聞きたいことは色々21

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 そりゃ好きとか言われるわけ無いし好きを求められることも無いわと納得すると同時に、なんで恋人として引き止めたのかますますわからなくなったなと思う。欠片くらいは何かしら惹かれるものがあったから、今こんな関係になってるんだと思ってたのに。
 いやまぁ、カラダがって話なのかもだけど。でもカラダに執着されてる実感は全くと言っていいほどないから、多分違う気がする。
「あの人、なんで俺を恋人にしたんですかね。いやまぁ、俺が恋人でもない相手に抱かれないだろうって思ったから、とりあえず恋人ってことにして抱いた。てのはわかってるんですけど、俺はあの晩限りの恋人だって思ってたし、恋人続ける気なんか全然なかったのに」
「あーそれはねぇ」
 自覚ないと思うけどと苦笑しながら、めちゃくちゃ貴重なネコちゃんだからだよと教えてくれたけれど、さっぱり意味がわからない。
「なんすかそれ」
「自覚して抱かれたい側のゲイで誰とも未経験のままな男が、あいつの手が届く範囲でうろついたことが多分ないんだよね。タチって知ってて寄ってくるネコちゃんは大概色々経験済みで、そういう子にはあまり惹かれないみたい」
 ノンケだのタチだのに積極的に手を出すのは、男に抱かれた経験がないって部分が大事なんだと思う。と続けた相手は、つまりは処女厨なんだよアイツと言って、更に苦笑を深くした。
「処女厨……」
「人の手垢がついてない子がいいみたい。まぁ、それは君を手元に置き続けて自覚したっぽいんだけどね」
 昔は、抱く気で寄ってきた男を抱いたときの達成感がたまらない、なんてことを言ってたらしい。
「多分ずっとそういう、寄ってきた男を落として抱くゲームしかしてなかったし、好きって言ってっておねだりも、それを言わせるゲームを楽しんでただけなんだよね。そんなゲーム仕掛けられてる方はたまったもんじゃないけど」
「過去の恋人のことも、好きって言ったりはしてなかったってことですか? 言わせるだけで?」
「それは言ってたかな。だって抱くつもりで寄ってきた男に足開かせるんだよ? 甘えるのも、甘やかすのも、得意だったと思うよ」
 口説かないでって言わなかったら多分君にも当たり前に言ってたよ、と続いた言葉に、驚きで声が詰まった。
「えっっ!?」
「好きって繰り返してデロデロに甘やかしたり、好きって言ってっておねだりしたり、それって結局、相手を自分に惚れさせるための手段だからね。少なくとも、アイツにとっては」
 恋人とただイチャイチャしたくて好き好き言い合う感覚とか知らないと思うよと言ったあと、もったいないよねぇと同意を求められたから、この人は旦那だったという彼の叔父と、ちゃんとそういう好きのやり取りが出来る恋人だったんだなと思う。
 そういや、最初に抱かれる前のやりとりで、本気で口説いてもいいけど後々恨まれそうって言われたような記憶がある。抱かれずに帰るならお前を本気で落とすゲームを始めるって言われて、恋人になって寝室にって流れだった。
 好きって言い合う行為を相手を惚れさせるための手段としか認識してないから、口説かないで惚れさせないで落とすゲームを始めないでっていうこちらの主張に合わせて、そういう言葉のやり取りがないセックスをしたってことなんだろうか。
「でもデートするのは好きって言ってたし、デートするから恋人でデートしないでセックスだけするのはセフレだって言ってあちこち連れ回されて、その、ちゃんと恋人として扱われてるって感じるし、恋人とのイチャイチャがわからないって感じでもないような?」
「それそれ。アイツが卒なく恋人やってるっての、笑うよね」
 言いながら、本当にまた楽しそうに笑っている。

続きました→

 
 
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