聞きたいことは色々31

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 相手宅に到着し、一息つく間もなく「これなんだけど」と差し出されたのは相手のスマホだった。
 アプリのトーク画面に写っているのは、自分と彼の兄であるあの人とのツーショット写真だ。いわゆる自撮りで、撮ったのは相手だけれど自分にも送ってくれたから、同じものが自身のスマホの写真フォルダにも入っている。
 他にもツーショットじゃない自分の写真が何枚か続いていて、どれも覚えがあるというか、それらも自身のスマホに同じものがある。
「ご飯食べ行ったときの写真ですね。自撮りのツーショなんて、あっ……」
 初めてと続けるはずだった言葉を止めたのは、スクロールした先にあった相手からのメッセージが目に入ったせいだ。
 そこには、お前が放ったらかしてる3週間の間に俺は3回も会ったという自慢? と、せいぜい振られないように頑張れというエール? のようなものが書かれている。
 さっき別れ話をするのか聞いたときに、その方がいいならって返ってきたのはこれのせいか。こちらから別れ話を持ちかけられると思ったのかも知れない。
「えー……と、この前も言いましたけど、俺の方は別れる気はないですよ。今のところ」
 ほぼほぼ同じセリフを告げてみた。
 まぁ話を聞いたり聞いてもらってるうちに、愚痴っぽくなったというか泣き言めいたことを言ってしまったような記憶はあるけど。
 だって自分ばっかり好きなのはしんどいのに、これから先も想いが返されることは多分なくて、今はまだ相手に付き合い続ける意志があるけれど、好きがバレてるらしい今後それがどう影響してくるのかもわからないのだ。今後に関しては兄であるあの人ですら、彼の気持ちがどう転ぶかさっぱりわからないと言っていた。
 色々アドバイスめいた提案もされたけれど、それらも試してみた結果に責任は取れないと言われている。
「食事に行ったなんて話は聞いてないんだが? しかも3回?」
「え、そっち」
「どういう意味だ」
 まさか嫉妬ですか、と聞いてみたい気持ちが湧いたが、どうにか飲み込んで口を開く。
「今まで会わなかった間に何したかなんて気にされたことなくて、そこ気にするとか思ってなかったんですよ。あと、俺が言わなくても勝手に伝わるのかとも思ってたし」
 実際勝手に伝わってるし。の言葉もどうにか飲み込む。まさかデート直前に相手を煽る材料に使われるとは思ってなかった。
「とっくにあなたにも伝わってて何も言及がない、という認識でした」
 何か問題が? と聞いてみたけれど、相手は黙ってこちらを見ていてなんとも居心地が悪い。何を言うか迷って、考えて、口を閉じてるだけなんだろうけど。
「休日は溜まった家事に追われてるんじゃなかったのか。俺達のデートが3週に1回程度の形に落ち着いたのは、お前が多すぎるって言ったからだよな?」
 この人は当初最低でも2週に1回くらいはデートをする気だったし、こちらが望むならもっと頻度を増やしてもいいとすら言っていたんだけど。それを、月に1回くらいで充分だと言って、時には無い用事を捻出して、デート頻度を下げたのはこちらだ。
 そんな頻繁にデートして抱かれてたら、あっという間に好意が育ってしまうんじゃないかと思ったし、デートしない期間に甘いメッセージのやり取りが発生しないおかげで、気持ちが萎えるのも有り難かった。
「昼から泊りがけのデートするのと、ちょっとランチじゃ全然違うじゃないですか」
 これももちろん理由の一つだ。
 抱き潰されて翌日もヘロヘロって状況は一応避けてくれてたけど、それでももう充分だからさっさと突っ込んでイッて欲しいと思うくらいには、毎回濃厚なセックスをされていた。
 デート頻度を落としたからそうなっているのか、デート頻度を上げてもそこは変わらないのかはわからないけど。でも3週間開けても相手は1回の吐精で満足できてたっぽいから、デート頻度を上げたところで、気持ちよくイカされまくるセックスは変わらない気がする。
「ランチだけ?」
「ですよ。てかそこ疑うんですか? 仮にセックスしたとても、浮気扱いにはならないような相手なんですよね?」
「こそこそ二人きりで会ってセックスした結果、俺が振られる事になるなら、さすがに浮気されて振られたって思うけどな。浮気扱いにしないのは俺が把握してる範囲での話だし、俺が参加する前提の話でもある」
 お前が自分で3人目を選んで連れてくるなら歓迎するしそれも浮気扱いにはしない、だそうで。問題は相手が誰かじゃないらしい。

続きました→

 
 
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