聞きたいことは色々5

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「どこまで本気なんすか?」
 まさか酔ってないですよねと思わず確かめるくらいには、信じられない。いやまぁ顔に騙されてると言われたら、実は基本抱く側って話は信じそうではあるんだけど。
 顔だけじゃなく、勉強教えてくれてたときの柔らかな雰囲気とか、退学理由に襲われた的な話が混ざってたせいで、勝手に抱かれる側と思い込んでいただけとも言えなくない。
 まぁ柔らかな雰囲気は外向きというか、バイト先の子ども対応だっただけなんだろう。いや、結構初っ端から挙動不審だった自覚はあるから、そんな態度で警戒されたりしてなきゃ、会社でだってもっと柔らかに対応してくれてたかも知れないけど。
「全部本気だし酔うほど飲んでないでしょ、まだ」
 そうだ。だって雑談もないままに本題に入ったし、お互いにグラス半分だって飲んでいない。
「えと、……あー……」
 さっき恋人立候補っぽいことも言ってたけど、それも含めて本気ってことなんだろうか。だとしたら、付き合ってもいいみたいに思うような何かが、自分にあるってことだろうか?
 いやでもこんなの面と向かって聞くの躊躇う。
「やっぱり本気にしてない?」
 帰るって言い出すかと思ってたと続いた言葉に、そういう選択肢もありなんだと少し驚く。てか帰っていいのか。
「何もなく帰れる気でいるの、って、そっちが言ったんですけど」
「そうだけど、薬とか盛ってるわけじゃないし、本気で嫌がられたらさすがに抱いたり出来ないって」
 確かにそれはそうかも知れない。
「で、迷ってるのは抱かれてく気がある、ってことでいいの?」
「迷ってるのはそこじゃなくて」
「じゃあ何?」
「その、本気で俺と恋人になってもいいとか言いいました?」
「ああ、そっちか。好きになっていいよは本気で、好きになったから付き合ってって言われた時に他に恋人居なかったらOKするかな。くらいの気持ち」
 なんとも微妙な返答だった。いやでもモテるんだろうから、付き合ってって言われた時にOKするか断るかが基準とか言われても、なんか納得ではあるんだけど。
「ちなみにOKする基準って何かはっきりあるんですか?」
「その相手とセックスできると思えるかどうか?」
「ド直球じゃないすか」
 聞かなきゃ良かったと思ったままを口にすれば、大事なことだろと反論されてしまう。
「お前だって、恋人になった先にセックスを考えてただろ。逆に、その気にならない相手と付き合う意味って何?」
「それはそうですけど、それを基準に付き合うかどうか決めてるってのは、出来れば知りたくなかったって言うか、もうちょっとオブラートに包んでっていうか、あー……」
 いやもういいですと言葉を切って、それよりどうするかを考える。
 好きになっていいよって言葉は本気、なんて聞いてしまった後じゃ、多分どのみち好きにはなりそうなんだけど。身近に抱く側が出来るゲイを見つけてその相手と恋愛したいこちらの希望と合致した人物とも言えそうなんだけど。
「随分迷うね」
「あ、すみません」
「付き合ってって、言わないの?」
 一応待ってるんだけどと言われて、やっぱり何を迷っているかはバレてるんだなと思う。
「色々ぶっちゃけた後だし、じゃあ、今回は特別に俺から言おうか。今すぐ俺と、付き合って、って」
「え、今?」
「そう。今。この瞬間から」
 迷ってたのそれでしょと言われて、慌てて首を横に振った。そんなこと、欠片も考えていなかった。

続きます

 
 
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