ご飯担当の繁殖期3

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 ニンゲンが夕飯を終える直前に部屋へと戻ってきた男は、ちょうどいいなと言ってさっさとベッドへ向かう。だけでなく、ヒト型に変化して着ていた服を脱いでいく。
 ヒト型になる理由も彼まで裸になる理由もイマイチわからないまま見つめてしまえば、2人とも早く来いと呼ばれてしまった。
「こいつのスリット訓練するんだよな? 脱ぐ必要ってある? てか俺も脱いだ方が良い?」
「どちらでも。整え直すのが面倒で脱いだだけだからな」
 ヒトに化けてもサイズはそこまで変わらないけれど、体の形が変わるのだからどうしたって服は整え直す必要があるし、場合によっては着替えだってするから納得の理由ではあるけど。その理由だと、自分も裸になる必要はないような気がしてしまう。
「俺、脱ぐか?」
「スリットさえ触れれば脱ぐ必要はないが、汚れる可能性もなくはないな」
 いっそ脱げと言い切ってくれたほうが楽だった。
「じゃあ俺も脱ぐからお前も脱ご」
 脱ぐかを迷ってしまったら、ニンゲンがそう促してくる。裸で触れ合ったほうがキモチイイからと言われて、そういうものかと頷いて従った。
 脱いでベッドに上がれば、すぐに4本の腕が伸びてきてまずはぎゅっと抱きしめられる。繁殖期外で誰かと裸で抱き合うのなんてほぼほぼ初めてだから、それだけでなんだかソワソワしてしまう。
 2人に挟まってジッとしていれば、そんな緊張しなくて大丈夫だからと囁かれて、ゆっくりと体の力を抜いていく。
「一応確認だけど、わざわざ人の姿にってことは、お前が自分でやるんだよな?」
「いや。まずはお前からで」
 慣れてるはずだし押さえる側としては力が足りない、だそうで。つまりはニンゲンと2人で訓練させたら、ニンゲンが危ない目に合う可能性が高いと判断されている。
 やはり暴れたくなるような不快感を覚悟した方が良さそうだ。
「いいってなら喜んで初めて貰っちゃうけど、お前ほんとにそれでいいの?」
 番なんだろと確認する姿に、昼間のやりとりを思い出す。
 抱いていいならもちろん抱かせてもらうけど、でも初めての相手は想い人がいいだろうと言われて、イマイチ賛同できなかったのだ。
 だってニンゲンか番の男かの2択なら、初めての相手はニンゲンのほうが断然いい。発情時のペニスの状態なんて知らないが、ヒト型の萎えた状態でニンゲンよりもはっきりと大きいのだし、元の姿での発情状態なんて想像するのもなんだか怖い。
 ニンゲンの発情条件はわからないけど、普段の生活でも時々勃起しているようだから、彼の繁殖期前にニンゲンが勃起してくれたらいいなと思っているし、まずはニンゲンの大きさに慣れたいと思ってもいた。
「お前ならいい」
「それって、ちんこ突っ込むのも? 俺が先で問題ない?」
「ああ。でも必ず俺を同席させてくれ」
「見れればいいてこと?」
「見れれば、というよりは、その時間をお前たちと共有できれば、だな」
 そもそも俺が先になんて言ったら負担が大きくなるだけだろう、と続いた言葉に、ですよねと思ってホッとする。
「ちなみに俺以外がこいつに手ぇ出すのは?」
「許すわけ無いだろう」
「そういう独占欲的なのって竜人ではわりと特殊な感覚?」
「ああ……なるほど。特殊といえないこともない、かもしれないな」
 今度はニンゲンがどこかホッとした様子を見せた。
「仕事の一環で子作りをするせいか、番登録済みのカップルでも別の相手とセックスすることは当たり前にあるというか、それを咎める感覚がない者のが多いとは思う。ただまぁ自分の発情を受け止めてくれるパートナーが、他の雄の発情を受け止めるのを快く許可するか、という話なら、大概は不快に思うんじゃないか」
「それ聞いてちょっと安心したけど、もいっこいい?」
「なんだ?」
「初めて貰えたら嬉しいって感覚は? ないの?」
「お前は嬉しそうだし、お前が貰ってやればいい。俺としては、事前にしっかり準備が出来て、安心して抱けるほうが断然嬉しい」
 繁殖期中にどこまで気を使いながらこの小さな体を抱けるかわからないし、準備が間に合わなくて無理そうだと判断したら繁殖期には同席させない。などと言い出すから、割と想定通りの回答ではあるのに、絶対間に合わせてやるという気持ちになった。

続きました→

 
 
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