一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた9

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 前回と同じようにお腹の中を綺麗にした後は、よく頑張ったと褒めまくって、ご褒美に体を洗ってやると申し出る。前回は一人になりたければ自分で洗ってもいいと言ったが、今回はその選択肢は与えなかった。
 なんせ早くおいでの言葉通りに追いかけてきた彼の準備を優先したから、自分自身がまだ体を洗っていない。それに、あまり食べていなかったせいなのは明白だが、最後の便通は昨日の午前中だと申告した相手は、前回は2回で済ませた浣腸を倍増しして前回以上に疲労をにじませる顔をしているし、前回は出てくるまでに時間が掛かって心配したのも思い出していた。
「あの、ご褒美は、その」
「体洗うの要らない? てかやっぱ一人になって一度落ち着きたいか?」
 何かを言いたげに、というよりは体を洗うという提案を否定したそうな気配を纏わせながらソワソワとされて、どうしてもと言われたら譲るべきかを考えながら問えば、そうじゃなくて、と首を横に振られてしまう。
「じゃあなんだ?」
 何か希望とか言いたいことあるなら遠慮せず言っていいぞと促せば、できれば逆がいいです、と返され首を傾げた。逆ってなんだ。
「その、ご褒美くれるなら、洗って貰うより洗わせて欲しいと言うか」
「ああ、逆ってそういう。てか逆か……」
 通じてないことは伝わったようで、慌てて言い募られた追加情報に納得はしたが、即答でOKは出せなかった。いや別にそれが嫌だとか駄目だとかってわけじゃないんだけれど、じゃあご褒美はそれで、という気にはならなかったというか。
「ダメ、ですか」
「駄目じゃないけど、俺的にそれはご褒美あげてる感が薄い。つうかそれだと、俺がご褒美貰うってイメージになるというか、ご褒美にしかならないっていうか」
「え、えと、じゃあ、その、手伝ってくれたお礼、させてください、とか?」
 どうですかと期待混じりに見つめられたら笑うしかない。お前本当に俺が好きな、とわざわざ言いはしないが、胸の内で噛み締めてしまうし、頬が緩んでしまうのもわかる。
「なら洗いっこだな。俺も頑張ってくれたお前にご褒美あげたいし、体洗ってやりたいし」
 どっち先が良いかと聞けば、洗う方と即答された。
「お腹洗うの結構大変だったと思うけど、疲れてないの?」
「大丈夫です。というか、洗って貰うほうが疲れそうなので」
「え、なんで?」
「既に一回抱かれてて、お腹洗うのだって手伝われてて、あなたからすれば今更かもですけど、あなたの手が俺の体のあちこち這ったら、きっとドキドキして心臓保たない、です」
 体洗われて感じちゃってもあまり笑わないでくださいね、なんて言うから、どうにも笑うのが堪えられない。
「もう、言ったそばからそんな笑わなくても」
「可愛いことばっか言ってくるお前が悪いよ。だって感じさせてやりたいし、体洗われながらアンアン喘いじゃうお前が見たいし、見れたら嬉しくて笑顔にだってなるだろ。あと、俺だってお前に体洗われたら当たり前に勃つと思うぞ」
 だって好きで仕方がないって気持ちで触れてくるのだろうから。反応しないわけがない。
「てわけで、エッチな気持ちで俺の体撫で回しても別に怒んないから、思う存分、俺の体を洗うといい」
「もー、そういう事言われたら変に意識しちゃうじゃないですか」
「させてんの。あとほんと、俺の機嫌伺ってこわごわ洗われたりするより、お前がしたいように好き勝手洗ってくれたほうが絶対楽しいし」
 てか面白そうだし。とは言わずに置いた。
「じゃあ、遠慮なく」
 ほら、とアメニティで置かれていたボディスポンジを手渡してやれば、いそいそとボディソープを含ませている。それを見ているだけでも、やっぱり頬が緩んでいく。
 しかし余程しまりのない顔を晒していたようで、泡立ったボディスポンジを手に正面に立った相手には不評だった。ちょっとニヤニヤし過ぎじゃないですか、という指摘を受けてしまった。
「だって楽しみすぎて」
 俺にとってはご褒美にしかならないってのはこういうことだと言えば、一応納得はしたらしい。

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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた8

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「お前を強引に恋人にしたのも、恋人になったお前抱くほうが楽だし楽しいから、みたいな、まぁまぁクズい理由だった気もするけど、性欲って意味じゃ確かに昔ほどがっついちゃ居ないわな。でもその代わりに、セックスする前にお前の体調気遣ったり、お前の気持ちを確かめたりする時間が取れてる。若かったら、とりあえず一発やってスッキリしてから諸々話し合おうか、みたいになってたと思うし、酔った勢いでヤるセックスも悪くないよな、で押し切ってたとも思うよ」
 ついでに言うなら、スッキリしたあとの話し合いをおろそかにした結果、愛想を尽かされたなんてパターンも多分あった。性欲が優先されていた頃の失敗には色々と覚えがある。でも性欲が基準で動いてたのと、相手はそれなりに探せたせいで、それを反省することはなかったし、次の恋人相手に活かされることもなかった。
 今は性欲が落ち着いているのと、この子を逃したらまた恋人の居ない生活になるのがわかっているから、そうした過去の反省やらを活かすいい機会にも思えてしまう。結婚する気もなければ特別恋人を必要ともしていなかった中で、恋人としてそばに置こうと思ったのがこの子なのだから、この子が人生最後の恋人となる可能性だって高い。
 もう少し相手が酒にも抱かれるセックスにも慣れたら、酔った状態の相手を抱いてみてもいいかも知れない、とは思うけれど。でもそれだって、相手がそういう状態を楽しめそうなら経験させてやるのもいいかもって意味合いが強くて、酔いの勢いに任せて自身の欲の解消を狙うのとはやはりだいぶ違う。
「ただまぁ、お前の若さ考えたら、覚えたてのセックス期待すんのもわからなくはないな。後、俺ががっついて、お前抱きたくて仕方ないって姿見せたら、安心したり喜んだりするのかな、みたいなことは今ちょっと思ってる」
 お前俺のこと好きすぎだから、とは言わなかったけれど、何度か口にしているので言わなくてもそう思っていることは伝わってしまったかも知れない。
「俺のために何かを頑張って欲しくはないんですけど、でも」
「がっつかれたい?」
「ホッとしたり、嬉しかったりは、しちゃいそうです」
「いいね、正直で」
 じゃあヤルかと告げて抱えていた体を開放して身を起こす。
「さっきトイレ行ってたけど、歩いてみてどうだった? 酔いはもうだいぶ覚めてる? まだ体ふわふわしてるか?」
 大丈夫ですとの答えに、気持ち悪いとか頭痛いとかないかと重ねて聞いたが、そちらにも問題ないと返ってきたので、じゃあ準備をしに行こうかと誘った。
「えっ?」
 予想通りに驚かれたので、一緒にいるんだから手伝うに決まってると言い切ってしまう。突っ込むまでに手間かかる方が燃えるって話は前回もしたが、それに加えて、それだって前戯の一部みたいなもんだとも言ってやる。
「前戯……」
 前戯扱いに呆然とされてしまって苦笑する。
「やっぱ俺に手伝われる想定なかったか?」
「そりゃ、だって」
「何すればいいか、もうわかってるもんな。でも一人で準備してきて、とはならないんだよなぁ」
「なん、で」
「そりゃお前が恋人になったから。準備頑張ってくれるのわかってるんだから、褒めてやりたいし、ご褒美だってあげたいだろ」
 前回も上手にできたんだから今日だって大丈夫と言いながら、着ていた服を脱いでいく。たいして広くもないバスルームに服を持ち込む気はない。
「俺に脱がされたくて待ってる?」
 さっさと全裸になってしまっても相手は未だ動かずにいたので、そう聞いてみればブンブンと勢いよく首を横に振って、慌てたように服を脱ぎだす。
 いい子だと軽く頭を撫でてやった後、先に行ってるからお前も早くおいでと告げて、一足早くバスルームへ移動した。

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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた7

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 再度、噛みしめるみたいに「愛しい」と呟いた後、甘えるみたいにすり寄ってきた相手の頭に手を伸ばして、何度もその髪を梳いてやる。もちろん、愛しい、という気持ちを込めて。
 しばらく黙って続けていれば、やがてうっとりと息を吐いた相手が、そういえばと話し出す。
「昼寝の後って、何するんですか?」
「ん? 今してるこれ」
「今? これ?」
「酔いが覚めたお前に、ヤれないならデートしないなんて思ってない話がしたかったのと、初めて出来た恋人との初デートに緊張してる、ってだけじゃなさそうだったから、会えなかった3週間で何考えてたのかもうちょい探りたかった感じだな」
 恋人になったらもっと積極的に会いたがるのかと思ったら真逆だったし、それを変だなって思ってたのに放置してたせいで何やら拗らせた気配がしたから、何を考えたのか引き出して変な誤解や思い込みをしてるようなら訂正しておきたかった。というのを特に言葉を選ぶことなく言ってしまえば、相手はやはり、拗らせた気配が気になるらしい。
「初っ端からこの前のアレコレを夢扱いされかけてビビったのに、俺がお前をちゃんと恋人扱いしてデートだって言った後も、夢じゃなかったんだって浮かれる感じじゃなかった。ってだけで、もうホント、お前が放置してた3週間でなにやら思い詰めた気配しかないだろ」
 恋人と行きたいデート先がすぐ言えないのだって、こちらを気にしまくった結果なのは明白だった。
「しかも男同士で問題なく使えるラブホだのご休憩だのって単語が出てきてたし、それ言ってたときのお前、なんか必死だったし。つか日帰りデートでどうやったら俺とヤレるかを考えまくったとかじゃないと、ああいう発言にならないんじゃないか。とか、じゃあなんでそれを考えたのかって言ったら、お前が抱かれたくて仕方ないってより、デートしたらヤらせないとフラれるとか考えてる可能性とかが見えてくると言うか」
 的はずれなこと言ってるかと聞いてみれば、いえ、と短な否定が返ったけれど、言い当てられて恥ずかしいのか少し身じろいだ後、結局さらに身を寄せることにしたらしい。元々かなり近かったので、身を寄せると言うよりは顔を隠したいらしく、胸元までは下がらない肩近くに相手の顔が押し当てられている。
 相変わらず反応というか行動がいちいち可愛いなと思って笑ってしまえば、ますます縮こまってしまったけれど、特に言及しないで宥めるみたいにポンポンと背中を叩いていれば復活するのも早かった。この子の扱いに、ちょっと慣れてきた気がする。
「あの、ひとつだけ、訂正したいんですけど」
「うん、何?」
「日帰りデートでもヤれるならもっといっぱい会えるようになる、って考えたのは、あなたがヤれないデートに乗り気じゃないだろうからってのは事実なんですけど、俺があなたに抱かれたいから、ってのも、なくはない、です。抱いてくれないデートはしたくないなんて言わないですけど、出来るならしたい気持ちは、俺にも、あります」
「なるほど」
 抱いて貰うんだから割り勘で良い、なんて言っていたくらいなんだから、当然それも考えるべきだった。前回、ただただ一緒に過ごす時間が欲しい、会える機会を増やしたい、という気持ちばかりを見せられていたせいか、相手が抱かれたがっている想定があまりなかった。
 というかこれを言われるってことは、前回、また抱かれたいと思うくらいに善い思いが出来たと考えられるし、それはちょっと男として誇らしいし嬉しくもあるなと思う。あと単純に、安心もする。
「むしろ、ヤりたい気持ちだけなら、俺のが上かもしれないんですけど……」
「えっ?」
「だ、だって、この前も今日も、俺ばっかりしたがってる、というか、前回なんか俺があんまり抱かれたがるから抱いてあげるよって感じだったし、今日だって、俺が準備するの止めてまずは昼寝とか言うし」
 ヤりたいから付き合うクズとか全然嘘、とまで言われてしまって苦笑するしかない。これはまぁ完全に加齢のおかげなんだけど、逆に言えば、相手はヤりたい盛りの大学生か、とも思う。というかなるほど、どうやらそれも失念していた。

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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた6

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 笑ってしまったからか、本気なんですけど、と告げる声は不満げだった。
「本気で言ってんのはわかってるよ。たいして金かかってるわけでもないし、お前にだって充分出せる額だってのもわかってる」
「じゃあ」
「でもまぁそこは、今後も甘えてくれてていいかもな」
「なんで?」
「お前が俺を好きすぎるから。つか恋人とデートしてて、抱いて貰うんだから自分も半額出す、なんて言われるの初めてだったんだよな」
 嬉しかったし可愛すぎたから、今後もデート代は出してやろって気になった。と続ければ、そんなことでと驚かれた後、やっぱりどこがケチなのか全然わからないとボヤかれてしまった。
 そんなことでと言うけれど、今まで同じことを言った恋人は居なかったし、この子は抱かれるためにお金を出してもいいくらいに自分のことを好いてくれている、という事実は、財布の紐が思わず緩むくらいの衝撃だったというだけだ。
「お前が相手なら、セックスするため以外のデートだって全額俺持ちで全然いいわ」
 年齢差的に当然そうなるだろという認識ではあったのだけど、3週間放置になった原因のひとつに、ヤれないデートに金をかけたくない=積極的に会いたいわけではない、という気持ちがなかったとは言い切れない。
「てわけで、今後はもっと積極的に、セックスなしの日帰りデートもセックス無しのお家デートもするからな」
「えっ!?」
「抱いて貰えないならデートしたくないとかは言わせないぞ」
「言いませんよ。言いませんけど、でも」
 本気で? と確かめられて、本気でと即答してやる。
「そういやお前、俺がセックス抜きのデートする気がないって思ってた、よな?」
「そりゃ、だって、いくら俺が実感できてなくても、あんなに何回もケチでクズって自己申告されてたら、ヤれる時だけ会うほうがいいんだろうなって、思っちゃうというか。その、少しでも長くあなたの恋人で居たいって考えたら、かろうじて耐えられそう、みたいに言ってたようなことは避けておきたいと言うか」
「待て待てなんだそりゃ。かろうじて耐えられそう? 何を? つかそんなこと言った?」
「言いましたよ。俺と付き合うメリットで、好きだからただ側にいたいっていうのも、恋人なら許せそうだ、って」
「あー……」
 そう言われてしまうと、確かに言ったような気がする。
「恋人ならギリ許容できそう、って……?」
「それですね。ギリ許容って、かろうじて耐えられそう、とは違いました?」
「すまん。確かに俺が言ってたわ」
「なのにセックス抜きのデート、あなたから誘ってくれるんですか?」
「そうだな。セックス抜きでもお前とは会いたいって思うよ」
 本気で? と確かめにくる声は、さっきよりもさらに疑わしげだった。
「本気で言ってるけど、でも、好きだから会いたくてしょうがない、みたいなのとは確かに違うかな」
「もし俺を甘やかそうとか、喜ばそうとか、そういうのなら、あまり無理して欲しくないです」
「違う違う。いや違くもないけど、ヤれないデートに金出すのもお前相手なら全然有りって思ったら、もうお前を放置しておきたくないなってなっただけ」
 お前面倒だから放置しとくと余計なこと色々考えて、下手したらやっぱり自分なんかが恋人なのはとか言い出しそうだし。と続ければ、ちょっと言葉に詰まっているので、多分似たようなことを既に考えていたんだろう。
「お前がもう無理別れたいって言ったら別れてやる気はあるんだけど、こんなに俺のこと大好きで居てくれる恋人初めてだし、手放したくないなって思ってアレコレする価値が充分にあるとも思ってる。あと、お前が俺を好き好き思いながら俺のそばをウロつくの、ギリ許容どころか思ってたよりずっと楽しそう。つか嬉しい。のと、多分、愛しい」
 最後の部分を拾って、愛しい? と呟く相手に、そうだよと肯定を返す。ついでに、本気で、と相手に問われる前にさっさと自分から申告しておいた。

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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた5

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 腕の中で身動がれる気配に意識がふわりと浮上する。腕の中に抱えていた熱がもぞもぞと這い出て、どうやらトイレに行くらしい。
 相手がそのまま起きるなら自分も起きないとと思いつつも、たゆたう意識にそのまま目を閉じ横になっていれば、戻ってきた相手がまたもぞもぞと腕の中に潜り込んでくるから、こらえきれずに小さな笑いがこぼれ落ちた。
「んふっ」
「ふぇっ!?」
 驚かせてしまったようで、びくっと体を跳ねさせた相手からも不思議な声が漏れてくるから、やはり笑うみたいな吐息を零してしまう。
「ふ、かぁいいなぁ、ホント」
 ちゃんと腕ん中戻ってきてえらいな〜と発する声は、寝起きのぼんやりが滲んで間延びしている。
「ぁ、起き、て……ってか、もしかして、起こしちゃいました?」
「んー、まぁ、昼寝だからな。元々そんな深く寝入るつもりもなかったし」
「あ、じゃあ、」
「起きてもいいけど、せっかく腕ん中戻ってくれたから二度寝もあり」
 どうしたい? と問いかければ、少し迷う素振りを見せた後。
「起きます。けど、もう少しだけ、こうしてて貰えませんか……?」
「もちろん。もう少しと言わず、たっぷりこのままでもいいくらい」
「そ、なんです、か?」
「そりゃ、可愛い恋人が腕ん中に収まってくれてる状況だもん」
 しかも自分っから入ってきた点が本当にポイント高いと思う。ここに戻るんだ!? という驚きと納得とを含んだ感動を思い出して、また胸の奥の方から笑いが溢れてくる。そういや前回も、泣くのを抱いてあやしたら、次に泣いた時には自分から顔を埋めにきてたっけ。
「ふふっ、腕ん中戻ってきて偉いな、って言ったろ。俺はこういうイチャイチャだって、決して嫌いじゃないからな?」
 まぁ過去の経験で言えば、主にヤった後の話ではあるのだけれど。そう思うと、ヤル前に話をしようだの、酔いを覚ますために昼寝しようだの、確かに昔の自分からは想像できないような手順を踏んでいる。
 ヤル気はあるがそれが一番の目的でホテルに入っているわけじゃない。セックスは後回しでも構わない。なんて思えるようになったのはどう考えたって年齢が関係しているんだけど、でも、相手がこの子だからというのもそこそこ大きそうではある。
 どう考えたって、酔った勢いに乗って致す方が楽しい相手には思えない。
「そ、なんです、ね」
 何にホッとしたのか、こちらが起きてると気づいた時から微妙に固くなっていた、相手の体の強張りが少しばかり解けたようだ。
「俺、前回もお前のことそれなりに甘やかしまくったつもりなんだけど、こういうの嫌がりそうって思うようなこと、あった?」
「ないです、けど、でも」
「でも?」
「あれは、その、セックスの最中だった、し、俺、いっぱい泣いちゃった、ので」
「ああ、確かに。お前と楽しくセックスするために甘やかしまくった面も、まぁ、なくはなかったか」
「それに、ヤルより先にすることもしたいことも色々あるって、言ってたから。俺のわがままで甘えさせて貰って、時間潰しちゃうのも申し訳ないというか、その、俺が面倒だから付き合うメリットがあるって言ってくれたけど、面倒掛けすぎて愛想つかされるのは怖いというかで」
「あー……なるほど」
 いくら恋人になってから初めてのデートだからといっても、前回とほぼ変わらないデートにそこまで緊張するのはおかしくないかと思っていたし、どんなことをするか身を持って知った後の初めてのセックスを意識しまくっているのかとも思っていたが、どうやら愛想を尽かされるのが怖いと怯える気持ちがあったらしい。
 ほだされたとか、結婚する気は一切ないだとか、他の誰かと二股するタイプのクズではない話はしたし、恋人になれと誘ったのはこっちだけれど、恋愛感情かは微妙だってことや、リップサービスどころか好きと言われたら反射的に好きと返していることもあると認める発言をしたのは事実だ。
 ただ、それを言うなら、別れはこちらから申し出るのではなく、相手がこちらを切る時だろうと、割と本気で思っている。
「まぁ、お前の面倒臭さが付き合うメリットつり上げてるのは事実だし、そう簡単に愛想つく面倒臭さなら、こんな面倒な子をあんなに一生懸命口説いて恋人にはしないから安心しろよ。むしろ俺は、俺のクズさにお前が呆れて、いつか俺が捨てられる側って思ってるからな?」
「あなたがクズでケチっていうの、俺、全然実感できたことないんですけど。って、そうだ。俺だって好きな人に抱いて貰うんだから、セックスするときのデート代、割り勘でもいいんですよ?」
 結局今回も全部払ってくれようとしてるみたいですけど、と続いた言葉にやはり笑いが込み上げてくる。笑いというか、これは多分、愛しさだ。

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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた4

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 やはり飲ませすぎていたらしい。確かに緊張してるという自己申告はあったし、料理類にあまり箸が伸びていないのは見ていたけれど、まさか昨夜からほとんど食事が喉を通らなかったなんてのは想定外過ぎだったというのもある。空きっ腹にアルコールばかり入れたなら、そりゃ酔いが回って当然だ。
 とても次の店へという状態ではなさそうだったので、元々今日のデートは動画撮影がメインではないのだしと思って、さっさと予約済みのホテルにチェックインしてしまったが、むしろ落ち着いて話をするには丁度いいのかも知れない。
 でも予定通りに店が回れないことに責任を感じているのか、相手は酷く申し訳無さそうに、さっきから何度もごめんなさいを繰り返している。
 飲み慣れていないのはわかっていて飲ませたのはこちらだし、泊まりが確定してたから酔っても構わないと思っていたというか、前回ほど相手が酔うことに注意を向けていなかったし、今日のデートは元々相手の希望に合わせる予定でいたのだから撮影が中断しようと問題はない。
 謝られるたびに言葉を変えて、相手に責任がないことを伝えているが、それを素直に信じて、なら良かったと安心してくれるような相手じゃないのは明白だ。
「なぁ、俺がデートって単語使って誘った意味、お前ちゃんとわかってたろ」
 それならばと、言外に今日のメインはセックスと匂わせてみれば、相手はコクコクと2度ほど頷いたあと。
「セックス、ですよね」
「そうだ。だから、」
「わかりました。準備、してきます」
「ってそうじゃなくて!」
 バスルームへ向かおうとする相手を慌てて引き止めて、もう少し落ち着けという意味を込めて抱きしめた。
「ひえっ」
 腕の中で小さな悲鳴があがって、体が緊張でこわばるのを感じながら、やはり3週間も開けたのは失敗だったよなと思う。ゲスな発想なのは認めるが、さっさと2度目を抱いておけば良かった。
 せめてセックス抜きでももう少し頻繁に会っておけば、いざ2度目でも、ここまで意識されなかっただろうか。なんて思ってしまうくらいに、妙に意識されすぎている。
 何をするのか、どんなことをされるのか、知ってしまった後の初めて。と考えれば、その緊張やら意識しすぎたオカシナ態度にも納得、と言えなくもないのだけれど。
 準備してきますね、なんて言葉がスルリと出るくらいには相手にもその気はあるようだけれど、前回同様に手伝ってやると申し出たら絶対に断られそうな雰囲気がある。
 セックスは一緒に楽しむもので、体を使ったコミュニケーションで、こちらだけが一方的に欲を発散させるセックスにはあまり興味がない。それを前回も実践したはずだけれど、夢にされかけたくらいだし、どこまで覚えているかはかなり微妙そうだ。むしろ相手がこちらを誘うきっかけになった、飲み屋での会話の方が記憶されているんだろう。
 ヤりたいから付き合うクズでデート代を出し渋るケチ、辺りの情報ばかりが強く印象に残っている気配が強い。でもヤれそうになかったら割り勘とは言った記憶があるけど、ヤれないならデートする意味がないとまでは言ってないはずなんだけど。
 さっきの店での最後の方の会話からすると、ヤれないならデートしないと思われている可能性が高い気もする。その辺をちゃんと確かめて、しっかり訂正しておきたい。
「も少し落ち着けよ。セックスするのはお前の酒がもうちょっと抜けた後。てかヤルより先にすることもしたいことも色々あるから」
「したいこと、ですか?」
「そう。まず一番最初にするのは昼寝」
「昼寝?」
「うん、昼寝。少し眠って酒抜こう」
 酔ったままの相手といくら会話を重ねたところで、どこまで覚えててくれるか怪しいから。とまでは言わずに、近くにあるベッドへと一緒に転がってしまう。
「えっ? えっ?」
「良い子だから目ぇ閉じて」
 エアコンが効いてるけど寒いほどではないし、くっついて眠るにはむしろちょうどいい。
「ん、いい子。じゃあゆっくり深く呼吸して。吸って……吐いて……」
 指示を出せば素直に従うので、相手が口を挟めないように吸って吐いてを言葉にして繰り返しつつ、時々、上手と褒めてやる。相手の体から少しずつ緊張が抜けていき、やがて穏やかな寝息になったことを確認した後、そのまま自身も目を閉じた。

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