エイプリルフールの攻防・エンド直後9

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「あのさ、俺、お前にお尻弄られて、自分で慣らしてたときより確実に感じるようになっちゃったんだけど」
「お、おう」
「お前、俺と付き合う気、あるの?」
「へ? えっ??」
 感じるようになったって話から、付き合う気があるかどうかの問いに繋がりがわからないらしく、相手は明らかに混乱した顔をしている。
「俺達実は両想いだったわけだけど、今後どうなる予定?」
「どうなる、って……え、待て待て、えっ、あー……」
 あわあわと焦りながらも思考は進んでいるようで、恋人になろうだとか付き合おうだとかの話がないまま、お詫びセックスに突入している事実に相手もどうやら気付いたらしい。
「気付いた?」
「まぁ、確かに今後の話はしてなかったな。けど!」
「けど?」
「お前が俺を好きになってくれたのに、恋人にならない未来なんて、こっちは一切考えてなかった」
「そ、そっか」
 言い切られてホッと安堵の息を吐く。
「で、お前は?」
「正直、さっきまでそういうの全く考えてなかった。お前とホントの両想いエッチできる、ってのしか頭になかったっていうか」
「お前、ほんっと、どれだけ……」
 どんだけ抱かれたいんだよ、という指摘は飲み込んでくれたらしい。
 ニヤけそうになるのを堪えてるってわかるから、言われても肯定するだけなんだけど。どころか、言われなくても肯定しちゃうんだけど。
「お前に抱かれたくてがっついてる自覚はあるよ。でもこっちの一番の目的って、お前と嘘の好きをやり取りするの止めることだったっていうか、お前との関係をきっちり切ろうと思って体準備してたわけだからさ。実は両想いだったってわかっても、じゃあこれからどうする、なんてとこまで頭回らないって」
「そういやそうか」
 昨日、エイプリルフールとして押しかけてきた最初に交わした会話を、相手も思い出しているだろうか。
「でも考えてなかっただけで、予定通り、最後にいちど優しく抱かれて終わり、とまでは思ってない。ってことでいいか?」
「うん」
「じゃあ今すぐ俺と付き合ってくれ」
「えっ、今?」
「そう。今すぐ。お前の初めて、ちゃんと恋人って立場で欲しいから。それに、もしお前が今日はここまでって言っても、初めてはいつか絶対俺のものになる、と思えば、まぁ」
「じゃあ、今すぐ恋人になるし、俺の初めてもこのまま貰ってよ」
「いいのか?」
「いいよ。このまま抱かれるかはお前の返答次第でって言ったろ。お前に恋人になる気がないなら、これ以上お尻で気持ちよくなるの嫌だなって思っただけだから」
 次がないのに抱かれる快感なんて知りたくないよと言えば、なるほど、と返ってきたので、理解はしてくれたらしい。
「なら、早くまたしたいって思って貰えるくらい、お前を気持ちよく出来るよう頑張るわ」
「それは楽しみなような怖いような」
「てか疲れたし2回もイッたからもういい、とかは本当にないのか?」
「疲れてるしそこそこスッキリはしちゃってるけど、でも早く、お前とつながってみたいよ」
 こちらは疲れて横になったままだったし、来て、と言いながら両膝を立てて開いて見せる。だけでなく、散々弄られグチュグチュに濡れている穴を晒すように、膝を抱えて腰を突き出した。
「ちょっ、おまっ」
「は、恥ずかしいんだから早くしろっ」
 がっついてる自覚はあるが羞恥心はそれなりに持ち合わせているので、こんな格好で相手を誘うのが恥ずかしくないわけがない。
「言われなくても。つかなんのサービスだよ」
「だってここで終わりって思わせたから、お前ちょっと萎えたろ」
 尻穴を弄られている間も、この会話の間も、常にとは言わないがそこそこの頻度で相手のペニスの状態を確認していた。
 お前も脱げと、相手を全裸にしていたのは正解だった。興奮状態がわかりやすい。

続きます

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後8

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 自分でするのと人にされるのはやっぱり全然違う。端的に言うなら、想定以上に気持ちが良くなれている。
 単純に相手が上手いのかも知れないし、好きな相手からの前戯という、精神的なものが大きく影響しているのかも知れない。
 慣らしていたのは事実だけれど、流血大惨事の回避や相手が萎えるのを避けたくて行っていただけで、正直、戸惑いも凄かった。でもそんなこちらの戸惑いが、相手にとっては嬉しいらしい。
 さっき、初めてが貰えなかったとかなんとか言ってたから、初めての気持ちよさにアタフタする姿が見れて嬉しい的なやつなんだろう。多分。
 相手の気持ちを知らなかったら、みっともない姿を見て笑われてると思って、反発する気持ちが膨らんだと思う。でも相手の言う可愛いも好きだも信じられる今なら、単純に嬉しいのだということも、素直に信じられそうだった。
 さっさと先へ進んで早く体を繋げてみたい気持ちももちろんあるけど、思いの外感じまくっている戸惑いや羞恥もあるけど。楽しそうに、嬉しそうに、愛しそうに、触れてくれる相手の手を拒みたくはない。
 その結果、相手が満足した様子で手を引く頃には、けっこうクタクタに疲れていた。
 本番、これからだってのに。
「なんかもうかなり疲れたんだけど……」
「あんだけ喘いで2回もイッたら、まぁ、そうだろうな」
「てかなんで俺、2回もイカされてんの」
 イッたら冷静になってお尻弄られるのキツくなるだろ、みたいに言われて、イクのお預け食らった記憶があるんだけど。
「ちんこ一緒に弄りながら解すのが良さそう。ってのが思った以上に効果的だったから。と、前立腺弄られて気持ちよさそうにしてんの、めちゃくちゃ可愛かったから」
 最初あんまり感じて無さそうだったけど、感じるようになれて良かったな。と満足げに笑われたけれど、果たしてそれは喜んで良いところなんだろうか。
 知識としては自分だって持ってたけど、自分で弄ってたときは正直場所すらよくわからなかったし、そっちの才能というか抱かれる素質はあまりなさそうだなと思っていた。でもそれで良かったと言うか、そんなところで快感を得て、新たな扉を開きたくはなかった。
 だって最初で最後の抱かれるセックスになるはずだったから。
 そう思ったら、次ってあるのかな、というのが気になってしまった。悪い事したと思ってるなら優しく抱いて、とお願いしたからこうなってるだけで、そういや恋人になりたいだとか付き合おうとか、どちらも口に出してない。
 ジッと相手を見つめてしまえば、相手からもスッと笑顔が消えていく。
「やっぱ出すと冷静になるよな。で、2回もイッて、スッキリしたし疲れたから、ここまでにして。とか言い出す感じか?」
「イッてスッキリしたからが理由じゃないけど、お前の返答次第では、ここまでにしてって言いそうかも知れない」
 正直に伝えれば、相手は盛大にため息を吐き出した。それから何かを言いかけて、でもぱっと口元を覆うと俯いてしまう。
 多分、ここまで来てやめたいってどういうことだよって、めちゃくちゃ詰りたいんだろうと思う。それを言わずに耐えるのは、これがお詫びのセックスだからなんだろうか。
 だったら悲しいな、と思うのを止められない。好きだから、せっかくの両想いを壊したくないから。そう思って耐えてくれてるんだったら、良いんだけど。
「あのさ、」
「悪い。ちょっと待って」
 そう言われてしまったら、こちらも黙って待つしかない。
 最後の部分が強く印象に残って、お前の返答次第でって言った部分が多分頭から抜けてるし、もう止めたいと思ってるわけじゃない事も、出来ればこのまま抱かれたいって思ってることも、きっと気付いて無いはずだから、出来れば早く伝えたいんだけど。
 しばらく待たされて、再度深めのため息が聞こえた後、ようやく相手が顔を上げる。
「で、理由って、聞いていいのか」
「ほらね」
「なんだそれ」
「俺別に、止めたいって言ってないんだけど」
「はぁ!? ぇえっ??」
 言えば相手は思ったとおり、随分と盛大に驚いてくれた。
「いやいやいや、言ったろ。ここまでにしてって言いそうかも、って」
「その前に、お前の返答次第でって言ってるけど、そこ、やっぱ聞こえてなかった?」
「聞いてな……くは、ない、な」
 どうやら記憶に残ってはいるらしい。そこをすっ飛ばして、ここまでにって言われた部分にだけ反応していたことに、ようやく気付いたようだ。
「あー……早とちりであんな態度とって、悪かった。で、俺に聞きたいことって?」
 すんなり謝ってくれたから、ほんのり胸の奥が温かい。さっき素直に謝ってくれるのは進歩だと言ったときに、せっかく両想いになれたから謝らないせいで拗れたくない、みたいに言ってくれたことを忘れてなんか居なかった。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後7

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「抵抗なんかあるわけ無いだろ。だってお前と繋がるための穴だぞ。それに、これからお前の穴弄るってだけでこんなに興奮してんだから、安心して弄られてくれ」
「お前が萎えてないのって、そういうぁふぅっ」
 とうとう指先が窪みを突いて、途中で言葉は途切れてしまう。
「ぁ、……ふ……」
 漏れ出たローションのぬめりを確かめるみたいに指先で穴をくるくると擦られて、ゾワゾワとした擽ったいような気持ちよさに、身を縮めそうになるのを耐えた。なにこれ。自分で触れるのとは全然違う。
「マジでぬるぬるだし、指くらいならスルッと入りそうではあるけど……なぁ、大丈夫か?」
「ぞ、ぞわぞわ凄くて」
「それ感じるって言ってんの?」
 気持ちいい? って聞かれながら今度は歳ほどよりも少し強めに、穴をクニクニと指先に抉らる。
「ぁあっ、やだぁっ」
「あ、悪い」
 思わず口をついて出てしまった「やだ」に反応して、相手がすぐに動きを止めてしまうから慌ててしまう。
「ち、ちがっ、ごめっ、だってなんか、自分でするのと全然違くて」
「ああ、びっくりさせた?」
「そ、そう。あの、だから、本当にやだったわけじゃない、から」
「そ、っか。あー……なるほど、そうか」
「え? えっ?」
 続けていいよ、むしろ早く続けて、って意味で嫌だったわけじゃないって言ったつもりだったのに、相手は一人で何かを納得していて意味がわからない。
「なんかちょっと、安心したわ」
「え、なに、突然」
「一人で慣らして広げたとか言ってても、初めてには違いないんだなぁ、みたいな」
「そ、そんなの当たり前、ってか、それがなんで安心?」
「一応俺も知識はそれなりに詰め込んだけど、誰かとこういうことすんの初めてだから」
「あ、お前も初めて……」
「そりゃお前にこんだけ執着してる自覚あって、他の誰かと、なんて無理に決まってる」
「そ、そか。えと、それは嬉しい、な」
 相手の恋愛経験とか交際経験とか、そういや考えたことがなかった。高校卒業までに相手に恋人らしき影がなかったのは当然知っているし、大学入学後だって、恋人がいるのに毎年律儀にこんなことを繰り返してると思ってなかったのもある。
 でも相手も初めてだってはっきり言われたら、確かに安心するし、自分だけをずっと想い続けてくれたというのはやっぱり嬉しい。自分とはいがみ合ったり反発したりが多かっただけで、相手にだって友人はたくさんいたし、全くモテなかったわけでもないのも知ってるのだから、余計にそう思ってしまうのだと思う。
「嬉しいって思ってくれんのか」
「え、嬉しいよ。ずっと俺だけ好きだったって熱烈な告白、今日何回目だろ」
「ふっ、お前のそういとこ、ほんと、好き」
「そういうとこ?」
 どういうとこが好き、みたいなのも今日は何度も聞かされているけれど、今回のはイマイチ何を指して言ったのかわからず思わず聞き返した。
「俺が童貞なのを、熱烈な告白とか言っちゃうとこ」
「あ、え、童貞気にしてた? え、でも、俺も童貞だし」
 お前はもうすぐ卒業できるだろ、とは続けられなかった。自分が相手の童貞を貰って卒業させるんだってことを、意識してしまったせいだ。
「そうだな。童貞だからお前に良い思いさせてやれなかったらどうしよう、とは思ってたよ。でもお前に自分で弄って広げたとか言われて、安心するより、初めて貰えなかったって気持ちのが実はでかくて」
 だからお前の反応ウブすぎて安心、ってよりはすげぇ嬉しい。なんて言われながら、止まっていた指先がまた動き出す。
「んんっ……んっ……ぁ……」
 軽く穴の周りを撫でた後、また少し強めに抉られて、でも今度は「やだ」とは言わずに済んだ。しかもしばらくそれを続けられて慣れてくると、だんだんお腹の奥がキュンと疼くような焦れったさが湧いてくる。
「ふっ、ふぅ……ねぇ、」
 早く挿れてよとねだるのも、それはそれでなんだか恥ずかしくて、でも焦れったいのは事実で、早く先に進んで欲しい。そんな気持ちで、躊躇いながらも呼びかけた「ねぇ」に、相手はどうやら気づいてくれたらしい。
「そろそろ指、挿れるぞ」
「う、うん、ぁっ、あふっ、ぁああ」
 ぬるると入り込んでくる指は、間違いなく気持ちが良かった。

続きました→

 
 
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エイプリルフールの攻防・エンド直後6

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「あと可愛いのもホントだって」
 宥めるみたいに囁かれて、頬の肉をきゅっと引き締めた。だってこれでまたへらっと笑ってしまったら、またチョロいって言われるんだろうなと思って。
「変な顔」
「うっさい。てかホントお前は言葉を選べ」
 そういうとこだぞと思うのは、相手のそういう無粋な指摘にカチンときて、拗れた過去が何度もあるからだ。
「だって、チョロすぎて不安になるとは言ったけど、だからって素直に笑ってくれないのもそれはそれで癪だなって思って」
「わがまま〜」
「そうだな。今のは完全に八つ当たりだった。てか悪い。またいつもの癖出た」
「まぁお前がすぐ謝ってくれるのは、かなりの進歩って気はしてる」
 それに、悪い癖って認識してるなら、直してくれる気もあるのかもだし。
「お前が俺を好きって言ってくれたから、気持ちにかなり余裕が出来た気はしてる。せっかく両想いになれたのに、またお前怒らせて拗れるの絶対嫌だって思うしな。あと実は、変な顔もまぁまぁ可愛かった」
「は?」
「変な顔そのものは可愛かったよ」
「だったら癪だなんて言うなよ」
 平然と繰り返すから、何を言ってるんだこいつはと思ってしまうのは仕方がないと思う。今度はこちらが盛大に呆れた声を出してしまった。
「それはだな、俺がチョロすぎて不安って言ったせいで素直に笑えなくなった、って事実に腹が立つんだよ。つまり、あの苛立ちはお前に向かってんじゃなくて自分に向かってる」
 八つ当たりってのはそういう意味だと言われて、なるほど、とは思ってしまったけど。
「お前がもうちょっとそういうとこ素直だったら、こんな無駄な回り道しなかったかもって思うと、ホント惜しいよな」
「素直っていうか、変な八つ当たりしないように心がけてた時期もなくはない」
「あー……お前と比較的穏やかな距離保ててた時期な」
「でも結局それ以上には近づけなかったし、今更友だちになれるって感じでもなかったし、そもそも友達になりたかったわけでもないしな。だから俺には必要な回り道だったけど、でもお前を苦しめたいわけじゃなかったのもホント」
 てわけで、めいっぱい優しくするから尻穴弄っていい? なんてことを真顔で続けられて、そういやセックス真っ最中なんだったと思い出す。いやまぁ、意識的に相手の手元から視線をそらして、セックス中って事実を極力頭から追い出していたのは事実なんだけど。
 だって相手が持参したローションもゴムも未開封だったから、開封作業を見るのだけでも、なんだか妙に恥ずかしかった。
「い、いい、よ」
「なら下着も脱がすぞ」
 うん、と頷いて、相手が脱がせやすいように腰を浮かせて協力する。さっきまでの扱きあいでこちらも一度下着を摺り下げてペニスを露出していたが、手の汚れを拭かれた後にまたしっかり履いてしまっていたからだ。
 相手もその時に履き直しているので、つまりは自分だけ先に真っ裸という状況がやはり少し恥ずかしい。
「お、お前も脱げよ」
 道連れにしてやりたくてそう訴えれば、相手はあっさりわかったと言って下着を脱ぎ捨てる。
「あれ?」
「なんだよ」
「お前出したばっかなのに、俺より萎えてなくない?」
 思わず自身の股間と相手の股間とを見比べてしまったが、お預けを食らって放置された自身のペニスは既に結構落ち着いていた。なのに相手のは、さすがにギンギンに張り詰めてはいないけれど、未だしっかりと上を向いて勃ち上がっている。
「逆にお前は出しても居ないのに萎えてんな」
「ぁんっっ、ちょっ」
「お、でも反応は早い」
「当たり前、っだ!」
 萎えたペニスを掴まれ軽く扱かれれば、お預けされたペニスがすぐさま再度勃起するのなんて当然過ぎる反応だ。
「じゃあ、後ろも触るな。ゴム、使ったほうがいいんだよな?」
「う、うん」
 さっき自分のは風呂場に置きっぱなしと言ったから、指にゴムを着けて解していたのはわかっているんだろう。薄い膜一枚だけど、直接弄られないのはホッとする。
 でもゴムをまとったその指が目的の場所へ向かって伸びてくると、やっぱり安堵よりも緊張が勝って体が強張ってしまう。
「緊張する?」
「そりゃあ。だって、お尻の穴、だし。ゴム使ってるし、洗ってもある、けど」
 本当に抵抗ないの? と聞いてしまえば、お前の不安ってそれなの? となんだか少し驚かれてしまった。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後5

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「俺だけが昔っからずっとお前を好きで、そのせいで色々拗らせてお前と友達にすらなれないって落ち込んでたから、いくらお前が甘くてチョロくても、素直に告白してお前に好きになって貰う努力、なんて出来なかったんだって」
 言葉にはしなかったが、もっと早く言っとけよと思った気持ちは伝わったらしい。
「でもそれでお前苦しめたのは事実だから、お前の嘘みたいに可愛いお願いは全力で叶えるつもりなんだけど」
 そこで一度言葉を区切って、ゆっくりとまたベッドに押し倒される。しかもジッと見下されて、何を言われるんだろうという不安にドキドキが加速していく。全力で叶えるつもり、だけなら期待でドキドキしたと思うのに。
「慣らしてあるから弄るの無しで、は無しで」
「……え?」
「優しく抱いてって言っときながら、尻穴弄られる想定してなかったってどういうことだよ。ってのと、自分で弄って広げてた、なんて聞いたら余計やる気でるだろっての」
「えっ、ええっ? なんで!?」
「端的に言うと、ちゃんと前戯させろ」
「え、それ、ほんとにそんな意味で言ってた?」
 なんかもっと不穏な気配が強かったというか、ちゃんと前戯がしたいって言ってるようには聞こえなかったんだけど。
「言ってた」
 けれどそう言い切った相手は、やっぱりキョロっとあたりを見回した後、小さな舌打ちを一つ残してベッドを降りてしまう。何が起きてるかわからなくてその背を視線が追ってしまったけれど、相手はどうやら自分の荷物を取りに行っただけらしい。
「んな不安そうな顔されると困るんだけど」
 すぐに戻ってきた相手は、へにょっと眉尻を下げながら、数度優しく髪を梳いてくれた。じゃあ舌打ち直後にベッド降りるとかは止めて欲しい。
「いやどう考えてもお前のせいだよね?」
「それは確かにそう。必要なもの取ってくるだけだって言えば良かったな」
「で、何が入ってんの?」
「ローションとゴム」
 言いながらカバンに手を突っ込んだ相手が、その2点を取り出しベッドに転がした。
「てかお前、自分で準備したって言ってたけど、ローションとかどこあるの?」
「あー……風呂場置きっぱ」
「勃起ちんこすんなり入るくらい広げ済みだから、セックス中には追加でローション必要ないって思ってた?」
 それともお腹の中にたっぷりローション仕込んでたりすんの? と聞かれて、正直に、たっぷりではないけど多少はと返せば、それに対する返答はなく、ゴムは? と返ってくる。
「あー……それも風呂場」
 衛生面などを考慮して、自分でお尻をいじるときには指にゴムを着用しているせいだ。
「一応聞くけど、生で突っ込まれたいつもりだった?」
「正直、そういうのあんまり考えてなかった」
「お前、抱かれたいとか言って自分で自分の体準備するくせに、俺に尻穴弄られる想定してなかったり、ゴムもローションもベッド周りに置いてなかったり、色々詰めが甘くねぇ?」
「だって俺も割といっぱいいっぱいっつうか、お前と両想いエッチ出来るとか思ってなかったし、流血大惨事のトラウマだけは避けたくて頑張っただけっていうか」
 痛がって辛い辛いと泣き顔を見せたりしたら萎えられそうだから、というのが自分の体を慣らした一番の理由だし、正直に言えば、具体的に相手にどうこうされる想像はしにくかった。
 好きだ可愛い感じてくれて嬉しいと甘く囁く声は、リアルでも聞いたことがあるから想像できたけれど、自分の体に相手がちゃんと興奮したり、お尻の穴を弄って広げてくれるような前戯が出来るかは微妙だと思っていた。というか無理かもって思っていた。
 だって、年に一度の遊びが続いているのは自分の反応が面白いからで、暇人だとか、奇特なやつだとかは思っていたけど、本気で好かれてるとは考えなかった。本気で好きな相手への態度として、自分なら絶対に選ばないせいだ。
「お前と友だちになれなかったの、こういうのも影響してそう」
「なんだよ突然」
「俺達似たとこあんまないんだよね、って話」
「俺はそこに惹かれてるんだけどな」
「でもほら、ローションもゴムも用意しないで抱いて欲しいとか言っちゃうから、それでお前、俺に呆れるわけじゃん」
「詰めが甘くて可愛いなぁ。であって、呆れてるわけでは。いやまぁ、呆れてるけど」
「ほらぁ。やっぱほらぁ」
 でもそれが良いのも事実だし。と言いながら、寄ってきた顔がチュッと唇を吸っていく。

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エイプリルフールの攻防・エンド直後4

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「たくさん好きって言いながら、優しく抱いてくれればいいよ。って言ってんのに」
 そうやって気にして、罪悪感に苛まれてくれてるだけで、なんかもうホント、もういいやって思えてしまう。もちろんそれは、自分たちはちゃんと両想い、っていう前提があってこそではあるけれど。
「お前、もう、ほんっと、お前っ」
「ええ〜」
 言葉に詰まっているらしい相手に少しばかり笑ってしまえば、やっと抱きつく腕の力が弱まって、相手ががばりと身を離す。
「お前のそういうとこ、ほんっと、好き」
 スッと顔が寄せられて、ちゅっと唇を吸っていくから、嬉しさと安堵とで、うへへとしまりのない笑いが溢れた。
「ただ、俺以外にも甘いの知ってるからマジ不安だし、好きって言ってキスしただけでそんな顔されんのも、ちょっとチョロすぎて色々不安にはなるよな」
 そゆとこも可愛くてたまんないけど笑い返されながら、再度唇を吸われて、頭の中に疑問符が飛んだ。
 可愛いって言われた最後の部分と柔らかな笑顔につられて流しそうだけど、その前に言われた言葉はなにやら不穏な単語が混ざってた気がする。不安だとか、チョロいとか。
「えと、俺いま、けなされてる?」
「けなしてないだろ。お前が好きでたまんないって言ってる」
「不安って2回も言ってた気がするけど。あと俺がチョロいってバカにした」
「チョロくて可愛いって言ってるだけでバカにはしてない」
「いやチョロくて不安って言ってたろ」
「チョロくて可愛いから不安になるんだっつの。あとバカにはしてないし、可愛いって言ってる」
 騙されないぞと思いながら睨んでやったけど、相手はあまり悪びれる様子がない。
「バカにしてないがホントなら、お前はもちょっと言葉選べよ」
「それはごめん。お前に対してひねくれた言動するの、止めなきゃと思ってるし、気をつけてるつもりなんだけどな。それで散々失敗してきてんのに、どうにも拗らせ期間が長過ぎて。ってこれ、みっともない言い訳でしかないな」
 ホントごめんと再度謝られて、仕方ないやつだなぁと思いながら、ため息一つで許してやった。こういうとこが、やっぱチョロいって思われるのかもだけど。
「もしかして今、ほんとチョロいってまた思った?」
「まぁ、思ってないとは言わないけど」
「だよな」
「でもお前のそういうとこが好きなのもホントだし、甘すぎて不安になるのもホント。お前がチョロいの、俺にだけならいいのにな」
「なんだそれ」
「お前が俺を好きになってくれたから、独占欲が暴走しそう」
「なんだそれ」
「なんで俺、お前と同じ大学通ってないんだろ」
「俺がお前の通ってる大学に落ちたせいだな。てかお前ホント言葉選べ、って、あぁっ!?」
 唐突なひらめきに、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「どうした」
「お前、もしかして俺と同じ大学通うつもりで、志望校選んだ?」
「そうだよ。お前と志望校晒し合えるような関係じゃなかったし、結局、第一志望のとこくらいしか探れなかったけど」
「マジ、か」
「お前こそ、俺の本気っつうか、そういう拗らせまくってた気持ち、今更知ってドン引きじゃねぇ?」
 ドン引きってよりは、徒労感が強い気もする。お互いかなり無駄な時間を過ごしたんじゃないだろうか。
 いやまぁ、彼への気持ちが育ちまくったのは大学入学後だし、高校時代にそれを知って喜べたかは謎だけど。でも本気で好きなら本気で好きって、もっと早く、言ってくれればよかったのにと思う気持ちはやはり止められそうになかった。

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