親睦会6

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 思わず硬直して、しばし相手と見つめ合う。勝手に体をまさぐられていた事に気付いているのかいないのか、相手は思ったより近くにあった自分の顔に少し驚いたようではあったけれど、次にはどこかふわっとした笑みをこぼす。
 まったくもってらしくない。こんな柔らかな笑顔、初めてみた。
 その笑顔が原因かどうか定かではないが、心拍が上昇していくのがわかる。
 らしくないのは自分もで、何故か急に恥ずかしさが込み上げた。寝ている体に勝手に触れて、あまつさえちょっとフェラしてみようなんて事を考えていたのを知られたくない。
「ああ、戻ったのか」
 声もどこかふわっとしている。けれどそれで、きっと寝ぼけているのだと合点がいった。
「疲れてます?」
 未だ肌に当てた手を一切動かせないまま、ドキドキしつつ尋ねる。手が動いてしまったら、こちらの悪戯に気づかれそうで怖かった。
「んー……うん、まぁ?」
 言外にヤりに来たんじゃなかったのと言う気持ちをたっぷり込めつつ聞いたのに、やはり寝起きで随分と思考が鈍っているのか、ぼんやりとして曖昧な反応しか返らない。
「なら、寝てていいです、よ」
 起きて抱いてくれればいいのにと思う気持ちもあるけれど、眠いならこのままもう一度寝落ちてくれと思う気持ちもあった。
 もう一度寝てくれたら、寝てる間に勝手にフェラしようとしてた痕跡を消して、自分は部屋の露天風呂にでも行ってこようと思う。後で起きてきたこの人に向かって、まるで何もなかったみたいに、寝てたから温泉堪能させてもらいましたって顔が出来るように。
 なのに。
「寝てたらお前に犯されそう」
 ふふっとおかしそうに笑われてしまって、体をまさぐっていた事に気付かれていると気付いた。カッと体の熱があがって、先程以上に恥ずかしい。
 気付かれているならと、若干慌てながらも肌に当てたままの手を引き剥がせば、ますますおかしそうに笑った相手がその手を掴んで引っ張った。寝起きとは思えない強い力に引かれたのと、完全に油断していたのとで、頭から相手の胸に突っ込んでしまった。
「ちょっ、と、なに」
「お前も寝ろよ」
 いきなり何するんですかと憤るこちらの声を遮るように、甘やかな声が鼓膜をくすぐり身を固くする。本当に、慣れない。こんな声、知らない。
 抱かれている最中に掛けられる声だって確かに甘いけれど、あれはもっと、からかいと挑発と興奮とが混ざっている。ただただ柔らかに甘く響いた声に、どうしようもなくドキドキしてわけがわからなかった。こんなことで混乱していることに、更に混乱が加速している気もする。
「一緒に、寝よ。夜に備えて体力温存しとけ」
 ぐいぐいと抱きしめに掛かる腕とそんな言葉にため息を吐いて、大人しく相手の隣に体を横たえた。
 抱き心地を確認しているのか調整しているのか、何かを確かめるように頭と背中とを這っていた手が動きを止めて、それからほどなくして軽い寝息が聞こえてくる。それを暫く聞いてから、ようやく体の力を抜いた。どうやらまた眠ってしまったらしい。
 体力温存しとけって事は、やはり夜には泊まりだからと、しつこく何度も求めてくるようなセックスをされると考えて良さそうだ。それは憂鬱なはずで、なのに体の熱は上がっていく。弄られ挿れられる事に慣れてしまった尻の穴が、キュッと窄まりうずくような感覚がして、恥ずかしいのか情けないのか、なんだか泣きたいような気さえしてきてやっぱり頭の中はグチャグチャだった。
 この腕の中から抜け出したい。混乱するのは、どう考えたってこの状況のせいだ。なのに、このまま捕らわれていたいとも思う。この腕の中で、安らかな寝息をただただ聞いていたい。
 ふわっとした柔らかな笑みも、柔らかで優しいばかりの声も、寝ぼけていたからだとわかっている。昼寝から目覚めた時、相手がこのやり取りをどこまで覚えているかも怪しいし、出来れば忘れていて欲しいとも思う。だってきっと、この人はこんな甘やかな反応を、自分に見せたくはなかっただろうから。
 胸の何処かがまた少し痛くなって、気持ちを落ち着けるように少し深い呼吸を繰り返した。けれどドキドキが収まっていくと、泣きたいような切ない気持ちばかり残ってしまう。
 抱きしめられているので元々近い距離にいるのだけれど、更に自分から身を寄せて相手の肌にくっついてみた。
 そこに安心なんてものはなく、やはり胸は小さく痛み続けている。けれどそれでも、目を閉じて相手の体温を感じていれば、やがて意識は眠りに落ちた。

続きました→

 
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