一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた3

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 酒の力を借りつつ、恋人が出来たら行きたかった場所やらやってみたかったことやらに探りを入れ、相手の希望を取り入れた次回のデートプランを練っていく。
「夏休みっていつまでだっけ? お前が休みの間に、も一回くらいは泊まりでデート行けたら良いよな」
 休みが調整できないか検討するけど、最悪日帰りでもデートはするぞと宣言すれば、相手は少しばかり目を瞠ったあと、困ったようにへらっと笑った。
「日帰りでもデート、してくれるんですね」
「むしろなんでしないと思うんだよ。確かに今日のはデートしよって誘ったけど、もしお前が他の誘いに乗ってたら、それだって日帰りデートだったろ?」
 恋人と二人で過ごしたらそれはデートだと言ってやれば、相手はどこか腑に落ちない様子を見せながらも、口では「そう、ですね」と返してくる。正直に言ってしまえば、その腑に落ちない感覚こそが正しい。
 だってこちらの都合に合わせろって誘いと、相手の希望に沿うお出かけでは全然違う。違うのがわかっているからこそ、デートしようと誘うことはしなかった。でもデートって単語を使ってでも、3週間も放置せずに会っておくべきだったとも思っているのだ。
 もし日帰りでデートしよって言ってたら、他の撮影にも同行したかもしれないし、お家デートがしたいと誘えば、母に合わせる顔がどうこう言わずに遊びに来たかもしれない。そう、思わずに居られなかった。
 想いのデカさで言えば断然相手が抱える好意の方が大きいのだけれど、恋人関係を持ちかけたのはこちらだということを、恋人となることを了承させるのにあれだけ手間取ったことを、もっと慎重に考えるべきだった。好きな人と会える時間がもっと増えれば良いな、ってだけでまっさらな体を差し出してくるような相手だってことを、もっと肝に銘じておくべきだった。
 恋人なんて関係は望んでなくて、でももっと会いたいとか一緒に過ごす時間が欲しいって気持ちだけはあんなにも強かったのだから、せっかくの夏休みに3週間もお預けされて平気だったわけがないだろう。
「ごめんな」
「え、なんで謝るんですか」
 いきなりの謝罪に、相手はやはり戸惑って見せる。
「せっかくあれこれ誘ってくれたの、全部断っちゃったの俺なのに。なら謝るの、俺の方じゃないですか」
「日帰りデートしよって言って誘わなくて、ごめん。お前とデートしたいからおいで、って誘えば良かったよな」
「で、でも、日帰りデートだとヤれない可能性、高くないですか?」
「ん?」
「今日をデートに指定したの、明日もお休みだからですよね? てことは、翌日仕事で泊まりは避けたいんですよね?」
 朝早かったし結構バタバタと支度して大変そうでしたもんねという指摘には、当然、肯定しか返せない。
「まぁ、そうだな」
「ラブホって、男同士でも問題なく使えるようなとこばっかじゃないんですよね?」
「えっ?」
「おばさん帰ってくるかもって思いながらするよりはラブホのが全然いいんですけど、俺としてもこの前みたいに普通のホテルの方がありがたいし、だからデートするのはお休みが連続してるときだけでも構わないっていうか、ヤれないのに無理して日帰りデートして欲しくないっていうか、あ、でも、男同士でも日中使える、えーと、ご休憩? 出来るホテルに心当たりがあって誘ってくれてるなら、」
「待て待て待て」
 慌てて待ったをかけて相手の口を閉じさせる。酒の力は偉大だが、思考力が鈍っていけない。
 いやまぁ、相手の問題って方が大きそうではあるけれど。素面でも待ったをかけてそうなことを言われた気がするけど。
 むしろ相手に飲ませすぎているだろうか。話のつながりが飛んでいるように感じるのは、相手が酔っているからかも知れない。そこまで酒に強そうって感じでもないのに、口が軽くなればと、今日は途中で取り上げずに飲ませてしまっている。
「よし、お前ちょっとお酒やめてソフトドリンク……よりも、一旦締めて次の店行くか」
 お互い頭を冷やそう。まぁ外に出たところで頭が冷えるような涼しさは期待できそうにないけども。でも外の空気を吸って、すこし頭をすっきりさせたい。
 そんなことを考えながら、取り敢えずこのお冷は飲んどけと、最初に出されたままほぼ手つかずだった自身の水入りグラスを押し付けた。

続きました→

 
 
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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた2

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 待ち合わせ場所にほぼ時間通りに到着すれば、このデートを楽しみにしていたとわかる顔ではなく、はっきりと不安そうな顔をしてこちらを待っていた相手は、めちゃくちゃぎこちない口調で「お久しぶりです」と告げる。
「おう、久しぶり」
「すみません、なんかすごく、緊張しちゃってて」
 早速だけどなんだこの対応、と思いながらも反射的に挨拶を返せば、理由はあっさり相手が教えてくれた。
「あー、緊張、ね。うん、緊張、か……」
 緊張だけって感じにも思えないんだけど。でも、取り敢えずはそういうことにしておこうか。なんて気持ちから、思わず2度ほど繰り返してしまえば、相手は少し焦るような様子を見せる。
「だ、だって、初めてなんですよ」
「え、何が?」
 本気で意味がわからない。だって前回とほぼ同じコースなデート予定なのに。違うのは連れ回す店と連れ込む予定のビジホだけだ。
「何って、デートするのが、です」
 俺に恋人いた事ないの知ってますよね、と不安げに尋ねられて、いやそりゃ知ってるけども、と思う。
「つっても、連れてく店と宿が違うだけで、前回とそう代わり映えしないコースだぞ?」
「けど前回はまだその、こ、恋人、とかってわけじゃなかった、ですし」
 心構えがぜんぜん違う、らしい。
「しかも3週間ぶりだし、なんか夢見てたみたいなとこあって信じられないというか」
「待て待て待て。3週間ぶりになったのはお前が今日まで会おうとしなかったからで、つか夢ってなんだ。まさか、なかったことにしたいわけ? いや待て。長くなりそうだから取り敢えず店行くか。すぐそこだし」
 今日のデートがすんなり行かない可能性はあると思っていたが、会って数分でここまで実感することになるとは思ってなかった。
 ほんと、顔出しも声出しもない動画にしてて良かった。しみじみとそう実感しつつ、不安げなままの相手を連れて最初の店に向かう。
「で、最初に確かめさせて欲しいんだけど、俺とお付き合い続ける気ってまだある?」
 注文を済ませて店員が下がったあと、取り敢えずこれは聞いておかないとと、ど直球に問いかければ、すぐにはっきりと「あります」と返ってきてホッと安堵の息を吐いた。
「夢見てたみたいなとか言い出すから、そこから覆されるのかと思ってヒヤヒヤしたわ。お前を恋人にするのめちゃくちゃ大変だったのに、デート1回すら出来ずに終わるのかと」
「やっぱ本当にこれ、デート、なんですね」
 え、そこから? という驚きとともに、この感じめちゃくちゃ覚えがある、とも思う。そう思ったら、なんだか笑いそうだった。
 さっき自分でも、デートするのが初めてだとか言ってたくせに。ちゃんとこれがデートだってわかってるくせに。でも、今実感しました、みたいな顔をしているこれが演技だとは思わない。
 こちらが彼を恋人と認める発言をして、これをデート扱いしたことで実感した。辺りだろうか。
「お前、この3週間で色々余計なこと考えまくったな?」
「え?」
「デートしよって誘ったんだから、デートに決まってんだろ。てか初デートなのに、また動画撮影がいいっつったの、お前だからね?」
「それは、そう、なんですけど」
「恋人できたら行ってみたいと思ってたデート先とかないの?」
「え……と、あなたとなら、居酒屋めぐりがいい、です」
 多分、かなり考えながら言葉を選んでいる。そう思ってしまうような間を感じた。
 メッセージのやり取りでは感じ取れないものも、こうして眼の前でやり取りすれば隠せない。
「それは俺が男だから? おっさんだから? こんな俺とじゃ、いつか恋人ができたらって夢見てたデートなんて出来っこないって思ってる?」
「ち、違っ、でも、どこ行きたいとか、わかんなくて」
「それ、俺がどこに行きたいかわからない、って意味でいい?」
「え?」
「違った?」
「えー……」
「そこですぐ違うって言えないの、そうですって言ってんのとほぼ同じなんだよなぁ」
 その指摘に次の言葉を発せず、小さく口を開けたり閉じたりしている様が可愛くて、やはり笑いを堪えるのが大変だった。

続きました→

 
 
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一回り以上年下の従兄弟を恋人にしてみた1

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 色々あって一回り以上も年下の、従兄弟という関係性のあるまだ大学生の男の子を恋人にしておよそ3週間。こちらの休みが基本平日ばかりだろうと相手は夏休み中なのだから、休みに合わせて頻繁に家まで押しかけてくるのかと思いきや、会うのはなんと、恋人となった日以来の3週間ぶりだった。
 その3週間の間には当然数回の休日があって、動画撮影込みの飲み歩きだって2度もしているのに。
 一番の原因は多分、休みの日程を知らせるときに、今日この日を指定して、こちらからデートしようと言ったせいだ。デートという単語を使いはしたが、要はセックス込みの泊まりのつもりで出かけようって話で、セックス込みでとまでは言わなかったが泊まりでとは言ってあるので、相手もさすがにこのデートを了承する意味はわかっているだろう。
 なぜこの日を指定したのかと言えば、珍しく2日続けて休みな日程を見たら、この日は逃せないなと思ったからだ。初回がビジホお泊りでのセックスだったから、同じパターンなら間違いなくヤレルはず、というゲスな試算に、こちらの体力やらを考えたらやはり翌日は休みのほうが都合がいいという、あまり認めたくはない加齢問題がプラスした結果でもある。
 ただ、デートの日を指定したからと言って、そこに「だから他の日には会わない」などという意味を含ませてはいなかった。どちらかというと、「お前の要望を叶えてやるぞ」のサービス的な意味を持たせて、デートという単語を使ったつもりだったんだけど。
 あまり遠出はしたくないけど行きたいとこがあれば教えてという問いには、なぜかまた撮影同行がいいと返ってきたし、店もこちらにお任せだった。一応、デートなんだから遊園地でも水族館でも映画でも小洒落たレストランでも、お前が行きたいとこ言っていいよと再度問いかけ直したけれど、相手の回答は変わらなかった。
 セックス前提のサービス精神ではあるが、よほど金銭的に引くような提案でなければ何を言われようと付き合う気でいたが、前回同様の撮影同行デートでという返答に安堵した面がないわけではないから、そこまで見越しての提案という可能性もあるかもしれない。もしくは、年の差ありまくりの男同士カップルでも浮かないデート先が思い浮かばなかった、という可能性。
 うん、そっちの可能性のが多分高い。というか、それを考えてしまうと、自分だってここならと思うデート先など思い浮かばないから、デート先ごと決めてくれと投げ返されなかっただけ良かったと言えそうだ。
 そしてデートが動画撮影となったせいで、その間の2回の飲み歩きにまで同行はしなくていい、となるのは納得でもある。顔出しも声出しもない動画だけど、彼の父である叔父さんが視聴者で、かつ投稿者の素性に気づいていないことを考えたら、そう頻繁に動画になりたいわけでもないだろう。
 同行したい理由の一つに、父親が気づくか確かめたい的なのもあったけれど、恋人関係になってしまった今も同じように思っているとは限らない。
 そして一番の原因とした以上、他にも要素はある。部屋が見てみたい的なことを言っていたのに、家に来ようとしない原因はこちらの母親だ。これも言っていたのは恋人関係になる前の話で、どうやら、合わせる顔がないので家には来たくない、らしい。
 母が彼に女の子の紹介の話を持ちかけた件に関しては、こちらから追求もしてないし、母からそんな頼み事をしたって話もされてないが、その現場に同席していたわけではない自分が、気にするなだとか無視すりゃいいとか言ったところで、きっと彼には響かない。なんせ、あんなにもこちらの結婚問題を理由に恋人になるのを拒んでいた相手だ。
 確実に母が家に居ない時間だけ滞在、というのも、パートタイムで一日の労働時間がそこまで長い訳では無い上に、母の勤務日やら時間やらを把握しきってないので難しい。今まで気にしたこともない母の勤務スケジュールやらを確かめるのは、どう考えたってやぶ蛇で、追求が始まるのが目に見える。
 結婚する気もなく、特に恋人を必要としていなかったというか、お付き合いのデメリットが増えて避け気味だった自分はともかく、二十歳になったばかりの大学生が、初恋を実らせたと言っても良いような現状に、そこまで浮かれた様子も見せず、3週間もお預けされて平気なものなのか。会えないにしても、もっとこう、色々と聞きたいことやら伝えたいことやらあるんじゃないのか。という疑問はもちろんある。
 この3週間、こちらからの連絡には割とすぐにレスがあるものの、相手からのアクションもほとんどなかった。
 ただまぁ、結構強引に恋人関係に持ち込んだのはこちらだし。と思うと、そうおかしなこともないのだろうか。でも相手は何やら拗らせた恋愛ど素人のちょっと難解なタイプだし。と思うと、今日のデートもそうすんなりとは行かないのかも知れない。
 そんな多少の不安を持ちつつ、本日の待ち合わせ場所へと向かった。

続きました→

 
 
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弟は何かを企んでいる(目次)

リクエスト募集で書いた「兄は疲れ切っている」続編です。
引き続きキャラ名無し。全15話。
前作は弟視点でしたが、今作は兄視点となっています。

「弟エスコートでふわふわになる兄弟デート・社会人になる弟との同棲をめぐった一悶着・年月を経て繋がりが深まったことによる一層甘々でえっちな営み」というリクエストで、時期は弟が社会人になって2年目の夏の話です。
一人暮らしを始めた弟が暮らす部屋でのお試し同棲1週間がメインで、実家では出来なかった「家の中でいちゃいちゃH」をしています。風呂場で中出し・玄関H・駅弁スタイル・結腸責めな内容が含まれますが、描写はどれも少なめです。

雑記に書いたこの作品の年齢設定をこちらにも記載しておきます。
本編開始時 兄社会人2年目・弟大学2年の夏前くらいに兄が振られて、半年後の冬前頃に初雄っぱい。
兄社会人3年目・弟大学3年 の夏前くらいに初エッチ。
さすがに1年あれば恋人になってる(体だけの関係に限界迎える)でしょ、ってことで、兄社会人4年目・弟大学4年の夏前には恋人。
というわけで、「弟は何かを企んでいる」は兄社会人6年目・弟社会人2年目で、初エッチから3年、恋人になってから2年ほど経過している設定です。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 恋人になってから
2話 実家を出たい弟
3話 お盆休み開始
4話 玄関Hの可能性
5話 抱き潰される覚悟
6話 風呂場で(R-18)
7話 弟との生活
8話 何故か物足りない
9話 4日目昼
10話 夜のご近所デート
11話 玄関H(R-18)
12話 壁押し付け駅弁(R-18)
13話 抱き潰されたい(R-18)
14話 ベッドの上で(R-18)
15話 満たされて目覚める

 
 
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弟は何かを企んでいる15(終)

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 頬を撫でるように軽く叩かれて一度意識が浮上したが、大丈夫かと確認されて、凄かったと返せば笑われて、じゃあおやすみと言われるまま眠りに落ちた。次に意識が浮上したのは少し早い時間ではあったけれどすっかり朝で、部屋の中は薄明るい。
 隣では弟が健やかな寝息を立てているが、その腕はこちらを抱き込んでいないから、そのままそっと体を起こしてみた。
 それだけではっきりわかる強い痛みはない。
 それならばと、ベッドを降りて立ち上がり、取り敢えずはトイレを目指す。ついでのように、おそるおそるあちこち体を動かしても見た。
 ところどころ筋肉痛のような痛みがなくはないが、一番痛みを感じるのは下半身のどこかではなく上腕で、原因は間違いなく、駅弁スタイルで抱えられた時に必死でしがみついていたせいだ。
 今回はちゃんとゴムを使っていて深くに中出しされたわけではないからか、多少の違和感は残っているけれど、ジクジクとした腹痛だって起こっていない。これなら多分、この後お腹を壊すこともないと思う。
 前回とは比べるまでもない軽症っぷりに驚きながら、トイレを済ませた後で歯を磨く。鏡を見ながら、上に着ているTシャツが昨夜と変わっていないことに気づいて、結局その後でシャワーを浴びた。
 下半身の服は弟が着せてくれたのだろうけど、上まで手がまわらなかったのか、思ったよりも汚していなかったのか。確かに昨夜は、最初っから射精なしで絶頂していた自覚があるけども。
 シャワーを出てリビングに戻ると、どうやらこちらが動き回る気配で弟が目を覚ましたらしい。
「兄貴……?」
 弟の手がもぞもぞと、自分が寝ていたスペースを探るように撫でるから、小さな笑いがこみ上がる。寝起きのまだぼんやりしているだろうその瞬間にも、まず最初に自分を探してくれるのが、嬉しかった。
「おはよ」
「え……あっ!」
 声をかければ一気に覚醒したらしく、勢いよく起き上がるからビックリする。
「なんで? てか動いて大丈夫なのかよ」
「うん。思ったよりどこもかしこも、凄く痛いって感じはない」
 ここ数日、毎日抱かれてたから体の準備が出来てたのかも、と言えば、弟も納得顔で頷いている。
「予想より全然動けてる。てか一番痛いの、お前にしがみついてた腕の筋肉痛」
 中出しされてないからお腹も痛くないよと続ければ、明らかに安堵の表情を浮かべながら、良かったと言って腕を広げてくる。来い、または、来て、というその誘いを断る理由もないので、近寄って弟の胴をまたぐように座り、その腕の中に収まった。いわゆる対面座位だ。
「風呂ってきた?」
「軽くシャワーだけな」
「髪まだ湿ってる」
 頭を撫でるみたいにゆるく何度も髪を梳かれて、穏やかな気持ちよさに包まれる。
「きもちぃ」
「知ってる」
「体、思ってたより全然平気そうなんだけど、今日も、する?」
 さすがに連日あの抱かれ方は無理だけど、というか満たされた後だからか、奥まで気持ちよくなりたい欲求そのものが薄れているけど。でも浅い場所で気持ちよくなったり、ただ繋がっていることを感じ合うためのセックスなら、してもいいかなと思う。
「どっちでも。なんか俺も、昨日のでめちゃくちゃ満たされてっから。こうやってくっついてイチャイチャするだけも、悪くないかも」
 あんな風にもう一度求めて貰えるのはもっと先だと思ってたし、無茶させる気なかったからずっとそれでいいと思ってたけど、でもやっぱりドロドロのイキっぱなしになって奥の奥まで欲しがられるのは最高に幸せだった。らしい。
 ずっと、抱き潰された後の惨状回避のためにお互い避け続けていたけれど、この程度のダメージで済むなら、そこまで状況を整えまくらなくても次が出来るってことだ。射精なしでイキまくる怖さとか、奥で感じる体になる怖さが全部払拭されたとまでは言わないけど、でもやっぱり、あのたまらない幸福感や強烈すぎる快感やらは魅力的だった。
 どんなにイヤラシイ体になっても弟は喜ぶばっかり。というのも、本当に心強い。ドロドロになってイキまくっても、汚く喘ぎまくってる最中でさえ、弟は甘やかに可愛い愛しい大好きだと言い続けてくれる。
 連日やりまくってて体が行為に馴染んでたとか準備ができてただけという可能性もあるから、次もここまで軽症とは限らない。ってことだけ頭に入れて、今後も機会があれば、というよりはそうされたくなったら、我慢したり恥ずかしがったりせずに、して欲しいって自分からお願いしようと思う。
 だって好きな子が、満面の笑みで最高に幸せだったと言ってくれるのだ。それを得るためなら、自分からのおねだりくらい、なんてことはない。
「じゃ、もう少しこうしてよう。俺も満たされたから、イチャイチャするだけ大歓迎」
 弟が、腹が減ったから朝飯を作ると言い出すまでもう暫くの間、こうしてくっつきながら他愛のない話を続けていたいなと思った。

<終>

リクエストは「弟エスコートでふわふわになる兄弟デート・社会人になる弟との同棲をめぐった一悶着・年月を経て繋がりが深まったことによる一層甘々でえっちな営み」でした。
久々にこの二人を書けてめちゃくちゃ楽しかったです。リクエストどうもありがとうございました〜

1ヶ月ほどお休みして、残りのリクエストを1月26日(金)から更新再開予定です。
残りのリクエスト詳細はこちら→

 
 
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弟は何かを企んでいる14

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 弟のペニスをお腹に挿したまま、いわゆる駅弁スタイルで歩き出されて、絶対落とされないのはわかっていてもギュウとしがみついてしまう。弟の服に鼻先を埋める距離は、まだベッドじゃないのにベッドの中と似た匂いがして、体は簡単に快楽に浸ろうとするから困る。
 しかもゆっくり歩くの言葉通りに、大した距離もないのにベッドまでがやたら遠くて、頭の片隅ではこんな無茶苦茶な体勢でと思うのに、ずっと恐れながらも待ち望んでいた刺激に、お腹の奥の方がグズグズに蕩けていくような気がした。
 宙に浮いた状態だって、抗うことを止めて快楽に浸りきってしまえば、多分きっと、射精なしの絶頂に至れるんだろう。それを、せめてベッドに着くまではと思う気持ちが、止めている。
「はい、到着」
 下ろすよの言葉に安堵したのと、前屈みになられたことで刺激が変わったのが引き金だった。
「あああっっ」
「ぇ、……くっ……」
 イキそうだと伝えるまもなく、再度頭の中が白く爆ぜて、体が震える。甘い幸福感と気持ちよさに包まれながら、お腹の中の弟のペニスを、ぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
 弟も小さく呻いて動きを止めたから、結局背中はまだベッドに着いてない。
「ふはっ、ここでイクんだ」
 詰めていた息を吐きだしながら弟が笑う。これって駅弁でイッたことになると思う? と聞かれて、そんなの知らないと思ったけれど、それは言葉にならなかった。聞こえてはいるけど、言葉を交わす思考の余裕がない。
 それがわかっているのか、弟は返事がないことを気にするでもなく、うっかり一緒に出なくて良かったな〜などと、多分完全な独り言を零しながら、ようやくこちらの体をベッドに下ろした。
「腕、ゆるめて?」
 ぽんぽんと軽く腕を叩かれて、嫌だと首を横に振る。だってこの距離が安心する。
「このまま続けんの?」
 ぜひそうして欲しい。
「ふっ、マジか」
 頷けばやっぱり小さく笑われて、でも、やっぱぎゅってしてたほうが怖くないか〜と続いたから、あの日、怖いからぎゅってして欲しいと何度か頼んだことを弟も思い出しているんだろう。
 またゆっくりと奥を捏ねられだして、どうやらこのまま続行だ。そう、思ったのに。
 安心して気持ちよさに身を委ねて、次の絶頂がお腹の中で溜まっていくのを感じていたら、腕の力が抜けたのを感じたらしい弟がするりと身を起こしてしまう。
 慌てて握った手の中にあるのは弟のたくましい二の腕で、でも引き止めたところで動きが止まってくれたから、非難を向ける目の中には疑問も混じっていたと思う。
「俺も、兄貴が奥で感じてイク顔、見たいんだけど」
 前したとき後ろからだったから、今日はちゃんと顔見せて。イキまくってどろどろになってるとこ、見せてよ。などと言って、ねだられてしまうと本当に弱い。
 イクって時はまたぎゅってするから顔見てていいでしょと言いながら、動きが再開されてしまえば、もう、抗えない。イクときはちゃんとぎゅってする、の言葉を信じて、与えられるままその快楽に浸り切って、何度か絶頂を繰り返した。
 頭の中が、キモチイイばっかりで支配されて、弟の声が遠い。でも可愛いとか好きだとかを繰り返してくれてるのはわかるし、お腹の奥で気持が良くなっていることも、射精を伴わずに絶頂を繰り返していることも、間違いなく喜ばれているし、どうやら褒められても居るようだった。
「そろそろ、俺も、イキそ」
 弟の手がお腹の上に乗って、なにかを確かめるように、というよりは多分そこに存在する自身のペニスを探るかのように、撫でていく。
「今日はここの先で、イッて、いいんだよな?」
 クッとわずかに力を込めて押し込まれたその下に、弟のペニスの先端がある。
 抱き潰されたいんだもんなと、少しギラついた気配を滲ませるから、たまらなくドキドキする。期待、してしまう。
 お腹の奥がグズグズに蕩けている感覚はあるけれど、その先が開きそうなのかどうかまでは自覚できていない。でもここまで言うってことは、弟的にはその先へ入れる確証がありそうだった。
 頷いて、なんとか「きて」と短な二文字だけ音にすれば、弟が足を抱え直してぐぐっと腰を持ち上げてくる。上から伸し掛かるみたいに圧迫されるのは苦しくて、でも、奥が開いて先端を飲み込んでいくのが、わかった。
「あああああっっ」
 先程までの、頭が白く爆ぜてふわふわな気持の良さに包まれる絶頂と違って、目の前がバチバチと爆ぜるみたいな強すぎる刺激が、強引に体を絶頂させてくる。多分、弟が伸し掛かってなければ、この快感から逃れようとしてもっと体を揺すっていただろう。
「あっ、あっ、ああ゛っ、ああ゛あ゛っ」
 ズポズポと出入りされるたびに、多分、イッているのだと思う。けれどもう濁った悲鳴以外が口に出せなくて、弟がイクと宣言しながら、最奥へ突きこんだ先でペニスをビクビクと震えさせるのと、ゴムの膜越しに結構な量を吐き出しているっぽいのを感じながら、意識が飛んだ。

続きました→

 
 
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