「……っじゃあ、とりあえず一緒にシャワー浴びようか」
しばし黙り込んでいたかと思えば、突然そんな提案をしてくるから驚いた。
「え、なんで!?」
「洗いたてのが舐めやすいかと思って」
「なるほど」
初めてされた時は酔っていたし、あまり細かなやり取りは覚えてない上に、その後も抵抗なく口でしてくれていたけど、経験者がそう言うのならそうなんだろう。というか言われればそりゃそうだろと思ってしまうし、そういう気遣いをせずに相手に咥えせていた過去の自分が恥ずかしい。
「行こう」
立ち上がった相手に促されてバスルームへ移動し、相手が下着を脱ぐ横で、既に裸の自分がシャワーの熱さを調節する。
「洗いっこしよっか」
アメニティ置き場からボディスポンジを取り出した相手が、ニコニコしながらそれを手にバスタブへと入ってくる。
「良いけど、なんかすげー嬉しそうな」
「まぁね。憧れではあったよね」
「憧れ? って何が?」
「洗いっこするのが」
大学時代、相手の家で風呂を借りたことはあるが、もちろん一緒に入ったりはしなかった。共通の友人たちに誘われ旅行へ行ったこともあるから、一緒に風呂という経験がないわけではないが、それだって当然、体を洗いあうようなことはしていない。
ただ、相手の体を洗ったり洗って貰ったりが、憧れるほど楽しいかは微妙なところだ。そんなこちらの気持ちは、口に出さずとも相手に伝わったらしい。
「だって大学時代、俺も一緒に風呂使いたいとか洗いっこしようなんて言ったら、キモいって言われそうだったし」
「別にそんなこと言わないだろ」
なんでそんなことをしたがるのか疑問には思っても、きっとそれだって、やっぱり変な男だとか、やっぱり男が好きなんだろうなと勝手に納得していたはずだ。
「そうなの? なら言えば良かったなぁ」
抜いてもらう時以外は俺に触られたくないんだろうって思ってたと続いた言葉に、それはあるなと思う。キモイだなんて言いはしないが、歓迎だってしない。抜いてもらう時だって極力局部しか出さなかったのだから、体を洗いたいと言われたら嫌がりはしただろう。
「キモいって言わないだけで、していいと言うかは別」
「ちょ、……あー、もう、ほらぁ。やっぱダメなんじゃん」
「今はして良いって言ってんだから良いだろ」
「そーだけど」
じゃあ洗うよと言いながら、泡立てられたスポンジが肌に触れる。人に体を洗われるのなんて子供の頃以来だけれど、適度な強さでゴシゴシ擦られると普通に気持ちがいい。
一通りあちこち擦られた後、スポンジを置いた相手が触るよと言いながらペニスを手のひらで包み込んでくる。
先程キスだけでかなり反応していたペニスは、少し萎んでいるがまだ緩やかな硬さを保っていた。それを石鹸の滑りを借りて手のひらで擦られるのはどうしたって気持ちがいい。
「んぅっ」
「エロい顔。気持ちぃ?」
「あ、ったり前っ」
「あーこのまま弄り回してイカせたい」
そう言いながらも相手の手が離れていき、体についた泡をシャワーで落としていく。残念な気持ちが強いのはきっとあまりに久々だからなんだろう。
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