聞きたいことは色々61

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 二人の間に挟まって抱くのと抱かれるのを同時にこなすには、どうしたって彼には後ろから挿入されることになる。そしてお兄さんの方は顔が見たいし抱きしめたいと言って正面から抱かれることを好むから、お兄さんに抱きつき抱き返されながら喘ぐ羽目になるのだけど、少し慣れた最近は、必死にしがみつかなくても快感をやり過ごせるようになった。
 そうして気づいたのは、自分のペニスを受け入れてくれているお兄さんが、自分を通り越して彼を見つめていることがそこそこの頻度であることと、その瞳が愛し気なことだ。
 自分自身、お兄さんからは可愛い愛しい大好きって気持ちをたくさん貰っているから、間違いないと思う。
 一緒に愛を注ごうね、なんて言いながらも、普段そんな目で彼を見ていることはなくて、楽しげに言い争う姿のほうが馴染み深いんだけど。
 ベッドの上で、自分を挟んで、自分越しに彼に喘がされているような状態で、そうなるんだって、妙な納得感がある。かつては間に挟まる彼越しに、旦那さんを愛し気に見つめていたんだろうなって思ってしまう。
 そこそこの頻度でとはいっても、今現在の恋人は自分だから、お兄さんの意識はほとんど間に挟まれて必死に喘ぐ自分の方に向けられているし、可愛い愛しい大好きってヨシヨシされてるんだけど。でも旦那さんがいた頃、間に挟まって喘がされる彼に、こんな態度はとってなかったはずだというのもわかっている。
 彼は今、間に挟まる恋人越しにこんな愛し気に見つめられることを、どう思っているんだろう。間に挟まってヨシヨシされてる自分は、どう見えているんだろう。
 今、どんな顔をしているんだろう。
 そう思ったら、背後からしか抱いて貰えないのが残念だなと思うようになったし、彼に直接抱かれるお兄さんを見てみたいとも思うようになってしまった。
 お兄さんと場所を入れ替えたら、自分を抱くお兄さんとそのお兄さんを抱く彼の両方が見れるんだってことにも、気づいてしまった。
「本気で?」
「本気で」
 前に、そういう欲求が湧かない限りは試さなくていいと思っている話は聞いたけど、だったら、そういう欲求が湧いたら試してもいいってことだろう。
「ダメ、ではないんだけど」
「ないんだけど?」
「慣れてないんだよな、真ん中」
 言い淀むの珍しいなと思ったら、横から彼が答えをくれた。
「そう。だってこいつが俺に抱かれてくれたの、2回だけだからね」
「一番下ってそんなしんどいんですか?」
 お兄さんが余裕をなくして喘いでしまうくらいには、一番下も大変そうではあるんだけど。
「俺にとっては」
 肉体的にというより精神的な方と言われて、そんなにお兄さんに突っ込まれるのが嫌だったのかと思ったら、後ろから突っ込むのでいいならもうちょっと応じても良かったとか言い出して、どうやら自分を抱く相手の顔を見てたくないって話らしかった。
 しかもお兄さん越しに叔父さんとも見つめ合うことになるというのが、二重に辛かったらしい。
 一番下になったら二人の顔がちゃんと見れる、と気づいて試したくなった自分とは真逆だ。
「後ろからするんじゃダメだったんですか?」
「だって顔みたいじゃん」
「それ、恋人とか特別な相手以外でもなんですね」
「いや、こいつも特別枠。というか家族枠だね」
「悪趣味すぎるんだよ。こいつも、あの人も」
「お前も人のこと言えないような過去いっぱい持ってるだろ。まぁ、嫌々応じてるのが丸わかりで良かった、って面がないわけじゃないから悪趣味なのは認める。お前は3人同時に繋がるプレイそのものが嫌いで、真ん中やってるときも嫌々だったけど」
 あの顔は俺しか知らないって思うとちょっと優越感ある、と言ってお兄さんが笑う。
「後ろから突っ込むならあり、だったら」
「絶対やらない」
 絶対ないと思っていた「彼が真ん中」の可能性が、と思ってみたものの、口に出したら最後まで言わせても貰えなかった。ですよね。

続きました→

 
 
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