涙が止まらず動揺している内心はともかくとして、一旦萎えたとはいえ一度は「もうイカせて」って言う直前まで昂った体は、すでに充分、相手のペニスに馴染んでいる。しかも相手は乱暴で自分勝手な動きなんて一切しないどころか、ここぞとばかりに弱い場所を狙ってくるのだ。
指で慣らして貰っていたこの一週間、あまり感じたくないというこちらの希望を聞いて弱い場所はあまり弄られずに居たけれど、だからこそ、弱い所はばっちり把握されている。でも、そうじゃない。
「やっ、やっ、そこっ」
「何が嫌?」
「俺じゃない、おれ、じゃなくて」
ただでさえダラダラと涙を零す酷い状態なのに、そんなに弱いとこばかり狙われたら、一体どんな痴態を見せることになるだろう。それよりも、彼にこそ気持ちよくなって欲しかった。
若干急ぎ足ではあったけれど、経験のある体は異物を飲み込むコツをちゃんと知っているし、毎晩ちょっとしつこいくらい弄り広げられていたのだから、多分間違いなく、以前抱いて貰った時よりも優秀な穴が育っているはずなのだ。ちゃんと前回よりも気持ちがいい穴になっているか、彼の反応で確かめたいのに。
「でも一緒に気持ちよくなりたいだろ?」
「そ、だけど、おれは、も、いい。も、きもちぃ、からぁ」
「俺が、お前がどうしようもなく気持ちよく感じてるとこを、もっと見たいんだって」
「そんな、ずるい」
自分だって、相手が気持ちよく感じている姿が見たいに決まってるのに、ずるいってなんだよと笑われてしまって納得がいかない。あと、弱いとこばっかりされたら、気持ちよく感じると言うよりも、みっともなく感じまくる姿になってしまいそうだ、というこちらの不安は全く相手に通じていない。
「ちがう、の。やっ、ぁあっ、だめっ、それいじょ、あ゛、ぁあ゛っ」
追い詰められて上がってしまう声に、別の涙が浮かんでしまう。どうしよう。前回よりいいセックスだったって思って欲しいのに、なんだかちっとも上手く行かない。
笑いなさいと頭の中に声が響いて、むりやり上げた口角はプルプルと震えてしまった。しかも予想外の反応があって、相手の動きが途端に緩やかになった事にドキリとする。セックス中の笑顔を失敗したからって怒るような人じゃないのはわかっているけれど、不快に思われたのは確実だ。本当に、上手く行かない。
「あの、おれ、その……」
「ごめんな。お前が可愛くて、無理させたな」
ごめんなさいと続けるはずだったのに、先に相手に謝られてしまった。しかも、相手の言葉の意味がよくわからない。
「かわいく、て?」
「ん、可愛くて。または、愛しくて」
「あの、ずっと泣きっぱで、あんな汚く喘いでた、のに?」
「あれ、お前が気にしてたのって、そこ?」
弱いとこばっか弄られるのが苦しいって話じゃなくて? と続いた言葉に、それはキモチイイと返したら、思いの外唖然とされて慌ててしまった。
「や、あの、気持ぃけど、気持ちよすぎてみっともなく感じちゃうから、その、あんま、見せたくないのは、ホントで。それより、俺で気持ちよくなって欲しかった、から」
ヤダヤダ言ってごめんなさいと今度こそ謝れば、悪いのは俺の方だよと、困ったような顔が寄せられた。
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