聞きたいことは色々69

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 こんなに派手に笑う姿は珍しい。ただ、そんな大笑いされるほど変なことを言ったつもりはなかった。
「そんな変なこと言いました?」
「いや。悪くない提案だった」
 言いながらもやっぱり笑い続けている。よほどツボに嵌りでもしたんだろうか。
「じゃあそんな笑わなくても」
 不満を滲ませながら抗議すれば、そうだなと肯定されて口を閉ざす。笑い声はもれなくなったものの、楽しげに緩んだままの口元が近づいて口を塞がれる。
 緩く口を解いて待つだけでなく、自分から舌を差し出して続きをせがめば、ゆったりとベッドに押し倒された。
 ただただ抱き合うだなんて今日は性急さがないな、なんて思っていたのが嘘みたいに、手早く繋がる穴を解されていく。
 まぁ慣れた体なので、解すってよりは指でお尻を気持ちよくされるのがメイン。と思っていたのに、前立腺を狙われることなく2本3本と次々突っ込まれる指が増えていくから、あれ? と思う。
「いい?」
 これは当然、もう突っ込んでいいよな、という確認だ。
「ダメなんていいませんけど」
 でも驚いてはいたから、驚いてますと正直に告げた。
 だって指だけでイカされる前に体を繋いだことなんてなかった。もういい加減入れてって頼まれるのが好きそうだった。
「本当は、前と同じようにしてみるつもりだった」
 お兄さん相手に愛しそうな目を向けるようになったきっかけが「懐かしい」だったから、3人でする前と同じようにしてみたら同じように「懐かしい」と思うかもって考えたらしい。初っ端から裸で抱き合ってて、以前とは違うことの連続なんだけども。
「でもお前を目の前にすると、前と同じようには難しいらしい」
 思いっきり失敗してるじゃないですか、という気持ちは口に出さなくても伝わったようで、そんな事を言いながら苦笑してみせる。
「前と同じように抱かれたところで、俺が前と同じようには出来ないから、結局懐かしいなんて思わなかった可能性も高そうですし。だから良かったんじゃないですか、前と同じを試さなくて」
 早く体繋げたいなって思ってくれたなら、それはそれで嬉しいし。体を繋げたあとでじっくり気持ちよくされるセックスだってお兄さん相手にならもう知ってるから、今日はそういうプレイな気分、とかだって別にいい。
「したいように、していいですよ。結果、俺を好きって思えなくても。お兄さんを返してとか言われないなら」
 半分こって言ったのを思い出したのか、また少し吹き出させてしまったけれど、ちょっとだけ狙い通りでもあった。
 さっき爆笑したあとの空気の緩みが良かったと言うか、楽しくて仕方がないって感じよりは、お兄さんを愛し気に見つめてるときに近い目をしていたから。お兄さんを思い出してそんな目をしたのだとしても、今は二人きりだから、その目が向かう先は自分しかいない。
 ここに居ないお兄さんを想っている。そうはっきりわかる態度を見せられたらさすがに挫けるかもだけど、さすがにそこまであからさまなことは起こらないとも思っているし、愛し気に自分だけを見つめてくれる瞬間を感じてみたい気持ちが勝っている。
 そんなこちらの思惑が伝わっているのかはわからないが、彼は柔らかな気配をまとったまま足を抱え上げた。
 ドキドキが加速していくのがわかって、多分それは顔にも出ている。目があって、その瞳が愛し気に緩む。
「ぁ……」
「そんな顔をするくせに」
 ふっと吐息に似た笑いをこぼしながら、愛し気に緩んだ目はそのままで。
「え、ぁ、あ、あぁっっ」
 こちらの発した疑問の声を無視した挿入が始まってしまって、開いた口から押し出された音だけが漏れていく。
「ど、ゆ、意味、ですか。さっきの」
 相手が動きを止めるのを待って、どうしても聞かずにはいられなかった。
「だってさすがに悔しいだろう?」
「えと、何が?」
「俺がお前を好きだと思えない未来ばかり口に出すお前に、素直にお前が好きだと言ってやるのが」
「ええっっ!?」
 本気で驚いてしまったら、驚いたことが不満だったらしく、ムッとした表情を見せる。
「なんでそんなに驚くんだ。気づいたから期待したんじゃないのか?」
 期待はした。愛し気に見つめてくれる瞬間があったらいいなと思ってはいた。そしてその期待通りに、彼が愛し気に見つめてくれたのは事実だけど。
 俺を好きって自覚して、みたいな期待はさすがにしてなかった。はずだ。
「そんな顔、してました? 俺を好きって早く自覚して、みたいな?」
「違うのか?」
「だって俺、俺を好きって思わない可能性、かなりあるって思ってましたよ?」
「だから、口ではそう言いながらも、しっかり期待はしてるんだなって思ったって話で、って、俺の勘違い?」
 彼が想っているのがお兄さんでもいいから、二人きりの今だけは自分にあの目を向けて欲しい。と考えていたくらいだから、勘違いではあるんだろうけど。
「いや嬉しいです。嬉しいですから。撤回とか絶対無しで」
「今更撤回するわけ無いだろ。好きなんだろう、多分。お前のことも、アイツのことも」
 不穏な気配を察知して慌てて言い募れば、呆れた顔で否定された。

続きます。
もうしばらくの間、更新は夜になりそうです

 
 
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