抱かれたら慰めてくれんじゃないのかよ11

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 そのまま押し倒すための力に逆らうことなく従って身を倒した後は、暫く深いキスが続いて、また、口の中でゾワゾワとする快感が生まれだす。やっぱり慣れなくて、それでも耐えられるギリギリまで待って、さっきみたいに手を伸ばした。
「んん゛ぅっっ」
 相手の部屋着を縋るように握って引けば、ひときわ強く、ぢゅっと舌を吸われて呻く。その後は、ようやくキスから開放された。
 離れていく相手の、どこか満足げで柔らかな表情に、ぼんやりと見惚れてしまう。その視線に気づいたらしい相手が、満足げで柔らかなまま笑うから、なんだかドキドキする。
「キス、好き?」
 気持ちよかったか、という意味合いでの問いかけなんだろうそれに、少し迷った後で頷いた。口の中はなんとなくまだ痺れたような感じが残っていたから、口は開かなかったけれど。
「そう。なら良かった」
 相手の手が優しく頭と頬とを撫でて、また顔が寄せられてくる。ゆっくりと瞼を下ろして待てば、今度のキスはただ柔らかに唇が押し付けられただけで、すぐに離れて行ったけれど、離れてしまう直前に、甘い声が可愛いと囁いて行ったから、カッと体の熱が上がっていくのがわかった。
 恥ずかしい。けれど間違いなく、嬉しいとも思っていた。
「ちょっと待ってね。俺も、準備するから」
 言いながら部屋着を脱いでいく相手の股間に、どうしたって視線が引き寄せられる。やはり大きさは気になるし、ちゃんと勃っているかどうかだって、気にせずには居られない。
「そのあからさまな安堵、俺はどう反応したらいいわけ?」
 ハッとして視線を相手の顔へ移せば、少し困ったような顔で、それでも柔らかに笑っている。
「ど、ぅって……」
 戸惑うようにこぼした声は、やはりなんだか舌っ足らずで、口の中に残る違和感をまた意識してしまう羽目になる。
「まぁ、ガッカリされるよりは全然いいんだけどね」
 小さくてガッカリ、なんて反応されたら、あんたの過去の男に嫉妬しそうだなんて笑うから、思い出してしまう。そうだ。相手は自分に経験があると、誤解しているんだった。
「どうしたの?」
「いや……その、小さくは、ない、だろ。多分」
 初めてなんだ、と告げるのをどうしても躊躇ってしまって、結局サイズ話に乗ってしまう。
 初めてだって言ったら、喜んでくれそうな気もするんだけど。うんと優しく抱いてくれるんじゃ、みたいな期待は間違いなくあるんだけど。でもなんか、経験の無さを晒すことに、抵抗がある。
 相手だって抱かれる側は未経験かも知れないと言うか、その可能性が高いのに。好きだから誘ったのはもうバレているのに。好きだから初めてを貰って欲しい、みたいな取られ方をしそうで嫌だった。
 そんな気持ちも間違いなくあるけれど、そこまで知られるのは恥ずかしいような悔しいような気持ちになってしまう。知られたく、ない。
「まぁ卑屈になったり恥ずかしく思うほどにはね。でもまぁ、自慢できるような大きさではないし、あんたには確実に負けてるでしょ」
 相手の視線が落ちる先には、まぁまぁ自慢の息子がそこそこ立派に勃ち上がっていた。
「まぁ、勝った、的な意味での安堵だってなら、ちょっと腹立たしくもあるけどね」
「そ、っんなんじゃっ」
「わかってるって。そういう、勝ったぜ、みたいな顔はしてなかった。ゴメン。これは俺の方の劣等感」
「つまり、負けた、とは思ってる、みたいな」
「多少はね。立派なもの持ってるなぁ、みたいな事はまぁ、思ったよね。ただ、」
「ただ?」
 少し困った様子で柔らかに笑い続けていた顔が、ニヤリと、少し意地の悪い笑みを見せるから、さすがにちょっと身構えてしまう。
「その立派なものが使われもせず、俺に抱かれて果てるのかと思うと、まぁ、楽しみではある、かな」
「う、あ……へ、んたい、かよっ」
 めちゃくちゃ顔が熱い。どうにか声を絞り出せば、否定する気はないかな、なんて言って楽しげに笑われた。

続きました→

 
 
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