聞きたいことは色々66

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 お兄さんがいくら大丈夫と言ったって、その予想が外れることもなくはない。
 ただ、もしいつか彼がお兄さんを好きと自覚したとして、もしそこに自分へ向かう好きがなかったとしても。今更今の関係を壊してお兄さんと彼とで付き合うなんてことは起きない。君を手放す気がないのも変わらない。
 そう断言されたから、更に一歩踏み込んでみることにした。踏み込むというか、彼の自覚を積極的に促してみたいって気になった。
 現状特に不満があるわけではないし、このままでもいいって気持ちになってはいたんだけど。でもあの時見た、愛しげな顔をもっと見たいなと思ってしまった。それが、自分に向かうものではなくても。
 何をしたかというと、なるべくお兄さんに真ん中を担当して貰うようになった。しかも、彼にも抱かれた最後、3人で繋がる時にだけお兄さんを真ん中に、ってことも出来るのに、なるべく彼には抱かれないようにもしてみた。
 お兄さんの肉体的な負担が増すし、彼がお兄さんを抱く機会を増やした結果、どうなるかはわからない。あれは本当にただ懐かしかっただけって可能性も充分にあった。ついでに言うと、彼に抱かれないまま終わる3Pだと、後日お兄さんからの補填がある。というのに味をしめた部分がないとも言えない。
 それらをわかったうえで、君がそれでいいならいいよと、お兄さんも協力してくれた結果。彼がお兄さんを愛し気に見つめる機会はかなり増えた。好きだとか可愛いだとかの言葉にも、今まで以上に甘さが滲むようになって、想いが乗った声だなと感じるようになった。
 お兄さん越しにそんな彼の顔を見て、声を聞いて。ドキドキを加速させる自分を、お兄さんが愛し気に見つめてくれるから。彼にトキメクことを喜んでくれるから。
 滑稽だとか惨めだとか思うことはなくて、3人でするようになれて良かった、なんてことまで思っていた。だってこんな顔も声も、どれだけ交際を続けたって、自分ひとりじゃ絶対にさせられなかった。
 自分の中の常識を変えられてしまった自覚はもちろんあるけど、彼と恋人というだけの時間をただただ重ねていた頃に比べたら、間違いなく満たされている。
 そんな中、彼から二人だけでしたい、と言われて驚いた。
 意図的に彼に抱かれる機会を減らしていたのは事実だけれど、だとしても3人でするときの話をされると思っていた。だってお兄さんとはずっと二人でもしてるのに、彼には自分ともそういう時間を取れなんて言われたことはなかった。
「理由は?」
 警戒心をあらわにそう問いかけたのはお兄さんの方だった。
「確かめたいことがある」
「この子を好きって自覚できた、とかじゃないならダメ」
「それを確かめたいって話だろ」
 そうなんだ。二人きりでしたらわかるかも、くらいのところまで来たんだと思うと感慨深い。
 というかお兄さんに対する好きは既に自覚できてるんだろうか。自分がいる場でそんな話はされたことがないけど、二人の間ではしてたのかもしれないとは思う。
 だって自覚できてても何ら不思議がない態度を見せている。
 むしろ自覚済みだからこそ、二人してその話題を避けてた可能性のほうが高いんじゃないだろうか。
「確信持ってからにして」
 確信が持てた後ならいいってことは、こちらが傷つくような目にあったときのことを考えてくれているんだろう。彼が今まで二人でと言い出さなかったのも、間違いなくお兄さんが関係してる。というか絶対ダメって言ってたんだろうなと思う。
「いいですよ、俺は。もし泣かされたら、後でいっぱい甘やかして下さい」
「それは当然だけど」
 更に何度か本当に大丈夫なのか確認された後、お兄さんからも許可が降りた。

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聞きたいことは色々65

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 3人で、というのが少しずつ増えては居るし、彼が交じる時は彼も自分を恋人として扱うことが多いから、なんかもう色々曖昧ではあるけれど。でも一応、今現在の恋人はお兄さんの方で、二人でするセックスはお兄さんとしかしていない。
 お兄さんが真ん中をやった翌週はお兄さんと二人で出かけたし、セックスは抱かれる側だった。
 お兄さんが彼に抱かれても嫌じゃなかったのは本当だし、彼に抱かれて蕩けてる姿が可愛いかったのも本当なんだけど。それを疑われたわけではないんだけど。
 途中、ゆっくり愛されるの久々で嬉しい、って思ったのも事実で、それが伝わっていたからだ。
 はぁあと吐いた息が自分でもわかるほど満たされていたから、お兄さんに笑われるのに合わせて自分も笑ってしまう。
「満たされたなら良かった」
「ありがとうございます。てかこれって前回のフォローっていうかアフターケア? 的な意味が強かったりするんですか?」
「多少は。まぁアイツ交ぜた3Pは旦那がいた頃とはしてる意味がぜんぜん違うから、後でヨシヨシする必要はないんだろうけど」
「まぁどっちに抱かれてても、俺からしたら好きな人に抱いてもらってる状態ですしね」
 しかもどっちも恋人みたいな雰囲気で、恋人以外の男に抱かれろっていうプレイ要素は欠片もない。
「だね。だからどっちかっていうと、前回はアイツに抱かれなかったから、その分の補填的な? て言っても代わりになれないのはわかってるから、アイツが出来ないようなセックスで君を満足させたげよ、みたいな」
 なるほど。せっかくの3Pだったのに、彼に抱かれる機会がなかったことを気にしてくれたらしい。立場替えたいって言いだしたの、こっちなのに。
「めちゃくちゃ嬉しかったです」
「知っててやってる〜」
「ですよね」
 んふふと笑いあってから「そういえば」と口に出したら、「大進歩の話?」と返ってきて、考えているのはどうやら同じみたいだ。
「です」
「アイツほんとポンコツ」
「それ久々ですね」
「ポンコツ言いまくってもあんま目に見えた変化なかったから諦めてたよね」
「でも好きって気持ちを理解したい気はあるっぽかったですよ。ほんと大進歩、って思いましたし」
 前に言ってた通りですねと言ったら、すぐには思い当たることがなかったのか、考え込んでしまう。
「変わらなかった場合の未来は彼もわかってるはず、みたいな話をしたときです。変わる気がありそうって言ってましたよね?」
「ああ、あれか。ほんと、もうちょっとで理解するかもって思ってたのに全然だったよね」
 ほんとポンコツって繰り返すから、やっぱり笑ってしまう。
「いつか、彼の好きの自覚相手があなただったら、どうします?」
 あの時は、彼が好きを自覚した先が自分になる想定で、「もし彼が俺を好きって思うようになったら、どうします?」って聞いたんだっけ。
 手放す気はないから好きでいてって言われてホッとしたんだけど。彼が好きを自覚する先がお兄さんだったら、どうなるんだろう?
「あー……やっぱ納得してない?」
「だって、見ましたよね? 気づきましたよね?」
 気づいたから、あんな風に困った顔で笑ってみせたんですよね。とまでは言わなかったけど、多分伝わっている。
「見たけど。気づいたけど」
「彼に好きって言われたら、応えます? よね?」
「いやぁ〜……」
 言葉を濁されたのは、やはりこちらの気持ちを考えてくれているからなんだろうか。
「家族の情とは言ってますけど、好きはちゃんとあるのに?」
「あるけど、でも俺が特別をあげたいて思ってるの君だしねぇ。アイツは既に家族って特別なんだから、これ以上の特別はあげなくていいでしょ」
 それとも応えたほうがいいの? と聞かれて、さすがに肯定は出来なかった。
「いいって言われなくてよかった」
 不安? と聞かれて、少し、と返す。
 お兄さんとお付き合いを始める前なら、彼がお兄さんを好きでも諦めがついたというか、そこまで傷つかずに別れを受け入れられたと思うけど。今更、やっぱり好きなのはお兄さんだった、なんて知らされても大人しく身を引いたり出来そうにない。
「まぁ心配いらないと思ってるけどね」
 大丈夫と、なんの根拠もないのに断言されて、でもそれだけで少しホッとする。
「俺を好きって自覚する日が来るときは、同時に、君への好きも自覚してると思うから」
 俺も君も、互いに互いを好きだけどアイツのことも好きでしょう。と言われれば、確かにと返すしかなかった。

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聞きたいことは色々64

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 前に、彼が好きなのはお兄さんなのでは、と考えたアレが当たりだったのでは。と思ったけれど、お兄さんは今回も否定的だった。更に言うと、自分とお兄さんと二人が同時に感じた変化なのに、彼にはその自覚がなかった。
 どんな気持ちであの顔をと思ったら、少し考えた後で、久々で懐かしさはあった的なことを言ったから、結局お兄さんへの恋情やらではなく昔を懐かしむ気持ちがそう見えたってことになったけど。でもまぁ、あまり納得はしていない。
 というか、彼が好きを理解するようになったら愛しがいが増す、とか言ってた人が、あの変化を目の前にしてそんな簡単に納得して引き下がらないで欲しい。
 なんてことを考えながら隣のお兄さんを見つめてしまえば、こちらの不満はあっさり伝わったようだった。
「不満そうだねぇ」
「だって」
「こいつが俺を好きって自覚したら、それはそれでかなり面倒じゃない?」
「とか言うから自覚してても言えない的な」
「そんな殊勝な性格してないと思うけどねぇ。で、こう言ってるけど、そうなの?」
 後半はもちろん、彼に向けた言葉だ。
 3人でした後はそのまま大きなベッドで3人並んで寝るのが常で、いつもは自分が彼とお兄さんとの間で横になっているけれど、今日はセックス同様お兄さんと位置を変えて、お兄さんが真ん中になっている。
 更に言うなら、普段は疲れ切って早々に寝落ちてしまうけれど、今日はお兄さんが真ん中だったおかげで普段に比べたら疲れていない。
 だから珍しく、今日のセックスの振り返り、なんてことをしてるわけだけど。なお、珍しいのは彼を交えて当日中にって部分で、お兄さんが真ん中なのは初めてだったし、今日のセックスがどうだったかって感想はどのみち求められると思っていた。
「さっきも言ったが、唐突になにかに目覚めたとか、心境に大きく変化があったわけじゃないな」
「ほらね」
「ただ全く自覚がないってわけでもないかもしれない」
「「えっ!?」」
 驚きで漏れた声がお兄さんと思いっきり被ったけれど、それを笑う余裕はどちらにもなかった。
「お前たちが着々と仲を深めて、目の前で好き好き言い合ってるのを見せつけられてるんだから、まぁ、それなりに色々考えたり自分と向き合ったりはしてる」
「え、で、その結果なにを自覚したの? ってのが一番聞きたいとこなんだけど」
「お前たちを手放せないこの執着だったり不愉快だったりが、好きって気持ちから来てる可能性?」
「ん゙ん゙ん゙っっ」
「ふはっ」
 お兄さんは悩ましげに唸ったけれど、こちらは思わず笑ってしまった。
「概ね予想通りの反応ではあるな」
「やっとそこ、みたいな気持ちもありますけど、大進歩って気持ちもありますね」
 好きだから嫉妬して不機嫌になってる、なんて指摘しても認めないと思ってたし、恋人を奪われた的な状況への不満と言われればそちらのが納得だったというのもある。
「ただこの不愉快が好きって気持ちから来てるとして、気持ちを乗せた好きが、お前たちが言い合ってる好きと同じになるとは全く思えない」
「まぁ確かに大進歩ではあるよねぇ。あと、お前たちって一括りにしてくれてるのを、俺としては評価したいね」
「そうなのか?」
「だってお前が実は俺を好きって疑われたとこだもん。俺への気持ちの自覚かと思ったら、二人まとめた話だったから安心したわ」
 このままもっと解像度上げてきなよ楽しみにしてるから、と続けた後、大きなあくびを一つ。
「気が抜けて眠くなってきたかも」
「今日、絶対俺より疲れてると思いますし、無理せず寝ていいですよ」
「君が寝るまで起きてたい」
「俺ももう寝ますって」
 そんな事を言いあっていたら、ピッっと小さな電子音が鳴って部屋が暗くなった。

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聞きたいことは色々63

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 彼にイイトコロを擦られて蕩けた顔を見せるお兄さんと、その後ろで満足気に笑う彼を見上げながら、これは仕返し的なものなのか、当初の予定通りなのか、どっちだろうと思う。
 煽られてもわかりやすく拗ねるくらいしか出来ないのかも、って思ったばかりだから、当初の予定通り、の方だろうか。
 なんてことをあれこれ考えていられるのは、お兄さんの腰がガッツリ固定されていて、彼の突きこむ衝撃がこちらにあまり伝わっていないからだ。
 お尻締めて気持ちよくしてあげてって言われてるし、あまり伝わらないってだけで多少は動かれているし、締めた中を擦られる気持ちよさは当然あるんだけど。でもイイトコ狙って動かれてるわけじゃないから全然余裕。
 お兄さんが気持ちよさそうにお尻でイク姿は何度も見てるし、お兄さん相手に腰を振ることも多少覚えたけど。でもまだ狙ってイイとこを擦るのは難しいし、自分自身のお尻に玩具を入れられた状態なのも変わってないしで、結局自分ばっかり気持ちよくなってしまうから、自分の腰使いでお兄さんを気持ちよく蕩けさせたことはない。
 普段自分がどんな顔をしているかなんてわからないし、気持ちよく喘がされてる時はこんな顔をするんだなぁという純粋な興味と好奇心で見つめてしまえば、その視線に気づいたお兄さんが、へにょっと困ったように笑う。
「やじゃ、ない?」
 何がとは聞かなくてもわかっている。
 恋人が他の男を抱くとこなんて絶対見たくないって思ってたし、それをお兄さんに言ったことがあるし、それを気にしてくれてるのがわかる発言は多かった。
 立場を変えたいって言い出したのはこっちなのに。大丈夫と思ってても目の前で実際に見るのは違う、とか考えてくれてるのかも知れない。
「ぜんぜん」
 即答すれば良かったと安堵の息を吐く。
「大好きな人が、大好きな人に気持ちよくして貰ってる。て思ったら、愛しいばっかりです。俺じゃこんなかわいい顔、させられないっすもん」
 再度、可愛いですよと繰り返しながら、手を伸ばして髪を梳く。今までいっぱい貰ってきた「可愛い」を、ここぞとばかりに返してみたら嬉しそうに照れていて、ますます可愛いくなった。
「ますます可愛い」
「なぁ、こっち向いて俺にも見せて?」
 思ったまま口に出したら、彼の興味を引いたらしい。
 甘やかな声にねだられて、お兄さんが楽しげに笑う。
「ん、ふふ、お前も、かわいぃ、って、言ってくれんの?」
「言われたいならいくらでも」
「じゃあ、言って」
 お兄さんが後ろを向くのを見ながら、こんな甘えた声を出すのは珍しいなと思う。でもそこまで驚きがないから、あれだけ蕩けてたら当然かも、って気持ちがあるんだろう。
 気持ちよくしてくれる人に甘えたくなる気持ちはよくわかる。
「可愛い」
「っふ、もっと、本気で」
「可愛い」
「全然足りな、ぁっ……ん、ぁ……ぁあ……」
 振り向いたお兄さんの顔を支えるように手を添えて、彼がゆっくり腰を振りはじめたから、お兄さんは少し苦しげに喘ぎだす。
 さっきみたいに気持ちよく蕩けた声ではないけど、彼は可愛いと繰り返している。しかも随分と柔らかな表情で。
 楽しそうってより……
 愛しそう、と思ってしまったその瞬間から派手に鼓動が跳ねて、彼から目が離せない。
「かわいい」
「ぁ、……あぅっ、も、いい。も、じゅうぶん」
 顔に添えられた手をぺちぺちと叩いて外させたお兄さんと目があって、また困った様子でへにょりと笑われてしまったから、お兄さんも彼の変化に気づいたんだろう。

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聞きたいことは色々62

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 自分に覆いかぶさるお兄さんを見上げながら、自分のときと全然違う、と思う。
 真ん中慣れてないって言ってたから、お兄さんに縋られて、お兄さんがヒンヒン泣き喘ぐのに合わせて自分も喘がされるんだ、って思ってたのに。
 そもそも彼が腰を振ってないのが、なんで? って思う。自分が真ん中の時は、容赦なく前立腺を擦られてしまうことが多いのに。
 イキたくなって自分のペニスをお兄さんの中に一生懸命擦り付けてしまうのと、彼が突いてくるのに合わせて腰が押し出されてしまうのとが交ざって、わけがわからない気持ちよさの波に飲み込まれるまま喘ぐ。ってのが、自分が真ん中のときのセックスなんだけど。
 普通に抱かれているその背後に彼の姿が見えてるだけ、みたいな状況に頭の中は疑問符でいっぱいだった。
「納得行ってない顔」
 激しく動かれてないから、んふふと笑うお兄さんに、「だって」と応じる余裕も充分にある。
「全然違うじゃないすか。俺ん時と」
「だっていきなりガツガツやられたら堪能できないでしょ」
 せっかくの真ん中なわけだし、と続いた言葉に、思ってたより全然乗り気だったことを知る。
「今度試してみてもいいけど、俺を気持ちよくすることより、自分が気持ちよくなるのに夢中になっちゃう君には、あまり魅力的なプレイじゃないと思うよ」
 最後はいつもの俺みたいになると思うけど、その前にちょっと趣向を変えたプレイにも付き合って、だそうで。別に嫌なわけじゃないけど、何する気なのかは教えてほしい。
「俺が真ん中で、二人を同時に気持ちよくしてあげるだけ」
 激しくは動けないけどキモチイイとこじっくり捏ねてあげる。の言葉通りに、既に知られたいい場所をゆるゆると擦られてたまらない。
「ぁ……はぁ……」
「気持ちぃね」
 可愛いよ大好きだよって甘い声が降ってきて、愛し気に見つめてくれる瞳と視線が絡んで、頷きながら嬉しくてニヤけてしまう。二人きりで抱かれる側のときはこんなふうにゆったり愛してくれることも多いけど、なんだかんだで抱く側になることや3人ですることが増えて、ちょっと久々だったから余計に嬉しい。
 なんて思っていたら。
「ぁあっ」
「んぁっ」
 お兄さんから少し高めの声が漏れて、体がビクッと震えたその振動がこちらにも響いて、予期せぬ刺激に自分も小さな悲鳴を漏らした。
「こらっ、嫉妬しない」
 軽く後ろを振り返ってそう口にする先には、少し不機嫌そうな彼が居る。いや、不機嫌っていうよりは拗ねている。少し頬を膨らませてむくれているから、わかりやすいけどわざとらしい。
「お前もちゃんと気持ちぃでしょ」
 確かに、お兄さん越しに彼が熱い息を吐くのが見えていた。
 ゆるやかな腰の動きは、こちらを突くのと彼のペニスをお尻で扱くのとを両立させていたから、というのが大きいのもわかっていた。
 器用すぎるし、魅力的なプレイ云々の前に、こんなの絶対真似できない。
「あーもう。はいはい。お前も可愛い可愛い」
「雑すぎるだろ」
「だってわざとらしいんだもん」
「ん、ふふっ」
 まんまと指摘されてるのがおかしくて思わず笑ってしまえば、二人の視線が自分に向けられる。
「俺も、わざとらしいなって、思ってて」
「ほらぁ」
 言いながらまた笑ってしまえば、お兄さんがほらみろと呆れた声を上げる。
「でもちょっと可愛かった、かも」
 怒ってるわけじゃなくて拗ねてる、というのを実感するようになってから、彼に対する愛しさは間違いなく増したと思う。彼が不機嫌なのにお兄さんがニコニコ楽しそうにするのも、わかった気がする。
「もっと素直に、仲間に入れてって言えばいいのにねぇ」
 俺もこの子もいくらでも本気の好きをお前にあげるのに、と続いた言葉には頷くしかない。
「ですねぇ」
 気まずそうな顔をするのは、未だプレイ的な好きしか口に出来ない自覚があるからなんだろう。
 愛しい気持ちが溢れて、と感じるような「好き」だったり「可愛い」だったりは貰えないけど。こっちが勝手に溢れさせる想いを、嬉しそうに愛しそうに受け取ってはくれないけど。でも、受け取ってくれてるのはわかるから。
 最近はもうそれでいいというか、全然気にならなくなっている。プレイで貰う「好き」だって、彼が楽しそうで嬉しいって方向に気持ちが変わって、虚しさなんて感じなくなっている。
 お兄さんもそんなこちらの気持ちを汲んでか、最近はもうあんまり、ポンコツだのなんだのは言わなくなったしわざと煽るような真似も多分しなくなった。
 まぁ3人ですることが増えてるし、お兄さんとは彼が居ても居なくても関係なくプレイじゃない「好き」を言い合ってしまうから、わざと煽らなくたって勝手に煽られてくれるって理由も間違いなくある。
 ただ、煽られた彼にちょっとしつこく責められる、というのがいつものパターンなんだけど。
 と思ったところで、今日は彼が突っ込んでるのがお兄さんだからか、と思い至る。お兄さん相手じゃ、わかりやすく拗ねるくらいしか出来ないのかもしれない。

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聞きたいことは色々61

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 二人の間に挟まって抱くのと抱かれるのを同時にこなすには、どうしたって彼には後ろから挿入されることになる。そしてお兄さんの方は顔が見たいし抱きしめたいと言って正面から抱かれることを好むから、お兄さんに抱きつき抱き返されながら喘ぐ羽目になるのだけど、少し慣れた最近は、必死にしがみつかなくても快感をやり過ごせるようになった。
 そうして気づいたのは、自分のペニスを受け入れてくれているお兄さんが、自分を通り越して彼を見つめていることがそこそこの頻度であることと、その瞳が愛し気なことだ。
 自分自身、お兄さんからは可愛い愛しい大好きって気持ちをたくさん貰っているから、間違いないと思う。
 一緒に愛を注ごうね、なんて言いながらも、普段そんな目で彼を見ていることはなくて、楽しげに言い争う姿のほうが馴染み深いんだけど。
 ベッドの上で、自分を挟んで、自分越しに彼に喘がされているような状態で、そうなるんだって、妙な納得感がある。かつては間に挟まる彼越しに、旦那さんを愛し気に見つめていたんだろうなって思ってしまう。
 そこそこの頻度でとはいっても、今現在の恋人は自分だから、お兄さんの意識はほとんど間に挟まれて必死に喘ぐ自分の方に向けられているし、可愛い愛しい大好きってヨシヨシされてるんだけど。でも旦那さんがいた頃、間に挟まって喘がされる彼に、こんな態度はとってなかったはずだというのもわかっている。
 彼は今、間に挟まる恋人越しにこんな愛し気に見つめられることを、どう思っているんだろう。間に挟まってヨシヨシされてる自分は、どう見えているんだろう。
 今、どんな顔をしているんだろう。
 そう思ったら、背後からしか抱いて貰えないのが残念だなと思うようになったし、彼に直接抱かれるお兄さんを見てみたいとも思うようになってしまった。
 お兄さんと場所を入れ替えたら、自分を抱くお兄さんとそのお兄さんを抱く彼の両方が見れるんだってことにも、気づいてしまった。
「本気で?」
「本気で」
 前に、そういう欲求が湧かない限りは試さなくていいと思っている話は聞いたけど、だったら、そういう欲求が湧いたら試してもいいってことだろう。
「ダメ、ではないんだけど」
「ないんだけど?」
「慣れてないんだよな、真ん中」
 言い淀むの珍しいなと思ったら、横から彼が答えをくれた。
「そう。だってこいつが俺に抱かれてくれたの、2回だけだからね」
「一番下ってそんなしんどいんですか?」
 お兄さんが余裕をなくして喘いでしまうくらいには、一番下も大変そうではあるんだけど。
「俺にとっては」
 肉体的にというより精神的な方と言われて、そんなにお兄さんに突っ込まれるのが嫌だったのかと思ったら、後ろから突っ込むのでいいならもうちょっと応じても良かったとか言い出して、どうやら自分を抱く相手の顔を見てたくないって話らしかった。
 しかもお兄さん越しに叔父さんとも見つめ合うことになるというのが、二重に辛かったらしい。
 一番下になったら二人の顔がちゃんと見れる、と気づいて試したくなった自分とは真逆だ。
「後ろからするんじゃダメだったんですか?」
「だって顔みたいじゃん」
「それ、恋人とか特別な相手以外でもなんですね」
「いや、こいつも特別枠。というか家族枠だね」
「悪趣味すぎるんだよ。こいつも、あの人も」
「お前も人のこと言えないような過去いっぱい持ってるだろ。まぁ、嫌々応じてるのが丸わかりで良かった、って面がないわけじゃないから悪趣味なのは認める。お前は3人同時に繋がるプレイそのものが嫌いで、真ん中やってるときも嫌々だったけど」
 あの顔は俺しか知らないって思うとちょっと優越感ある、と言ってお兄さんが笑う。
「後ろから突っ込むならあり、だったら」
「絶対やらない」
 絶対ないと思っていた「彼が真ん中」の可能性が、と思ってみたものの、口に出したら最後まで言わせても貰えなかった。ですよね。

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