聞きたいことは色々18

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 部屋の中には大きなベッドが鎮座していて、寝室と言っていたのは聞き間違いじゃないらしい。物置って聞いてたのに。いやでも空きスペースに未開封のトイレットペーパーだの洗濯洗剤だの箱買いしてるらしいドリンクの箱だのが並んでいるので、物置と言えないこともないのか?
「あんにゃろ」
 それらを見て顔を顰めてるから、まだ暫くは帰ってこない想定で、どうやら勝手に部屋を侵食してたっぽい。
「大きなベッドですね」
「クイーンサイズだからね。てかこの部屋使ってたわけじゃないんだ?」
 あいつのベッドじゃ小さくない? と聞かれたけれど、こっちに大きなベッドがあるなんて知らなかったんだから、ベッドなんてそこにあるものを使うしかない。
 まぁセミダブルだし、事後にそのままそこで二人で眠っても特に問題は起きなかったし、どうしたってどこかしら触れ合ってしまう狭さを受け入れるのが恋人っぽいかな、なんてことも思ってたんだけど。
「初めて入りました。てかさすがに夫婦の寝室に入り込んでヤッたりは」
「でも俺の存在知らなかったでしょ?」
「そりゃ俺は、最初っからこの部屋通されてたら、これが彼のベッドなんだって信じてたかもですけど」
 まぁ初回にこのサイズのベッドを見せられてたら、色々余計なことを勘ぐってそうではあるけども。だって叔父夫婦の寝室なんて正解には絶対にたどり着けないから、元カレと使ってただろうことを想像したはずだ。
「俺じゃなくて」
「そんなの気にするヤツじゃないというか、あー……ホントに何も聞かされてないわけか」
 とりあえず座ってと促されて、ベッドに並んで腰掛ける。
「ねぇ、あいつが初めての恋人でセックスもアイツしか知らない、ってのは事実なんでしょう?」
「そうですね」
「身近なところで恋人が欲しくて、出会い系とか試すのは怖くて、ネコだと思って相談したのに実際は狼でその場でペロッと食べられて、そのまま捕まって逃げられなくなってる。のかと思ってたけど、本当に現状に満足してるの?」
 今日初めて存在を知らされたこっちと違って、こちらの情報はまるっと全部筒抜けらしい。
「あー……まぁ、はい」
「他を知らないから満足してる気がしてるだけじゃなくて?」
「いやでも実際、特に文句出るような部分てないですよ?」
 ものすごく卒なく恋人してくれてると思いますって言ったら、「卒なく恋人」って言い回しが可笑しかったらしく、けっこう派手に笑われてしまった。
「でも満たされてないでしょ?」
 恋人と一緒にいるって状態なのにちっとも幸せそうな顔してなかったと指摘されてしまうと、反論はしにくい。
「恋人だしやることやってるけど、恋愛してるわけじゃないから。ですかね」
「それ! 口説かれたくないって言ったって? 恋人になるのはOKで、なのに好きにさせないでってのはどうしてなの?」
「そういうゲームをしたいって言われたから、ですね」
「は?」
 恋人になるのを拒否するなら口説き落とすゲームを始めるって言われた話をしたら、相手は大きなため息を吐き出して頭を抱えてしまう。
「しかもその結果俺が本気で惚れたら満足してポイする可能性が高いみたいだったんで、そんな目に合うくらいなら恋人になった方がマシに思えて」
「あー、それで恋人になったのね。でも恋人としてデートしてセックスまでしてたら、好きになってくものじゃない? てかもうけっこう好きになっちゃってない?」
 片思いしてる本命が別にいるとかではないんだよねと確認されて苦笑するしかない。さっき別れてって言われたら別れるって言いながら泣いてしまったので、多分もうバレバレなんだろう。

続きました→

 
 
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