途中、やっぱりちょっと不安になって、メイクは落とさなくていいのと聞いたら、どっちの格好でも君は君だろと返される。女の子の顔なのに男の体で萎えたりしない? とも聞いてみたけど、新しい扉を開きそうだけど萎えたりはしないから大丈夫って笑われてしまった。
新しい扉ってなんだろうと思ったら、そういうジャンルがあるんだよって言われたけど、そのジャンルについてはあまり詳しく教えてくれなかった。でも、そんな不安にならないでって言いながらたくさんキスをくれて、ちゃんと興奮してるよって言いながら勃起したおちんちんを触らせてもくれた。
ただし、そのまま握って扱いてイカせようとしたのは、すぐに止められてしまったけど。
気持ちよくさせたいし、イッて欲しいし、自分だって相手がイクとこが見てみたい。という訴えには、お尻に入らなかった時はぜひその手を貸してと苦笑されて、これから抱かれるんだったってことを思い出す。
「そ、でした」
「だって前回、イかせるだけで終わりにしちゃったの、ずっと気になってたんだもんな。それに俺にも、君の手で気持ちよくされて、今すぐイきたいって気持ちはあるよ」
「そ、なんですか」
「そりゃそうだろ。君が積極的に触れてくれるの、嬉しくないわけない。ただ、それよりもっと、今は君と一つに繋がりたいって気持ちが強いだけ」
「わ、私も、です」
「うん。良かった。ただ、無理をさせたいとも思ってないから、辛かったらちゃんと教えてね。痛いの我慢とかしないでよ?」
「でも、ちょっとくらいなら、無理してでも抱かれたい、です」
やっぱり、抱いて貰った、っていう事実が早く欲しいと思う。もしかしたら、素の自分を全部晒したところで、この人は好きって言い続けてくれるのかもしれないけど。すぐに女装がバレて終わると思ってたのに、女装がバレてもこうして恋人のまま居られるみたいに。
「なんで? さっき一緒に見たサイト、ちゃんと準備すればアナルセックスで気持ちよくなれるって書いてあったろ。もし無理して気持ちよくなれないセックスしちゃって、もうしたくない、ってなるほうが俺は困るよ」
「そんなのならない、です」
「もし痛くて苦しいばっかりのセックスでも、また俺に抱かれたいって言ってくれるってこと?」
「はい」
「じゃあ尚更、そんなセックス出来ないな」
「え、なんで?」
「痛くて苦しいの我慢しながら抱かれてくれる君を見たら、自分を許せなくなりそうだから。そんなセックスをされても怒ったり幻滅したりしないで、また抱かれたいなんて言われるのかもって思ったら、そんな状態で抱くのは絶対ダメだってなるのは当然だろ」
「で、でも、早くあなたに抱かれたい、です。男の体でもちゃんと抱いて貰えるって、安心したい」
「あー……そういう……」
ホロリと漏れてしまった本音に、相手は言葉を止めてまた何か考え始めてしまう。
「あ、いや、無理して欲しいわけじゃ、」
「それ、俺が君に言ったのとほぼ同じセリフね」
慌てて無理はしないで欲しい気持ちを伝えれば、今度は苦笑されてしまった。確かに、抱く側と抱かれる側で立場は違うけれど、二人とも、早く相手と体を繋げるセックスがしたくて、でも相手に無理はして欲しくないとか、無理をさせたくないって思っている。
「ううっ」
その通りだと唸ってしまえば、相手はふふっと息を吐くように小さく笑った。二人の間で張り詰めていた空気が、はっきりと緩むのがわかる。
「どこまで気持ちよくなれるかはわからないけど、時間かけてゆっくり慣らして広げれば、多分、痛いのとか苦しいのはかなり軽減できるはずだからさ」
簡単に諦めてまた今度、なんてことは言わないって約束するから、それで妥協してくれる? という提案に、もちろん嫌だなんて返すはずがなかった。
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