聞きたいことは色々6

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 じゃあ何を迷ってたのと聞かれて、付き合いたいのかどうかだと答えて、ついでのように、あなたを好きなるのはなんだか怖いと付け加えておく。
「怖い? 好きになるのが?」
 どんな風にと聞かれても、そこは「なんとなく」でしかないんだけども。
「それは俺だからなの? それとも誰が相手でも怖く感じそうなの?」
 そういやアナルセックス未経験なこと以外は聞いてなかった、と続けた後。
「恋をしたことは? 告白したことは? 誰かと付き合ったことは? もしかしてそういうの全部、経験なかったりする?」
「好きになった相手位は、いましたけど」
 やっぱりって顔をされたし、相手が何を考えたかはわかったし、それも多分当たってはいるんだろう。付き合ってって言ってくれたのがこの人じゃなくても、こんな状況だったら、その相手を好きになるのは怖いって同じように感じる可能性はかなり高いと思う。
 と考えたところで、何で怖いのかがわかってしまったような気がする。怖いのは相手が誰かって部分じゃない。
「あー……」
 なるほど、と思ったら気が抜けた音が口から漏れてしまった。
「自覚した?」
「自覚は、しました。けど多分、あなたが考えてるのとは別のことで」
「別のこと?」
「こんな状況で付き合ってって言ってくる男を好きになるの、怖くないわけ無いんですって。逆にこんな状況じゃなければ、俺が好きで俺と付き合いたいって思ってくれてるんだったら、あなたが相手だったって、嬉しい付き合いたい好きになりたいって思ってたましたよ。多分」
「なるほど。まぁ確かに、お前におとなしく抱かれて貰うための提案でしかない、とも言えなくないからな」
「ほらぁ。別に俺のこと好きでもなんでもないのに、ゲイなら付き合ってとか付き合うから抱かせてとか、そんなこと言っちゃう男を好きになったら、結局俺ばっかり相手が好きな片想いみたいになりません?」
 そんなの、叶うことのない片想いを抱える以上に、辛い片想いになりそうだ。
「そこは自分が好きって思う以上に、相手に惚れさせてやる、くらいの気概を持てって言いたいとこなんだけど」
 まぁ無理だな、と断言されてしまったけれど、こちらも、無理ですねと即答しておく。
「でもまぁ、それでもやっぱり、身近なとこで恋人探したいってなら、最初の相手は俺にしとけば、みたいには結構本気で思ってるけど?」
「でも俺のこと、きっと好きにはならないですよね?」
「ならなくないし本気で口説き落としてもいいけど、そっちのがなんか後々恨まれそう」
「なんですそれ。てか嘘ですよね?」
 変な期待持たせないでくださいよと苦言を呈せば、期待持たせたいんじゃなくてどっちかって言ったら警告、などと返ってきて全く意味がわからない。
「今夜お前が俺に抱かれることなく帰るなら、俺はお前を本気で落とすけど、どっちかって言ったらお前を落とすゲームを楽しむ感じで、お前が俺を好きになって俺に抱かれた時点で俺は満足してその後は割とどうでも良くなるかな。それでも良ければ、もしくはそれを望むなら、俺を振って帰ればいいよ」
 熱烈に口説かれる経験をしてみたいなら楽しませてあげられる気がするし、それもいいかもね、などと何やら思案し始める相手に慌てて待ったをかけた。
「ちょ、待って下さい。思考が追いつかないっつうか、えと、口説いて俺が本気になったら満足してポイする宣言?」
「そうだね。だいたいそれで合ってる」
「そんなの言われて落ちるわけない、とは思わないんすか」
「落ちると思ってるから教えてる。ついでに言うと、だから言ったよね、って言えるようにしてるだけだし、簡単には落とされないぞって抵抗してくれたほうがこっちとしても楽しい、って理由もある」
「うわぁ」
 ドン引きなんすけどとと言ったら、相手はむしろ誇らしげに笑って見せた。

続きました→

 
 
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