お兄さんがいくら大丈夫と言ったって、その予想が外れることもなくはない。
ただ、もしいつか彼がお兄さんを好きと自覚したとして、もしそこに自分へ向かう好きがなかったとしても。今更今の関係を壊してお兄さんと彼とで付き合うなんてことは起きない。君を手放す気がないのも変わらない。
そう断言されたから、更に一歩踏み込んでみることにした。踏み込むというか、彼の自覚を積極的に促してみたいって気になった。
現状特に不満があるわけではないし、このままでもいいって気持ちになってはいたんだけど。でもあの時見た、愛しげな顔をもっと見たいなと思ってしまった。それが、自分に向かうものではなくても。
何をしたかというと、なるべくお兄さんに真ん中を担当して貰うようになった。しかも、彼にも抱かれた最後、3人で繋がる時にだけお兄さんを真ん中に、ってことも出来るのに、なるべく彼には抱かれないようにもしてみた。
お兄さんの肉体的な負担が増すし、彼がお兄さんを抱く機会を増やした結果、どうなるかはわからない。あれは本当にただ懐かしかっただけって可能性も充分にあった。ついでに言うと、彼に抱かれないまま終わる3Pだと、後日お兄さんからの補填がある。というのに味をしめた部分がないとも言えない。
それらをわかったうえで、君がそれでいいならいいよと、お兄さんも協力してくれた結果。彼がお兄さんを愛し気に見つめる機会はかなり増えた。好きだとか可愛いだとかの言葉にも、今まで以上に甘さが滲むようになって、想いが乗った声だなと感じるようになった。
お兄さん越しにそんな彼の顔を見て、声を聞いて。ドキドキを加速させる自分を、お兄さんが愛し気に見つめてくれるから。彼にトキメクことを喜んでくれるから。
滑稽だとか惨めだとか思うことはなくて、3人でするようになれて良かった、なんてことまで思っていた。だってこんな顔も声も、どれだけ交際を続けたって、自分ひとりじゃ絶対にさせられなかった。
自分の中の常識を変えられてしまった自覚はもちろんあるけど、彼と恋人というだけの時間をただただ重ねていた頃に比べたら、間違いなく満たされている。
そんな中、彼から二人だけでしたい、と言われて驚いた。
意図的に彼に抱かれる機会を減らしていたのは事実だけれど、だとしても3人でするときの話をされると思っていた。だってお兄さんとはずっと二人でもしてるのに、彼には自分ともそういう時間を取れなんて言われたことはなかった。
「理由は?」
警戒心をあらわにそう問いかけたのはお兄さんの方だった。
「確かめたいことがある」
「この子を好きって自覚できた、とかじゃないならダメ」
「それを確かめたいって話だろ」
そうなんだ。二人きりでしたらわかるかも、くらいのところまで来たんだと思うと感慨深い。
というかお兄さんに対する好きは既に自覚できてるんだろうか。自分がいる場でそんな話はされたことがないけど、二人の間ではしてたのかもしれないとは思う。
だって自覚できてても何ら不思議がない態度を見せている。
むしろ自覚済みだからこそ、二人してその話題を避けてた可能性のほうが高いんじゃないだろうか。
「確信持ってからにして」
確信が持てた後ならいいってことは、こちらが傷つくような目にあったときのことを考えてくれているんだろう。彼が今まで二人でと言い出さなかったのも、間違いなくお兄さんが関係してる。というか絶対ダメって言ってたんだろうなと思う。
「いいですよ、俺は。もし泣かされたら、後でいっぱい甘やかして下さい」
「それは当然だけど」
更に何度か本当に大丈夫なのか確認された後、お兄さんからも許可が降りた。
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