?」
「時間あるからゆっくり慣らそうって言ったけど、そうすると余計なこと考える余裕、出来ちゃうみたいだから」
 もう暫くはこっち集中しててと言われて、また前立腺をグニグニと捏ねられながら、もう片手でペニスを握られ扱かれる。しかし三度目ともなるとそう簡単には果てられない、なんて思っていられたのは最初だけで、すぐに射精感が募ってくるからさすがに焦った。
「ゃ、うそ、っや、やぁ」
「ん? どうした?」
「やだ、も、イッちゃう、また、イッちゃう」
「イッていいけど」
「ほ、ほんき、なのっ?」
 このままだと本気で、早々に空っぽになるまで精子を搾り尽くされる。精子が出せなくなってもイク、なんて経験はもちろんないけど、でも彼の手に掛かったらそんな状態にもあっさり突入しそうだと、今なら信じられる。信じてしまう。
「本気って何が?」
 半泣きで聞いてしまったせいか、イカせようとする強い刺激が弱まって少しばかりホッとする。
「せーし、空っぽになって、出なくなっても、にじゅうよんかい、ぶん、って」
「ああ、チャレンジの話か。して欲しくないの?」
「こ、こわい、からっ」
「ならイクの我慢して、って方が良い?」
 そっちのが辛くないかと言われたけれど、正直、どっちがマシかなんてわかるわけがなかった。だって経験がない。どれくらい辛いのかなんて想像もつかない。
「んー、じゃあ、取り敢えず我慢してみようか。で、もう無理ってなったら、イカせてって言ってよ」
 どっちがいいかの答えを待ってくれる気はないようで、ほとんど止まっていた彼の手がまた動き出す。お尻の中を慣らして拡げながらも気持ちがいい場所をグイグイと抉ってくるのは変わらないけれど、ペニスを包み扱く手の方は軽く触れる程度になって酷くもどかしい。
 そっちのが辛くないか、の意味はすぐに思い知った。体の内にキモチイイがどんどんたまって、射精したい気持ちだって変わらず募っているのに、そのままキモチイイに身を委ねていれば射精できるという予感が全く無い。
 かといって、彼が言うようにイカせてとお願いするのも躊躇われる。だってそれを繰り返したら、彼にどんどんイカされるよりは多少ペースが落ちるというだけで、空っぽになるまで搾り取られた挙げ句に出せないままイカされる未来は変わらない。
 イキたいのに、イキたくない。そんな葛藤に身を焼く中、気づけば自分から彼の手にペニスを押し付け擦り付けようと腰を揺すっていたから、あまりのはしたなさに、カッと全身に羞恥が巡った。

続きました→

 
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