変な顔を訝しがられる前に、シャワーの湯を止めてその場に膝をつく。
「え、ここで?」
驚きの声が降ってきたが、それを無視して相手のペニスを掴むとそこに向かって顔を寄せた。
するのは初めてでも、して貰った回数は多い。相手はどんな風に舐めてくれたっけと過去に思いを馳せながら、まずは側面にそっと舌を這わせてみた。
「んっ、……」
息を詰めるような音と、相手の視線がまとわりつくような気配。たぶん間違いなく、息を潜めながらジッと見つめられている。
もちろん顔を上げて確かめたりはしない。相手の顔を見てしまったら、きっと気持ちが挫けて続けられなくなる気がする。
強い視線は感じるものの随分とおとなしいのは、もしかしたら相手も緊張しているからかも知れない。もしくは、余計なことを言ったりしたりで、こちらの気が削がれるのを恐れている可能性。
相手はこちらの性格もよくわかっているだろうから、たぶん後者かな。なんて思考をわざと散らしながら、根本からカリが張り出す部分までを、位置を変えて何度か舌で撫で上げる。
濡れてはいるが、纏わりついているのは当然ただのお湯なので、特になんの味もない。ほのかに香るのは使っていたボディーソープのものだし、思っていたよりは抵抗感はなかった。それどころか、こちらの舌の動きに合わせてピクピクと小さく震えるペニスに、なんだか楽しさを覚えてすらいる。
さすがに先端のくぼみに舌が触れると、なにやら苦しょっぱいような味を感じたけれど、でもまぁ吐き出したいほど酷い味ではない。一通り亀頭に舌を這わせた後、大丈夫そうだと口を開けて亀頭を口の中に含んでやった。
「んっ……ふ、……」
やっぱり息を詰めた後、鼻にかかった吐息らしきものが漏れてくる。色っぽいなと感じるこの吐息を知っている。こんな息を漏らす時、相手がどんな顔をしているのかもだいたい想像がついてしまう。
目を閉じて頭の中に相手の気持ち良さげに緩む顔を思い浮かべながら、口の中のものを舐め回して、時折軽く吸ってやる。
「ぁっ……んっ、」
控えめに漏れてくる声がなんとも気持ちが良さそうで気分がいい。じわじわと滲み出してくる先走りは正直不味いが、相手が感じてる証拠だと思えばやっぱり気分が良くて、無理だと吐き出す気にはならなかった。
大きいし長いし、絶対に相手にして貰うよりも自分がするほうが大変だよなと思いながらも、相手がしてくれたことを思い出しつつあれこれ試していく。深くまで飲み込もうとしてえずいてしまった時は、すぐに少し慌てた声が無理しないでと落ちてきたけど、それでも短くわかってると返して口を離すことはしなかった。
たぶん、当初思っていたよりは全然上手く出来ている。ただ、終わり時がわからない。
相手がしてくれる時はどうしてたっけ?
相手の口の中でイッたのは酔って尻穴を弄られていた時くらいで、それ以外はこちらの興奮がそこそこ高まったら口でされるのは終わりだった気がする。その後はキスされながらペニス同士を重ねて扱かれてイク、というパターンだったはずだ。
じゃあもういいのか。と思い至って、ようやく口を離した。
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