弟は何かを企んでいる9

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 休みが始まってから今日で4日目になる。
 昼食を前に、思わずはぁあと大きなため息を吐いてしまえば、テレビに向かって横並びで座っている弟の視線が横顔に刺さった。
「んなエロいため息吐いて、どうかした?」
 エロいため息、と指摘されてギクリとする。
 ついさっきまでベッドの上で気持ちよく喘いでいて、本日の一発目だって出しているというのに。しかも連日出しまくってるせいで、量も少なかったし色も随分薄くて、ザーメン生成追いついてないなって笑われたのに。
 そんなにやってて、まだ、物足りなさを持て余してるだなんて。
「ちょっと一旦エロいことするの止めてみる?」
「えっ? なんで?」
 エロいって指摘からなんでそうなる? という驚きに、思わず振り向きまじまじと見つめてしまったが、相手はどこか気まずそうな顔をしている。
「調子乗ってやりまくってるせいで、いい加減疲れたよな、って思って」
 やり疲れてる感じがエロくてすげぇ唆るけど、と少し茶化すみたいに告げた後。
「でも連日抱くのなんて初めてだし、毎日結構な数イってるもんな。さっきも朝なのに薄いのしか出なかったじゃん?」
 無理させたい訳じゃないからさ、と続く声は酷く優しい。
 優しいのに、優しいから、その優しさが胸に痛い。
 だって、この物足りなさにはやっぱり全然気付いてないんだと、気遣われる嬉しさより先に落胆してしまった。
「無理なんてしてないよ。だってお前、かなり加減してくれてるから。こんな毎日やってても、特に体にダメージ来てる感じ、ない」
「なら、良かった。あ、じゃあ、デートでもする?」
「えっ!?」
「体辛くないなら、外、出るのもありかなって。ずっと家に引きこもりっぱなしってのも、体に悪そうだし。あと、そろそろ一旦買い出しには行きたいんだよな」
 食材だいぶ尽きてきたしと言われて、そりゃそうだよなと思う。
 いっぱい食うからと冷蔵庫はかなり大きなものを購入していたが、初日の夜から毎食弟がしっかり用意しているのだから、1週間も食材が持つはずがない。むしろよく4日目の昼まで保ってるなと思うべきなのかも知れない。
 常備菜とかも色々教わったとか言ってたし、自炊修行の成果が凄い。
「買い出し……」
「さすがにラブホ行こ、とかは思わないっつーか、家でやりたいのは譲れねぇけど。でも飯食いに行くのとかは全然有りだな。一緒にスーパー行くのも、一緒に暮らしてる実感湧いて、俺は絶対楽しいと思うんだけど」
 兄貴は? と聞かれて、全然有りだしきっと楽しいと返せば、だろ、と嬉しそうに笑う。
「でもデートなんかしたら、俺、間違いなく抱かれたくなるよ?」
 デートだけして抱いてくれないとか、狙った焦らしプレイだとしてもお断りしたい。というか、エロいこと一旦中止をどうにか中止させたい下心満載でもある。
 あんなにやってて物足りない、を申告するのはさすがに躊躇ってしまうが、デートするならちゃんと抱いて、なら言いやすい。
「兄貴が体しんどくないなら、俺としては大歓迎だけど」
 本当にやり過ぎてない? 大丈夫? と確認されてしまうくらい、疲れた顔を見せているんだろうか。と考えて、多分違うな、と思う。
 物足りなさを抱えてしまう葛藤というか、若干気落ちしてるのを、やり疲れと思われているんだろう。
「体はホント、平気だから」
「あ、じゃあ、玄関でヤルのも、やってみる?」
 有りなんだろ、と言われて、確かにそう言ったけど、と思う。でもそのあと、真夏の玄関暑いからな、と考えを翻したことは、そういや言ってなかった。
「けど、玄関、エアコン効いてないんだよな」
「あー、まぁ、夜だし、保冷バッグと保冷剤でなんとか」
「保冷バッグ???」
「あ、暑いって、兄貴の話か」
「え、じゃあ、お前は何の話してんの?」
「買って来る食材の話」
 冷蔵庫しまってから改めて玄関行ってやりましょうとか、そんなの意味ねぇだろ。と言われてしまえば、確かにと頷くしかない。
「兄貴が暑いってのも、まぁ、夜だし。熱中症とかヤバそうって思ったら、ちゃんと途中で場所変えるからさ」
 そんな場所で興奮が増すのは自分の方、という認識があるから、取り敢えずやってみようと相手の方が乗り気なのは、正直言ってホッとする。

続きました→

 
 
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