弟は何かを企んでいる14

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 弟のペニスをお腹に挿したまま、いわゆる駅弁スタイルで歩き出されて、絶対落とされないのはわかっていてもギュウとしがみついてしまう。弟の服に鼻先を埋める距離は、まだベッドじゃないのにベッドの中と似た匂いがして、体は簡単に快楽に浸ろうとするから困る。
 しかもゆっくり歩くの言葉通りに、大した距離もないのにベッドまでがやたら遠くて、頭の片隅ではこんな無茶苦茶な体勢でと思うのに、ずっと恐れながらも待ち望んでいた刺激に、お腹の奥の方がグズグズに蕩けていくような気がした。
 宙に浮いた状態だって、抗うことを止めて快楽に浸りきってしまえば、多分きっと、射精なしの絶頂に至れるんだろう。それを、せめてベッドに着くまではと思う気持ちが、止めている。
「はい、到着」
 下ろすよの言葉に安堵したのと、前屈みになられたことで刺激が変わったのが引き金だった。
「あああっっ」
「ぇ、……くっ……」
 イキそうだと伝えるまもなく、再度頭の中が白く爆ぜて、体が震える。甘い幸福感と気持ちよさに包まれながら、お腹の中の弟のペニスを、ぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
 弟も小さく呻いて動きを止めたから、結局背中はまだベッドに着いてない。
「ふはっ、ここでイクんだ」
 詰めていた息を吐きだしながら弟が笑う。これって駅弁でイッたことになると思う? と聞かれて、そんなの知らないと思ったけれど、それは言葉にならなかった。聞こえてはいるけど、言葉を交わす思考の余裕がない。
 それがわかっているのか、弟は返事がないことを気にするでもなく、うっかり一緒に出なくて良かったな〜などと、多分完全な独り言を零しながら、ようやくこちらの体をベッドに下ろした。
「腕、ゆるめて?」
 ぽんぽんと軽く腕を叩かれて、嫌だと首を横に振る。だってこの距離が安心する。
「このまま続けんの?」
 ぜひそうして欲しい。
「ふっ、マジか」
 頷けばやっぱり小さく笑われて、でも、やっぱぎゅってしてたほうが怖くないか〜と続いたから、あの日、怖いからぎゅってして欲しいと何度か頼んだことを弟も思い出しているんだろう。
 またゆっくりと奥を捏ねられだして、どうやらこのまま続行だ。そう、思ったのに。
 安心して気持ちよさに身を委ねて、次の絶頂がお腹の中で溜まっていくのを感じていたら、腕の力が抜けたのを感じたらしい弟がするりと身を起こしてしまう。
 慌てて握った手の中にあるのは弟のたくましい二の腕で、でも引き止めたところで動きが止まってくれたから、非難を向ける目の中には疑問も混じっていたと思う。
「俺も、兄貴が奥で感じてイク顔、見たいんだけど」
 前したとき後ろからだったから、今日はちゃんと顔見せて。イキまくってどろどろになってるとこ、見せてよ。などと言って、ねだられてしまうと本当に弱い。
 イクって時はまたぎゅってするから顔見てていいでしょと言いながら、動きが再開されてしまえば、もう、抗えない。イクときはちゃんとぎゅってする、の言葉を信じて、与えられるままその快楽に浸り切って、何度か絶頂を繰り返した。
 頭の中が、キモチイイばっかりで支配されて、弟の声が遠い。でも可愛いとか好きだとかを繰り返してくれてるのはわかるし、お腹の奥で気持が良くなっていることも、射精を伴わずに絶頂を繰り返していることも、間違いなく喜ばれているし、どうやら褒められても居るようだった。
「そろそろ、俺も、イキそ」
 弟の手がお腹の上に乗って、なにかを確かめるように、というよりは多分そこに存在する自身のペニスを探るかのように、撫でていく。
「今日はここの先で、イッて、いいんだよな?」
 クッとわずかに力を込めて押し込まれたその下に、弟のペニスの先端がある。
 抱き潰されたいんだもんなと、少しギラついた気配を滲ませるから、たまらなくドキドキする。期待、してしまう。
 お腹の奥がグズグズに蕩けている感覚はあるけれど、その先が開きそうなのかどうかまでは自覚できていない。でもここまで言うってことは、弟的にはその先へ入れる確証がありそうだった。
 頷いて、なんとか「きて」と短な二文字だけ音にすれば、弟が足を抱え直してぐぐっと腰を持ち上げてくる。上から伸し掛かるみたいに圧迫されるのは苦しくて、でも、奥が開いて先端を飲み込んでいくのが、わかった。
「あああああっっ」
 先程までの、頭が白く爆ぜてふわふわな気持の良さに包まれる絶頂と違って、目の前がバチバチと爆ぜるみたいな強すぎる刺激が、強引に体を絶頂させてくる。多分、弟が伸し掛かってなければ、この快感から逃れようとしてもっと体を揺すっていただろう。
「あっ、あっ、ああ゛っ、ああ゛あ゛っ」
 ズポズポと出入りされるたびに、多分、イッているのだと思う。けれどもう濁った悲鳴以外が口に出せなくて、弟がイクと宣言しながら、最奥へ突きこんだ先でペニスをビクビクと震えさせるのと、ゴムの膜越しに結構な量を吐き出しているっぽいのを感じながら、意識が飛んだ。

続きました→

 
 
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