バレたら終わりと思ってた9

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 相手はそんな自分に、やっぱり全然知らなかったよねと言って苦笑する。
「男の子だって知る前もさ、なんていうか、一生懸命なとこがいいなって思ってたよ。全力でデート楽しんでます、みたいなの。隣でそうやってデート楽しんでくれたらさ、俺だって楽しいし、嬉しいし、安心だってするよね」
 手放せないなって思ったし、今も同じように思ってるよと告げた相手は、男の子だからってそういう本質的な部分は変わらなでしょと続けた。同意を促されてる気配があったけれど、でも、それに頷くことは出来そうにない。
「全力でデート楽しんでたのは事実だし、一緒にいる時間を楽しく過ごせるように頑張ってたのも事実ですけど、でもそれ、女装してたから、ですもん。男の俺とデートして、同じように楽しいか、楽しいって思ってもらえるか、わからないし、自信もない、です」
「今日のデートも楽しかったけど」
「今日も女装、してたじゃないですか」
「でもそれ、女装してたほうが外で手を繋ぎやすいとか、ラブホに入りやすいとか、そういうの考えてくれた結果でしょ?」
 そういうとこに惚れてるって繰り返されたけれど、それだけが理由で女装してたわけでもないので、なんだか余計に心苦しい。
「でもそれだけじゃない、し」
「それだけじゃない、って言うのは?」
「その、女装してるときって、自分であって自分じゃないみたいなとこあるっていうか、素の自分とはやっぱ違うんです、よ。男の俺は服なんか最低限あればいいやって思ってるし、友達だって少ないし、魅力的なとこ、多分あんまない、です」
「もし俺が男の子の君とどうしてもデートしたいって言ったら、どうする?」
「えと、来週はちょっと無理、ですけど、再来週なら……」
「えっ!?」
「え……?」
 あまりに驚かれて、こちらも驚く。というか困惑する。何か変なことを言ってしまっただろうか。
「あー……ごめん。想定外すぎる返答だった。というか、来週と再来週の間に何があるか全くわからないんだけど」
「えと、給料日……?」
「給料日!? ってバイトの?」
「そ、です」
「まじ、か……」
 また盛大に驚かれたあと、肯定すれば唖然としている。
「え、えと……何か、変なこと」
「あー、いやいやいや」
 変なことを言った自覚が全く無くて、相手の反応にどうしていいかわからない。焦るこちらに、相手は否定だけを返して、でもちょっと待ってと続けた。頭の整理させて、と言われてしまえば口を噤んで待つしかない。
「正直に言って欲しいんだけど、その女装、もしかしなくてもめちゃくちゃお金掛かってる、よね?」
 やがて意を決した様子で口を開いた相手が聞いてきたのはそんなことで、さっきの会話からなんでこの質問なのか、やっぱりイマイチ意味がわからない。
「そりゃ、多少は。でも仕送りとバイトで出来る範囲でしかやってないし、えと、ちゃんと学校も行ってるし、食事だって摂ってます、よ。あ、あと、借金とかも手ぇ出してないです」
 何を心配されているのかわからなくて、とりあえず思いついたことは否定しておく。
「でも男物の服は最低限で、友達と遊ぶためにお金使うのも避けてる。とか言わない?」
「友達はどっちかというと遊ぶ時間がない、方だと思いますけど」
「あー、平日にバイト詰め込んでて、週末は俺とデートしてるから?」
「そう、です」
「ねぇ、君にプレゼント、贈っていい?」
 誕生日でも何かのイベントでもないけどと言われて首を傾げる。
「なんです、突然」
「明日、君の男物の服、一緒に買いに行きたい。だから次はそれ着てデートして。って言ったら、俺のお願い、叶えてくれる?」
 プレゼントのお礼は男の子の君とのデートがいいんだけど、と言われて、そこまでして男の自分とデートがしたいのかと驚く。
「それはいいですけど、えと、さすがに男の格好で今日みたいなデートするのは、人の目が気になりそう、です」
「そうだね。ならお家デートしようよ」
 俺の家に招待しても、もう来てくれるでしょ。と言われて、それはちょっと楽しみだと思う。
「行きたいです!」
 楽しみだという気持ちがちょっと出すぎて食い気味になってしまったら、相手はどこかホッとした様子で、嬉しそうに笑った。
「やっぱり、本質的なとこは一緒だよ」
「え?」
「素のままの、男の子の格好した君とのデートだって、絶対楽しい。自信ないなんて言わないでよ。俺は、俺と恋人になりたくて女装までしちゃう、頑張り屋で努力家な君に惚れてるし、君から貰う大好きを手放したくないって思ってる」
 大好きだよと言って寄せられる顔に慌てて目を閉じれば、何度か軽く触れ合うキスのあとでそっと押し倒される。唇を舐められてゆるく口を開けば、すぐに相手の舌が入り込んできた。

続きました→

 
 
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「バレたら終わりと思ってた9」への2件のフィードバック

  1. はぁーーーかわいい!めちゃくちゃかわいいです!受けの子に、大丈夫!攻めはちゃんときみの中身を好きになってくれてるから!!って教えてあげたいぃ。
    男の子の姿に自信がなくて女装してると素の自分とは違う自分になれて、ちょっと安心?できて。でも攻めは受けの一生懸命で健気なとこちゃんと見てるし、それを言葉で繰り返し伝えてくれるし。受けの子が男同士でのやり方やそのための準備の知識が若干ぽやぽやしてるのも、お互いしっかり擦り合わせようねってしてくれるのもとても安心できます。攻め、いいひとだなぁ…(⁠。⁠ノ⁠ω⁠\⁠。⁠)もし女装のためにバイトでカツカツだって言われてたら全力で止めにきそうです。服のお買い物デート、初めて男の子の姿でのお出かけ!攻めの服の好みを知るチャンスでは…!どきどきしながら続きをお待ちしております!

  2. 連載途中コメント嬉しいです。ありがとうございます!

    受けの子めちゃくちゃ可愛いって思ってもらえてるのも嬉しです。良かった〜
    攻めが異性愛者で女の子と信じて交際してた、っていうのがやっぱり受けちゃん的には気になってしょうがないと言うか、口でいくら男でも大丈夫だよって言って貰っても不安なんですよね。女装の完成度が高いせいで余計にそう思っちゃうんでしょうけども。
    そして攻めはホントいい人なんですよ!
    というか、気遣いが上手い攻めを私が好きで仕方がない、って話なんですけども。あとちょっとこじらせ気味の面倒な受けちゃんも相当好きですよね。めっちゃ自覚あります。笑。
    今後の展開は相変わらず私自身イマイチ読めないんですが(本日更新分も考えてた続きと結構違う感じになってますし)、ハピエンは約束された2人なので、というかこれ以上拗れる要素がないので、安心して楽しんでいただけるんじゃないかなとは思います。
    ラストまでもうしばらくお付き合いよろしくお願いします〜

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