可愛いが好きで何が悪い52

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「あああっっ、ちょ、あっ、はげ、し」
 さっきとはまたちょっと違った、別種の怖さにさらされて、慌てて握ったペニスをしごく。
「ごめんね。さすがにもぅ、俺も、限界で」
 気配は獰猛で、そのくせ、目に映る顔はなんだか情けなく眉尻をへにょりと落としている。
「ばぁか、あ、も、お前は、可愛く笑っとけ、ってぇ」
 何それと苦笑する顔もどこか苦しげで、そんな顔が見たいわけじゃないのにと思う。
 一緒にイッてに頷いたそれは、さっき見せた、満たされてとろける彼と一緒に、ってつもりだった。ペニスを扱いて気持ちよくなっていいなら、同じくらい、満たされてとろけるような気持ちよさとともに、一緒に果てれると思ったからだ。
 相手に合わせてイクつもりが有るから、片手はそのままペニスを握って扱きながらも、もう片手を彼に向かって必死に伸ばす。すぐに前傾してくれた相手の肩を引き寄せながら、その唇を塞ぎに行った。
 触れる前から薄く開いた唇の隙間、躊躇うこと無く伸びてくる相手の舌を絡め取って強く吸う。こんながっつくキスをこちらから仕掛けたことはなかったから、相手は少し驚いたようだったけれど、でも突き放されることはなかった。
「ぅうっっ」
 痛いかもってくらいにチュウチュウ吸ったらさすがに呻かれたけど、それでも顔を離されることはなく、こちらの好きにさせてくれる。ただし、お尻の中を擦る相手のペニスの勢いは、落ちるどころかむしろ増していた。
 単に、腰を振るのに集中したい、というのを実践されてるだけなんだろうけど。だって、好きに舌を吸わせてくれるけど、こちらの口の中をその舌で弄って感じさせようとする気配はない。
「んっ、んっ、んっっ」
 相手の舌を吸うのに必死になって、かなり酸欠になっているのは感じる。頭の中がぼんやりして、勢いよく奥を突かれるとじんわりと痛いのに、痛いはずなのに、頭のどこかではその痛みが気持ちいいって思い始めている。
「っぁ、激しくても、ちゃんと、きも、ちぃ、から」
 お前はもっと安心して気持ちよくなっていい。とまでは言わず、一方的にそれだけ告げて、再度相手の口を塞いでしまう。ついでに、肩を掴んでいた手を相手の後頭部に回して抱え込んだ。だけでなく、手探りで相手の髪をひとまとめにしている髪ゴムを引っ張った。
 スルッと抜けてきた髪ゴムはそこらに放って、幾分湿ったままの相手の髪を梳いてやる。気持ち的には愛しさを込めて。だけど、状況的にそこまで優しい手付きにはなっていないだろう自覚はある。
 こちらの行動が意味不明すぎたんだろう。限界と言いながら激しく腰を振っていたはずの相手が、とうとう触れる唇も髪を梳く手も振り切って、寄せていた上体を起こしてしまう。止まってしまった訳では無いが、腰の動きも随分と緩やかになった。
「ぁ……」
 そのまま果ててしまえと思う気持ちがないわけじゃなかったから、相手の興奮を削いでしまったらしいことを少し残念に思う。けれど、困惑しながらも頬を上気させてこちらを見つめる相手の、水分量が増して潤む瞳には、胸の奥が満たされる思いがした。
 満たされて、ふっ、と笑うような息を吐く。
「一緒にイクなら、可愛いお前とが、いい」
「なに、それ」
 こちらの目的を知らせれば、相手は困惑を深くする。やはりまだ言葉が足りないらしい。
「獰猛で、雄っぽくても、お前は結局可愛い。……って、言ってやろうと思ってた」
 実際ちょっと可愛くなってると指摘してやれば、ますます狼狽えたらしい。
「ちょ、っとぉ」
 狼狽えてとうとう腰の動きが止まってしまったので、煽るようにこちらから腰を揺すって見せつけるようにペニスを扱いて見せれば、不満そうに声を上げる。でも腰を掴んで動きを止めに来たりはしなかった。
 とはいえ、こちらもまだ色々と言い足りないので、そのまま煽り続けることはしないけれど。
「も、げんかい、だろ? いつイッてもいい。けど、お前も、ちゃんと、言えよ」
「気持ちぃイッちゃうーって?」
「そう」
「言ったら、俺がイクのに合わせて、一緒にイッてくれんの?」
「まぁ、努力は、する」
「なんか、本当に出来ちゃいそうで怖いんだけど」
「自分でちんこ扱いてんだから、そう難しくもないだろ。多分」
「激しくされても、ほんとに、ちゃんと気持ちぃの?」
 さっきそう言ってたよねと確認されて、奥の方突かれるとちょっと痛いと正直に告げる。
「でもその痛いのが、気持ちぃ、みたいなのも、ある」
 正直ついでにそこまで言えば、俺たち体の相性良すぎじゃないのと、困ったみたいに笑う。そこは困るんじゃなくて喜んどけよ。
「それは喜ぶとこだろーが」
 思ったまま口から出た。
「うん。確かにそう」
「お前、俺から離れる気、ないんだろ?」
「そりゃ、俺はそのつもり、だけど」
「良かったな。俺が、お前と離れられないくらい、気持ちよくなれそぉで」
「ねぇ、俺を煽るの天才過ぎない?」
「わかったら、そろそろ観念して可愛く喘げよ」
 こっちだってそろそろ限界なんだけどと言いながら、再度腰を揺らしながらペニスを扱いて見せる。
「そこで俺に可愛く喘げって言い切るのが、ほんと、たまんないよね」
 突っ込まれてお尻気持ちくなって喘ぎまくってるのそっちなのにと指摘されても、それでこちらの訴えが翻ることなんてない。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い51

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 じゃあ動くねと言って、足を抱え直されたあと、まずはゆっくりと腰が引かれていく。
「ぁあ……」
 それだけで腰に甘い痺れが走って、うっとりとした吐息が口から溢れてしまう。一度そこでの刺激で果てた、という経験が、確実に体を変えた気がする。
「一度イッて、中、なんかすごい敏感になってるよね」
「ああっっ」
 気持ちよさそうと指摘されながら、今度はぬるるとペニスが奥まで入り込んできて、それには明確に嬌声を上げてしまった。
 相手は再度、気持ちよさそうと満足気に言って、そのまま何度か緩やかにペニスを前後させている。
 相手の勃起ペニスを見たとき、おののくほど長大には感じなかったが、相手の肌が尻たぶに触れるくらいまで押し込まれると、さすがに相手のペニスの長さを意識させられる。
 奥のほうがなんだかジクジクとして、ガツガツ突かれたら多分間違いなく痛みで呻いていたと思う。明確に気持ちいいと感じるのはもっと手前側なのははっきりしていて、でも、ゆるやかに長いストロークで狙って前立腺を擦りながら奥までトンと柔らかに突かれると、前立腺で拾う快感に紛れてしまうのか、ジクジクとしたそれを痛みと認識することはなかった。
「奥も、そのうち気持ちよくなれそ、だね」
「ううっ」
 痛くないでしょと言われながら、押し込まれた時にさらにグッグッと奥の方を数度突かれて呻いたけれど、それでも確かに痛みはない。
「あー、奥の方、すごい、気持ちぃ。うねってるし、吸い付かれてる」
 さっきは彼のペニスにまとわりついて、キュッキュと締め付けてしまう自身の腸内の動きを自覚出来ていたけれど、今は彼が動いているせいか、そこまではっきりと、体の奥の動きを感じ取ってはいなかった。奥ではあれ以上の動きで、彼のペニスに絡みついているということだろうか。
「っはぁ、感じてるお尻の中、やばい、ね」
 ちゃんとお尻気持ちよくなってる、ってのがもう色々ヤバいんだけど、と言いながら、今度は腰を引いて前立腺ばかりを狙って擦ってくる。
「あ、あっ、それ」
「うん、一番キモチぃとこ」
 当たってるでしょと言われて思わず何度も頷いてしまえば、いっぱい突いてあげるって約束したもんねと返ってきた。
 声は随分と甘ったるくて、でも、気配がどこかギラついている。
「っふ」
 前立腺で感じることに少し慣れてきたのもあるんだろう。雄臭いと思ったら小さく笑ってしまって、でも、相手はもう、この場面で笑うのかとむくれたりはしなかった。しかし、笑われて何も感じなかったわけじゃないのは明白だ。
「あ、あっ、アッ」
「そんな余裕かましてると、また、お尻だけでイカされちゃうかもよ? いいの?」
 さっきトコロテンしてしまった時と同じくらいのスピードで、グッグッと前立腺を押し込まれて、次々と声が溢れてしまう。
 ただ、相手は本当に腰を振るのに集中していて、他の感じる場所を同時に刺激されては居ない。それに、一度吐き出した体は、そう簡単に何かがせり上げってくるような状態でもない。
「ね、本当にもっかい、お尻だけでイクの?」
 そう聞かれるのにはちゃんと理由がある。その理由はわかっている。
 次はペニスで気持ちよくなっていいよって言われて、自身のペニスを握った状態では有るんだけど。一応勃起してるし、再度射精も出来そうではあるんだけど。
「そ、じゃないけど。まだ、怖く、ない」
 このペニスを扱いて気持ちよく果ててしまったら、今度こそ終わりだとわかっていたから、手を動かしてはいなかった。
「じゃあ、怖くなったら、おちんちん扱いて。あと、イクときは、ちゃんとイクって言って、ね」
 もっかいトコロテン見せてくれてもいいけどねと言いながら、また奥の方までペニスが押し込まれてくる。ただスピードがさっきとは段違いに早い上に、ストロークも長い。
 抜けてしまうのではと思うほどに引き抜かれた後、グッと奥まで勢いよく押し込まれると、ゴリゴリ擦られた前立腺を起点に、強い快感がお腹の奥で弾けてしまう。甘い痺れが腰を覆う。
 やはり奥を勢いよく突かれると鈍い痛みを感じたけれど、その痛みすら、快感に転嫁しそうだった。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い50

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 イッた後だし刺激強すぎたら教えてと言われながら、そっと相手の手がペニスを握り込む。
「ぁんっっ」
 小さく上げてしまった声は甘ったるく、間違いなく期待が滲んでいたと思う。
「痛くない?」
「ない」
「気持ちぃ?」
「きも、ちい」
 トコロテンだろうが射精後には間違いなくて、けれど柔らかくなったペニスを、硬度を確かめるみたいにふにふにと揉まれても、握っているとは言い難いくらいふわりと包み込んだ手がゆるゆると上下しても、それらはちっとも辛い刺激には感じていなかった。むしろ、相当気遣われているらしい優しい刺激は、ちゃんと気持ちがいい。
 気持ちがいいと伝えれば、相手は嬉しそうに顔をとろかせていたけど、でもやっぱりそう余裕があるわけではないらしい。もしくは、やっとペニスという慣れた場所で気持ちよくなっていいと言われて、期待と安堵であっさりと、再度体の熱を上げていくこちらに、相手も煽られてしまった結果かもしれないけど。
 だって、気持ち良さに腹や尻に力が入ってしまうのは仕方がないし、尻には彼の勃起ペニスが入りっぱなしだった。
 尻の中のイイトコロにがっつり触れてはいなくても、グニグニと尻の中が動いてしまえば、キモチイイところにしっかり触れる瞬間が有る。むしろ触れていないからこそ、こちらの体が必至に彼のペニスに絡みついて、もっといい場所へと誘導したがっているのかも知れない。そう思ってしまうくらいに、彼のペニスにまとわりついてキュッキュと締め付けている自覚があった。
 動いてないし変に煽られなきゃ余裕と言っていたけど、まぁ間違いなく、いまもその余裕が続いてはいないだろう。
 自ら煽っているつもりはないし、そもそも相手の手に体が反応した結果ってだけだけど。ペニスで気持ちよくなっていいよって言われて、弄られてるのはペニスだけなのに、尻で快感を拾おうとする自身の体に驚きがないわけじゃないけど。
 ただ、自分だけが興奮させられているわけじゃないとわかるし、相手の興奮から、こちらの体の反応を喜ばれているのもわかるから、胸のうちに湧くのは喜びと安堵ばっかりだった。
 初めての抱かれるセックスでトコロテンを決めた、という事実を前にすれば、現状にはもう、戸惑いも不安も恐怖もわかない。今度こそ、ただただ気持ちよく昇り詰めて果てれるはずだという、期待が大きく膨らんでも居た。
「ねぇ」
「いい、ぞ」
 甘ったるい声に呼ばれて、ねだられる前に許可を出せば、相手はまだ何も言ってないのにと言いながらも、嬉しそうに笑う。
「動いて、いい。多分、も、俺も、いける」
 ゆるふわな刺激で再度昂ぶった体は、このまま刺激を強くされれば2度目の射精が可能だと思う。
「今度は、俺と一緒に、イッてくれる?」
「ああ」
「じゃあさ、」
 ペニスを握るのとは反対の手が伸びてきて、手首を掴まれる。導かれた先は、彼の手が握る自身のペニスだった。
「これ、自分で扱いて、気持ちよくなって。って言ったら、してくれる?」
「お前は?」
「お尻ズコズコしながら、一緒にイくタイミング、はかりたい」
「あー……一緒にイッて、って、そういう」
「そう。そういうつもりで聞いてた」
 無理そうならいいよと続いたから、無茶振りしてる自覚は有るのかも知れない。
 彼に抱かれながらオナニーをして見せろと言われてるに近い要求だし、お前が気持ち良くしてくれるんじゃないのか的な期待がないわけでもなかったけど、そう悪い提案でもないなと思ったから了承した。
「いいんだ?」
「まぁ、自分の手で気持ちよくなる方が、慣れてるし。お前がそれ見て興奮すんのもわかってるし。腰ふるのに集中したい、って気持ちもわからなくないし。あとまぁ、……」
 いやそれは言わなくていいか。と思って口を閉じたけれど、思わずで言いかけて止めたから、相手は続きを聞きたがる。
「あとまぁ、何?」
「あー……」
「え、ますます気になる」
「その、お前わかってると思うけど、俺、尻でもかなり気持ちよくなれてるから、」
「あ、わかった。俺はお尻ズコズコするのに集中してていいから、お前のお尻もちゃんと気持ち良くして、ってことか」
 途中でこちらの言葉を奪って、言いにくかったことを言ってくれた。まぁ、わかった、だけで止めてくれても良かったんだけど。でも当たってるかの確認を取っておきたい気持ちもわかる。
「まぁ、そう」
「元々そのつもりだったけど、じゃあ、任せて、って言っておこうか」
「嫌な自信だな。けど、そう言ったからには、期待、するからな?」
「いいよ。だってもう、お前のキモチイところ、ちゃんとわかってるもん」
 またいっぱい突いてあげると言われても、やっぱりもう、恐怖なんてわかなかった。前立腺を刺激されながら、自らペニスを扱いて快感を追ったら、一体どれだけ気持ちよくなれるんだろう。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い49

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 他者の手で絶頂に導かれるにしても、外からの刺激で吐き出すのと、内側からの刺激で押し出されるのとでは全然違う。体の中に溜まっていたキモチイイをやっと吐き出せたのに、体の中はまだじんわりとキモチイイが残っている気がする。いやでもこれは、一緒にイクことはしなかったらしい相手の硬いままのペニスが、未だそこに存在しているせいかも知れない。
 動きは止まっているし、お尻の中のイイトコロにはあまり当たらないようにしてくれているっぽいけど。でも、敏感になった腸内は、イイトコロにピンポイントで当たって無くても、動いて無くても、そこに有るだけでキモチイイを拾ってしまうようだ。
 それに、ペニスに触れられないまま出した、というのも原因の一つかもしれない。どうやら、射精欲が満たされてスッキリ、という賢者タイムは来ないらしい。
「少しは落ち着いた?」
 ぼんやりと見上げていた相手が、こちらの呼吸がある程度整うのを待ってそう声をかけてくる。ちなみに、可愛かったとか、怖かったのにありがとうとか、最高とか、大好きとか、手放しの称賛っぽい言葉は果てた直後に大量にもらっていたが、それらにまともに反応できないくらいには衝撃で呆けていたから、相手はすぐに口を閉じて落ち着くのをずっと待ってくれていた。
 こちらが果てて脱力した後、視界に映る相手はずっとニコニコと嬉しそうで、満足げだ。口を閉じる前も、閉じた後も。嬉しくてたまらない気持ちが、溢れまくってダダ漏れだった。
 ただ、お腹の中に抱える相手のペニスが萎えていないのははっきりと感じているし、相手がまとう気配も若干ギラついた雄臭さが残っているしで、実のところ、全く安心感はない。
 無事に相手が望む形で果てれてよかった、とか。嬉しそうで良かった、とか。そういう満足感の中で目を閉じて終えたい欲求は、間違いなく、叶えられることはないとわかっている。
 すでに相当待って貰っていることもわかってるし、こちらを刺激しないよう動かずにいるのは辛いだろうことも想像はできる。けど。
「ごめん、も、ちょっと、待って」
 前立腺を刺激されてペニスに触れないまま射精する、いわゆるトコロテンを経験したわけだけれど、病みつきになる気持ちよさだったかと言われるとやっぱり微妙だった。目の前がチカチカと爆ぜるような衝撃も、頭が真っ白になるような浮遊感も、間違いなく快感ではあったのだけど。無理やり押し出されていくような、何かが迫り上がってくるあの恐怖を忘れられない。
 あれをもう一度受け入れるには、覚悟を決めるための時間がもう少し欲しい。今度は怖いなんて口走ってなだめられるような、情けない事態をなるべく避けたい気持ちがある。
「もしかして、キモチイイより、怖いほうが勝っちゃった?」
 初めてのアナルセックスでそのままトコロテンしたことに、ただただ疲れているだけだと思っていただろう相手も、どうやらそうではないと気づいてしまったらしい。ニコニコと嬉しげだった顔が曇って、不安そうな顔になってしまった。
 そんな顔をさせたいわけじゃないし、気持ちよく果てたのだって事実なんだけど。
「いや……」
「本当に? むり、してない?」
 あんなに怖いって言ってたのに、止めずに続けて無理させたならごめん。
 そう言ってしょぼくれて肩を落としてしまうから、少しだけ腹が立ってしまった。
 受け入れたのはこちらで、止めろなんて言わなかったのに。謝られてしまったら、そんな姿を見せたことを余計に情けなく感じてしまう。相手は怖いと漏らすこちらを、さんざん宥めて大丈夫だの可愛いだのと繰り返して、最終的にはちゃんと絶頂にまで連れて行ったのだから、むしろその手腕を誇っていて欲しい。
「怖いなんて言うつもり、なかったんだよ。だからそれ、あんま蒸し返すなよ」
 情けないし恥ずかしいだろと言ったら、少し驚かれた後で苦笑されてしまう。
「そういや、途中で泣きごという想定がないとか、めちゃくちゃ男前なこと、言ってたね」
「そう。だからあれはできれば忘れてくれ」
「え、無理」
 即答された後、めちゃくちゃ可愛かったから絶対に忘れないとまで言われてしまった。
「お前の目、やっぱなんかオカシクないか?」
「えー、それ、ここで蒸し返す?」
「いやまぁ、抱いてる途中で怖い怖い言われても、それ見て可愛いって思えるのとか、萎えて中断しないのは、ある意味尊敬するけど」
「あー……もし立場逆だったら、そうなっちゃうのか。てことは、」
「お前が抱く側でやっぱ正解だよな」
 相手が何を言いたいか察してしまったので、割り込んで言われる前に言ってやる。
「だねぇ」
 同意されて、俺はかけらも萎えなかったよというから、それはわかってると返した。だって、今まさにそれをこの身で感じ続けている。
「てか結構平然と喋ってるけど、お前、イッてないのに辛くないの?」
「全く動いてないし、お前が変に煽ってこなきゃ、まぁ、余裕」
「そうなのか」
「むしろお前の方こそ、大丈夫なの? 抜けとか言わないし、俺がイッてないのわかってて、もうちょっと待ってって言うってことは、待ってたら続きさせてくれるって思っていいんだよね?」
「抜けって言ってよかったのか……」
「1回ずつイッて、ここで終わりにしたい?」
 手ぇ貸してくれる? と続いたから、終わりにしたいと言えば、彼の硬いままのペニスが本当にお腹の中から抜け出ていくんだろう。
 緩く首を振って否定して、覚悟決めるからもうちょっとだけ待ってとお願いする。
「覚悟、って?」
「次は、トコロテン怖い、とか、言わない覚悟」
 割と大真面目にそう考えているんだけど、相手は小さく吹き出している。まぁ、想定内の反応ではある。
「俺はまた、気持ちよくなるの怖いってなっても、全然構わないんだけど」
「俺が構う」
「だよね。じゃあ、次は怖くないエッチしようよ」
「なんだそれ」
「お尻気持ちよくなってたから、前立腺突いてイカせちゃったけど、初めてでトコロテンとかやっぱ難易度高かったよねって思って。お尻弄られながらでも、おちんちん扱いたら気持ちよくイケそうって、言ってたでしょ。イッちゃったら挿入つらくなるからって、ずっと我慢させちゃってたけどさ」
 そういや尻穴を解されている初期に、イッてしまうとその後が辛いからと言われて、勃起ペニスを放置されたんだったと思い出す。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い48

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 さっきまで突っ込まれていたのはバイブで、彼に指で直接その場所をいじられ確認されたわけではないのに、中のイイトコロというか前立腺はすぐに把握できたらしい。更には、強い刺激で気持ちよくイケる気がしなかったとか、最弱の方が良かったと言ったせいか、しっかりイイトコロにペニスの先端を擦り付けながらも、刺激そのものは激しくなく緩やかだ。
 つまりは、かなり的確に快感を引き出されていてたまらない。捏ねられ続ける前立腺を中心に、じゅわじゅわと快感が溢れ続けているような感覚が、怖いのにひたすら気持ちがいい。
「あ、あ、あっ」
 宣言通りにアンアン言わされている自覚はあるが、想像していたより数段甘く、ねっとりとした気配の中で喘がされている。もっとガツガツと突かれて、強い刺激にどうしようもなく泣き喘ぐような、そんな状況になるのだと思っていた。
「よかった、お尻気持ちぃの、すごい可愛い」
 うっそりと笑う顔は、相手もまた、強い快感の中にいるのだと教えてくれる。うっとりと嬉しげに笑う余裕は多分もう無くて、きっと、もっと激しく突き上げて自身の快楽を優先したい欲と戦っているのだと思う。さっきみた雄の顔が、チラチラと見え隠れしている。
 相手のそんな姿を見てしまっても、さすがにもう、自分の欲を優先させろよとは思わなかった。相手が何をしたくて、見たくて、必死に頑張っているかを知っているせいだ。
 ただ、知っているからといって、それを与える術を持っているかは別だ。というか持っていない。少なくとも今はまだ。
 このまま気持ちよさに体を委ねていれば、勝手に彼が連れて行ってくれるのかも知れないけれど。初めてなのに無理だろと、強く疑う気持ちももう、そこまでないのだけど。
「あ、あっ、ううっっ」
 何かが迫り上がってくる未知の感覚は、快感への期待よりもやはり恐怖が勝ってしまう。
「もしかして、気持ちぃの、怖い?」
 ギュッと掌に触れる布を握りしめてしまったら、ちらりとそちらに視線を流した後で、そんな言葉が降ってくる。と同時に、握った拳をゆるっと撫でられたあと、その手を開くようにと促された。
「ここまできたら止めたげないけど、怖いなら俺にぎゅってしてよ」
 そっちのが嬉しいからと、捕まりやすいようにと前傾してくれる。けれどその肩なりに縋るのはさすがに躊躇われてしまう。
「おとこの、あくりょく、だぞ」
「ああ、なるほど」
 あんまり痛いのは俺も嫌だなぁと続いたから、諦めたかと思ったのに。でも前傾された体はそのままだ。
「できれば抱きつく感じで、腕回して。まぁ、どっか握ってても、ダメじゃないけど」
 もし痛いって情けない声上げても許してくれるなら、という注文付きだったけれど、そこまで言うのならと相手の体に腕を伸ばす。ギュッと抱きついたら、抱き返すみたいに相手の腕も背に回って、軽く背が浮いた状態になる。
 重くないのかと思うまもなく、その手がさわさわと背中をなぞる感触に、キュッとお尻に力を込めてしまった。
「んぁっ」
「締め付けすごっ」
 ふふっと笑いながら、衝撃で抱きつく力を強めたせいで、さらに浮いてなぞりやすくなった背中をあちこち撫でさすっていく。あちこちというか、さっき一度探られた性感帯を、的確に拾われている。
 齧られる代わりにカリカリと爪を立てられたり、吸われる代わりにつままれると、ゾワゾワとした快感が走って腰が震えた。その度にキュッキュと相手のペニスを締め付けているのがわかるし、イイトコロを外して最弱で動いていたバイブと違って、今はしっかり狙って中のイイトコロを彼のペニスが刺激しているのだ。
「あ、あ、も、むりぃ」
 さすがに限界だった。
「無理って?」
「も、いきたぃ、だした、い。も、さわ、って」
 募る射精感に、果てることを願う。相手の目的からは外れてしまうとわかっていながら、ペニスを触ってイカせてほしいと訴える。
「わかった」
 あっさり了承されて、背中に回った腕が解かれて、それに合わせてこちらも抱きついていた腕を緩めた。密着しすぎていたら、こちらの勃起ペニスを弄れないのはわかっている。
 なのに、ホッとしたのもつかの間。
「ひっ、あ、あっ、なん、ち、ちがっ」
 一度軽く足を抱え直した相手が、再度前傾してきて、その唇が触れたのは胸の先だった。ちゅっと吸い付かれて、ビクッと体が跳ねてしまったが、相手はお構いなしに胸の先に吸い付いたままだ。
 さっき散々こねくり回されて、そこもしっかり性感帯として機能している。全く未知の性感帯というわけではないというか、そこは性感帯という認識がもともとあったからか、最初から結構簡単に快感を拾えた場所だった。
 そんな場所に吸い付かれて、的確に中のイイトコロを擦られたら……
「あ、あっ、や、やだ」
 引き剥がそうと相手の肩を掴んだ手に力がこもってしまって、相手が小さく呻いた気配があった。けれど頭は胸から離れていかないし、それどころか、もう片側の胸には手が伸びてきて指先で弄りだす。
「こわ、こわいっ、ってぇ」
 両胸を同時にイジられて、目の前に火花が散った。ビクビクと体が震えて、相手のペニスを締め付けているのに、それを振り切るようにグッグッと前立腺を押し込んでくるから、迫り上がってくる何かにとうとう怖いと口に出した。
「怖くないから、イッちゃいな」
 声とろとろで可愛いよと、胸の先で囁かれる。濡れた先端がその息遣いと、その後溢れた笑うみたいな吐息を拾って、ジンと痺れるようなもどかしさで震える気がした。
「ほら、お尻も気持ちぃね」
 そこを意識させるようにわざわざ声に出してから、ねっとりと緩やかだった腰使いが、少し早くなる。バイブのスイッチを強くされたときよりはまだ緩やかではあったが、それでも強くなった刺激に腰がガクガクと痙攣する。
 怖い怖いと漏れてしまう声に、大丈夫、可愛い、気持ちぃねと繰り返しながらも、相手は動きを止めてくれはしなかった。
「ひぃ、ぁああっっ」
 結果、とうとう迫り上がってくる何かが溢れでるのを感じて、相手の目的が達成されたのをその身で実感する羽目になった。

続きました→

 
 
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可愛いが好きで何が悪い47

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「でも、イケそうだったでしょ?」
「いや、わからん。なんか凄かった、のはわかる」
 何かがせり上がってくるあの恐怖を、イキそうだったと思うにはいささかハードルが高い気がする。ついでに言うなら、激しすぎる快感は痛みに近い気もした。
「正直、あれを続けられても、気持ちよくイッた状態になれる気がしない」
「そ、そうなの?」
 意外そうな顔をされて、彼の想定とこちらの実感が合っていないようだと思う。
 彼からすると、気持ちよさにすぐにでもイきそうだった、とでも見えていたんだろうか。もしかしたら、辛そうな様子に止めてくれたのではなく、こちらが先に果ててしまうのを阻止するためにスイッチを切って抜いた、という可能性の方が高いのかも知れない。
「最弱で突っ込まれて、お前にあちこち触られてる時のがはっきり気持ちよかった」
「んんんっ、そっか」
 バイブよりお前がくれる刺激のが気持ちよかったと告げたようなものなので、嬉しかったんだろう。コンドームを装着するために相手はこちらから視線を外しているが、緩んだ頬も口元もこちらからは見えている。あと、声も少し弾んでた。
 なのに、装着を終えて顔を上げた相手は、キリッとすました顔を見せている。
「ふはっ」
「え、なんで笑われてんの?」
「んー、カッコイイな、って思って?」
「それ絶対嘘でしょ」
「いや本気」
 今から突っ込むよというこの状況で、さっき見せていた雄臭い興奮も、嬉しそうに脂下がったニヤケ顔もすっかり隠し切って、余裕そうな顔を見せられるのはやはり経験の賜物なんだろうか。
「お前にイイトコロ突かれてアンアンするのも有りかな、って思えるカッコよさ」
 これも本気には聞こえなかったようで、少し嫌そうに眉が寄る。その顔にやっぱり少し笑ってしまったけど、これも別にからかってるとかではなく本気だった。ついでに言うなら、これは自分自身へ覚悟を促す言葉でもある。
 そういう状態になることを、そんな姿を彼に晒すことを、もう、本気で疑ってはいなかった。
「そんな風に笑ってられるの、今のうちだけかもよ?」
 嫌そうに眉を寄せたのは一瞬で、すぐにまた余裕の顔を見せながら、ペニスの先端をアナルに押し当て挿入の体勢を取ってくる。本気でアンアン言わせる気なんだけど、という幻聴が聞こえる気がして、また笑いそうになるのをどうにか堪えた。
 堪えたが、堪えていることは伝わってしまったらしい。
「俺、本気だからね?」
「知ってる」
 腕を軽く広げながら相手に向かって伸ばせば、察した相手が前傾して身を寄せてくれる。その肩を掴んで引き寄せながら、自らも顔を寄せていく。
「期待も、してる」
 気持ち良くしてくれるんだろ、と、唇が触れる寸前に囁いて、相手の返事を待たずに塞いだ。
 相手の目が見開かれるのを間近に見て満足した後、そっと瞼を落としてキスに意識を集中させる。快感を拾って体の力を抜いていけば、布団に背が着くのとほぼ同時に口の中から舌が抜け出て、代わりとばかりにアナルにペニスが侵入してくる。
 さっきみたいに深呼吸したり、挿入のタイミングを図られることはなかった。
「あああっっ」
 閉じ忘れていた口からは少し大きめの嬌声が漏れていく。しかも今回は、そのままぬぷぷと一気に奥の方まで入り込んできた。
「うううっっ」
 口は途中で閉じたけれど、衝撃で声は飲みきれない。痛みではなく、既に充分に慣らされた穴が、あっさり快感を拾っていたせいだ。
「痛く、ないよね?」
 ほぼほぼ埋めきってやっと腰を止めた相手が、一応の確認という感じで顔を覗き込んでくる。その目を見つめて、気持ち口の端を持ち上げながら。
「きも、ちぃ」
 多分きっと狙った通り、ある程度ちゃんと甘やかに響いたと思う。
 相手がウッと言葉をつまらせてうろたえるから、してやったりと笑ってしまう。
「またそうやってすぐ煽る〜」
 へにょっと情けない顔を見せるから、しっかりしてくれと思いながら、ぺちっとその額を叩いてやった。
「期待してんだから、ちょっと煽られた程度で負けんなよ、俺に」
「無茶言わないで!」
「そんな顔ばっか見せてると、また可愛いって言いまくるぞ」
「それはヤダ」
 次は俺が可愛いとこいっぱい見せてもらう番でしょ、と言いながらゆっくりと腰を揺すられる。順番に可愛いを見たり見せたりする、という意識も認識もまったくなかったが、結果的にそうなりそうなのだからまぁいいか。

続きました→

 
 
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