土日はさすがに彼もイッたというか、抜きあった後の流れでお尻の穴を慣らし始めた感じだったけれど、月曜から先は本当に自分だけだ。先週までは週の途中で一緒に抜き合うタイミングが有ったのに、今週はこちらが疲れてしまってそれどころじゃなかった。
でもこの調子なら、明日の土曜にはとうとう抱いて貰えそうだ。彼もそのつもりでいるからこそ、毎晩しつこく弄って広げることに余念がないのだろう。
そう思っていたからこそ、こちらだって彼の手を出来る限り受け入れてきた。イッたら終わってくれるのも、耐えるほどに疲れるのもわかっていて、限界ギリギリまでイカせてと口に出すのを我慢した。なのに。
「入っていい?」
聞かれた最初は意味がわからなくて、というよりも多分殆ど聞こえてなくて、全く反応が出来なかった。
だって、お尻の穴にはずっぷりと三本の指が埋まっていて、たっぷり注がれたローションをぐちゅぐちゅ鳴らしながら、揺らされたりゆっくりと出し入れされたりかき回されたりしている最中だ。股間のペニスはすっかり反応しきって痛いくらいで、早くイキたい気持ちが、いい加減こぼれてしまう直前でもあった。
「いい?」
「ん? え……? なに、が?」
指の動きを止められて、ようやく彼の声がはっきりと耳に届いたけれど、その前の言葉を聞き逃していたせいで、やっぱり何を問われているのかわからない。
「抱かせて?」
「ええっ!?」
盛大に驚いてしまったのは、今夜そう言われるとは欠片も思っていなかったせいだ。ただ、驚き過ぎたおかげか、快感に散っていた意識がはっきりしてきた。
「な、なんで?」
「なんでって、週末には抱けたらいいなと思ってたし、そう言っても来たろ?」
「えっ、え、でも……」
金曜の夜を週末に含むなんて聞いてない。いやでも翌日仕事がないのは事実で、夜ふかししようと、いつも以上に疲れようと、体力的な問題はないと言えばない。躊躇う理由があるとすれば、昨夜も今朝も昼も、普通に食事をしてしまった事くらいだろうか。
「それは明日で、俺、そのつもりで……」
そうだ。そのつもりで、夕飯は食べていない。というかそれは相手だって知っているはずなのに。
「わかってるよ。夕飯は外で食べてこいって連絡してきたことの意味くらいは、わかってる」
「なら、今夜は、まだ」
「それなんだけど、試させて欲しい気持ちが結構でかい」
「試す? って何を?」
「恋人同士のセックスに、そこまで食事制限する必要があるのかどうか」
「え?」
どういう意味かわからなくて戸惑えば、大事なのは恋人同士ってとこな、と念を押されてしまった。でもそこを強調されたからって、わからない事に変わりはない。
もしかして、自分には気づけないだけで、恋人同士の当たり前、みたいな何かがあるんだろうか。自分の知識が歪んでいるのも、行為慣れはしてても恋愛初心者だってことも、自覚はある。
「あの、ごめん、」
「違う。待って。お前が謝るような話じゃない」
思わず謝罪が口から漏れてしまえば、相手が少し慌てた様子で否定の声を上げた。
「試させてって、言ったろ。抱かれる側が食事内容や時間や量を気にするのは、割とある話らしいし、だからお前の認識のが多分正しい」
「でも俺、恋人同士のセックスは、経験ない、から……」
んぐっと喉から呻くような音を漏らして、相手がなんとも言えない顔をする。
「あの、ごめん?」
事実を伝えただけという認識だった上に、その事実を相手だって知っているはずなのに、という気持ちから、今度は語尾が上がって疑問符が付いてしまった。
「この状況で、あなたが初めて、とか言ってくるのがわざとじゃないなら気をつけろよ、お前」
「あー……それは、ごめん」
なるほど。経験がない=あなたとが初めて、と解釈されたらしい。
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■
HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁