親切なお隣さん13

1話戻る→   最初から読む→

 結婚前提のお付き合いとやらは検討しないと退けたのに、好きを認めてしまったし、あれ以来、帰宅間際に好きって言われてキスするのが習慣化している。
 なんかもう、毎回当たり前みたいに好きって言われるし、何回かに一回はこちらも好きを返すけれど、俺もと短に返しても、知ってますと素っ気なく返しても、なんなら頷くだけでも、相手はニコニコと楽しげだ。そして、決まり文句の「お休み、また明日」の言葉と共に、軽く口を触れ合わせてくる。
 慣れた素振りで受け止めているけれど、内心はそれなりに複雑だった。
 いやだって、これどういう状況?
 結局、今現在の自分たちの関係がどうなっているのかよくわからないというか、多分、恋人になったってわけではないんだろう。
 だって習慣化したのは帰り際に告げられる好きの言葉とキスだけで、それ以上の進展は特に何も無い。押し倒されたりしないし、デートに誘われたりもしない。
 どういうつもりでキスするのか聞いてみたい気もするけど、あの日の話を蒸し返されたくはなかった。でもキスしかしない理由は正直かなり気になっている。
 一応アレコレ考えてみた結果、一番しっくり来るのが、今はまだ恋人ではないから、なんだけど。
 そもそもキスだって、ちゃんと口にしてってせっついたのはこちら側だ。なし崩しで口へのキスがOKになってしまっただけで、あの時、額へのキスに文句をつけなければ、習慣化したのは額へのキスだっただろう。
 お付き合いは検討できないと言ったのは自分なのに、日々繰り返されるキスに焦れているのがなんだか悔しい。お隣さんの方はただただ満足気なので、それが余計に、悔しさに拍車をかけているとも思う。
 自分の置かれた状況は特に何も変わってないから、お隣さんとお付き合いなんて出来ないって気持ちは変わらないのに。自分もお隣さんのことが好きなんだって気持ちを認めてしまったせいで、キスの先を期待する気持ちが抑えられない。はっきりと好意を持つ相手と、もっとエロいことをしてみたい。
 でもだからこそ、自分が相手に対して持つ好意は、相手がコチラに向けている恋愛感情とは違うものなのかな、とも思う。
 もし自分の中にあるのが恋愛感情なら、お隣さんみたいに、自分の好きに相手の好きが返ってくるだけでも嬉しくて仕方がないって思えるのかも知れない。付き合うことが出来ないのに、好きって言い合えてキスまで出来るのだと思えば、幸せを感じられるのかも知れない。
 そんな想像はしてみるものの、自分には理解できそうにない感情だった。少なくとも、今の状況に幸せを感じるのは無理だし、正直、欲求不満が溜まっていくばかりで嫌になる。
 過去のパパ活でお尻を弄って得る快感を知ってしまったせいで、最近はもう、お隣さんに抱かれることを明確に想像しながらアナニーしていた。
 ペニスに装着して快感を得るために使うわけではないから、とにかく安いものを利用してはいるものの、ゴムだってタダじゃないのに。もちろん、潤滑剤だって必要だ。
 パパ活ではお尻にペニスを突っ込まれるまではしなかったどころか、指だって1本しか入れられなかったから、今まではずっとそれを真似るだけで、指を1本以上入れたことなんてなかったのに。頻度だって、お尻まで弄るオナニーは数ヶ月に1回くらいだったのに。
 お隣さんに抱かれることを考えながらするアナニーのせいで、お尻の穴は確実に広がってしまったし、頻度だって確実に上がっている。
 お隣さんにはそんな気全然なさそうだけど。抱いて欲しい欲求なんてぶつけたら、ドン引きされる可能性のが高そうだけど。
 だから余計に、自分だけ欲求不満を募らせている苛立ちやら、自分ばっかりそんなことを求めている虚しさやら悲しさに、少しずつ心が疲弊している気がする。今はまだ平然を装っていられるけれど、いつまで隠していられるだろう。
 気づかれるのが先か、抱いて欲しいと口にしてしまうのが先か。そろそろ限界が近そうだ。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です