ご飯担当の繁殖期1

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 自分もスリットの訓練とやらに着手するべきと判断したのは、番を得てから2度目の繁殖期が終わったあたりだった。
 3度目がくる前に相手の繁殖期が来るのがわかっていたのと、体格差的に訓練に時間がかかる可能性が高いことを考えたら、準備は早めに開始したほうがいいだろう。
 そんな気になったのは、2度の自身の繁殖期で相手が気持ちよさそうに喘いでいたから。つまり、スリットを訓練すれば受け止める側もきちんと気持ち良くなれると知ってしまった、というのも大きいかも知れない。
 体格差という不安要素が大きいのも事実で、相手に自分を抱く気がない可能性が高いのもわかっていたから、先にニンゲンに相談してみた。
「俺に訓練手伝ってって話なら喜んで! って言いたいとこだけど、そんなことはしなくていいって言いそう」
「知ってる。俺、そう思う、同じ」
「つまり内緒で訓練したいってこと?」
 その発想はなかった。驚いてしまえば、説得したい方? と聞き直されて、何度も首を縦に振ってしまう。
 ただ、内緒で訓練してしまうというのも、なくはない、かもしれない。
「内緒、訓練する、出来るか?」
「そりゃ出来るんじゃないの。日中は俺ら2人きりなことが殆どなわけだし」
 スリットに突っ込んでも平気な体を作っておいて、繁殖期になってから差し出せば、なし崩し的に受け入れてしまう可能性はあるだろうか。自分がそうだったように、繁殖期真っ最中の発情した体と頭なら、平時なら断るようなことでも受け入れてしまう確率が高い。
 いやでも、薬を使って発情させた体でニンゲンの餌になりに行くようなヒトだし、それに許可が降りたことを考えたら、発情中でも相当理性が利くタイプなんだろう。
 たとえ内緒のスリット訓練が上手く行っても、普通に拒否される可能性もそこそこ高いような気がする。
「内緒とかワクワクするけど、相手あいつだしと思ったら、やっぱ許可とってからのが良くないか?」
 悩んでしまったからか、そんな事を言って、バレたら俺も一緒に怒られそうと笑っている。
 確かにそうだと頷いて、説得する方で考えると伝えれば、相手もそれがいいと頷いてくれた。
「けど説得する、どうする?」
「とりあえずは正直に、好きになったから抱かれたい、って言ってみたらいいんじゃないのか。好きな相手の発情を受け止めるのは嬉しいもの、って気持ちはあいつも知ってるしわけだし」
 必要ないって理由では断れないだろと言われて、確かにとは思ったのだけど。
「好きなった、から、抱かれたい……?」
「ん? そういう話だよな?」
 そう、だろうか。行為中、確かに好きだと言い合うこともあるのだけれど、繁殖期外で言い合ったことはない。どちらかというと、本来なら相手をお願いできるような立場ではないヒトに突っ込むための体裁みたいなもの、という認識のほうが強かった。
「好きになったから発情受け止めたい、って理由じゃないなら、必要ないって断られても仕方ないだろ。俺に抱かせる気がないどころか、指も舌も突っ込むなって言うくらい、大事にされてんのに」
 仕事だとか興味本位とかで弄らない方がいい場所なんだろとスリット部あたりを指さされて、それはそうと頷くしかない。
「好きであいつに抱かれたいのか、スリットで気持ちよくなるのに興味があるだけなのか、まずはそこはっきりさせよう」
 スリットで気持ちよくなってみたいだけでも手伝ってはくれる、らしい。

続きます

 
 
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Mさんへ(メルフォお返事)

「聞きたいことは色々」にたくさんの感想をありがとうございました。
円満3Pなどを目論んだせいで、書いても書いてもエンドが見えなくて若干後悔もあったんですけど、読み応えがあったと言っていただけて良かったです。

長くなったのは攻めがポンコツすぎたってのも要因の一つだと思ってますが、これも、どっかオカシクないと当たり前に3Pとか無理でしょみたいなイメージを私が持ってるせいですね。苦笑。
お兄さんはそこまで変なとこ表に出なかったですけど、というかプレイ内容を描写しなかったですけど、視点の主に合わせてかなり加減してくれてた状態でさえ双頭ディルドがどうとかって話がポロリしてるくらいには、やっぱりかなり変な人ではあるんですよね。
というわけで、ほんと、3P書いてみたいとか思ったせいで大変な目にあいました。

私も途中何度か、このままお兄さんと幸せになってもいいのでは……とか思ってしまいましたが、そうすると問題抱えた攻めを放置することになってしまうので、3人で円満にを目指して始めたことだからと初志貫徹頑張りました。
なので、途中から攻めが可愛く感じ始めたと言ってもらえたのも嬉しかったです。
実は、「親切なお隣さん」に出てきた問題抱えてそうな弟を放置したのも結構気になってまして。未だに、あの子にもいい出会いがあるといいなぁと考えてしまいます。

私は自作するのは甘い卵焼きが多いですが、外で食べるのは出汁が染みた卵焼きが好きです。味付けにこだわりはあまりなくて、出汁が滲み出てくるようなのだと嬉しくなります。
というか自作で出汁じゅわじゅわしてるのが作れないだけって話でもありますね。笑。

竜人シリーズは人間からお世話係の小さな竜人に視点を変えて、あれこれ考えてたその後を繁殖期に絡めてババっと(ダラダラ長くならずに)書けたらいいなと思っているので、こちらもお付き合いよろしくお願いします〜

 
 
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お世話係の繁殖期7(終)

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 番になったのは休みを取るためで、本当の番はニンゲンの方で、同席するのはニンゲンを守るためだったはずだ。
 なのにニンゲンが眠るその横で、気づけば雇い主である男の巨躯に乗り上げ腹を合わせていて、つまりは相手のスリットに自身のペニスを突っ込んでいる。
 充分に評価はされていると思っているが、そこに愛だの恋だの日々を共に過ごしたいだのといった好意はなかったはずで、というか彼にとってのそういう相手がニンゲンなはずで、ほんと意味がわからない。
 あれこれ言われたけれど結局一番の理由は多分好奇心で、魔法を解いて元の姿になったのだって、時間や体の造りだけの問題ではないと思う。そういうとこあるよね、という諦めに似た気持ちで応じてしまったが、繁殖期でなかったら断り切れたと思うから、やっぱり繁殖期というのは色々と厄介だと思う。
 繁殖期を持て余すタイプではなかったから、繁殖期にまつわる厄介事は、今まではチラチラと溢れ聞くだけだったのに。
 かといって、断りきれずに応じたことを悔いているわけでもなかった。
 締め付けて射精を促すように中が動く、という意味ではニンゲンの口だったり腹の中の方が気持ちが良かったけれど、スリットの中、相手の性器とゴリゴリこすれる感じは別の気持ちよさがある。
 もっと言うなら、さっきまではニンゲンが積極的に動いて気持ちよくなっていたけれど、今は自分の動きで相手を気持ちよくしている、という高揚感もある。
 といっても、本当に気持ちがいい思いをしているのかは謎だった。余裕そうだった口数が減って、溢す息が甘やかに変わったというだけだからだ。
 体格差がありすぎて、顔を上げても相手の表情は確かめられない。
 多分、気持ちがいいんだろう。とは思うけれど、これも正直意味がわからなかった。
 竜人のオス同士のペアについて、好きな相手の発情を受け止めるのは喜ばしいことだ、という話は結構有名だと思うけれど、受け止める側が気持ちの良い思いをしているなんて話は聞いたことがない。
 ニンゲンが舌や指を突っ込んで広げたらしいから、その過程で開発されてしまったってことだろうか。ニンゲンだって、穴の中を擦られて絶頂するくらい気持ちよくなっていたわけだし。
 開発されたのは人の姿時のお尻の穴、という可能性もあるだろうか。発語と同じように、人の姿になれる者だけが、スリットで気持ちよくなれるのかもしれないとも思う。
 少なくとも、開発済みじゃなきゃこんなに簡単に突っ込めなかっただろうことだけは確かだ。事前に何か準備をしたのかもしれないが、比較的すんなり開いてペニスを飲み込んだと思うし、痛がる様子もなかった。
 普段ニンゲンのを受け入れているなら、自分のサイズなんて余裕だろうとも思うけれど。だってさっき見たニンゲンの勃起ペニスは、自分のペニスより太さも長さもあったから。
「気持ちよくなれないか?」
「気持ちはいいです」
 ニンゲンが寝ているので、使うのは竜族の言葉だ。
「なら集中できないのか」
 たしかにそうかも知れない。熱に浮かされて頭の中がぐらつく様子はないし、そこそこ思考出来ている気もする。
「スリット突っ込まれるの、気持ちいいんですか? というのが気になって」
「ああ、うん。気持ちいいよ」
「初耳です」
「だろうな。俺に限らず、訓練すれば発情がなくても気持ちよくなれると思うが、周知したい情報ではないから黙っておけよ」
 好きな相手と繋がるために、想いあった相手に弄って広げてもらう過程が重要、らしい。基本的には、たとえ痛くても繋がりたい、という気持ちの先に辿り着くものだと思うとも言っていた。
 ということは、人の姿を取れるかはあまり関係がなさそうだ。
「なのに、想い合っても居ない相手に突っ込まれて気持ちよくなってていいんですか?」
「想い合ってるだろう?」
 声が明らかに笑っている。
「それも初耳ですね」
「まぁ好奇心もあるが、受け入れてみてもいいと思ったくらいには、好きだよ」
 最後の「好きだよ」を甘ったるく囁かれて、ヒトが悪いなとは思うのだけど。大半が好奇心のくせにと思う気持ちもあるのだけど。
「あなたが私の番を続ける限り、私もあなたが好きですよ」
 ニンゲンと関わる今の生活を続ける限り、他に番いたい相手なんか出来ようはずもないし、繁殖期の相手をこのヒトがすることをニンゲンが嫌がる素振りもなかったし、番だからという理由でこのヒトを好きで居ても良いんだろう。
 多分、きっと。

続きました→

 
 
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お世話係の繁殖期6

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 何度か口に吐き出したあとは仰向けに寝転がって、ニンゲンがお腹の上でユルユルと腰を揺すった。当然ペニスはニンゲンのお腹の中で、キュウキュウと締め付け中に吐き出せと蠢く腸内は、やっぱりとてもキモチガイイ。
 頭の中はグラグラするが、さすがにもう、気持ちよさに身を委ねて導かれるまま精を吐き出せばいいのだとわかっている。シーツを握って極力動かないように務めていれば、最初は肩を押さえていた力が消えた。
 肩を押さえていた手はニンゲンのペニスを握って、腰を揺するのに合わせて扱き出す。
「ぁ、あっ、それ、きもちぃ」
 気持ちよさそうに喘いでいたニンゲンが、ますます気持ち良さげに甘やかな声をあげた。だけでなく、腕を伸ばして傍らの男を捕まえる。
 引き寄せて軽く顎を突き出し、どうやらキスをねだっているらしい。
「あ、あっ、んんっ、んっ」
 あっさり応じた男はキスをしながら器用にペニスを扱き続けていて、ニンゲンの体がビクビクと戦慄いている。連動するように穴の締付けも増したから、こちらもますます気持ちがいい。
「ぁ、も、イクっ、いきそぉ」
 そんな声が漏れきこえて、腰の動きが激しくなっていくから、こちらももう持ちそうにない。
「はぁ……も、出そう」
 一応の申告はどうやらしっかり聞き取られたらしく、チラリと視線を落としてきた男に頷かれて精を放った。
「あぁぁっっ」
「ううっ」
 腹の中でも吐き出された熱を感じるのだろうか。こちらが吐き出すと同時に搾り取らんとばかりにギュウウと強い締付けが起きたが、その後はふわっと弛緩する。
 多分ほぼほぼ同時に果てたのだ。果てた後も弄られ続けるとさすがにじっとしてられないだろうから、同時に果てられるように調整してくれたのかもしれない。
 まだ体は繋がったままだけれど、このまましばらく休憩するのだろうか。ニンゲンが動きを止めているので、こちらも小さく息を吐いて体から力を抜いたのだけれど、何やら2人の様子がおかしい。
「何、あった」
「出た」
「でた?」
「射精したんだ」
「しゃせぇ」
「いやこれ射精か?」
 色薄すぎと言いながら男の手の平を覗き込んでいる。どうやらその手の平の上に、ニンゲンが吐き出したものが乗っているらしい。
「おめでとう?」
「そうだな。お前のおかげだな。というか意識はしっかりしてるのか?」
 まだまだ足りないと思う気持ちもあるが、果てた直後で少し頭の熱も冷めている。その手の平の上のものをどうにかするくらいは充分待てそうだった。
「多分。休憩する、できる」
「そうか。じゃあ一旦休憩だ」
 ベッドを離れるが大丈夫だなという確認に頷けば、男はそそくさとベッドを降りていった。
「俺も降りるけど動いて平気か?」
 そちらにも頷けば、ニンゲンがゆっくりと体の繋がりを解いていく。ゆっくりだけどどうしてもペニスが扱かれて、ゾワゾワとした快感が走ってしまう。冷めた熱があっさりぶり返しそうで危ない。
「うぅ〜」
 歯を食いしばってシーツを握りしめて耐えれば、えらいえらいと褒められた。
 このニンゲンの倍近くは生きているのに、体が小さいせいか、ニンゲンの言葉が流暢に話せないせいか、時々幼い子供のように扱われている気配がある。まぁ別にいいんだけど。
「てか休憩ってことは寝るのか?」
 チラと確認した時刻は朝が近いけれど、眠気は全く感じていない。
「寝るしない。平気」
「マジか」
「お前は少し寝たらどうだ。さすがに眠いんだろう?」
 ベッドを降りたと言ってもこちらの会話は聞いていたようで、少し離れた場所から声が飛んできた。
「お前らは起きてるのに?」
「人間の体では多分無理だと言ってる。こいつの繁殖期にずっと付き合う必要はないし、食べたりないからもっと、ってわけじゃないなら一旦眠るといい」
「あー……4日くらい続くんだっけ」
「そうだ。期間中は食事も睡眠も基本後回しでサカる」
「なら俺が寝てる間、どうすんの?」
「俺が相手をする」
「へぇ。それはそれでちょっと見たい気がするな」
 絵面過ごそうと言ってニンゲンが笑う。その笑い声を聞きながら、あれ? と思う。
 2人の会話をぼんやりと聞いていたが、今、何やら想定外の話が出なかっただろうか。
「俺、一人でする、できる」
 ニンゲンには当然休息が必要で、最初からこちらの繁殖期にずっと付き合わせる気はなかった。ニンゲンが寝ている間は一人で処理するものだと思っていたし、ニンゲンが時折排泄をするようになってからは部屋の隅に仕切りを置いて簡易的なトイレを作ったから、そこに移動すればいいかと思っていた。
 さすがに雇い主に見られながら一人で処理するのは躊躇われるし、かといって万が一を考えたら雇い主はニンゲンの傍からは離れられないだろう。
 ついでに言うなら、お腹がいっぱいになったからもういいと途中で拒絶される可能性も考えていたくらいで、自室にもある程度、一人で引きこもる時用の支度をしてある。途中で追い出されても自室までたどり着ければ問題ないし、自室までの誘導くらいなら雇い主が請け負ってくれるはずだ。
「お前寝る、俺、トイレいく。一人でする、できる」
 2人の視線が自分に向いたので、トイレのある方を指さしながら再度繰り返した。

続きました→

 
 
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お世話係の繁殖期5

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 緊張がすごいから思ったより時間がかかるかもしれない。なんて言われたものの、夜が耽る頃にはしっかり発情が始まって、露出したペニスを興奮気味にあれこれ観察されたあと、ぱくりと口に含まれ慄いた。
 咄嗟に引き剥がそうと動いた手は、いつの間にか背後に回っていた雇い主に握られ、危ないから動かないでと優しく諭される。
「大丈夫。牙ないし噛みつかないし、上手に気持ちよくしてくれるから」
 久々に直接食べるご飯だから何回かはそのまま食べさせてあげてと言われて、そうだ食事だ、と頭の端の方で理解はするのだけれど。実際に食べられるというのは、視覚にしろ触覚にしろあまりに刺激的で、頭の中が茹だるみたいにぐらついてじっとしているのが難しい。
 捕まえててくれて良かったと思う程度の理性はまだあるが、この先を思って不安が募る。だって始まったばかりなのに。こんな感覚がこの先もまだまだ続くなら、最後まで理性が保つ自信がない。
「ぁ、あっ、ぁあ」
「キモチイイだろう?」
「こわい、きもちぃすごいの、こわい。ナニコレ」
「口の中で舌を絡ませて扱いたり吸ったりして、早く出せって急かしてるんだ」
 何をされてこんなに気持ちいいのかの説明と共に、そのままイッてしまえと促される。
「んぁあっっ」
 イッてしまえの言葉と連動するようにひときわ強く吸われて、ニンゲンの口の中であっさり果てた。
「ぁ、あ、あ、や、吸わないで、まって、まって」
 果てたばかりのペニスをそのまま舐め吸われてもがくが、当然、強い力で動きを止められて涙が滲む。
「うう、ぁ」
「おい、がっつきたいのはわかるが手加減してやれ」
「ん、あ、悪い、つい。ってもしかして泣かせた?」
 やっと刺激から解放されて、けれど起き上がったニンゲンがグッと顔を寄せてくるから、どうにも逃げ出したくてたまらない。さすがに捕まえててくれて良かったと、素直に思えそうにない。
 せめて顔を隠したいと思いながら、とりあえず俯いてその視線から逃げれば、ニンゲンの手が頭に乗って宥めるみたいにヨシヨシと何度も撫でられた。
「ごめん。泣かすつもりはなかった。てか絵面ヤバいな」
「なんだそれは」
「いやぁだってこれ、力付くで押さえつけてエロいことしてる状況だろ」
 押さえててくれなきゃ今頃俺の体が吹っ飛んでるんだろうってのもわかってるけど、と続けるニンゲンの声は随分としょぼくれている。
「止める?」
 聞かれて慌てて顔を上げ、まっすぐ見返し首を振った。
「お前、俺、美味しい良かった。けど、俺、食べられる少し怖い」
「ああうん、そうだな。がっつきすぎたよな。食べられるの初めてだもんな」
「ゆっくり食べる、する、お願い」
「わかった。気をつけるし、頑張る」
 もうやだ無理って言わないでくれてありがとなと言って、鼻の先にキスが落とされる。
「ゆっくりするから、もっかい口でしていい? それともお腹に直接のが気楽?」
「口、していい」
 栄養摂取という意味でならお腹に直前注ぐ方がいいんだろう。でも食事は食事でも空腹を満たす要素はほぼなくて、美味しく食事をしたという満足感を得てもらう要素が強いので、口から食べたいというニンゲンの気持ちに寄り添いたかった。
 それと純粋な性的欲求。だってびっくりするほど気持ちが良かった。頭の中が沸騰して、怖くて不安になるほどの気持ちよさなんて、初めてだった。
 理性が保つ自信はないが、ニンゲンを害する前に絶対に止めてくれるヒトが同席している、という安心感はあるから、もっと先を知りたいと思う。
 繁殖期真っ只中じゃなきゃ、これ以上は止めておくと言えたかもしれないけれど。でももう、体は発情してしまっている。

続きました→

 
 
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お世話係の繁殖期4

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 最初のうちは人型のほうが良さそうだと言って、ベッドに上る直前に姿を変えた雇い主は、ニンゲンのお尻の穴に指を入れて解している。発情しないから、事前にそういった処置が必要なんだそうだ。
 ふっくらとした肉の谷間に存在するから、人型のほうが圧倒的に便利、らしい。
 ニンゲンと関わるようになって爪の先を少し丸く削るようにはなったけれど、肉の谷間以前に、この指をそんなところに突っ込むなんて確かに考えられない。
 そしてニンゲンの方はというと、まだ発情前のスリットに興味津々で顔を寄せている。だけでなく、早く出てこいと言いたげに撫でたり指先を引っ掛けたりされている。あと、しきりに匂いを嗅がれていて、なんとも恥ずかしい。
「結構固いな」
「かたい?」
「匂いも薄いし」
「匂いかぐ、しなくていい」
「やだ。まだ薄いけどちゃんと美味そうだ」
「美味そう???」
「うん。楽しみ」
 ためらいなく肯定されて、そういや彼にとってこれは食事だったと思い出す。
「まだ始まってないのと、慣れてないからだろう」
「つまりお前は最初っから慣れてた?」
「なわけがあるか」
 お前が舌を突っ込んだのは事後だろうと続いた言葉にビクッと体が跳ねてしまった。
 事後に? 舌を突っ込む?? スリットに???
「事後じゃなくてもけっこうユルユルだったような」
「だからそれは慣れだろう。食事を与えに来るたび弄られてたんだぞ」
 一晩でおおよそ何度射精したか的な報告は、食事量という意味で聞いていたし、気持ちの伴った交合の重要性なども聞いてはいたが、行為の詳細なんて聞いたことがなかったし、当然、翌朝そんな真似をされていたのも初耳だ。
 そういやニンゲンが勃起した際には受け止めてもいるんだったか。ユルユルなのか、スリット。じゃなきゃ入らないか。
 未だ射精はしないらしいが、今回自分が相手をすることで何某かの変化が起こるのでは、という期待があるのも知っている。もちろん、応じる一番の理由はニンゲンが喜ぶからではあるけれど、過度ではない期待はニンゲンの雄と交わる後押しになっているとも思う。上からの否定を跳ね除けてニンゲンを抱ける強さはない。
 食べたいと言われた、という報告を聞いたその晩には、自身を提供してみるという実験を強行したこの人はやはり決断力も行動力も凄すぎる。絶対反対されたと思うのに。
 なんて考えを見透かしたみたいに、思わず見つめていた先で一瞬視線が絡んだあと、めちゃくちゃ意味深に笑われてしまってドキドキが加速する。人の姿をしているせいで、表情表現が豊かなのも良くないし、純粋にやっぱり見慣れないせいも大きいとは思うけど。
「舐めるくらいはしていいが、舌は突っ込んでやるなよ。あと指も入れるな。撫でるだけにしてやれ」
 勝手に舐める許可を与えていて、意味深な顔の意味はそれかと思う。いやまぁ舌も指も突っ込むなとは言ってくれてるけれども。
「ええ〜」
「お前にこいつを抱かせる気はないからな。というか体格差を考えてやれ」
 ニンゲンが勃起した際に抱かれろ、なんて命令が下るわけがないし、拒否権は当然あるんだろうけど。ただ、ニンゲンにどうしてもと頼まれてしまったときに、断りきれる自信はない。
 届けは出せなくても彼らは番だと思っているし、どうせなら体格差云々ではなく、自分が嫌だからとか言っといてくれればいいのに。今回自分が応じなかったら、独占欲やら嫉妬やらを伝えれば納得するはずとか言っていたのだから。
「まぁそれはそうだけど。でも人間は大きな男の相手を小柄な女性がってのも普通だったぞ?」
 竜人は体格差あるカップルいないの? 見合い相手は自分と同じか大きいのばっかり相手にするの? などと、ニンゲンの興味がこちらの繁殖に向いてしまった。いやまぁ繁殖と言うよりは、他のカップルが繁殖期にどんな行為をしているかという興味でしかないんだろうけれど。
「体格差のあるカップルもいなくはないが、体格が大きな者が自分より小柄な者のスリットに突っ込んでいるかは知らないな。雌が見合いで、自分より圧倒的に大きな雄を選んだ話も聞いたことがない」
「そっか。やっぱ慣らして広げるにしても、この手じゃ難しいか」
 言いながらこちらの手を取り、指先をぺろりと舐めていく。ふふっと嬉しげに笑うのは、彼のために爪の先を丸く研いでいるのを知っているからだろう。

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