ご飯担当の繁殖期4

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 スリットで気持ちよくなる、というのは想像していたよりもずっと簡単だった。
 だってニンゲンはスリットを弄り慣れていたし、番の男は自身の経験として、どこをどうすると気持ちよくなれるのかを知っていた。
 ただ、サイズはやはりどうしようもなかった。
 いやまぁ弄られまくって入口も中も随分広がったとは思うけど。なんせ相手が大きいので。
 勃起したニンゲンのペニスは半分くらいしか入らなかったし、圧迫感が勝ってしまって気持ちよくなるのは無理だった。
 気持ちよくしてやれなくてごめんと謝らせてしまったが、それよりも、ニンゲンが射精出来なかったことの方がこちらとしては問題だった。番の繁殖期にその発情を受け止めたい、というのが動機なのだから、相手が気持ちよくなれないのでは意味がない。
「や、それは大丈夫。気持ちよかったし、俺が射精しないのは割と普通っつうか、お前の繁殖期に射精できてるのが特別っていうか」
 吐き出されたばかりの精液を飲んだり注がれたりすると、それに反応して出る、らしい。知らなかった。
「普段から発情受け止めるしてる、聞いてる」
「勃起したら入れてるけど、お前の繁殖期以外であの中に出したのなんて数回しかないな」
「数回、ある」
「薬のテストだ」
 自分は無関係と思って聞き流していたが、数時間しか持たない、1回射精できればいいくらいの、効果が薄い代わりに副作用が少ない薬を開発している、というのを聞かされたことは確かにある。
 ニンゲンがここにきた初期は「食事」でしかなかったから、2人のセックス事情もそれなりに聞かされていたけれど、同じ部屋で寝るようになってから先は基本ノータッチなので、いつ薬のテストをしていたのかも含めて知らないことだらけだ。てっきり排泄と同じように、頻度はともかく普段から出来るようになったのだとばかり思っていた。
「勃起を発情と捉えることに問題はないと思うが?」
 それはそう。射精がなくたって相手の発情を受け止めているのは事実で、間違いなくそこには喜びがあるだろう。
「けど、射精出来るなったから、してる、思ってた」
「してないんだなぁ。こいつがスリットでイケなかった最初の頃は俺が力尽きたら終わりって感じだったけど、お前のこれは訓練だから俺の限界まで付き合わせるとかする気ないし、とりあえず俺のがちゃんと入ったってことで、今日は終わりでいいよな?」
 いいわけがなかった。頷く代わりに、首を横に振って否定を返す。
「ちゃんと入る、してない」
「入ったろ。先っぽずっぽり行ってたろ」
 痛くはなかったんだよな? と確かめられて頷いたけれど、こちらとしては、先っぽしか入らなかったという認識だ。
 いやまぁ実際はもうちょっと入ったけど。張り出した一番太い部分が無事に入ったことが重要、ってこともわかってはいるけど。
「サイズを考えたら、裂けたりせずに入っただけでも充分だろう?」
 こちらの不満が伝わった様子で宥められてしまったが、その言葉で落ち着くのは無理だった。だってそろそろ時間がない。
 訓練と言いながらも自分ばかりがキモチイイ夜を何度となく繰り返して、やっとやっとニンゲンの勃起ペニスを入れて貰ったのに、あんなに訓練したにも関わらず、結局半分しか入らなかっただなんて。気持ちよかったって言ってはくれたけれど、射精しないのは普通って言われたけど、それが本当だってイマイチ信じられなかった。
「俺まだ出来る、訓練」
「ならこっちにくるといい」
 ニンゲンの勃起ペニスにもっと慣れたいって話なのに、今日は最初から素の姿の番相手に呼ばれて不思議に思いつつも近づけば、腰を捕まれスリットに鼻先を近づけてくる。
「ま、まって、まって、違う」
「これも訓練には違わないだろう?」
 笑うみたいな息が掛かって、すぐに長い舌が緩んだスリットに入ってきた。
「うぁあっっ、ん、んんっ」
 掴まれた腰から下が、しびれるみたいにキモチガイイ。
 指で弄るのはニンゲンのほうが上手いけれど、舌を使うのは本来の姿の番相手のが断然上手い。長さも厚みもヒトのものとは全然違うせいだ。
 ニンゲンを勃起させたのもその長くて器用な舌だったのに、今日はニンゲンのペニスを入れる訓練という認識で油断しきっていた。
「ぁ、あっ、ああん」
「俺のちんこじゃ気持ちくなれなかったし、ちょうどいいな」
 いっぱい気持ちくして貰えよ、なんて言いながら頭を撫でたあと、ニンゲンが楽しげに番相手の腹に手を伸ばす。
「せっかく勃起したし、ここ、入れていいよな?」
 3人で気持ちよくなろうと笑うニンゲンと、軽く頷いたあとで期待からか熱い吐息を漏らす番相手に、予定と違うという憤りはあるのだけれど。
 普段は自分だけが気持ちよくなる訓練をしているせいで、繁殖期ではないのに3人一緒に気持ちよくなれると、喜び安堵してしまう気持ちもあった。

続きます

 
 
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