親切なお隣さん32

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 良かったと笑った相手が腕を広げて見せる。おいでとはっきり言われたわけじゃなかったけど、でもそんな幻聴が聞こえた気がした。
 目があったあと止めてしまっていた足を動かして、残り少しの距離を詰める。相手の前に立てば、嬉しそうな笑顔が見上げてくると同時に腰に腕が回って緩く抱きしめられた。
「ね、キスして?」
 請われるまま顔を寄せて、チュッチュと何度か軽く唇を触れ合わす。でもそれじゃすぐに物足りなくなる。さっきみたいにもっと深くで触れ合いたい。
 でも今度はこちらが舌を伸ばして催促するより先に、相手の舌がチロリと唇を舐めてきた。迎え入れるように唇を解けば、そのまま口内に舌が差し込まれて、チロチロと口の中を舌先がくすぐっていく。
「んっ、ふっ、はぁ」
 やっぱり時々ゾワゾワした快感が走るけれど、でも、さっきみたいに腰がズンと重くなるみたいな痺れはなかった。さっきと何が違うんだろう?
 さっきはなんであんなに痺れるみたいに気持ちよかったんだっけと考えながら、相手の舌を追いかけて絡め取る。もっと深くへと誘うように、吸い上げる。
「っふ……」
 こちらが快感に鼻を鳴らしてしまうのとは違う、笑うみたいな、でもちゃんと快感も滲んだ吐息が漏れて、相手も気持ちがいいなら良かったと思ったのもつかの間。腰に回っていた腕が背中を辿って這い上がってきたかと思うと、頭を抱えられてしまう。
 なんで? と思う頃には、相手の舌に絡んだこちらの舌をズリと強く磨上げられて、ビクッと体が跳ねてしまった。
「んんん゛ん゛ぅっ」
 舌の付け根から上顎の奥の方まで、舐めると言うより擦られる勢いで相手の舌が這って、一気に快感が溜まっていく。さっき以上に腰が甘く痺れて、今すぐにでも射精してしまいたい。
 湧いた欲求に抗うことなく、相手の腹か胸かに勃起したちんこを押し付けてしまえば、気付いた相手が服の裾から突っ込んできた片手を添えてくる。だけでなく、すぐにキュッと握られてしまう。
 着てるのは脱衣所のカゴに用意されていた部屋着で、上下に別れていない丈の長いシャツみたいなもので、下着は付けていなかった。つまりは、いきなり剥き出しの勃起ちんぽを握られ擦られて、そんなのされたらイッちゃう、と思ったときにはもう果てていた。実質1分保ったかどうかすら怪しい。
「うっそ……」
 いつの間にか開放されていた口から、信じられない気持ちがこぼれ落ちる。
「嘘って何が?」
 言いながら、トントンと背中を叩いて促されて、半ば相手の腿に乗り上げるように崩れ落ちていた体をどうにかベッドの上へと移動させた。だけでなく、いたたまれなさと恥ずかしさで熱くなった顔を隠すように、うつ伏せに寝転んで顔を枕に押し付ける。
「あっさりイッちゃったの、そんなショックだった?」
「う゛う〜〜」
 宥めるみたいに背中を擦られながらそんなことを言われて、わかってんじゃんと思いながら、とりあえず抗議の気持ちを込めて唸っておいた。
「まぁさっき一度お預けしちゃってたし、それでじゃない? おれは嬉しいばっかりだったから、出来れば早めに復活して欲しいんだけど」
「う゛う〜〜」
 クスクスと笑う気配にもう一度唸ってから、意を決してガバリと起き上がる。
「ん? 復活した?」
「俺もやります」
「え?」
「俺も、アンタをイかせたい」
 さっき部屋でキスしたときは相手もちゃんと反応してたんだから、今だってきっと相手も勃起してるはずだ。そんな気持ちで伸ばした手は払われることなかった。
 さっき一度確かめた熱は、間違いなく今もそこにある。だから一度部屋着の上から確かめたあとは、相手がしたのと同じように、服の裾から手を突っ込んだのだけど。
「あ……」
 自分と違って、相手は下着を着用していた。思わず相手の顔を見つめてしまえば、脱がしていいよと笑われてしまう。その笑いは、相手に直接触れたくてがっついてることへなのか、やる気満々で下着を着けずに部屋に戻ったことへなのか。
 まぁ、どっちだっていいけど。とは思うものの、なんだか少し恥ずかしくて、またちょっと顔が熱い。

続きます
水曜日は大腸内視鏡検査があるので、多分更新おやすみします。

 
 
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