「好きって言わせちゃったの、失敗でしたかね。ずっと3人でするのが目標で、やっと3人で出来たのに、あんま楽しめなかったのかな。というかもしかしてずっとかなり苛ついてました?」
「ずっと、ではないけどそれなりに不満はあったんじゃない。といっても主に俺のせいで、だけど」
落ち込む必要はないよと頭を撫でてくれる。
「あと、好きって言わせたのは多分正解。俺とだけ好き好き言い合ってたら絶対拗ねたし」
不機嫌な態度で抱かれるよりは、プレイでもにこやかに好き好き言われながら抱かれる方がマシじゃない? と言われればもちろんそうなんだけど。好きと言い合っても、それがプレイでも、今回は特にしんどくなってないから尚更そう。
しんどくならなかったのはそこにお兄さんも一緒に居てくれたからだし、彼がくれる「好き」に多少虚しくなったとしても、お兄さんがくれる「好き」だったり「可愛い」が即座にその隙間を埋めにきてくれたからだ。という部分も、3人でしてみて良かった点かも知れない。
「あの、時々不機嫌になるあれって、拗ねてるんですか? というか拗ねるというのがイマイチわからなくて」
怒ってるとかじゃなくて? と聞いてみたら、怒って不機嫌てよりは拗ねて不機嫌だと思ってるよと返された。
「君がアイツを恋人として扱ったら機嫌良くなってたし、君と俺が仲良くイチャイチャしすぎるから疎外感とか感じてるんじゃない?」
「疎外感」
「そう」
「でもだからって俺とイチャイチャしたいわけじゃない、ですよね?」
もちろん、お兄さんとイチャイチャしたいって方でもないだろう。多分。
「何?」
「あなたとイチャイチャしたい可能性とか」
「うん、ない」
見つめてしまえば何かを感じ取った様子で聞かれてしまったので、正直に答えてみたら、やっぱりあっさり否定が返る。
「少なくともそういう素振りは見せられてないね。むしろ正しく俺を嫌がってると思うよ」
「正しく嫌がってる?」
「君とのイチャイチャをわざと見せつけて煽ってる自覚あるし、向こうもそれに反応して不快に思ってる部分はかなりあるはず。って話」
だから本当に気に病む必要はないよと言われたところで、きっとこれからも、不機嫌な態度を見せられたら怯んでしまうと思うけど。
「ちなみになんでそんなことを?」
「いい加減好きを認めるんじゃないかと思って?」
さすがにもう自覚あると思うんだけどなぁと続いた言葉に首を傾げる。
「自覚、ですか?」
「そう。アイツさえその気になれば、今の俺の立場はアイツのものだったわけ。というのは多分もうわかってると思うんだよね。でもって俺と君がイチャつくのが不快で、俺に嫉妬してるように見えることが増えてるから、あともうちょっとかなぁ、みたいな期待はしちゃうよね」
もしかして、彼がプレイじゃなく好きって言ってくれる日がくるかも、って話だろうか。
「本当にそれ、期待できます?」
「多分」
「たぶん……」
「だって単に俺の煽るような態度が不快なだけなら、俺に対して何か言ってきそうだもん。でも俺にってより君の俺への態度に思うところがありそうだし、君が俺よりアイツを優先したら機嫌いいし」
意識してやってみたらきっとわかるよと言われたけど、多分それは必要がない。だって言われてみたらそうかもって思ってしまった。
「でもそれが俺を好きってことになります? というか好きを理解しないポンコツ、って散々言ってたじゃないすか」
「それはそうなんだけど、変わる気があるかもと思わないこともないというか、変わらなかった場合の未来はわかってるはずというか」
「変わらなかった場合の未来?」
「俺が君を奪いきって、アイツはセックスに刺激が欲しいなって時に呼ばれる部外者扱い、だね。端的に言えば、旦那とのセックスに混じってたときと似たような状況かな」
一旦別れたってことにせず、他に恋人を作る気のない今の彼に、その未来を受け入れる気はないだろう。だそうで。
「もし彼が俺を好きって思うようになったら、あなたはどうするんです?」
良かったね。もう大丈夫だね。とか言って、あっさり恋人を解消されて、彼の元へ戻されてしまうんだろうか。
なんて不安はどうやら必要がなかった。
「君から手を引くかって話なら、手を引く気はないよ。大丈夫だから、安心して俺のことも好きで居て。てかそもそも俺が目指してるのは、アイツを仲間はずれにしないセックスをすることだからね」
一緒に愛を注ごうねって言ったでしょと言われて、そういや言われたなと思い出す。
「好きを理解するようになったら愛しがいも増すよね、くらいの気持ち」
なるほど、と思わずには居られなかったし、もちろんそう口に出した。
続きます。
もうしばらくの間、更新は夜になりそうです
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