そっくりさん探し7

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 自身が抱かれる側になる想定で、事前の準備を一人で出来ると言った相手は、当然というかやはりというか、アナルの自己拡張にも踏み込んでいた。むしろその拡張がある程度のレベルに達していたから、ラブホという提案にも頷いたらしい。
 ただまぁこちらとしては、突っ込んで気持ちよくなって終わり、なんてセックスは全く考えていなかったし、そもそも繋がるような行為までは要求しない予定でラブホに連れ込んでいる。
 一番の目的は服の下に隠された場所に直接触れることで、その結果として、相手が気持ちよく果てることが出来れば尚いい。くらいの話で、それは相手にも伝え済みだったはずだ。無理をする気はないし、気持ちよくなって欲しいし、だから安心して任せてくれとも言ったはずだ。
 抱かれたい気持ちがあることも、そのために準備をしてくれたことも、本当に嬉しい。でもまずはゆっくりじっくりその体に触れさせて欲しい、というのが正直な気持ちだった。
 なのに。
「も、やだぁ、ぁ、あっ、はや、く、はやく、してっ」
 大丈夫だから入れてと懇願しながらも、潤んだ瞳が非難するように見つめてくるから心が痛い。
 抱かれる覚悟は決めていても、押し倒されてその体を撫でられ性感帯を探られ、他者の手で快感を引きずり出される、という事へ覚悟はなかったらしい。覚悟以前に、抱かれる側として突っ込まれる以外のことを、あまり想像出来ていなかった可能性も高そうだった。
 準備なんて単語が出て飛びついてしまったけれど、最初は手を握っただけであんなに体をビクつかせていたような相手に、やはり急ぎすぎたのかもしれない。
 簡単に反応する自身の体に戸惑う様子を見せていた相手は、優しい愛撫にすらあっさりいっぱいいっぱいになって、早く突っ込んで欲しいと口に出すまでがかなり早かった。
 それを宥めすかして、まずは相手にちゃんと気持ちよくなって欲しいこちらの気持ちを、惜しむことなく言葉に変えながら触れ続けている。
 あまりに急かすから早々にアナルにも触れてはいるが、そちらに触れたからこそわかってしまったこともあった。
 慣らして広げる真似は確かにしたんだろう。けれどそこで感じられるわけではなさそうだし、嫌悪感なのか不快感なのか恐怖なのかは定かでないが、否定的な感情を間違いなく持っている。
「もうちょっと。ね、やっぱおちんちんも一緒に触らせてよ」
「やっ、です。ぜったい、だめ」
 やっぱり潤んだ目が、何度もダメだと言ってると言いたげに、睨みつけてくる。
 なぜかずっと、ペニスを直接触って一番わかりやすい快楽を引き出すことを、拒まれていた。
 形を変えたそれを握って数度扱いたところで派手に拒まれ、手を離したらその後は隠すみたいにずっと相手の両手がそこを覆っている。覆っていると言うよりも、感じるのを拒むみたいに、押さえつけているようでさえある。
 正直意味がわからない。意味がわからないものの、譲る気がない強い意志が見えてしまって、無理やり触れることはもちろん、強引に理由を問うこともしていなかった。
 仕方がないと小さく息を吐いて顔を寄せる。キスは拒まれていないからだ。
 深いキスは今日が初めてだったのに、何度も繰り返したおかげで、口の中の弱い場所は把握出来ている。少しでもその快感をアナルの快感に繋げようと、同時にゆるゆると尻の中の指を動かした。
「んんんっっ」
 ビクッと大きく体を跳ねて藻掻かれて、咄嗟に肩を押さえてしまえば、強く胸を押されて顔を離す。
「ここが、キモチイイ?」
 盛大に反応した、前立腺と思われる場所を狙って指先で押し込んでやれば、やはりピクリと体を振るわせ、ぶわりとその目に涙を溜めた。
「やぁっ」
「でも気持ち良さそうだよ?」
 チラリと視線を移動させた先は、こちらの胸を押すために手が外された相手の股間だ。胸に触れた手が濡れているのは感じていたが、大量の先走りに濡れ光るペニスは大きく膨らみ、中を弄る指先に合わせてピクピクと震えて、今にも射精しそうだった。
「おちんちん弾けそう。ねぇ」
「ゃぁぁぁあっっ」
 触っていいよね。と続けるはずだった言葉は、控えめな悲鳴とともににおとがいを跳ね上げ背を反らし、括約筋をギュウギュウに締め付けながらペニスの先端から白濁をボタボタと垂れ流した相手によって、音になって溢れることはなかった。
 驚きに目を見張りながら、ついつい相手の股間を凝視してしまう。ついさっきまでは中で感じている様子なんてなかったのに、いくら前立腺への刺激で反応があったからといって、まさか触れずに吐精するとは思っていなかった。
「や、やだって、言った」
「えっ」
 明らかな泣き声に慌てて視線を相手の顔へと戻せば、目元を片腕で隠した相手が震える唇を噛み締めている。多分間違いなく、その腕の下で涙を流しているんだろう。
「ご、ごめん。ほんと、ごめん」
 慌てて謝罪を繰り返しながら、埋めていた指をゆっくりと引き抜いていく。さすがにこの状態で続けられるわけがないからだ。なのに。
「や、やっと?」
 腕を外した相手が、ぐしょぐしょに濡れた赤い目で見つめてくるから、意味がわからないのに胸だけがやたら苦しい。
 意味がわからないのに、どういう意味か聞くのすら躊躇われてただただ見つめてしまえば、またその目にぶわっと涙が溜まって流れ落ちていく。
「ど、して」
 引きつるみたいな苦しげな声と、ぎゅっと瞑ってしまった目蓋の隙間から、次々と零れ落ちてくる涙と。それを隠すみたいにまた腕が上がっていくのを思わず掴んで止めてから、目元に向かって唇を落とす。
 なぜ泣かせてしまったのかすらわからないが、それを聞ける状況じゃないのも明白だ。だからごめんごめんと短い謝罪を繰り返しながら、何度も濡れた目元や頬に触れるだけのキスを落として、相手が落ち着くのをひたすら待った。

続きました→

 
 
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